JPS608104Y2 - エンジンの潤滑油漏れ防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの潤滑油がシリンダブロックと合板の
合せ面から外部に漏れることを防止するための装置に関
する。

従来のエンジンの一例を垂直横断面略図である第１図に
より説明すると、図示されていない基礎上に固定された
台板１の開口上端２にシリンダブロック３の下端４が多
数のボルト５により締着してあり、台板１の下部には潤
滑油６が溜めである。

７はクランク軸である。ところが図示のエンジンにおい
ては、燃焼室内での爆発やピストンの往復動等による振
動をシリンダブロック３が受けると、シリンダブロック
３が台板１に対して暖間的に浮き上って台板１とシリン
ダブロック３の合せ面８に隙間が生じ、その隙間からク
ランク室９内のオイルミストが外部へ漏出し、そのため
にエンジンの外面が汚れるという不具合や、潤滑油６の
消費量が増すという不具合があり、しかも漏出した潤滑
油が引火する恐れもあった。

本考案は上記従来の不具合を解決するために、合せ面上
に潤滑油回収用の油溝を設けると共に、油溝と合板の内
部とをつなぐ排出油路を設けたもので、図面により説明
すると次の通りである。

合板の平面部分略図である第２図において、１０はクラ
ンク軸中心線Ｏ−０と平行な側壁、１２は端壁、１３は
隣接するクランク室９，９間の隔壁であり、側壁１０の
上面１５全体、ならびに端壁１２及び隔壁１３の側壁１
０近傍の部分の上面１６．１７が合せ面１８を構成して
いる。

側壁１０の上面１５には両端２０が閉じた油溝２１が上
面１５の全長にわたって設けてあり、油溝２１底壁の両
端２０近傍の部分には垂直な排出穴２２が設けである。

２５．２６はシリンダブロック締付ボルト用のねじ穴、
２７は基礎ボルト挿通孔、２８はメタルキャップボルト
用のねじ穴である。

第２図の■−■矢視部分図である第３図において、台板
角部３０ａの上端には端壁１２の外面側（図の紙面に対
して手前側）からエルボ管継手３１ （ユニオン継手、
ボール継手等）が固定されている。

管継手３１の一端は排出穴２２の底部に排出穴２２と直
角に連通腰他端は上下に延びる排油パイプ３２の上端に
接続している。

排油パイプ３２の下端は端壁１２に固定されたエルボ管
継手３３（ユニオン継手、ボール継手等）の上端に接続
し、管継手３３の他端は端壁１２を貫通して台板３０の
内部に連通している。

管継手３３は台板３０内の潤滑油３５の液面３６よりも
低い位置にあり、管継手３３の台板内部側の開口は潤滑
油３５に浸かっている。

３６は台板３０内掃除用の孔、３７は台板３０に鋳込ま
れた潤滑油主管、３８はクランク軸７用の軸受面４０と
主管３７とをつなぐ潤滑油流通孔、４１は孔３８の途中
に接続する潤滑油管用のねじ孔である。

第２図のＩＶ−ＩＶ断面の一部を示す第４図の如く、締
付ボルト用のねじ穴２５は油溝２１の幅方向（第４図の
左右方向）の中央に設けてあり、穴２５の両側に隣接す
る上面部分１５ａ、１５ａ’ （合せ面部分）と穴２５
の内面との間には略等しい距離１，１′が隔てられてい
る。

上述の構造によると合せ面１８の内、第２図の側壁上面
１５に達した潤滑油（オイルミストの凝縮したもの）は
油溝２１に流入し、油溝２１から第３図の排出穴２２、
管継手３１、パイプ３２、管継手３３を通って台板３０
の内部へ戻る。

従って側壁上面１５から外部へ潤滑油が漏出することは
ない。

台板３０内の雰囲気にはピストンの往復動等による脈動
圧が発生するが、管継手３３は潤滑油３５中に開口して
いるので、脈動圧は潤滑油（一種の隔壁）を介してパイ
プ３２の内部に伝わることになり、脈動圧によるパイプ
３２内の圧力変動は実際上無視できる程度に小さい。

