JPS6112532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建物に太陽熱を有効に利用するため
の蓄熱体を有する壁ユニツトに関する。

従来、建物の暖房時には、窓面からの熱損失が
非常に大きく、また室内側窓表面温度の低下によ
り冷輻射が起き、室内の快適性が損なわれたり、
場合によつては結露を生じることもある。それた
め窓を二重にしたり、二重ガラスを用いたりし
て、窓の断熱強化がはかられている。

一方、実開昭52−128353号公報によると、窓の
外に受放熱パネルを使用して、太陽からの日射に
よつて蓄熱したエネルギを夜間放出し、窓表面温
度を高める工夫がなされている。しかしこれは窓
にしか適用できず、操作もわずらわしい。又、壁
の開口に蓄熱体を配し、換気口を用いて熱交換を
行なう装置も提案されているが（実開昭56−
63787号公報参照）、断熱、放熱の効果が十分でな
い。

本考案は以上の点に鑑みなされたもので、実施
例を図面について説明すると、第１図は本考案の
壁ユニツトを組込んだ建物の構造を示す断面図
で、窓Ｗの下部の壁部分に、本考案に係る壁ユニ
ツトＡを組込み、暖気を矢印の如くに循環せしめ
るようにしたものである。

第２図は本考案壁ユニツトＡの一実施例の昼間
時における断面図で、第３図は同じく夜間時にお
ける断面図を示すが、図中１は室外側上部にある
ガラスよりなる太陽光透過体、２はその室内側対
向面をなす断熱壁である。３は室外側下部の開口
部で、４はその対向面をなす断熱壁である。

５は移動蓄熱体で、６は移動断熱体であり、両
者はワイヤ７で連結され、滑車８を介して互いに
従動するようになつている。第２図の場合は、移
動断熱体６が下げられて開口部３を閉塞し、移動
蓄熱体５が上げられて太陽光透過体１と対面する
ようにされている。９は断熱体で蝶番１０によつ
て開閉自在に設けられ、内面に反射板１１を有す
る。１２および１３は移動蓄熱体５の上下に付設
した断熱材で、特に１３はクツシヨン作用を有す
るようにするとよい。又、移動蓄熱体５並びに移
動断熱体６の下端は鍵１４で固定できるようにし
ておくとよい。

かかる壁ユニツトは窓台下に配設し、昼間時は
第２図の状態にしておくと、太陽光Ｒは直接ある
いは反射板１１に反射して太陽光透過体１を透過
し、移動蓄熱体５に太陽光の熱エネルギを蓄熱す
る。

夜に入り太陽光がなくなると、第３図に示すよ
うに、移動蓄熱体５を開口部３内に下げ、したが
つて移動断熱体６は上方に上げる。移動蓄熱体５
に蓄熱されていた熱エネルギは開口部３より、第
１図矢印に示したような対流作用を伴なつて徐々
に放出される。このとき断熱壁２，４、移動断熱
体６、断熱体９および断熱材１２によつて室外へ
の熱の放散は極力抑えられる。

第４図、第５図および第６図はさらに他の実施
例で、移動蓄熱体および移動断熱体６を同一円盤
状面に構成したものである。この場合、第６図
（第４図Ｘ−Ｘ断面）に示すように移動断熱体６
の方を移動蓄熱体５よりやや大面積とし、円盤の
中央部分の移動断熱体６が、蓄熱時と放熱時のい
ずれにおいても、断熱壁２および４の端部と重な
るようにして断熱効果を有効に発揮せしめるよう
にする。そして円盤の中心に回転軸１５を設け、
室内側のハンドル１６をもつて180゜回転し得る
ようにする。

第４図は昼間時の状態を示し、太陽光Ｒは直接
あるいは反射板１１に反射して太陽光透過体１を
透過し、移動蓄熱体５に太陽光の熱エネルギを蓄
熱する。

夜に入り太陽光がなくなると、第５図に示すよ
うに、円盤をハンドル１６により180゜回転させ
て移動蓄熱体５を開口部３側に置き、移動蓄熱体
５に蓄積されていた熱エネルギを第１図矢印に示
したような対流作用を伴なつて徐々に放出する。

なお、上記において、移動蓄熱体５に用いる蓄
熱材料としては従来知られているものを適宜用い
る。例えばパラフインワツクス、ポリエチレング
リコールの如き有機系、CaCl₂・6H₂OとBaCl₂・
2H₂O、CaCl₂・6H₂OとBa（OH）₂・8H₂O、
CaCl₂・6H₂OとSr（OH）₂・8H₂O、Na₂SO₄・
10H₂OとNa₂B₄O₂・10H₂O、Na₂SO₄・10H₂Oと
Na₂B₄O₇・10H₂Oと水の如き無機系のものを適宜
用いる。又、太陽熱吸収率を良くするために移動
蓄熱体５の表面は黒色としておくとよい。

本考案品は壁厚を考慮したユニツト構造となし
得るので、既存の建物の壁面の一部への取付けが
容易であり、又、窓下に配置することにより放熱
時には蓄熱体が室内側下部に位置し放熱するの
で、床面近くの温度を上げ、室温分布の均一化が
計られ、しかも室内側表面温度も高くなるため、
冷輻射を減少し、窓枠サツシの結露も起りにくく
なる。蓄熱時において蓄熱体は太陽光透過体側す
なわち室外側上部に位置しているので、たとえば
冬に積雪があつた場合でも確実に蓄熱できるし、
風雨の強い日でも太陽光透過体が室外側下部にあ
るものよりよごれも少なく蓄熱量も多くなる。し
かも蓄熱と放熱の切替は極めて簡単に行なうこと
ができるので、実用上有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の壁ユニツトを組込んだ建物の
構造を示す断面図、第２図は本考案の一実施例の
昼間時における断面図、第３図は同じく夜間時に
おける断面図、第４図はさらに別の実施例の昼間
時における断面図、第５図は同じく夜間時におけ
る断面図、第６図は第４図のＸ−Ｘ断面図それぞ
れ示す。 １……太陽光透過体、２……断熱壁、３……開
口部、４……断熱壁、５……移動蓄熱体、６……
移動断熱体、７……ワイヤ、８……滑車、９……
断熱体、１０……蝶番、１１……反射板、１２，
１３……断熱材、１４……鍵、１５……回転軸、
１６……ハンドル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 室外側上部に太陽光透過体を、室内側下部に
   開口部をそれぞれ設け、太陽光透過体の室内側
   対向面並びに開口部の室外側対向面はそれぞれ
   断熱壁となし、両者の中間位置に相互に従動す
   る移動蓄熱体並びに移動断熱体を配置し、移動
   蓄熱体は蓄熱時には太陽光透過体側に、放熱時
   には開口部側に移動すべくなしたことを特徴と
   する蓄熱体を有する壁ユニツト。 (2) 太陽光透過体の外側に断熱体を開閉自在に取
   付けてなる実用新案登録請求の範囲第(1)項記載
   の蓄熱体を有する壁ユニツト。 (3) 太陽光透過体の外側に設けた断熱体の内側に
   反射板を設けてなる実用新案登録請求の範囲第
   (2)項記載の蓄熱体を有する壁ユニツト。