JPS604666B2 - 水晶腕時計用変換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は水晶腕時計用変換器に関し、低消費電流で続出
力を得られ、しかもステーターを無調整、もしくはステ
ーター調整をきわめて簡単にできるようにすることを目
的として開発されたものである。

従来、水晶腕時計に用いられていた変換器は半径方向に
６極着磁されたローターを、円弧状切欠きを有する２つ
の板状ステーターで同軸状に含んでいた。

ローターは池板と受板に鞠支され、ステーターは地盤上
に支持される。又、２つのステータ−はロータ−の位置
決めと回転方向の決定のために１００分の数側互いに偏
心され段差を形成することにより、ローターの磁極をス
テーターの１方向にずらしていた。ステーターにはコイ
ルに印加される反転パルスによって、Ｎ，Ｓ極を交互に
発生させ、ローターを６ぴづつ回転させる。かかる６極
着磁ローターは磁極間が６００ しかなく、１ステップ
の回転作動範囲が狭いため、ローターが１ステップづつ
正常に駆動されるためにはステーターの段差を調整し、
大きなローター位置決め力を設定しなければならなかっ
た。ローター位置決め力を大きくするためにはステータ
ー段差を大きくすれば良い。しかしローターとステータ
一閲のギャップが大きい場合、６極着磁ローターを確実
に位置決めするほどの段差が設定されると、ロータ−と
ステーター間の磁気的引き力が大きくなりすぎ、回転に
必要な駆動トルクが得られなくなるといった問題があっ
た。そのため従来はローター半径Ｒｒとステーターの円
弧状切欠きの半径Ｓｒの寸法値をＲｒ／Ｓｒ＞０．９に
設定し、小さなステーター段差で大きなローター位置決
め力と、必要な駆動トルクが得られるようにしていた。
しかしながら、かかる従来の構成ではローターとステー
ターとが近接しているために、ステーター段差のわずか
な寸法バラッキによって駆動トルクの大きな変動をもた
らすことになり、変換器の組み込みにあたってステータ
ー段差の微妙な調整を必要としていた。そのため水晶腕
時計の量産製造を困難にし、コストアップの要因となっ
ていた。又、従来はかかるステーター段差の調整を少し
でも容易にするために、実際の駆動電流値を最低必要な
駆動トルクを得るための駆動電流値よりかなり大きく設
定し、駆動トルクに余裕をもたせていたものであり、消
費電流の点で問題があった。そこで、この発明は、上述
した従来例の欠点を除去するためになされたもので、２
極に着磁された回転ローターと、その外周のほとんどを
取りかこんだ１組のステーターを使用することにより、
無調整又はステーター調整が極めて簡単な変換器を提供
するものであり、又、水晶腕時計用変換器に要求される
低消費電流を達成したものである。

以下、これを図示の実施例につき詳細に説明する。第１
図において、１は２極に着磁された回転ローターで、こ
のローター１を挟んでステーター２，３が対向して配置
されているが、これらのステーターはそれぞれコイル４
を巻いた継鉄５にネジ６，６で固定され、１組のステー
ターを構成している。７はステータ−２，３の段差×を
調整するための偏心ピンであって、ローター１が一方向
に回転できるように、ローター１の中心に対しステータ
ー２，３の円弧状切欠きを互いに偏心させ段差×を形成
し、静止時のローター１の磁極（Ｎ，Ｓ）をステーター
２，３の一方側にずらしている。

又、ステーター２，３の先端部に設けられたスキマ６・
，６２ はステーター２，３に発生する磁束のステータ
ー間における洩れを防止している。第２図はコイル４に
印加する駆動電圧波形で、たとえば、１秒毎に正パルス
、負パルスを交互に印加するようにしたいわゆる反転パ
ルスを形成しており、ローター１の磁極Ｎ極、Ｓ極は前
記印加電圧によりステーター２，３に生ずるＮ極、Ｓ極
の磁気的反発、吸引力により、ローター１を１８００回
転し、更に次のパルスでは、ステーター２，３に生ずる
Ｎ極、Ｓ極も逆転するので更にロータ一１は１８ぴ回転
し、これを順次繰り返すことによりローターの回転を一
方向へ続けて行なうことが可能となる。

