JPS608500B2 - 複合型電子写真板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は複合型電子写真板に関し、特に、有効な電荷搬
送物質を用い優れた耐久性及び繰り返し特性を有する複
合型電子写真板に関する。

従来、複合型電子写真板は、導電性支持体上に電荷発生
物質及び電荷搬送物質よりなる層が設けられ、この層は
上記両物質を含む均質な単一層又は電荷発生層及び電荷
搬送物質層からなる多層構造をなす。

電荷発送物質は、電子写真に用いられる特殊波長範囲の
光に対して透明かつ非吸収性であり、電荷発生物質から
注入された電子を受入れて搬送する機能を有することが
要件となり、このような電荷搬送物質を使用することに
より、電荷発生物質の光導電特性を向上させ、かつ電荷
発生物質を物理的に保護し強固な感光板を形成すること
ができる。このような作用を有する電荷搬送物質につい
ては、特に多層構造の複合型電子写真板において多くの
化合物の使用が提案されている。

すなわち、特開昭５２−７５３２８号公報、特開昭５２
一７５３２ｙ号公報及び特関昭５２−７５３３ぴ号公報
には、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体を主な成
分とする被覆層を設けることが開示されており、このよ
うなカルバゾール系ビニル重合体を含む有機光導電性絶
縁体を電荷搬送物質として使用することは、特公昭５３
−７８１１号公報にも示されている。又、特関昭４９一
１０５５３７号公報及び特関昭５２−７２２３１号公報
には、トリァリールピラゾリン化合物及びそれに結合剤
を加えた電荷搬送物質の使用が開示され、特開昭４６−
４４８４号公報には、２，４，７ートリニトロフルオレ
ノンを含む有機電荷搬送物質が効果を有することが示さ
れている。更に、特公昭５３一８２２１号公報及び特公
昭５３一３０１号公報には、上記２，４，７−トリニト
ロフルオレノンの他に多数の化合物が電荷搬送物質とし
て有効であり、これらの化合物を含む結合剤中に電荷発
生物質を分散させた単一層型及び両者を別個として設け
た多数型電子写真板の構成及び作用効果が詳細に開示さ
れている。上記の各種化合物は、いずれも良好な電荷搬
送特性を有しているが、電子写真方法を複写装置等に実
用化するのに不可決な要件である耐久性、繰り返し特性
に劣り、これが製品化の妨げとなっていた。

本発明の目的は、上記従来物質を含有する電子写真板の
欠点を解消し、耐久性及び繰り返し特性に優れ、かつ従
釆物質と同等以上の良好な電荷搬送特性を有する電荷搬
送物質を用いた複合型電子写真板を提供することである
。

本発明につき概説すれば、本発明の複合型電子写真板は
、導電性支持体上に電荷発生物質及び電荷搬送物質より
なる層を設けた複合型電子写真板において、電荷搬送物
質が一般式×−（ＣＨ＝ＣＨ）ｎ−Ａｒ 〔式中、×は基 及び からなる群から選ばれた一種のへテロ環基（但夕し、Ｙ
は○，Ｓ又はＳｅを示し、ヘテロ環は置換されていても
よい）、ｎは０，１又は２、Ａｒはアリール（ａｒｙｌ
）基又は置換アリール（ａひ１）基を示す〕で表わされ
る化合物の少なくとも１種を含むことを特徴とするもの
である。

前記したように、電荷搬送物質としては、光照射により
電荷搬送物質中に生ずる光キャリャ（荷電体）の有効な
注入が可能なこと、電荷発生物質が吸収する特殊波長（
４２００〜８０００Ａ）を妨害しない適当な吸収城を有
すること、電荷搬送特性に優れていること等の諸要件が
必要であり、これらの要件を兼ね備えた材料をつくるの
は極めて難しい。

よく知られているように、電荷発生物質は光照射により
電子及び正孔のベアを光生成し、これらは光キャリャと
して電荷搬送物質中に注入され搬送されるが、この場合
、光キャリャの有効な注入と電荷搬送物質のイオン化ポ
テンシャルあるいは電子親和力との間には明確な相関性
があり、光キャリャとして電子を用いる場合には、電子
親和力が高く、光キャリャとして正孔を用いる場合には
、該イオン化ポテンシャルが低いこと等の研究発表がな
されている。しかしながら、これらに関連して、電子写
真板として重要な耐久性及び繰り返し特性の向上に対し
ては未だ明確な指針は得られていない。本発明者等は、
上記の既知知見に基づき種々検討を行なった結果、前記
一般式で表わされる化合物（以下本発明の化合物という
）が電荷搬送物質として優れた特性を示すことを見出し
て本発明に到達したものである。

本発明の化合物において、式中のアリール基としては、
フェニル基、ナフチル基、アンスラニル基等多数のもの
が用いられ、又、これらアリール基及び式中のへテロ環
基は更に種々の置換基にり置換されたものであってもよ
い。

