JPS6113481Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、精密機械などに使用する極細のワ
イヤーを撚成するさいに用いられるワイヤー用ボ
ビンの取付け装置に関する。

そして、この考案の目的とするところは、ボビ
ンに巻回したワイヤーの重量変化に応じて回転軸
を上下動自在に、しかも、常時垂直に支持するこ
とができるのみならず、回転軸の回転を制御し、
常に回転軸を等速回転せしめてワイヤーの送り出
し速度を一定に保持することができるもので、送
り出しワイヤーの弛みを有効に防止することがで
きる便利な装置を提供しようとするものである。

以下に、この考案を図面に示す１実施例につい
て説明する。

１は基台、２は該基台１上に設けられたフラン
ジ付回転軸支持筒、３は該支持筒２に嵌装される
と共にフランジに掛止された肉厚な筒状の気密室
支持台、４，５は該支持台３上に設けられた上下
２段の気密室で、該上下部気密室４，５は、筒体
６内が中間水平仕切壁７を介して上下に区画され
ると共に、上部に上下動自在な可動上壁８、下部
に上下動自在な可動底壁９が各々設けられること
により構成されている。１０は該上下部気密室
４，５を気密に貫通して上記回転軸支持筒２にボ
ールベアリングを介して上下動自在に垂直支持さ
れた回転軸、１１は該回転軸１０に形成された圧
縮空気孔で、該孔１１の上端部は上記上下部気密
室４，５に各々連通状に接続され、同下端部は別
途設置された圧縮空気ポンプ（図示略）に接続さ
れている。１２は該回転軸１０の上端を延長して
一体形成された上端部にネジ部が形成されてなる
ボビン取付け軸、１３は回転軸１０の上端部に水
平に設けられた板状のボビン取付け台、１４は該
ボビン取付け台１３の外周縁に設けられたボビン
係止用突起である。そして、上記回転軸１０に
は、上部気密室４の上壁８が、同回転軸１０との
間、及びボビン取付け台１３下面との間にボール
ベアリングを介して回転自在に取付けられ、同様
に、同回転軸１０に下部気密室５の底壁９がキー
１５により固着されてなり、かつ、該上壁８及び
底壁９は圧縮バネ１６により常時上方に付勢され
るものとされている。１７は仕切壁７下面に取付
けられて底壁９内面が当接自在とされた環状のブ
レーキライニング、１８はワイヤー用ボビン、１
９はワイヤーを示す。

つぎに、この考案に係る取付け装置の作用につ
いて説明する。

まづ、圧縮空気ポンプを作動せしめて所定圧の
圧縮空気を回転軸１０の孔１１を通して上部気密
室４、及び下部気密室５に送り、両気密室４，５
内の空気圧を一定に保持する。しかるのち、ワイ
ヤー１９を巻回したボビン１８を取付け台１３上
に載置してナツトにより固定する。すると、回転
軸１０はボビン１８及びワイヤー１９の荷重を受
けて下降し、該回転軸１０の下降に同調して上壁
８及び底壁９も上部気密室４の空気圧、及び圧縮
バネ１６に抗して下降する。そして、上部気密室
４の圧縮空気は上壁８の下降により下部気密室５
に移動するため、下部気密室５内の空気圧が大と
なり、所定の圧力に達すると回転軸１０の下降は
自動的に停止する。このさい、底壁９内面はブレ
ーキライニング１７との当接が解かれた状態にあ
る。そこで、撚成を開始し、ワイヤー１９を撚成
方向に引張ると回転軸１０はワイヤー１９の引張
力に応じて回転し、ボビン１８よりワイヤー１９
を順次送り出す。このさい、底壁９とブレーキラ
イニング１７との当接が解かれているため、回転
軸１０はボビン１８と巻回ワイヤー１９との荷重
をうけ、ワイヤー１９の引張力に応じて等速回転
する。

