JPS6039027B2 - 鮮度保持効果の優れた包装材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は鮮度保持効果の優れた青果物、功花用包装材に
関する。

更に詳しくはエチレン含有率２０〜６０モル％、ケン化
度９０％以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
を段ボールに積層複合せしせてなる鮮度保持効果の優れ
た青果物、切花用包装材に関する。一般に野菜、果実類
は鮮度保持が困難で特別な鮮度保持対策を施さない場合
は採取された野菜、果実類はできるだけ短期日に消費地
に送られ販売に供される必要がある。

生産地と消費地が近い場合はこれも可能であるが生産地
と消費地と離れている場合、生産地と消費地のバランス
、輸送日数などのために採取から販売までに数日から数
週間を要する。このために適当な鮮度保持対策が必要と
なる。一般的な野菜・果実類の包装形態としては段ボー
ル箱が使用されているが、これは単に内容物を外圧から
保護するためのものであった重量減少、しおれ等を生じ
易く、鮮度保持効果はほとんどない。水分の減少を防ぐ
目的でポリエチレン等の防湿性プラスチックフィルム袋
の併用あるいは防湿性プラスチックフィルムを槍層した
段ボールから造られた容器が使用されているが、これら
は水分が内部にこもり、この水分のために野菜・果実が
腐ることがある。水分の蒸発を押える目的で氷の封入も
併用されてはいるが、氷の準備、封入に多大の労力と費
用を要し野菜の価格上昇につながる。一方冷蔵庫、冷蔵
車で保存輸送する方法は鮮度保持にかなりの効果を上げ
ているが設備費、運転費が多大である上に温度管理も困
難を伴なう。またリンゴ、モモなど特に果実類に対して
は活性炭、水酸化カルシウム、ゼオラィトなどの吸着剤
の併用も行われているが、これは主に果実類からアルデ
ヒド類、アルコール類、ェステル類、エチレンガス、炭
酸ガス等を吸着除去し、熟成を遅らすことにより長期の
保存を目的としたもので、ある程度の効果を上げている
が吸着剤の活性の管理に充分の注意が必要であり、また
野菜のように短期の鮮度保持を目的としたものには効果
は少ない。本発明者等は野菜・果実等の鮮度保持につい
てさらに優れた包装材を開発するべく種々検討した結果
、エチレン含有率２０〜６０モル％、ケン化度９０％以
上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物（以下、こ
れを単に共重合体ケン化物と略記する）フィルムと段ボ
ールとを複合債層せしめてなる包装材から造られた容器
が野菜の鮮度保持効果に対して極めて優れた効果を有す
ることをつきとめ本発明を完成するに到ったものである
。本発明の包装材料から造られた容器が何故に野菜・果
実等に対して優れた鮮度保持効果をもたらすのかについ
ては明確ではないが、共重合体ケン化物の速度の透徹性
と酸素ガスに対するバリャー性及び段ボールの高吸湿性
、高透湿性さらには熱遮断性等が野菜の呼吸作用に対し
て有効に働いているものと考えられる。本発明の包装材
料に使用される共重合体ケン化物のエチレン含有率は２
０〜６０モル％、好ましくは２５〜５０モル％、ケン化
度は９０％以上が最適である。

エチレン含有率が２０モル％未満では共重合体ケン化物
の製膜および押出ラミネーションが困難であり、一方６
０モル％を越えると鮮度保持効果が不足するようになる
。またケン化度に関しては９０％禾満になると共重合体
ケン化物に異臭が生じ易くなり野菜や果実等の包装材と
しては不適当なものとなる。本発明において使用される
共重合体ケン化物は単独で用いられるほか必要に応じて
該共重合体ケン化物に可塑剤や他の熱可塑性樹脂を添加
配合し得る。可塑剤を使用する場合には共重合体ケン化
物１０暁都１こ対して１碇郭以下使用されるがこれは英
重合体ケン化物のライナーへの押出しラミネーションを
容易にする。本発明の包装材料において共重合体ケン化
物を段ボールに積層せしめる方法としては種々の方法を
とり得るが、例えば共重合体ケン化物フィルムとライナ
ーをラミネートした後、段ボールを作製する方法や完成
された段ボールのライナー面に共重合体ケン化物フィル
ムを貼付する方法などが有効である。

また共重合体ケン化物フィルムとライナーをラミネート
する方法としてはウェットラミネーションと押出しラミ
ネーションが有効であり、前者のウェットラミネーショ
ンにおいては接着剤を全面に塗布しても良いし、パター
ンコートしても良い。共重合体ケン化物の層は段ボール
箱の内層、外層、中間層どの位置にあっても差しつかえ
ないが加工の容易さ、水滴による段ボールの汚損の防止
の点から最内層が最適である。かかる共重合体ケン化物
層の厚さは１０〜５０仏が適当であり、１０仏未満では
鮮度保持効果が充分でなくまた５０仏以上では性能的に
は有効であるが経済的ではない。本発明の包装材はホゥ
レン草、ニラ、春菊などの粟物野菜、枝豆、トウモロコ
シなどの豆類、トマト、キュウリなどの稀菜類、ブドウ
などの果実類、菊、バラ、カーネーションなどの切花類
の鮮度保持に有効である。