第３図は、本発明における実際結果であり、第１図にお
けるステーター２及び３を最も出力トルクが大きくなる
様に、Ｒｒ／Ｓｒの異なる値毎に１００分の数肋の範囲
で段差×を調整した時の分針での出力トルクと、前記Ｒ
ｒと前記Ｓｒとの比、すなわちＲｒ／Ｓてとの関係を表
わしたグラフである。尚、この際ステーター２，３間の
スキマ６，，６２ は出力トルクが最大となる値に設定
される（詳しくは第４図を用いて後述する）。この第３
図よりＲｒ／Ｓｒが０．６より大きものは所要の出力ト
ルクを容易に得られる事が判明した。すなわちＲｒ／Ｓ
ｒが小さくなり過ぎると、ローター駆動に有効に使われ
る磁束が少なくなり、その為必要な出力トルクが得られ
なくなる事を意味している。第４図は、本発明における
実験結果であり、第３図に示したＲｒ／Ｓｒの各々の値
において、分針での出力トルクが４夕−肌以上出しうる
段差×の値を求め、その段差×の最高値と最小値の差を
段差×のレンジとしてプロツトしたものである。

横軸には前述のＲｒ／Ｓｒをとり、縦軸には段差×のレ
ンジをとったもので１／１００側を単位としている。こ
の第４図より前記Ｒｒ／Ｓｒが０．９以下のものは、分
針での出力トルクを４夕−伽以上得る為のステーター段
差×の設定範囲が比較的広いことがわかった。逆に言え
ばステーター段差に寸法バラッキがあっても最低必要な
駆動トルクを安定的に得ることができるステーター寸法
範囲があることがわかった。従来は最低４夕−肌の駆動
トルクを確実に得るためにはローター半径とステーター
半径の比Ｒｒ／Ｓｒは０．９より大きくすることが必要
だとする考え方であったが、本発明は上述の性質に基づ
き従来の考え方を一新し、単に０．６＜Ｒｒ／Ｓｒミ０
．９の寸法設定をし、ステーターの製造バラッキにかか
わらず腕時計の駆動に必要な最低限の駆動トルク確保で
きるようにした。すなわち、従来は単に設計時の駆動ト
ルクを大きく設定することにより、駆動トルクの最低値
である４夕−肌を歩蟹り良く得ようとする考え方に対し
て、本発明はローター径を小さくすることによってステ
ーター段差の寸法に余裕を持たせ、ステーター製造時及
び組立時の寸法バラッキにかかわらず常に安定した駆動
トルクを得んとするものであり、半径１．５伽より蓬小
のローター径Ｒｒを有する時計用変換器を始めて量産性
良く製造することを可能にしたものである。一方、ロー
ター半径Ｒｒとステーターの円弧状切欠きの半径Ｓｒと
の間に０．６＜Ｒｒ／Ｓｒ≦０．９なる関係をもたせる
と、ローターとステーターのギャップが広くなるので、
段差×があるにもかかわらずステ−ターとローターの引
き力が弱くなり、従来用いられていた６極着磁ローター
ではローターが所定位置に停止せず、誤動作する心配が
ある。

しかし、本発明ではローターを２極着磁することにより
、１ステップあたりのローター回転角を１８０ｏとして
十分に大きくすることによって、ローターの行き過ぎに
よる誤動作を防止したものであり、ローターとステータ
ーの引き力が幾分弱くなっても確実な作動が得られるも
のである。又、上述の如くステーターの段差Ｘがバラつ
いていても最低必要な駆動トルクが安定して得られ、し
かも２極着磁ローターを用いることにより安定した作動
が得られるものなので、電流値も必要最小限に設定でき
、低消費電力化が達成できる。すなわち本発明は第３及
び第４図より、前記Ｒｒ／Ｓｒは０．６＜Ｒｒ／Ｓｒ≦
０．９の間が適当である事をつきとめた訳である。

