JPS6110969B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は磁気回路と半導体感磁素子と制御電源
を組合せた電流変成器に係り、特に磁気回路の空
隙部に挿入する半導体感磁素子部例えばホール素
子部の構成に関する。

一般にホール素子を用いた電流変成器は、第１
図に示すように、空隙１を有し磁気回路を構成す
る鉄心からなるコア２と、このコア２の空隙１に
挿入するホール素子３と、このホール素子３に制
御電流Ｉ_cを供給する制御電源４と、コア２を貫
通するように設けられ被測定電流I₁を流す導体５
とから構成される。尚、図における６は出力用お
よび制御電流用のリード線である。

このように構成されて、導体５に電流I₁が流れ
ると、その電流I₁に比例した磁束φがコア２を通
り、空隙１に挿入されたホール素子３を貫通す
る。このとき、制御電源４によつて一定の制御電
流Ｉ_cをホール素子３に供給しておくと、そのホ
ール素子３には磁束φに比例したホール電圧Ｖ_H
が発生する。

従つて、その発生した電圧Ｖ_Hを測定すれば導
体５に流れる電流I₁の大きさを知ることができ
る。

ところで、このホール素子を用いた電流変成器
は、一般には被測定電流I₁が大電流の場合に使用
されるものであるが、最近は低電流域での使用要
求が強くなつてきた。この要求に応えるために
は、空隙１を狭くする必要がある。

また、外部磁界の影響を少なく、高いホール電
圧Ｖ_Hを得るために、第２図に示すように、コア
２に複数の空隙１を設け、そこにホール素子３を
それぞれ挿入し、各素子３のホール電圧Ｖ_Hを加
算することも行われている。しかし、この場合も
被測定電流の値が決ると、空隙の全間隔が決るの
で、空隙１を増やす程空隙１を狭くする必要があ
る。

然るに従来は、第３図に示すように、ホール素
子３を絶縁物の小片７に装着し、これをそのまま
空隙に挿入すると強度的な問題が生じるので、更
に、第４図に示すように、ホルダー８に配設し、
これを空隙１に挿入していた。

このため、空隙１を狭くすることができず、被
測定電流I₁の低電流化、特性向上に対応すること
ができない。リード線６の部分に生じる有害な誘
導起電力に対する補償回路の付設が困難になる。
リード線６が入り乱れ誤配線の原因となる等の欠
点があつた。

本発明は上記従来技術の欠点を除去し、被測定
電流の低電流化、特性向上に対処し得る電流変成
器を提供することを目的とする。

以下、本発明を図に基づき説明する。

第５図は本発明の一実施例を示す電流変成器に
おける基板ユニツトの構成図で、３はホール素
子、９はプリント配線した例えばセラミツク板等
の絶縁基板、１０は表・裏面のプリント配線間接
続用スルーホール、１１は誘導起電力補償用ルー
プ、１２は接続用ピン、１３はコネクター、１４
は外部接続線である。

絶縁基板９上には２個のホール素子３が装着さ
れ、各ホール素子に制御電流Ｉ_cを流すリード線
およびホール素子の出力電圧を導出するリード線
は、それぞれの往線と帰線の対が被測定電流I₁に
よる磁束φ_Mの方向に対してほぼ重なるようにプ
リント配線されている。

その配線が絶縁基板９の表面と裏面の場合は、
その間をスルーホール１０で接続した絶縁基板９
の指定の位置にホール素子３が接着され、そのホ
ール素子３とプリント配線との間が接続される。

そのプリント配線の端部には、接続ピン１２が
設けられている。この接続ピン１２による配線引
出しのため、各対毎に重なつたプリント配線がこ
の部分である面積をもち誘導起電力が生ずるの
で、この誘導起電力を打消すループ１１がＶ_H回
路に設けられ、有害な誘導起電力の発生を抑制補
償している。このように構成される基板ユニツト
は、プリント配線のため、極めて薄くすることが
できる。