本発明の包装材で前記青果物類を包装すると、従釆の段
ボールを用いた場合に比較して重量減少、しおれが非常
に少なくまたポリエチレン袋併用時の様な結霧・水溜ま
りによる腐れもない。

また従来の方法で氷を併用した場合、或いは冷蔵庫の使
用時に比較しても同等以上の鮮度保持効果を有している
。以上のように本発明の包装材は氷・冷蔵庫・吸着剤等
を併用することなく従来の包装材でこれらを併用した場
合より優れた鮮度保持効果を有しているがもちろん本発
明の包装材の使用に際し、それらを併用する何等支障は
ない。

以下実施例を以て本発明を具体的に説明する。

実施例 １エチレン含量３０モル％、ケン化度９９．５
モル％、厚さ１２仏の共重合体ケン化物フィルムをアク
リル酸ェステル共重合ェマルジョンを接着剤としてクラ
フトライナー（以後Ｋライナーと略記する）にウェット
ラミネーションし、共重合体フィルム複合Ｋライナーを
作製した。

接着剤の固形分付着量は処／わ、乾燥温度は７０℃、乾
燥時間は６秒であった。この共重合体ケン化物複合Ｋラ
イナーに中芯とＫライナーを貼合わせて片側外層面に共
重合体ケン化物層を有する共重合体ケン化物複合段ボー
ルを作製した。この段ボールを用いて共重合体ケン化物
層が内部にくるように段ボール箱を作製し、これを使用
してホウレン草の鮮度保持テストを実施した。比較例と
して普通の段ボール箱を使用した場合、および普通段ボ
ール箱とポリエチレン袋を併用した場合もテストした。
採取直後のホウレン草を上述した各包装材で密封し１０
〜１５００の環境下に４日間放置した後、開封し、ホウ
レン草の鮮度を調査した。結果は第１表の通りであった
。該表から明らかな如く、本発明の包装材による鮮度保
持効果は非常に優れている。第１表 実施例 ２ 実施例１と同様に作製した包装材を用いてニラの鮮度保
持テストを実施した。

比較例としてパラフィンひき内層耐水段ボール箱を使用
した。採取直後のニラを密封したのち、１５ｏＣ及び５
℃の環境下に３日間放置し、開封して野菜中心部の温度
測定及び鮮度調査を行なった。結果を第２表に示す。共
重合体ケン化物複合段ボールを用いた場合、野菜の温度
上昇は殆んどなく野菜の呼吸作用が制御されていること
が推定される。第２表 実施例 ４ 実施例１と同様に作製した包装材を用いて枝豆の鮮度保
持テストを実施した。

比較例として普通段ボール及び穴アキ段ボールを使用し
た。採取直後の枝豆を密封した後、２７０の環境下に１
５日間放置して開封し鮮度を調べた。本発明による包装
材の使用では黄色化が全くなく、またむれもなく鮮度保
持効果が優れていた。結果を第３表に示す。第３表実施
例 ５ バーナーコロナ処理したＫライナーにエチレン含量４５
モル％、ケン化度９９．６モル％の共重合体ケン化物を
厚さ１５仏になるように押出ラミネートし、共重合体ケ
ン化物複合Ｋライナーを作製した。

これに中芯およびＫライナーを貼合わせて共重合体ケン
化物複合段ボールを作製し、共重合体ケン化物層を内側
とする箱を作製してトウモロコシの鮮度保持テストを実
施した。比較例としては普通段ボール箱を用いた。結果
を第４表に示す。第４表実施例 ６ 実施例１と同じ接着剤を使用して段ボール加工時にエチ
レン舎量３１モル％、ケン化度９９．５モル％、厚さ１
５仏の共重合体ケン化物フィルムを同時ウェットラミネ
ートして作製した共重合体ケン化物複合段ボールより、
共重合体ケン化物層が内側になるように箱を作製し、こ
れを用いて巨峰（ブドウ）の鮮度保持テストを実施した
。

比較例としては普通の段ボール箱を用いた。採取直後の
巨峰を密封し２５ｑｏの環境下に１０日間放置した後開
封し、鮮度を調べたところ、共重合体ケン化物複合段ボ
ールで包装した場合はッブの落下は認められなかったの
に対し、普通段ボールで包装したものについては多数の
落下が発生していた。実施例 ７ エチル舎量３０モル％、ケン化度９６％の共重合体ケン
化物の厚み４０仏のフィルムを用いて実施例６と同じ方
法で複合段ボール箱を作製みカーネーションの切花の鮮
度保持テストを行なった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エチレン含有率２０〜６０モル％、ケン化度９０％
   以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を段ボー
   ルに積層複合せしせてなる鮮度保持効果の優れた青果物
   、切花用包装材。