JPS606561Y2 - 車両用組立カムシャフト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車輛用、とくに自動車用の、内燃機関部カム
の構造に関するもので、燃費対策などから各部の軽量化
が模索される中で軽量化を図った溶接組立型の中空カム
、カムシャフトの構造に関するものである。

車輌部品の軽量化指向の中で、内燃機関カム部は、必要
なトルク、剛性、強度に比して使用構成材料の重量が比
較的大で軽量化が見込まれる部位である。

従来法による鋳物の一体構造に対し種々の軽量化の工夫
が試みられているにも拘らず、該部に要求される、（イ
）高精度一体加工ができること、（ロ）あと歪が少なく
寸法安定性のよいこと、（ハ）耐摩耗性がよいこと、に
）熱処理が容易で量産性に優れていること、（ホ）安価
であること、などの条件の全てを満たすことができず。

改良案が立ち消えしているのが実態である。

本考案は、このような要求事項を満足すると共に大巾に
軽量化され、かつ軽量化されたにも拘らず剛性、強度を
維持することのできる車両用組立カムシャフトを提供す
るにある。

この目的を遠戚するために、本考案のカムシャフトは、
中空シャフトからなるカムシャフト部に別体のカム部を
固設してなる車両用組立カムシャフトにおいて、前記カ
ム部は前記カム軸方向に対し直交する側壁と該壁の周縁
から延出するカム軸方向に対し平行なカム壁とからなる
一対の断面コ字状のカム半割体を、互いにその側方にお
いて突合せてなり、しかも前記カム壁の外周に環状帯材
を嵌着して構成したものである。

本考案は上記構成からなるものであるから、カムシャフ
ト部は中空であり、またこれに固定するカム部は中空ま
たは側方が開放した略中空となるので軽量となるが、カ
ムシャフトは筒体であり、カム部は一体の側壁によって
カム壁を支えるものであるので、カムシャフトとしての
剛性、強度を有するものである。

以下に本考案の軽量組立カムシャフトの一実施例を図に
従って説明する。

第１図において１はカムシャフト部、２はカム部であり
、その縦断面構造、横断面構造が第２図、第３図に示さ
れている。

カムシャフト部１は通常の市販品の鋼製パイプか、また
は市販品パイプを底形したものか、板材を管状に曲げて
継目を溶接し必要に応じて焼鈍、機械加工を施したもの
かが用いられる。

これらの何れによる場合も、量産性上問題を生じること
はなく、かつ従来の鍛鋼中実軸に比べてはるかに安価、
軽量である。

また、カム部２を構成するカム半割体３，４は、所定形
状に打抜かれた鋼板を、プレス深絞りまたは冷間加工に
より中空カム形状をカム軸方向中央で二分割した形状に
形成されている。

すなわち、カム半割体３，４は、カム軸方向に対し直交
する側壁ａと、該側壁ａの周縁から延出するカム軸方向
に対し平行なカム壁すとから断面コ字状に形成されてい
る。

このカム半割体３，４は、その一対が第４図に示すよう
に絞り出されたフランジ側の端部を突合せた状態で、そ
の外周に環状帯材５が圧入などにより嵌着され、互に固
定される。

この場合必要であれば中空カムの内面側より点溶接６に
より固定してもよい。

また、第５図に示すように、側壁ａ、 ａ同士を突合
せても良い。

この場合、カムアッセンブリの側方が開放される。

環状帯材５は、所定寸法に高度に切断され、カム外形の
環状に成形されて継ぎ回部をレーザ溶接７または電子ビ
ーム溶接にて接合される。

或いは予じめ形成された環状帯材を高精度下で焼ばめに
て固定してもよい。

環状帯材５とカム半割体３，４は必要に応じて環状帯材
５の端部で点溶接８により固定される。

環状帯材５は、耐摩耗用に嵌着されるもので、耐摩耗性
を有する高級金属材、合金材から通常形成されるが、セ
ラミック材、強化ガラス繊維からなる帯材であってもよ
く、とくに限定されない。

環状帯材部は量が少ないため、高級材を使用してもコス
トアップを招くようなことはない。

また、焼入れができないのではないかという心配もレー
ザ焼入れの方法が開けている。

カムアッセンブリの歪取り焼鈍、機械加工は要求される
精度に応じて適宜採用されてよいが、本来冷間成形、圧
入、点溶接は本質的に大きな歪を生じさせるものではな
く、通常は焼鈍、機械加工は不要である。

カムアッセンブリはカムシャフト部１に嵌着され、点溶
接９により固定される。

なおりム半割体３．４の内周端を折り曲げて軸と平行方
向に延びるボス部を設け、嵌着性を向上させてもよく、
またその固定も点溶接に変えて、歪等をほとんど生じさ
せないロー付けを採用してもよい。

なおりム部とシャフト部の固定は、点溶接、ロー付けで
十分な強度が得られ、点溶接は自動化も容易である。

なお、ビームによる点溶接は無歪を約束していること前
記の通りである。

本考案の軽量組立カムシャフトによるときは、次に掲げ
る効果を得る。

まず、カムシャフト部、カム部とも中空または駄肉のと
れた構造となっているので、軽量効果が大である。

また、パイプ材または鋼板材が使用できるので、高強度
、高剛性のカム装置が得られる。

そして、パイプ材、鋼板材などの入手容易な材料を、あ
りふれた加工法によって加工するため、容易に製造ライ
ンにのせることができ、極めて安価に製造することがで
きるし、精度の上の難点は、ビーム溶接の採用で解決で
きる。

また、打抜き、深絞りプレス、圧入、点溶接は何れも量
産に適した加工法であり、従来のように鍛鋼品、ならい
機械加工に比べて製造の容易化、量産化を図ることがで
きる。

また、カム半割体は、断面コ字状であり、その一対をも
ってカム部を形成するものであるので、第４図、第５図
に示すように、一対の側壁をもってカム壁を支持するこ
とになり、軽量化したにも拘らず剛性、強度を保持でき
る。

さらに、半割り体の外周に環状部材を嵌着するようにし
たので、環状部材に耐摩材を用いることにより、大きな
コスト上昇を招くことなく、カムの耐摩耗特性、耐久性
を容易に向上することができ、他の構造のカムにない特
有の効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の軽量組立カムの外観斜視図、第２図は
第１図のカムの縦断面図、第３図は第１図のカムの横断
面図、第４図はカムアッセンブリの一例の断面図、第５
図はカムアッセンブリの他側の断面図、である。 １・・・・・・カムシャフト部、２・・・・・・カム部
、３，４・・・・・・カム半割体、５・・・・・・環状
帯材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空シャフトからなるカムシャフト部に、別体のカム部
   を固設してなる車両用組立カムシャフトにおいて、前記
   カム部は、カム軸方向に対し直交する側壁と、該壁の周
   縁から延出するカム軸方向に対し平行なカム壁とからな
   る一対の断面コ字状のカム半割体を、その側方において
   互いに突合せてなり、しかも前記カム壁の外周に環状帯
   材を嵌着してなることを特徴とする車両用組立カムシャ
   フト。