JPS6110950Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、大型物品あるいは多量の物品を一度
に搬入搬出することのできるグローブボツクスに
関する。

例えば、プルトニウム取扱施設では、グローブ
ボツクス等（汚染区域）を設置し、この中でプル
トニウムを取扱つており、この汚染区域への物品
の搬入には所謂バツグイン方式が採用されてい
る。

現在、プルトニウム燃料製造施設ではグローブ
ボツクス内に物品を搬入するのに、主として180
mmφのバツグインボートを使用し、長さ2.5m程
度のポリ塩化ビニル製バツグを利用して搬入して
いるが、多量の物品を搬入しようとするとかなり
の時間が必要であつたし、また当然のことながら
180mmφより径の大きな物品の搬入は不可能であ
つた。

そこで、グローブボツクスの側面に550mmφの
大口径のバツグインポートを付設しているが、ビ
ニルバツクがグローブボツクス内の負圧で引き込
まれてしまうため作業性が悪いばかりでなく、安
全性の点でも問題があつた。更に、このようにバ
ツグインポートがグローブボツクス側面に位置す
ると、大型物品等をバツグ内に入れることは可能
であるが、高周波シールやグローブボツクス内で
の大型物品等の保持が困難であるなど解決すべき
課題は多い。

また、大口径のバツグインポートからグローブ
ボツクス内に搬入したのちも、大型物品や重量物
等をグローブボツクス内所望ステーシヨンへさら
に搬送する作業も困難を伴うものであつた。

本考案の目的は、このような従来技術が包蔵し
ている技術的課題を解決し、大型物品や重量のあ
る物品等でも迅速かつ容易に搬入でき、大型ビニ
ルバツグの引込みを防止でき、安全性を一層向上
させることができるような改良されたグローブボ
ツクスを提供することにある。

さらに本考案の目的は、グローブボツクス内に
搬入した大型物品や重量のある物品等をグローブ
ボツクス内の所望ステーシヨンへ迅速かつ容易に
搬送できるようなグローブボツクスを提供するこ
とにある。

すなわち本考案は、大口径バツグポートの取付
位置を変更するとともに昇降装置や物品載置台と
組合せることによつて、上記目的を達成しようと
するものである。

以下、図面に基づき本考案について詳述する。
第１図は本考案に係るグローブボツクスの一実施
例を示す説明図である。グローブボツクス本体１
は、側壁に多数の小口径グローブポート２を有
し、天井面に大口径のバツグポート３を形成した
箱状構造物であつて、バツグポート３にバツク４
を、また各グローブポート２にそれぞれグローブ
等（図示するを省略）を取付けることによつて密
閉状態が保持されている。そして、グローブボツ
クス本体１の内部のバツグポート３の下方には搬
入搬出物品載置用の載置台５が設けられ、また、
該載置台５を昇降させる昇降装置６が設けられ
る。

バツグ４は、従前同様、ポリ塩化ビニル等から
なり、グローブ取付の場合と同様、Ｏリング７
ａ，７ｂ、バツキン８、締付けバンド９等により
取付けられる。ビニルバツグの製造方法およびバ
ツグ強度等を考慮すると、バツグポート３の実用
的口径は500〜900mmφ程度である。次に載置台５
は、本考案では、台車兼用であり、昇降装置６に
よつて最下位置に達したとき下面に設けた車輪１
０によつて、そのまま、またはグローブボツクス
本体１の内部に敷設したレール１１上を水平方向
に容易に移動できるようになつている。また、こ
の載置台５の形状は全く任意であり、円板状また
は角板状が普通であるが、辺部に棚体等を立設し
た形状であつてもよい。この載置台５は、搬入搬
出物品１５を載置する機能を果すばかりでなく、
搬入搬出作業中にバツグ４がグローブボツクス内
に引込まれるのを防ぐ機能を果す。昇降装置６
は、図示の如くグローブボツクス本体１の内部に
設けるのが普通であるが、他の例としてグローブ
ボツクス本体の床面に開口部を設け、該開口部の
周辺にベローズを取付けてグローブボツクス本体
の外部に設けた昇降装置と該ベローズとを接続
し、気密状態を保ちつつグローブボツクス本体内
の載置台を昇降できるような構成でもよい。

