JPS606574Y2 - 横型エンジンにおける潤滑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、横型エンジンにおける潤滑装置のうち、送
油ポンプをギヤケースに装着したものに関する。

この種のポンプ配置をしたものでは、送油ポンプの出口
のクランクケース側の油路とを連通ずるための油路を、
ギヤケースの周壁に沿って迂回状に設けねばならず、油
路長が長くなる。

又、このような油路構造では、加圧油がギヤケースとク
ランクケースとの接合面を通過するので、油洩れを生じ
やすい欠点があった。

そこで、本考案者は先に、ギヤケースの肉壁内とクラン
クケース肉壁内とに油路を形威し、両油路をギヤ軸に設
けた油路で連通させるために、ギヤケースにボスを突設
し、このボスをギヤ軸の軸端に外嵌させるようにしたも
の（実願昭５３−３８２７３）を提案した。

ところがこの場合、ギヤケースをギヤ軸方向から真っ直
ぐ組付けなければならないことから、ギヤケースをクラ
ンクケースに組付けるときに、ギヤケースの周壁に固定
する燃料噴射ポンプのタペットが噴射カムの端面に突当
るのでギヤケースをクランクケースに一旦組付けた後で
なければ燃料噴射ポンプをギヤケースに組付けられない
。

また、燃料噴射ポンプを組付けた後に、そのタペットが
正しい位置にあるかどうかを見ることができず、タペッ
トの位置が狂っていてもわからず、燃料噴射不良を起こ
し、エンジンの燃焼不良、出力不足を引き起こす。

しかも、ギヤケースをクランクケースに組付けた後に燃
料噴射ポンプを取付けるので取付場所の周囲空間が狭く
、クランクケースに邪魔されて、その取付けに手間がか
かり、作業能率が悪かった。

この考案は、上記欠点を解消するために、燃料噴射ポン
プをギヤケースに組付けておいてからでも、ギヤケース
をクランクケースに簡単に組付けられるようにするもの
であり、ギヤケースをクランクケースに対して、少し横
にずらして当て付けることにより、燃料噴射ポンプのタ
ペットがカムの端面からずれて当らないようにし、ギヤ
ケースをクランクケース上ですべらせて正規の位置に戻
すことにより、タペットがカムに正しく接当するととも
に、ギヤケースの油路先端がクランクケースのギヤ支持
軸内の油路に油密状に正しく接続するようにするもので
ある。

以下この考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は横型ディーゼルエンジンにおいて、特に潤滑油
路構造を表わした要部断面図、第２図は第１図■−■線
断面図である。

図においてエンジンは、クランクケース１、ヘッドブロ
ック２、ギヤケース３などの外殻構造体と、これらの内
部に収容される、クランク軸４、カム軸５、動弁装置６
、調時ギヤ群７、及び図外のピストンなどの運動部材と
て構成されている。

上記の運動部材の潤滑を行うために、強制潤滑装置Ｒが
設けられている。

この装置Ｒは、ギヤケース３の前壁３ａに装着され、カ
ム軸５て駆動されるトロコイド型の送油ポンプ８と、同
前壁３ａの底部に固定されたクランクケース１の底部に
臨むストレーナ９と、圧力調整弁１０と、潤滑油圧を監
視するインジケータ１１とこれらの各部材同士及びこれ
らとエンジンの各潤滑個所を連通ずる油路とで構成され
ている。

この油路は、第１油路Ｐ１〜第７油路Ｐ７に大別される
、ストレーナ９と送油ポンプ８とを連通ずる第１の油路
Ｐ１と送油ポンプ８と、圧力調整弁１０と、インジケー
タ１１とを連通ずる第２の油路Ｐ２とは、ギヤケース３
の前壁３ａに形成されている。

符号１２はアイドルギヤ７ａを支持する固定軸で、この
内部を軸心方向に貫通して第３の油路Ｐ３が形成されて
いる。

この固定軸１２は基端がクランクケース１に固定されて
おり、その突端が第３の油路Ｐ３と第２の油路Ｐ２との
継手部１３になっている。

即ち、固定軸１２の先端部分１２ａの油路部分を大径に
して継手案内穴１４を形成し、この継手案内穴１４を油
密状に摺動する円筒形の継手筒１５が挿入しである。

この継手筒１５の潤滑油人口孔１６を有する底部１５ａ
と継手案内穴１４との間にコイル状のバネ１７が設けて
なり、このバネ１７で継手筒１５の先端面１５ｂがギヤ
支持軸１２の先端面１２ｂよりも突出しギヤケース１に
ボス状に形成した継手筒接当面３ｃに押圧するようにな
っている。

この継手部１３を有する第３の油路Ｐ３によって、第２
の油路Ｐ２と、クランクケース１の前壁を縦通して形成
される第４の油路Ｐ４とが連通されている。

第４の油路Ｐ４の終端は、動弁装置６の油路と連通され
ている。

第５の油路Ｐ５は、クランクケース１の前後両壁間に軸
架されるカム軸５の内部に形成される。

この油路Ｐ５は、カム軸５の前部ジャーナル周面に形成
した溝１８を介して、第４の油路Ｐ４と連通されており
、又これに連続する第６の油路Ｐ６とは、カム軸５の後
部ジャーナル端に臨む油室１９を介して連通されている
。

