JPS606194B2 - たばこの香喫味改良法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、たばこの種子から採取したたばこ種子油を、
たばこ製造用原料及び／又はたばこ用材料品に添加する
ことにより、たばこの香喫味を改良する方法に関する。

さらに詳しくは、たばこの種子を圧搾し、又は有機溶媒
による抽出を行なうことにより採取したたばこ種子油を
、葉たばこ、シートたばこ、たばこ代替物、又はたばこ
用フィルター等に添加することにより、製品たばこの刺
戟、辛味、苦味、渋味などの香喫味上の欠点を抑制し、
たばこらしい香味を付与する、たばこの香喫味改良法に
関する。近年たばこに対する消費者の噂好は、低ニコチ
ン、低タールのいわゆる緩和な製品を指向する反面、豊
かな香味をも指向するという煩向になって来ており、こ
のような製品たばこを実現するために、葉たばこに種々
の香料及びエキス類を添加したり、加熱、加湿等の加工
をほどこすほか、さらに加工度を高めてシートたばこに
する等の方法が探られ、又種々の加工又は処理をほどこ
したフィルター又はたばこ代替物が使用されている。

従来このように葉たばこ原料又はたばこ用材料品を加工
又は処理することにより、目的とする香味が付与される
一方、刺戟性が増加したり、別の喫味上の欠点が出現す
る場合がある。特に刺戟性と辛味、苦味、渋味等の欠点
が、緩和な製品では発現しやすく、これらの欠点の改善
には特段の工夫が要請されている。本発明者らは、上記
の要請に応えることを目的として、種々の添加物の使用
、及び加工処理によって、たばこの香喫味を改善する研
究を鋭意実施した結果、たばこ種子油を葉たばこ、シー
トたばこ、たばこ代替物、又はたばこ用フィルター等に
添加することにより、製品たばこの刺戟、辛味、苦味、
渋味などの香喫味上の欠点を抑制し、併せてたばこらし
い香味を付与する効果を有することを見出し、本発明を
完成するに至った。

たばこ種子は油脂成分を多く含有することは知られてい
るが、その成分について研究した例は少なく、その利用
についても、欧州において食用に供されているほかには
、たばこの香喫味改善に箸効を有することについてはこ
れまで全く知られていない。

本発明者らは黄色種たばこ（ニコチアナ・タバ力ム・Ｌ
・ＣＶ・ブライトイエロー）について、開花後結実した
種子中の油脂成分を分析し、種子中に含有される油脂成
分は種子の成熟の進行と共に増加すること、及び成熟し
た種子中に含まれる油脂成分は第１表｛机こ示した組成
であり、それらに含まれる脂肪酸の組成は第１表｛即こ
示したとおりであって、成熟したたばこ種子油の主成分
はリノール酸のトリグリセライドであることを見出した
。第１表 たばこ種子油の製造方法としては、たばこ種子を圧搾に
より搾油する方法、粉砕したたばこ種子を有機溶媒（ク
ロロホルム、ｎーヘキサン、エチルエーテル、ジクロロ
メタン、メタノール等又はそれらの混合物）と混合し、
又はたばこ種子を有機溶媒と共に摩砕して抽出後、水可
溶成分を除き、さらに蒸留等の方法で有機溶媒を除去す
る方法等がある。

製造例 １ たばこ種子１００夕を２そのクロロホルムとメタノール
の混合溶媒（１：１）と共に乳鉢で摩砕し、ガラスフィ
ルターで炉過して抽出液を得る。

抽出残澄についてさらに同じ操作をして抽出液を得る。
両抽出液を合し、５％塩化ナトリウム水溶液１．６そを
加えて分液ロートで振とうし、下層のクロロホルム層を
分取して減圧濃縮し、溶媒を完全に除く。濃縮液を炉液
で炉過すると、透明な淡黄色のたばこ種子油約４０夕が
得られる。製造例 ２ たばこ種子１００夕を乳鉢で塵砕し、圧搾器の搾油容器
内に入れ、空気裕中で８０ｑｏに加熱したのち、油圧ポ
ンプを用いて２００ｋ９／めで圧搾する。

採取された油を炉紙で炉過すると、透明な淡黄色のたば
こ種子油約３５夕が得られる。成熟したたばこ種子から
採取した油は、淡黄色でざらりとしたうすし、甘味香気
を有し、葉たばこ、シートたばこ、たばこ代替物又はた
ばこ用フィルター等に添加すると「たばこ種子油のかお
りは、たばこ本釆のかおりとよく調和してたばこらしい
香調を整えると共に、刺戟、辛味、苦味、渋味を抑制す
る効果がある。