前記実施例の装置による物品搬入手順を第２図
に示す。同図Ａに示す状態は、昇降装置６により
載置台５を上限まで上昇させて、バツグポート３
にバツグ４を取付け、Ｏリング７ａ，７ｂ、パツ
キン８、及び締付けバンド９によつて締付けてセ
ツトした状態である。バツグ４は、その底面が載
置台５によつて押えられているためグローブボツ
クス内の負圧で内部に引込まれることはない。こ
のような状態で搬入すべき物品１５をバツグ４内
に入れる。物品１５の積込みが完了したならば
徐々に昇降装置６で載置台５を下し、同図Ｂの状
態とする。これからバツグ４を交換する。

まず、締付けバンド９を外し、下側のＯリング
７ｂを外す。その後、バツグ４の末端部を折り返
し、新しいバツグ１４を取付け、２本のＯリング
を嵌め込む（同図Ｃ参照）。次に旧バツグ４を取
外し、同図Ｄに示すように、新バツグ１４をパツ
キン８と締付けバンド９で締付ける。搬入した物
品等は、台車を兼ねる載置台５で他の場所へ移動
して降ろす。その後は、載置台５を昇降装置６の
位置まで戻し、同図Ａの状態となり、物品搬入作
業を繰返し行なうことが可能となる。

第２図Ｃに示す新・旧バツグの交換時におい
て、グローブボツクス内の負圧のため、万一にも
バツグが引き込まれるといつた事故が生じるのを
防ぐには、中空バツグ１３を利用して新・旧バツ
グをバツグポートの内壁面に押付け板止めすると
よい。中空バツグとしては、ゴムチユーブ状のも
のを新・旧バツグの上からバツグポート内壁面に
設置しエアを供給して新・旧バツグを該バツグポ
ートに圧着させるような構成でもよいし、締付け
金具方式のものによつてリング状の金具を拡開し
ていつて新・旧バツグをバツグポートに押し付け
固定するようにしてもよい。

本考案の装置は、グローブボツクス内への物品
の搬入のみならず、グローブボツクスからの物品
の搬出にも利用できる。それには第３図のように
すればよい。まず、同図Ａに示すように載置台５
に搬出すべき物品２０を載せる。次いで、同図Ｂ
のように昇降装置６によつて載置台５を上昇させ
てバツグ４で物品２０の上面を包み込む。そし
て、同図Ｃに示すように物品２０、をバツグ４に
包み込んだ状態でグローブボツクス外に取出し、
ａ部を溶着後、切断する。しかし、この図面に示
された装置は、主としてグローブボツクス内への
物品搬入に適したように設計されている。

なお、物品搬入搬出用のバツグポートをグロー
ブボツクス本体の天井面にではなく側面に設ける
構成も考えられるが、そのような構成とすると、
グローブボツクス内の物品搬入搬出のための装置
に必要なスペースが増大すること、一度に搬入可
能な物品量が少なく搬入物品の安定性が悪くなる
こと、バツグとバツグの支持部材との接触面が多
くなり、バツグ損傷の可能性が大きくなること、
搬入物の入つたバツグを移動するにのコンベア等
が必要となるなど装置が大型化する等、種々の問
題があり、本考案のように上からの搬入のように
は簡単にできず、一層の工夫が必要で好ましくな
い。

本考案は前記のように構成されたグローブボツ
クスであるから、大型物品や多量の物品、あるい
は重量のある物品でも迅速かつ容易に搬入でき、
グローブボツクス内の負圧による大型バツグの引
込みを防止でき、作業性がよく安全性も極めて良
好であるなどすぐれた実用的効果を有するもので
ある。

また、載置台を台車兼用とし、これをグローブ
ボツクス内床面に敷設したレール上を移動できる
ようにしたので、大型物品や大量の物品、重量の
ある物品をグローブボツクス内に搬入した後、そ
れらの物品を直ちにグローブボツクス内の所望ス
テーシヨンへ搬送できて便利である。さらに、台
車と載置台とが一体であるので、構成が極めて簡
素化される利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るグローブボツクスの一実
施例を示す説明図、第２図は物品搬入手順を示す
説明図、第３図は物品搬出手順を示す説明図であ
る。 １……グローブボツクス本体、２……グローブ
ポート、３……バツグポート、４……バツグ、５
……載置台、６……昇降装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. グローブボツクス本体の側面に形成されている
   多数個のグローブポートと、前記グローブボツク
   ス本体の天井面に形成されている大口径のバツク
   ポートと、該バツクポートの直下位置付近に据え
   付けられた昇降装置と、前記グローブボツクス本
   体の床面に敷設されたレール上を移動可能としか
   つ前記バツクポートの直下位置において前記昇降
   装置により昇降可能とした台車兼用載置台とを備
   えた大型物品を搬入可能なグローブボツクス。