JPS6111479Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は少なくとも１種の液体燃料を含む異種
燃料を選択的に切換使用する異種燃料切換使用機
関の燃料供給装置に関する。

乗用車等では、ガソリン燃料とLPG燃料とを運
転条件に応じて選択的に切り換え使用できるよう
にした機関を搭載したものがある。例えば大出力
を要求される走行時にはガソリン燃料を使用し、
燃費経済性を重視した走行時にはLPG燃料を使用
することができる（参考文献 実開昭51−36725
号公報）。

かかる機関は吸気通路に各燃料ノズルを臨ませ
たガソリン−LPG燃料切換使用型気化器を備え、
ガソリン燃料用気化器に接続された燃料供給通路
には電磁式燃料ポンプを介装し、LPG燃料用ミキ
サーに接続された燃料供給通路には電磁弁を介装
し、これらを選択的に供給作動させて使用燃料を
切り換えるようになつている。

しかしながら、かかる構成において従来ガソリ
ン燃料側の燃料供給通路に介装される電磁式燃料
ポンプには燃料の流れを完全に遮断する手段を備
えているものがない。従つて、使用燃料をLPG燃
料に切り換えて運転する場合、電磁式燃料ポンプ
が停止しているにもかかわらず、切り換え後も引
き続き生じる気化器のベンチユリ負圧によつて燃
料タンク内のガソリン燃料が吸気通路内に吸い出
される。このため、使用燃料としてのLPG燃料と
前記ガソリン燃料とが同時に供給されて過濃混合
気が形成されるので、機関運転性能が低下し、ア
フターバーンが発生したり特にアイドリング時等
には機関停止に至るおそれがあつた。また、ガソ
リン燃料を無駄に消費することになり、極めて不
経済であつた。

本考案は上記の実情に鑑みてなされたもので、
液体燃料の供給通路に介装される電磁式燃料ポン
プに、吐出弁とは別に、ポンプ非作動時吐出弁下
流の燃料通路を遮断する通路遮断弁を設けること
により、従来の欠点を解消した燃料供給装置を提
供することを目的とする。

以上本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図には本実施例による燃料供給系の概略図
を示す。図において、機関本体（図示せず）に接
続された吸気通路１は吸気マニホルド２の上流側
にガソリン−LPG燃料切換使用型気化器３が取り
付けられている。ガソリン−LPG燃料切換使用型
気化器３はガソリン燃料用気化器３Ａとその上流
側に位置するLPG燃料用ミキサー３Ｂとを一体に
備えて構成される。ガソリン燃料用気化器３Ａは
２バレル方式で一次側及び二次側通路４，５に分
けられ、絞弁６の上流に設けられたガソリン燃料
計量用ベンチユリ部７及びこれにノズル８を介し
て連通するフロート室９とで構成される。尚、二
次側のベンチユリ部等は省略してある。LPG燃料
用ミキサー３ＢはLPG燃料計量用ベンチユリ部１
０及びこれに連通するLPG燃料導入路１１とを備
えて構成されている。

ガソリン燃料タンク１２と前記フロート室９の
燃料導入口との間はガソリン燃料供給通路１３で
結ばれており、前記燃料導入口はフロート室９内
に設けたフロート１４頭部のニードル弁１５によ
つて開閉される。前記ガソリン燃料供給通路１３
にはガソリン燃料供給用の電磁式燃料ポンプ２０
が介装され、この電磁式燃料ポンプ２０は、ガソ
リン燃料供給系とLPG燃料供給系を選択的に供給
作動させて使用燃料を切り換える燃料切換装置
（図示せず）によるガソリン燃料選択時に作動さ
れるようになつている。

第２図に前記電磁式燃料ポンプの構成の詳細を
示す。図において、本体ケース２１には燃料タン
ク１２側に接続する燃料流入部２２が設けられ、
その下流側の本体ケース２１内には順次フイルタ
２３、吸入弁としてのサクシヨンバルブ２４及び
吐出弁としてのデリバリバルブ２５が配設され、
更にデリバリバルブ２５下流に電磁式燃料ポンプ
２０非作動時燃料通路を遮断する通路遮断弁２６
が設けられている。そして、燃料流出部２７が本
体ケース２１に取り付けられている。円筒状を成
し一端にデリバリバルブ２５を移動自由に支持し
他端には通路遮断弁２６を一体に取り付けたプラ
ンジヤ２８は電磁コイル２９通電時にプランジヤ
スプリング３０の弾性力に抗して図中下方に移動
し、電磁コイル２９への通電を断つとプランジヤ
スプリング３０の弾性力により図中上方に移動す
る。このプランジヤ２８の移動に応じて第３図に
示す如く通路遮断弁２６はその弁座３１と接離
し、通路遮断弁２６周囲に形成された孔３２を介
して連通するプランジヤ２８側と燃料流出部２７
側との燃料通路を開通又は遮断する。

かかる構成において、ガソリン燃料を選択使用
して走行している場合には、燃料切換装置からの
信号に基づいて電磁式燃料ポンプ２０が作動し、
燃料タンク１２内のガソリン燃料がガソリン燃料
用気化器３Ａに供給され、気化器３のベンチユリ
負圧により吸気通路１内に吸い出され機関本体に
送られている。

