JPS6112453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等に使用される変速機の潤滑
装置に関するものである。

変速機の変速段数を多段化しようとする場合
は、例えば第１図に示すように、主変速機１の後
部に副変速機２を配設して両変速機ケースを一体
的に結合することがある。尚、図中、３は主変速
機１の前端に固定したクラツチハウジング、４は
変速機全体の入力軸であるメインドライブピニオ
ン、５は変速機全体の出力軸を構成する副変速機
の出力軸（サブシヤフト）の後端に固定したカツ
プリングである。

又、変速機の潤滑性能、殊に、メインシヤフト
及びサブシヤフトにギヤを軸着するニードルベア
リング等の潤滑性能を高くするには、メインシヤ
フト及びサブシヤフトにオイル穴を穿設し、この
オイル穴とベアリング部とをそれぞれ連通させて
各ベアリングを強制潤滑することが有効である。

ところが、従来では第２図に示すように、メイ
ンドライブピニオンカバー６にオイル送入口７を
設け、メインドライブピニオン４に形成したオイ
ル穴８と前記オイル送入口７とを前記カバー６に
保持させたオイルマフラ９を介して連通させると
共に、前記オイル穴８と主変速機１のメインシヤ
フト１０に設けたオイル穴１１とをガイドパイプ
１２を介して連通させることにより、メインシヤ
フト１０のオイル穴１１にオイルを導くようにし
ていた。

従つて、メインドライブピニオン４の長さをオ
イルマフラ９の幅に相当する分だけ長くする必要
があるので、変速機の軸方向長さが長くなると共
に重量が増加し、かつ、サブシヤフトに充分なオ
イルを供給し難くなる欠点があつた。尚、第２図
中、１３はオイルの供給口を形成するエルボ、１
４はメインドライブピニオン４の後端にメインシ
ヤフト１０の前端を軸支結合するパイロツトベア
リング、１５はメインシヤフト１０にメインギヤ
１６を軸着するニードルベアリング、１７はメイ
ンドライブピニオン４で駆動されるカウンタドラ
イブギヤ、１８は主変速ケースの前壁である。

本考案は上記に鑑みてなされたものであつて、
主変速機のメインシヤフトに形成したオイル穴に
オイルを供給するためのオイル送入口を主変速ケ
ースの後壁に形成することにより、多段変速機で
テツドスペースとなつている主変速ケースの後壁
部分をオイルマフラの装着スペースとして有効利
用して変速機の軸方向長さと重量の増加を抑制し
つゝ、サブシヤフトにも充分な量のオイルを供給
して変速機全体の潤滑性能を向上させようとする
ものである。

以下に本考案を第３図に示された一実施例に基
ついて詳細に説明する。

第３図において、主変速機２０の出力側、即
ち、後部には副変速機２１を配設して主変速ケー
ス２２の後壁２３と副変速ケース２４の前壁２５
とを図示しないボルトで締付固定して両変速ケー
ス２２，２４を一体化している。

前記主変速機２０の出力軸を構成するメインシ
ヤフト２６には従来同様にニードルベアリング２
７を介して複数個のメインギヤ２８を軸着すると
共に、各ニードルベアリング部に至るオイル穴２
９を形成している。又、メインシヤフト２６の後
端を副変速ケース２４の前端部内に突入させると
共に、このシヤフト２６の突端に楔着したサブギ
ヤ３０のボス部をベアリング３１を介して副変速
ケース２４の前壁２５に軸着している。尚、メイ
ンシヤフト２６の前端は、従来同様に主変速ケー
ス２２の前壁に軸着したメインドライブピニオン
（図示省略）に図示しないパイロツトベアリング
を介して軸支されている。そして、メインシヤフ
ト２６にスプライン嵌合されたシフタスリーブ３
２を摺動制御することにより、メインドライブピ
ニオンから図示しないカウンタシヤフトを介して
回転駆動されるメインギヤ２８とメインシヤフト
２６とを選択結合して所期の変速作用を行なわせ
るようにしている。