このような置換基としては、例えば、一Ｃ舷、一Ｃ２日
５、一Ｃ３Ｈ？等の低級アルキル基、一ＣＩ、一Ｂｒ等
のハロゲン原子、一Ｎ（Ｃ比）２、一Ｎ（Ｃ２日５）２
、一Ｎ（Ｃ３日７）２等の低級ジアルキルアミノ基、一
ＯＣＨ３、一ＯＣ２日５等の低級ァルコキシ基、一Ｃ６
日５等のアリール基、ニトロ基等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。このような化合
物を構造式により下記に列挙する。なお、上記化合物の
一般的な合成法は特公昭３５一１１２１計号公報に詳記
されており、又、その一部は日本感光色素研究所からＮ
Ｋ一色素として市販されている。なお、上記化合物の一
般的な合成法は椿公昭３５一１１２１８号公報に詳記さ
れており、又、その一部は東京化成工業社より有機試薬
として市販されている。

このような本発明の化合物が電荷搬送物質として優れて
いることの理由は明確ではないが、それは、これらの物
質が比較的結晶化し難いこと、他の高分子化合物との配
合が容易で強固かつ均質な塗膜が得易いこと、又、この
物質が比較的低いイオン化ポテンシャル値を有し、特に
正孔を光キャリャとした場合において電荷発生物質から
光キヤリャ注入が容易であること等の相剰的効果による
ものと考えられる。

本発明の化合物は、電荷発生物質と混合された単一層と
して、又、それぞれを別層とした多層形態として使用す
ることができる。

又、本発明の化合物はそれ自体単独で電荷搬送層を形成
して効果を発揮することができるが、塗膜の強度、柔軟
性及び接着性等を向上させるため、他の高分子化合物と
混合した系を用いて効果を増大させることができる。こ
のような高分子化合物の種類は特に限定されず、既知の
電子写真板用結合剤材料、例えばアクリル樹脂、ブチラ
ール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ポリビニルカルバゾール又はポリビニルフェニルアント
ラセン等を適宜使用することができる。

又、これら高分子化合物の配合量は、本発明の化合物１
重量部に対し０．５〜１０重量部の範囲内とするのが適
当である。本発明における電荷発生物質及び電荷搬送物
質の塗膜の厚さは、電子写真板として必要な帯電特性よ
り決定されるが、１００山肌以下が適当で、これ以上で
は塗膜の可榛性及び光感度が低下することが確認されて
いる。単一層として用いる場合には、通常５〜１００仏
の程度とし、多層として用いる場合には通常電荷発生層
の厚さを０．１〜５山肌前後とし電荷搬送層の厚さを５
〜１００仏の程度とするのが適当である。なお、単一層
とする場合、電荷発生物質は電荷搬送物質に対し１の重
量％程度の量とするのが適当であるが、この配合量は両
物質の種類に応じて適宜選択することができる。本発明
の複合型電子写真板の導電性支持体としては、真ちゆう
、アルミニウム、金、鋼等が用いられ、これらは適当な
厚さ、硬さ又は屈曲性のあるシート、薄板、円筒状であ
ってもよく、プラスチックの薄層で被覆されていてもよ
い。又、これは、金属被覆紙、金属被覆プラスチックシ
ート又は沃化アルミニウム、沃化鋼あるいは酸化クロム
、酸化インジウム又は酸化錫の薄層で被覆されたガラス
であってもよい。通常支持体はそれ自体電導性であるか
又は電導性の表面をもち、取扱うのに十分な強度のある
ことが望ましい。又、本発明における電荷発生物質とい
ま、既知の有機顔料、染料、電荷移動錯体、セレン及び
これを含む合金、硫化カドミウム、セレン化カドミウム
、スルホセレン化カドミウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛及び
それらの混合物等を適宜選択して使用することができる
。

次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本
発明はこれらによりなんら限定されるものではない。

実施例 １ アルミニウムを被覆したポリエステルフィルム＊（東レ
社製、メタルミー、膜厚５０仏）を支持体とし、その上
に、構造式で示されるクロル化ダイアンブルーをエチレ
ンジアミソに１重量％の濃度になるように溶解した溶液
を塗布し乾燥して、厚さ約ｌＡｍの電荷発生物質の被膜
を形成した。

次に、構造式 で示される２一（ｐ−ジエチルアミノスチリル）ペンゾ
オキサゾール（日本感光色素研究所製、ＮＫ１３４７）
とポリカーボネート樹脂（三菱瓦斯化学社製、ューピロ
ンＳ２０００）を１：２の重量比で配合し、ジクロロェ
タンを溶剤として１母重量％の溶液をつくり、上記電荷
発生物質の被膜上にこの溶液をアプリケ‐外こより塗布
し乾燥して、厚さ約３０仏肌の電荷搬送層を形成した。

このようにして作成した複合型電子写真板につき、静電
記録紙試験装置（ＪＩＩ口電機社製ＳＰ−４２８）によ
る電子写真特性評価を行なった結果、帯電時の白色光に
対する半減露光量感度は、１０ルクス・秒以下と実用上
問題のない値を示した。更に、同装置を用いた繰り返し
特性評価を行なったところ、１ぴ回以上繰り返した後に
おいても、半減露光量感度を含めた電子写真諸特性に低
下の傾向はみられなかった。実施例 ２ 構造式 で示される化合物（日本感光色素研究所製、ＮＫ−１３
４３）を電荷搬送物質として用いた以外は、実施例１と
同様にして複合型電子写真板を作成した。