以下、順次回転軸１０が回転してボビン１８よ
りワイヤー１９を送り出す。そして、ワイヤー１
９の送り出しによりボビン１８に巻回したワイヤ
ー１９の重量が漸次減少すると、これに対応して
下部気密室５内の圧縮空気も次第に上部気密室４
に移動し、該圧縮空気圧、及び、圧縮バネ１６の
作用により上壁８及び底壁９が上方に押圧されて
回転軸１０は次第に上昇する。該回転軸１０の上
昇に伴つて底壁９内面がブレーキライニング１７
に当接し、漸次押圧力を強める。そして、底壁９
によるブレーキライニング１７への押圧により回
転軸１０に制動作用が働き、回転軸１０はワイヤ
ー１９の重量減に対応した制動作用を受けてワイ
ヤー１９の引張力により等速回転する。即ち、上
記制動作用がない時は、回転軸１０はワイヤー１
９の重量減に拘わらず同り引張力を受けるため必
要以上に回転し、ワイヤー１９の弛みを生じる
が、ワイヤー１９の重量減に応じて制動作用を受
けることにより常時適正な等速回転ができるもの
である。以下、同様にして、ワイヤー１９の重量
変化に対応して回転軸１０に制動作用が働き、回
転軸１０は常時等速回転するものである。

なお、上記実施例において、流体圧として圧縮
空気が使用されているが、油圧、その他の流体圧
を使用してもよいこともちろんである。また、上
壁８及び底壁９は、各々圧縮バネ１６により常時
上方に付勢されているが、必ずしも上壁８底壁９
の両方に設ける必要はなく、どちらか一方の圧縮
バネ１６でも本考案の目的を達成することができ
る。

この考案によれば以上の次第で、基台１上に、
上壁８が可動自在とされた上部気密室４と、底壁
９が可動自在とされた下部気密室５とが上下２段
に設けられ、該上下部気密室４，５を貫通して上
部にボビン取付け台１３を有する回転軸１０が上
下動自在に垂設せられ、該回転軸１０には上記上
壁８及び底壁９が取付けられると共に上下部気密
室４，５に連通して圧縮流体孔１１が形成され、
かつ、該回転軸１０はバネ１６により常時上方に
付勢せられているから、巻回ワイヤー１９の重量
変化に応じて圧縮流体が上部気密室４と下部気密
室５との間を適宜移動し、該流体圧の作用とバネ
１６の作用とが相まつて回転軸１０にかかる荷重
を調整し、常に回転軸１０を上下動自在に、しか
も、垂直に支持することができる。さらに、下部
気密室５内の頂壁７内面にブレーキライニング１
７が底壁９内面と当接自在に取付けられているか
ら、巻回ワイヤー１９重量の減少に伴つて漸次上
昇する回転軸１０に同調して底壁９内面がブレー
キライニング１７に当接して押圧し、回転軸１０
に漸次所要の荷動をかけ、巻回ワイヤー１９重量
の減少により加速しようとする回転軸１０を制御
することができるもので、巻回ワイヤー１９の重
量変化に拘わらず常に回転軸１０を等速回転せし
めることができ、撚成時におけるワイヤー１９の
送り出し速度を常に一定に保持することができる
もので、送り出しワイヤー１９の弛みを有効に防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の１実施例を示す断面図であ
る。 １……基台、４……上部気密室、５……下部気
密室、７……仕切壁、８……上壁、９……底壁、
１０……回転軸、１１……圧縮空気孔、１３……
ボビン取付け台、１６……圧縮バネ、１７……ブ
レーキライニング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基台１上に、上壁８が可動自在とされた上部気
   密室４と、底壁９が可動自在とされた下部気密室
   ５とが上下２段に設けられ、該上下部気密室４，
   ５を貫通して上部にボビン取付け台１３を有する
   回転軸１０が上下動自在に垂設せられ、該回転軸
   １０には上記上壁８及び底壁９が取付けられると
   共に、上下部気密室４，５に連通する圧縮流体孔
   １１が形成され、かつ、該回転軸１０はバネ１６
   により常時上方に付勢せられてなり、しかも、下
   部気密室５内の頂壁７にはブレーキライニング１
   ７が底壁９内面と当接自在に取付けられてなるワ
   イヤー用ボビンの取付け装置。