一方、接続ピン１２はコネクター１３によつて
外部接続線１４に接続されるが、このコネクター
１３による接続部分に形成されるループの誘導起
電力発生を避けるため、その接続ピン１２は、図
示の如く折り曲げられ、その引出方向がコア２の
その接続部分における漏れ磁束φの方向と一致
するように形成されている。これにより、その接
続部のループにはφが通らず誘導起電力の発生
が防げる利点が生じる。

ところで、絶縁基板９上に配設される２個のホ
ール素子３のうち、一方は予備で、常時は一方の
みが使用されることになる。それゆえ、接続ピン
１２の配列は、Ｉ_c，Ｖ_Hのリード線それぞれにつ
いて極性を与え、例えば、図のようにＡ側は左か
ら、Ｂ側は右から１―２―３―４と対称にして配
列すると、コネクター１３に設ける外部接続線１
４はホール素子分１ケ分で良く、若し一方が使用
不能となつたときは、そのコネクター１３を反転
すれば、接続が完全に行われ、誤配線なく短時間
で正しく配線換へすることが可能となる。

以上のように本発明によれば、プリント配線し
た絶縁物基板にホール素子を配設し、プリント配
線と接続ピンの引出方向で誘導起電力を極少に
し、かつ、外部配線との接続を接続ピンとコネク
ターで行い、しかも接続ピンの配置を各ホール素
子の引出線について互いに対称となるように配列
したので、(イ)ホール素子を配設した基板ユニツト
がプリント配線により非常に薄くなり、低い電流
に対応できる電流変成器が得られる。(ロ)複数のホ
ール素子の等配が可能で外部磁界の影響の縮少化
など特性向上が計られた電流変成器が得られる。
(ハ)基板ユニツと外部接続がピンとコネクターで行
われるので、誤配線がなく、また製作時のリード
線処理の煩雑さがなく、電流変成器の組立、配線
が簡単容易となる。(ニ)プリント配線で、配線ルー
プによる誘導起電力を除去し、かつ、端子部など
避けられない部分はループ面を漏れ磁束と同一に
しているので、誘導起電力は非常に小さく応答特
性のよい電流変成器が得られる。(ホ)予備のホール
素子との切換えが簡単に短時間で正確に行える電
流変成器が得られる。また、コネクターの非配線
部は接続ピンの保護とコネクターの保持強化に役
立つ等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は半導体感磁素子を用いた電流変成器の
基本構成図、第２図は複数の感磁素子を用いた電
流変成器概略構成図、第３図は従来のホール素子
構成図、第４図は従来のホール素子ホルダーの構
成図、第５図は本発明の一実施例を示す電流変成
器における基板ユニツトの構成図である。 １…空隙、２…コア、３…ホール素子、４…制
御電源、５…被測定電流導体、８…素子ホルダ
ー、９…基板、１０…スルーホール、１２…接続
ピン、１３…コネクター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 空隙を有し磁気回路を形成するコア部と、そ
   の空隙に挿入される半導体感磁素子部と、その半
   導体感磁素子部に制御電流を供給する制御電源と
   から成る電流変成器において、前記半導体感磁素
   子部は、絶縁板に２個の半導体感磁素子が装着さ
   れ、リード線がプリントされた基板ユニツトによ
   り構成されると共に、その基板ユニツトの上記各
   半導体感磁素子からの対をなす各リード線は、磁
   束通過方向に対して互に絶縁され、略重なる状態
   で引き出され、そのリード線端部は、上記各半導
   体感磁素子毎にその配列順序を対称にして上記絶
   縁板端部に並設される各接続ピンに接続され、か
   つ、それらの接続ピンは、磁束通過方向に沿つて
   折り曲げられ、１個の半導体感磁素子分の配線が
   施こされたコネクターにより外部に接続されるこ
   とを特徴とする電流変成器。