実施例１と同様の試験を行なった結果、１０ルクス・秒
以下の半減露光量感度及び１ぴ回以上の繰り返し可能の
特性が示された。実施例 ３ アルミニウム板を支持体とし、その上に、構造式で示さ
れるスクアリック酸メチン染料をｎーブチルアミンに１
重量％の濃度になるように溶解した溶液を塗布し乾燥し
て、厚さ約０．５仏のの電荷発生物質の被膜を形成した
。

次に、電荷搬送物質として下記第１表に示す８種類〔【
３｝〜■〕の化合物とアクリル樹脂（デュポン社製、ェ
ルバサイト２０４５）をそれぞれ１：１の重量比で配合
し、ジクロルメタンとベンゼンの１：１等容量の混合物
を溶剤として８〜１の重量％の溶液をつくり、上記電荷
発生物部質の被膜上に塗布し乾燥して、厚さ約３０仏の
の電荷搬送物質の被膜を形成した。

このようにして作成した複合型電子写真板につき、実施
例１と同様の試験を行ない、半減露光量感度及び繰り返
し特性を調べた。

得られた結果を下記第１表に示す。第 １ 表 第１表から明らかなように、いずれも５０ルクス・秒以
下の半減露光量感度及び１ぴ回以上の繰り返し可能の特
性を示した。

＊＊実施例 ４アルミニウム板を支持
体として、電荷発生物質としては、構造式で示されるシ
ムラーフアストブル‐４１３５（大日本インキ社製）を
使用した。

又、電荷搬送物質としては、下記第２表に示す９種類〔
■〜Ｑ■〕の化合物を使用し、これらの電荷発生物質と
アクリル樹脂（デュポン社製、ヱルバサイト２０４５）
をそれぞれ１：１の重量比で混合し、これをキシレンに
溶解して１の重量％の濃度のキシレン溶液をつくった。
この溶液に、上記電荷発生物質を、上記電荷搬送物質に
対して１の重量％となるように添加し、電荷発生物質と
電荷搬送物質の混合物からなる９種類の混合溶液を調製
し、これらをアプリケータで支持体上に塗布、乾燥して
９種類の複合型電子写真板を作成した。このようにして
作成した複合型電子写真板につき、実施例１と同様の試
験を行ない、半減露光量感度及び繰り返し特性を調べた
。

それらの結果を下記第２表に示す。第 ２ 表 第２表から明らかなように、いずれも４０ルクス・秒以
下の半減露光量感度及び１ぴ回以上の繰り返し可能の特
性を示した。

実施例 ５ 陽極酸化アルミニウム板を支持体として、その上に、Ａ
ｓ２Ｓｅ３に対して１０重量％のＴｅを含むＳｅ、Ｔｅ
、Ａｓ混合系合金を蒸着して、厚さ０．５仏のの電荷発
生物質の被膜を形成した。

次に、電荷搬送物質として下記第３表に示す６種類〔■
〜脇）の化合物を使用し、実施例３と同様の方法により
、上記電荷発生物質の被膜上に厚さ約２０山肌の電荷搬
送物質の被膜を形成した。

このようにして作成した複合型電子写真板につき、実施
例１と同様の試験を行ない、半減露光量感度及び繰り返
し特性を調べた。得られた結果を下記第３表に示す。第
３ 表 第３表から明らかなように、いずれも２０ルクス・秒以
下の半減露光量感度及び１ぴ回以上の繰り返し‘こより
電子写真特性が低下しないという極めて優れた特性を示
した。

以上述べたように、本発明に示した化合物を亀荷搬送物
質として用いて作成した複合型電子写真板は、半減露光
量感度及び繰り返し特性に顕著な改良がみられ、既知の
多くの装置例えば複写装置、プリンタ、表示素子、印刷
原板等に有効に適用することができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 導電性支持体上に電荷発生物質及び電荷搬送物質よ
   りなる層を設けた複合型電子写真板において、電荷搬送
   物質が一般式Ｘ−（ＣＨ＝ＣＨ）＿ｎ−Ａｒ 〔式中、Ｘは基 ▲数式、化学式、表等があります▼ 及び ▲数式、化学式、表等があります▼ からなる群から選ばれた１ 種のヘテロ環基（但し、ＹはＯ、Ｓ又はＳｅを示し、ヘ
   テロ環は置換されていてもよい）、ｎは０、１又は２、
   Ａｒはアリール基又は置換アリール基を示す〕で表わさ
   れる化合物の少なくとも１種を含むことを特徴とする複
   合型電子写真板。 ２ 電荷発生物質及び電荷搬送物質がそれぞれ別個の層
   を形成する特許請求の範囲第１項記載の複合型電子写真
   板。 ３ 電荷発生物質及び電荷搬送物質が単一層を形成する
   特許請求の範囲第１項記載の複合型電子写真板。