一方、前記副変速機２１の出力軸を構成するサ
ブシヤフト３３には、ニードルベアリング３４を
介してサブギヤ３５を軸着すると共に、前記各ベ
アリング部に至るオイル穴３６を形成している。
そして、このサブシヤフト３３の前端を前記サブ
ギヤ３０にパイロツトベアリング３７を介して軸
支させると共に、メインシヤフト２６のオイル穴
２９とサブシヤフト３３のオイル穴３６とをガイ
ドパイプ３８を介して連通させている。尚、副変
速ケース２４内には、前記各サブギヤ３０，３５
に常に噛み合うカウンタシヤフトが軸着されてお
り、シフタスリーブ３９を介してサブギヤ３０，
３５をサブシヤフト３３に選結合することによ
り、この副変速機２１でも変速作用を行なわせる
ようにしている。

又、前記主変速ケース２２の後壁２３には、図
示しないオイルポンプから延設されたオイルパイ
プにエルボ４０を介して接続されたオイル送入口
４１を形成すると共に、このオイル送入口４１と
前記メインシヤフト２６に形成したオイル穴２９
とを前記後壁２３に嵌合保持させたオイルマフラ
４２を介して連通させている。

従つて、図示しないオイルポンプからオイル送
入口４１に供給されたオイルは、オイルマフラ４
２を介してメインシヤフト２６のオイル穴２９に
流入し、メインシヤフト２６の各ニードルベアリ
ング２７部分へと圧送供給される。又、メインシ
ヤフト２６のオイル穴２９に供給されたオイルの
一部は、ガイドパイプ３８を介してサブシヤフト
３３のオイル穴３６にも流入し、このサブシヤフ
ト３３の各ニードルベアリング３４及び前記両シ
ヤフト２６，３３の間に介装したパイロツトベア
リング３７等へと圧送供給される。尚、メインシ
ヤフト２６のオイル穴２９は、図示しないメイン
ドライブピニオンとメインシヤフト２６との間に
介装したパイロツトベアリング部にも連通されて
いることは勿論であり、変速機の後部とは、各変
速機の出力側を意味するものであつて、絶対的な
前後方向を意味するものではない。

以上説明したように本考案によれば、メインシ
ヤフトの後端（出力側端部）を副変速ケースの前
壁に軸着させたうえで主変速ケースの後壁にオイ
ルマフラを嵌着し、主変速ケースの後壁に形成し
たオイル送入口とメインシヤフトに形成したオイ
ル穴とを前記オイルマフラを介して連通保持させ
たものであるから、従来のようにオイルマフラの
幅に相当する分だけメインシヤフト又はメインド
ライブピニオン等を延長する必要がなくなる。従
つて、変速機の軸方向長さの延長にともなう変速
機の大型化、重量化等を予防できる。又、メイン
シヤフトのオイル穴には、該シヤフトの後端近傍
からオイルを供給しているので、サブシヤフト側
にも充分な量のオイルが供給される。従つて、負
荷トルクが大きなサブシヤフトのニードルベアリ
ング等にも充分なオイルを供給できるために、変
速機の潤滑性能が向上してその耐久性を向上でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用する変速機の一例の略示
側面図、第２図は従来例の断面図、第３図は本考
案の一実施例を示す要部の断面図である。 ２０……主変速機、２１……副変速機、２２…
…主変速ケース、２３……主変速ケースの後壁、
２４……副変速ケース、２５……副変速ケースの
前壁、２６……メインシヤフト、２７……ニード
ルベアリング、２８……メインギヤ、２９……オ
イル穴、３０，３５……サブギヤ、３１……ベア
リング、３２……シフタスリーブ、３３……サブ
シヤフト、３４……ニードルベアリング、３６…
…オイル穴、３７……パイロツトベアリング、３
８……ガイドパイプ、４１……オイル送入口、４
２……オイルマフラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主変速機の後部に副変速機を配設して主変速ケ
   ースの後壁と副変速機の前壁とを締付固定した変
   速機において、主変速機の出力軸を構成するメイ
   ンシヤフトの後端を副変速ケースの前壁に軸着
   し、副変速機の出力軸を構成するサブシヤフトの
   前端を前記メインシヤフトの後端にパイロツトベ
   アリングを介して軸支させると共に、主変速機の
   後壁にオイル送入口を設け、該送入口とメインシ
   ヤフトに形成したオイル穴とを連通させるオイル
   マフラを主変速ケースの後壁に嵌合保持させたこ
   とを特徴とする変速機の潤滑装置。