第６図は本発明における実験結果であり、第１図におけ
る前記一対のステーター間のスキマ６，と６２との和と
前記Ｓｒと前記Ｒｒとの差との比、分針での出力トルク
との関係であり、０．６＜Ｒｒ／Ｓｒ≦０．９の関係に
加えて分針での出力トルクが十分得られるよう、又ステ
ータ−の無調整化のために６，と６２ の値の範囲を求
めるものである。この第５図はＲｒ／Ｓｒが約０．８５
のときのものであり、この図より（６，十６２）／（Ｓ
ｒ−Ｒｒ）が１．２から２．４の場合に分針で必要な出
力トルク４夕−抑が得られ、しかも出力トルクの変動が
少ない事が判明した。すなわち（６，十６２）／（Ｓｒ
−Ｒｒ）が小さすぎると、コイル部に発生した磁束は、
ローターに作用する事が少なくほとんどが第１図におけ
る６・及び６２部を通ってしまう事になり又（６，十８
２）／（Ｓｒ−Ｒｒ）が大きすぎると、磁気回路全体の
効率が落ち、どちらの場合にも、必要な出力トルクを得
られない結果となる。又前記Ｓｒの値は、腕時計に用い
る場合スペース上１．５肋以上にする事は困難であり、
又前記Ｓｒ−Ｒｒを０．１凧以下にする事は、ゴミ、ケ
バに影響されやすく、又第１図におけるステーター端面
２ａおよび３ａの仕上げ状態及びカェリ等の影響が著し
く、使用する際には困難を供なう。又本発明は前記ロー
夕一のオープン状態での磁束が６０に以上の場合に特に
有効である。以上既に述べた様に本発明によれば、少な
くとも１つのコイルと、永久磁石よりなるローターと、
前記コイルの磁束を前記ロータ−の周囲に導く一対の板
状ステーターとが平面的に重なることなく配置され、前
記一対のステーターは前記ロータ−外周をほぼ包囲する
ような円弧状の切欠きを有するとともに、前記ローター
の位置決めと回転方向を決定するために前記一対のステ
ーター間には段差が形成されており、前記ローターは単
位時間毎の反転パルスによって回転し指針をステップ駆
動させるとともに、前記ローターが半径１．５肋より径
小の永久磁石を２極着磁して形成され、且つ前記ロータ
ーの半径Ｒｒと、前記ステーターの円弧状の切欠きの半
径Ｓｒとの間に０．６＜Ｒｒ／Ｓｒ≦０．９なる関係を
有するよう構成したので、非常に能率のよいしかも無調
整あるいはきわめて調整の楽な水晶腕時計用変換器を提
供できた。

しかも、たとえば、１秒毎に運針する時には、変換器で
の電力消費量はわずか４山ｗ以下にする事も可能であり
、ボタン電池１個で約２年以上にわたり駆動する事も可
能である。この際変換器の出力トルクは、分針で４夕−
肌以上であり、腕時計の全輪列を動かすのに必要な５倍
以上のトルクを確保できる等、本発明はきわめて有用で
ある。時計、特に腕時計にあっては消費電流が少ないほ
うが電池寿命の点で好ましいが、本願によれば量産性良
く必要最小限の駆動トルクが安定して得られるので、従
来の構造に比べて電流量も少なく設定することができ、
その点でも有利である。

又、第１図においてローターは完全な円筒型で示してあ
るが第６図に示す様にローターの形状は一部に円筒面を
有するものであれば何らさしつかえない事は言うまでも
なくこの場合円筒面の半径をＲｒとする事も言うまでも
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による水晶腕時計用変換器の構造を示
す図。 第２図はコイルに印加するパルス波形図。第３図は、分
針での出力トルクとＲｒ／Ｓｒとの関係を示したグラフ
。第４図は、分針での出力トルクを４夕−伽以上得る為
のステーター段差×のレンジとＲｒ／Ｓｒとの関係を示
すグラフ。第５図は、分針での出力トルクと（６，十６
２）／（Ｓｒ−Ｒｒ）との関係を示したグラフ。第６図
は他の実施例のローター形状を示す平面図。１……ロー
ター、２，３……ステータ−、Ｒｒ……ローターの半径
、Ｓｒ”…ステーターの円弧状切欠きの半径、６，及び
６２・・・・・・一対のステーター間のスキマ。 牙ー図 才２図 矛３図 矛４図 矛Ｓ図 才６図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 変換器を形成する駆動コイルに反転パルスを印加し
   て永久磁石ロータを回転するとともに、前記ロータに連
   結する輪列を駆動し、指針をステツプ運針させてなる水
   晶腕時計に用いられる水晶腕時計用変換器において、前
   記変換器は少なくとも１つの駆動コイルと、永久磁石よ
   りなるローターと、前記コイルの磁束を前記ローターの
   周囲に導く一対の板状ステーターとが平面的に重なるこ
   となく配置され、前記一対のステーターは前記ローター
   外周をほぼ包囲するような円弧状の切欠きを有するとと
   もに、前記ローターの位置決めと回転方向を決定するた
   めに前記一対のステーター内周には段差が形成されてお
   り、前記ローターは半径１．５ｍｍより径小の２極着磁
   永久磁石により形成され単位時間毎の反転パルスによっ
   て１８０°づつ回転し指針をステツプ駆動し、且つ、前
   記ローターの半径Ｒｒと、前記ステーターの円弧状の切
   欠きの半径Ｓｒとの間に０．６＜Ｒｒ／Ｓｒ≦０．９な
   る関係を有して成る事を特徴とする水晶腕時計用変換器
   。