油室１９はカム軸５の中心からクランク軸４寄りに偏寄
して形成されている。

第６の油路Ｐ６は、油室１９の開口面を被蓋するベアリ
ングケース２０と、このケース２０の外面に固定される
オイルシールケース２１と、このケース２１に内嵌され
、クランク軸４に外嵌する継手ブロック２２との、各部
材の内部に形成された油路同士を連通して構成されてい
る。

クランク軸４の内部に形成される第７の油路Ｐ７は、上
記の継手ブロック２２に達した潤滑油をクランクピン部
４ａに導く。

図中符号２３は燃料噴射ポンプ、２４は始動軸、２５は
パラサン軸、２６はフライホイル、２７は図外の冷却フ
ァンブーりに動力を伝達する駆動プーリ、２８は前後一
対のころがり軸受で構成したメインベアリングである。

尚、上記の実施例においては、ギヤ軸１２の第３の油路
Ｐ３の先端部１２ａに継手部１３を設けたがギヤケース
３側に継手部１３を設けるようにしてもよい。

次に、燃料噴射ポンプ２３及びギヤケース３の組付手順
を述べる。

先ず燃料噴射ポンプ２３をギヤケース３に確りと取付け
た後、燃料噴射ポンプ２３のタペット２９がカム３０に
当らないように横にずれた位置でギヤケース３をクラン
クケース１へ接当させる。

そしてクランクケース１に沿ってギヤケース３をすべら
せて取付けの位置合せをしてからボルトで固定して燃料
噴射ポンプ２３とギヤケース３のエンジンへの取付けを
終る。

以上説明したようにこの考案は、送油ポンプをギヤケー
スに装着し、ギヤケースとクランクケースとに油路を設
け、ギヤ軸に設けた油路及び継手部を介して前記両油路
の連通を行うようにしであるので、その油路をギヤケー
スの周壁に沿って迂回状に形成していた従来のものに比
べ、油路長を短くする事ができる。

又上記の各油路同士をギヤケース内のギヤ室で連通させ
るので、その継手部に油洩れが生じても、洩れた油はギ
ヤ室に回収され、ギヤケース外に洩れ出さない。

これによりギヤケースとクランクケースの接合面のシー
ル構造を簡単なものにする事ができる。

また、燃料噴射ポンプをギヤケースに組付けておいてか
らでも、ギヤケースをクランクケースに簡単に組付けら
れる。

即ち、ギヤケースをクランクケースに対して、燃料噴射
ポンプ側に少しすらして当て付けると、ギヤケースの油
路先端の周壁端面が継手筒の先端面の一部に当り、バネ
に抗して継手筒を押付けていき、これと同時に燃料噴射
ポンプのタペットがカムの端面の外を通って周面に対向
する。

そしてギヤケースをクランクケースに当て付けたまま、
ポンプとは反対の側にずらして、正規の位置に戻し、ボ
ルトで固定する。

これにより、タペットがカムに接当するとともに、ギヤ
ケースの油路先端の周壁端面が継手筒の先端面上をすべ
って、軸心が合った所で止まり、バネの力で油密接触し
、正しく組付けられた状態になる。

このように、燃料噴射ポンプは、大きく重いクランクケ
ースを取扱ったりこれに邪魔されたりすることなく、小
さなギヤケースに広い所で簡単に正確に組付けることが
でき、その作業能率がよく、組付は精度が高い、しかも
、燃料噴射ポンプはギヤケースの背面の開放した口から
見る事ができ、見ながら組付けられるので、組付は精度
を一層高められるうえ、正しい位置に組付けられたかど
うかを一目で確認でき、位置ずれによる燃料噴射不良で
エンジンが不完全燃焼・出力低下が生ずる事を確実に無
くせる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示腰第１図はエンジンの横断面
図、第２図は第１図■−■線断面図、第３図は第１図■
部拡犬図である。 １・・・・・・クランクケース、３・・・・・・ギヤケ
ース、８・・・・・・潤滑油送油ポンプ、１２・・・・
・・ギヤ支持軸、１２ａ・・・・・・１２の先端部、１
２ｂ・・・・・・１２の油密接当面（先端面）、１５・
・・・・・継手筒、１５ａ・・・・・・１５の底部、１
５ｂ・・・・・・１５の油密接当面（先端部）、１７・
・・・・・バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクケース１の一側にギヤケース３を装着し、この
   ギヤケース３の内部に調時ギヤ群７を収容し、ギヤケー
   ス３にエンジン動力で駆動される潤滑油送油ポンプ８を
   装着し、このポンプ８の出口に連通してギヤケース３に
   形威される油路Ｐ２とクランクケース１に形威される油
   路Ｐ４とを、ギヤ支持用の軸１２内に形威した油路Ｐ３
   を介して連通させ、ギヤ支持軸１２の基端部をクランク
   ケース１に支持させ、その先端部１２ａに継手筒１５を
   油密摺動自在に嵌合し、継手筒１５をバネ１７でギヤ支
   持軸１２の先端面１２ｂより外側に突出するように弾圧
   し、継手筒１５の先端面１５ｂとギヤケース３の油路Ｐ
   ２の先端の周壁の端面とにそれぞれ油密接当面１２ｂ・
   １５ｂを形威し、両油密接当面１２ｂ・１５ｂを互いに
   油密状に接当させた事を特徴とする、横型エンジンにお
   ける潤滑装置。