電磁式燃料ポンプ２０の燃料供給動作は電磁コ
イル２９を断続的に励磁しプランジヤ２８を往復
動させることにより行なう。即ち、電磁コイル２
９が励磁されるとプランジヤ２８がプランジヤス
プリング３０の弾性力に抗して図中下方に移動す
る。この移動によりデリバリバルブ２５がバルブ
シートから離れプランジヤ２８内の燃料通路内に
燃料が流入し、第３図Ａの矢印で示す如く孔３２
を通つて通路遮断弁２６下流側に送られ燃料流出
部２７を介してフロート室９側へ送り出される。
一方、電磁コイル２９が消磁されるとプランジヤ
２８はプランジヤスプリング３０の弾性力により
図中上方に移動しデリバリバルブ２５がバルブシ
ートに着座すると共にサクシヨンバルブ２４が開
放され、燃料流入部２２からフイルタ２３を通つ
たガソリン燃料をサクシヨンバルブ２４下流側に
吸い込む。この繰り返し動作によりガソリン燃料
が送られる。

そして、この走行状態からLPG燃料側に切り換
えると、LPG燃料の供給通路が開通し機関回転に
より引き続き生じている気化器３のベンチユリ負
圧によりLPG燃料が吸気通路１内に吸い出され、
一方電磁式燃料ポンプ２０の非作動によりガソリ
ン燃料の供給は停止される。

この燃料切換時初期ではフロート室９内の残留
ガソリン燃料がベンチユリ負圧により吸い出され
過濃混合気が形成されるが、従来と異なつて電磁
式燃料ポンプ２０に通路遮断弁２６が設けられて
おり、電磁式燃料ポンプ２０非作動時にはプラン
ジヤスプリング３０の弾性力によりプランジヤ２
８を介して第３図Ｂに示す如く通路遮断弁２６が
弁座３１に圧接し、該遮断弁２６下流側へのガソ
リン燃料の流れを防止している。従つて、従来の
ようにLPG燃料使用時に電磁式燃料ポンプ２０下
流側にガソリン燃料が漏れ出すことがなく、電磁
式燃料ポンプ２０下流側の残留ガソリン燃料がな
くなればLPG燃料のみによる適正な混合気で運転
され良好な運転状態が継続する。特にアイドリン
グ時で従来問題となつていたLPG燃料への切り換
えに伴なう過濃混合気生成による著しい運転不調
ひいては機関回転停止を効果的に防止できる。

また、ガソリン燃料の無駄な消費を防止でき経
済的なものになる。

尚、本実施例ではガソリン燃料とLPG燃料とを
併用する機関に適用したが、これに限らず複数の
液体燃料を使用するものでも適用できることは言
うまでもない。

以上述べたように本考案によれば、液体燃料供
給用の電磁式燃料ポンプに、該ポンプ非作動時液
体燃料の供給方向への流れを防止する通路遮断弁
を吐出弁より下流に設けたので、他の燃料使用時
に電磁式燃料ポンプ下流側へ液体燃料が流出せ
ず、併用される燃料の同時供給による過濃混合気
の生成が大略防止され機関運転の不調、特にアイ
ドリング時等における機関回転停止を防止するこ
とができる。また、燃料切換えに際しても良好な
運転状態を保持でき、更には液体燃料の無駄な消
費を解消でき燃料の節約により経済性が大幅に向
上する。更に加えて、通路遮断弁を吐出弁とは別
に設けたので、吐出弁の動作特性及び燃料吐出圧
を従来と同様に設定することができ液体燃料供給
系の設計変更をする必要がない。また、この遮断
弁の開閉をプランジヤを利用して行うようにして
あるので、燃料ポンプ構造をそのまま利用できる
という利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略構成図、
第２図は電磁式燃料ポンプの断面図、第３図は第
２図中Ａ部の拡大図で、Ａは燃料通路開放状態を
示し、Ｂは燃料通路遮断状態を示す。 ３……ガソリン−LPG燃料切換使用型気化器、
９……フロート室、１２……燃料タンク、１３…
…ガソリン燃料供給通路、２０……電磁式燃料ポ
ンプ、２６……通路遮断弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも１種の液体燃料を含む異種燃料を
   夫々機関吸気通路に供給する各燃料供給系と、こ
   れら燃料供給系を選択的に供給作動させて使用燃
   料を切り換える燃料切換装置とを備えた異種燃料
   切換使用機関において、前記液体燃料の供給通路
   に前記燃料切換装置による当該燃料の選択使用時
   に作動される電磁式燃料ポンプを介装すると共
   に、ポンプ作動時にプランジヤの往復動により開
   閉し吸入弁から吸入した液体燃料を下流側燃料通
   路に吐出する吐出弁とは別にポンプ非作動時にス
   プリングにより一方向に押圧される前記プランジ
   ヤに係合して前記吐出弁下流の燃料通路を遮断す
   る通路遮断弁を電磁式燃料ポンプに設けたことを
   特徴とする異種燃料切換使用機関の燃料供給装
   置。