一般に菜種油、ごま油等の植物性油は「たばこに添加し
た場合にその刺戟、辛味を抑制する効果があるがＬ一方
たばこに調和しない異質のかおりが発現したり、油くさ
さ等の香喫味上の欠′点が発現するが、たばこ種子油で
はこのような欠点が全く発現せず、むしろそのかおりが
たばこ本来の香りとよく調和するのが大きな特徴である
。たばこ種子油を葉たばこ、シートた‘まこ〜たばこ代
替物又はれまこ用フィルター等に添加する時期、方法に
ついては特に制限はないがＬエタノール、グリセロール
、プロピレングリコールなどの溶媒に適宜の濃度に希釈
した後頃霧などの手段を用いて添加する。その有効な添
加量は、製品たばこ中に０．００００１〜０．１重量％
、望ましくは０．０００１〜０．００１重量％が適当で
ある。次に本発明を実施例をもって説明する。実施例
１ 黄色種葉たばこ（ェムシー、中葉２等）を刻み中０．８
肋に裁刻したたばこ刻み１００のこ、上記の製造例１の
方法によって採取したたばこ種子油の０．０１重量％エ
タノール溶液１夕を贋露したのち、巻周２５助長さ７物
奴の紙巻たばこに巻上げ、別にたばこ種子油を含まない
エタノールを同様にして添加して巻上げた紙巻たばこを
対照品として、喫煙した時の香り、味、及びくせについ
て２点識別法により比較した。

専門官能検査パネル２０名の評価は第２表に示すとおり
であった。表中の数値は各評価項目‘こついて比較して
良いとした人の数であり、例えば香り‘こついては２０
名中１＆名が本発明品の方が良好と判定し、２名が対照
品の方が良好と判定したことを示す。第２表 この結果から、たばこ種子油が葉たばこの香り、味、及
びくせを著しく改善することが分った。

実施例 ２ たばこ（市販品ハイライトの刻み）を粉砕した粉末１０
頂重量部（以下単に部という。

）、セルロースグリコール酸ナトリウム２部、プロピレ
ングリコール５部、パルプ（ＮＢＫＰ）５部、水４＄部
を混和し、製造例１の方法で調製したたばこ種子油０．
０００２部を添加してさらによく混和したのち、圧延ロ
ール装置を用いて成型し、水分が１．０％になるまで乾
燥してシートたばことした。このシートたばこを刻み中
０．８側に裁刻し、巻周２５側長さ７０柳の紙巻たばこ
に巻上げた。又同じ方法でたばこ種子油を添加しないシ
ートたばこを調製し、紙巻たばこを巻上げて対照品とし
た。専門官能検査パネル１６名により喫煙した時の香り
、味、くせ、及び緩和性について２点識別法により評価
した結果を第３表に示した。表示の方法は第２表と同じ
である。第３表 この結果から、たばこ種子油を添加したシートたばこは
、すべての項目で対照品に比較して良好と判定された。

実施例 ３製造例１の方法で調製したたばこ種子油１部
に、シュガーヱステル（菱糖社製ＰＷ−１５７０）０．
２部を加え、濠浴上で溶融混合する。

この混合物に水９８．８部を加え、擬拝器で充分燈拝し
て乳化液を得た。この乳化液０．０２部を実施例２にお
けるたばこ種子油０．０００２部の代りに使用した以外
は、実施例２と全く同じ方法で調製したシートたばこの
紙巻たぱこと、乳化液の代りにシュガーヱステル０．２
部を水９９．８部に溶解した溶液０．０２部を使用した
以外は全く同機の方法で調製した対照品シートたばこの
紙巻たばこについて、喫味の比較を行なった。

専門官能検査パネル１８名ｌこより、喫煙した時の香り
、味、くせ、及び緩和性について、２点識別法により評
価した結果を第４表に示した。表示の方法は、第３表と
同じである。第４表 この結果から、たばこ種子油の乳化液を添加したシート
たばこは、すべての項目で対照品に比較して良好と判定
された。

実施例 ４ トリアセチルグリセリン９５部を加溢して４０〜５０℃
に保ち、これにショ糖ニステアロィル三酢酸ェステル１
部を加えて鷹梓溶解したのち、製造例２の方法で調製し
たたばこ種子油４部を加えてよく濃搾乳化し、調合可塑
剤とした。