従ってパイプ３２内から油溝２１へ潤滑油が逆流するこ
とはない。

第２図において締付ボルト用ねじ穴２５，２６は台板３
０の角部３０ａ以外の部分だけに設けられており、合板
角部３Ｄａには締付ボルトが配置されないので、シリン
ダブロックは角部３０ａに対応する部分が最も大きく振
動し、そのために角部３０ａの合せ面部分１８ａに比較
的大きな隙間ができる。

又シリンダブロックは合せ面部分１８ａに最も激しく衝
突するので、使用を継続するにつれて合せ面部分１８ａ
に摩耗による隙間が発生する。

このように部分１８ａの隙間が最も大きく、従って油溝
両端２０に最も多くの潤滑油が流入するが、両端２０に
は排出穴２２が設けであるので、両端２０に流入した多
量の潤滑油は排出穴２２へ速やかに排出され、角部の外
面へ漏出することはない。

なお角部３０ａに締着ボルトを設ければ上述の合せ面部
分１８ａの隙間を小さくできるが、その場合には締付ボ
ルト用ねじ穴の周壁が端壁１２の外側へ出っ張り、エン
ジンの嵩が高くなると共に、端壁１２にミッションケー
ス（図示せず）を固定する際の障害となる。

従って角部３０ａに締着ボルトを設けることは実際上極
めて困難である。

図示の端壁上面１６には油溝が設けられていないので、
上面１６を伝わって潤滑油は端壁１２外へ漏出するが、
両端壁１２には外側からミッションケース等が固定され
るので、上面１６を通過した潤滑油はミッションケース
内に回収され、台板３０の外部に露出した表面へ潤滑油
が漏出することはない。

以上説明したように本考案によると、合せ面１８に潤滑
油を回収する油溝２１を設け、第３図の如く油溝２１と
合板の内部をつなぐ排油通路（穴２２、管継手３１．パ
イプ３２、管継手３３）を設けたので、合せ面１８に達
した潤滑油が合板側壁１０の外面へ漏出することを防止
できる。

排出油路下端（管継手３３）は潤滑油３５中に開口して
いるので、台板３０内の脈動圧により通路中を潤滑油が
逆流することを防止できる。

図示の実施例においては、排油通路を穴２２、パイプ３
２、管継手３１．３３で構成したので台板３０の加工が
簡単になり、製造コストを低くすることができる。

パイプ３２が台板３０外を通っているので、組立も簡単
である。

第２図の如く油溝２１の両端２０に排出穴２２を設けた
ので、締付ボルトが配置されない合板角部３０ａの潤滑
油漏出を確実に防止できると共に、一方の端壁１２が他
方の端壁１２よりも上方に位置するように台板３０が傾
斜した姿勢で設置された場合でも、油溝２１内の潤滑油
をいずれか一方の排出穴２２から確実に排出することが
できる。

第４図の如く油溝２１の略中夫に締付ボルト用ねじ穴２
５を設けると、締付ボルトの締付力をねじ穴２５両側の
上面部分１５ａ、１５ａ’に略均等に及ぼすことができ
、シリンダブロックの浮上りを可及的に防止することが
できる。

又上面１５ａ又は１５ａ′と油溝２１底面との間の段部
にねじ穴２５がかかるようにすると、ドリルが段部に案
内されてねじ穴２５の位置がずれる恐れがあるが、図示
の実施例では油溝２１の底面内だけにねじ穴２５が設け
であるので、ねじ穴２５の位置がずれる恐れはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエンジンの垂直横断面略図、第２図は本
考案を採用した合板の平面部分図、第３図は第２図の■
−■矢視部分図、第４図は第２図のＩＶ−ＩＶ断面部分
図である。 １８・・・・・・合せ面、２１・・・・・・油溝、３２
・・・・・・排油パイプ（排出油路の一部）、３５・・
・・・・潤滑油、３６・・・・・・液面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合板の開口上端にシリンダブロックの開口下端を固定し
   、合板内に潤滑油を溜めたエンジンにおいて、シリンダ
   ブロックに対する台板の合せ面内に合板の外周に沿う油
   溝を設け、油溝に排油通路の上端を接続し、排油通路の
   下端を潤滑油の液面よりも下方の位置において台板の内
   部に接続したことを特徴とするエンジンの潤滑油漏れ防
   止装置。