この調合可塑剤を、可塑剤添加装置を用いて単糸織度３
．３デニール、糸の断面形状Ｙ形、捲縦数２８個／イン
チ、総総度４６０００デニールのアセテートトウに対し
て６％添加し、次いで調合可塑剤を添加したトウを、紙
巻装置に用いてフィルター巻取紙で巻周２５側、長さ１
２０肌のたばこ用フィルターに巻上げた。

又調合可塑剤中にたばこ種子油を添加しないで、他は全
く同じ方法でたばこ用フィルターを調製し、対照品とし
た。たばこ種子油を添加した本発明品のたばこ用フィル
ターと、対照品のたばこ用フィルターをそれぞれ長さ２
仇肋１こ裁断し、紙巻たばこ（市販品チェリーからフィ
ルターを取除いたもの）に付して喫珠の比較を行なった
。

専門官能検査パネル１０名により、喫煙した時の香り、
味、くせ、しげき、及び総合の５項目について、２点識
別法により比較した結果を第５表に示した。喫味の評価
は各項目について対照品を０とし、これに比べて本発明
品の方が、非常によい（十３）、かなりよい（十２）、
よい（十１）、同じ（０）、わるし、（一１）、かなり
わるし、（一２）非常にわるし、（一３）の７段階で評
価し、１０名の検査員による評価の平均値を、０．核』
みに２捨３入（例えば平均値０．３は０．５、平均値１
．２は１．０と表示）した。第５表 この結果から、たばこ種子油を添加したアセテートフィ
ルターは、ほとんどの項目で対照品に比較して良好と判
定された。

実施例 ５ 固型分２母重量％を含有するポリ酢酸ピニルェマルジョ
ン９２部と、ポリビニルアルコール７部と、製造例２の
方法で調製したたばこ種子油１部とをよく混和した樹脂
液を、公知の乾式パルプ不織布の製法によって展開した
パルプマット１０碇轍こ対し５＄部噴露し、乾燥後公知
のネオフィルター製造方法にしたがって成形して巻周２
５柵「長さ１２０肌のたばこ種子油を添加したネオフィ
ルターを得た。

又樹脂液にたばこ種子油を添加せず、パルプマット１０
碇部もこ対し樹脂液６１部を贋霧したほかは、全く同じ
方法でネオフィルターを調製し、対照三品。とした。た
ばこ種子油を添加した本発明品のネオフィルターと、対
照品のネオフィルターを用い、他は実施例４と全く同じ
方法でフィルター付紙巻たばこを調製し、喫味の比較を
行なって第６表の結果を得た。

表示の方法は「第５表と同じである。第６表この結果か
ら、たばこ種子油を添加したネオフィルターは「すべて
の項目で対照品に比較して良好と判定された。

実施例 ６ セルロースジアセテートフレークス（ダイセル化学工業
社製、酢化度５５％、水分５％）８６部に、５の雲量％
アセトン水溶液１の邦と製造例２の方法で調製したたば
こ種子油３．４部を添加して混合する。

この混合物を口径１．２肌の押出造粒機を用いて造粒す
る。整粒機で整粒後減圧乾燥器でアセトンを除去する。
ふるい捌けして１６〜３２メッシュのたばこ種子油添加
アセテート顎粒８礎部を得た。又たばこ種子油を添加し
ないで、他は全く同じ方法で、対照品アセテート額粒７
５部を得た。トリプルフィルター製造用デュアルアクシ
ョンプラグメーキングマシンを用いて、巻周２５柳、両
端のチップ（実施例４の対照品と同一仕様のアセテ−ト
フイルター）の長さそれぞれ８柵、中央の充填部の長さ
４側の充填部に、本発明によるたばこ種子油添加アセテ
ート額粒、又は対照品アセテート額粒８０の９を充填し
たトリプルフィルターを調製した。

本発明によるたばこ種子油添加アセテート類粒充填トリ
プルフィルター、及び対照品アセテート額粒充填トリプ
ルフィルターを用い、他は実施例４と全く同じ方法でフ
ィルター付紙巻たばこを調製し、喫味の比較を行なって
第７表の結果を得た。

表示の方法は、第５表と同じである。第７表 この結果から、たばこ種子油を添加したアセテート額粒
を充填したトリプルフィルターは、ほとんどの項目で対
照品に比較して良好と判定された。

なおトリプルフィルターの充填物として、たばこ種子そ
のもの、及びたばこ種子油を採取した残澄、ならびにそ
れらの熱処理品の使用も試みたが〜いずれも香喫味改善
の効果が認められた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ たばこ種子油を、たばこ製造用原料及び／又はたば
   こ用材料品に添加することを特徴とする、たばこの香喫
   味改良法。