JPS6035488B2 - 摩擦杭の支持力を増強する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は摩擦杭の支持力を増強する方法に関するもので
ある。

摩擦杭には丸杭、三角杭、三角鍔杭六角鍔杭など種々形
状のコンクリート杭があるが、これら摩擦杭は浮基礎と
云われるように、不同沈下や群杭効果による支持力の低
減があるため、摩擦杭を打設する際には、砂や砂利など
を入れて地盤を強化したり、また杭打機の騒音および振
動などによる幣害を防止するため、各種の削孔機を用い
て杭に対応する穴を堀さくし、この穴に予じめ、または
杭の打設と同時にセメント粉末またはセメントペースト
を投入して杭を固定する方法が行なわれて来たが、完全
に支持力の減少を防止するまでにいたつてし、ない。

この理由はセメントペーストが硬化に当り収縮するため
と考えられる。そしてこの収縮を防止するためにセメン
トにセメント膨脹材を混合したべ−ストを注入すること
も考えられるが、セメント本釆の収縮を完全に補填する
までに至っていないため、支持力の減少を完全に防止す
ることができない。しかるに、ボルトランドセメントと
セメント膨脹材との混合物にさらに二水石こうを添加し
て充填材ペーストを造り、これを掘さく穴に注入して後
直ちに杭を打設したところ、ボルトランドセメントの膨
脹機能が増進されるばかりでなく、地中の粘土鉱物とべ
‐スト中の石こう、ボルトランドセメントおよびセメン
ト膨脹材中の石灰との反応により膨脹性能を有するェト
リンジャィトが生成するため充填材の膨脹が長期にわた
って持続されるため充填材の支持力が殆んど完全に維持
されることを知見した。

本発明はこの知見に基〈ものであって、コンクリート摩
擦杭の径に対応する穴を土壌に堀さくし、この穴内に摩
擦杭を打設するに当り、ボルトランド系セメント１５〜
７５重量部、セメント膨脹材５〜２の重量部および二水
石こう２０〜７の重量部の範囲内で合計量が１０の重量
部になるように混合し、水と漉練りして造ったペースト
を該穴内に充填するか、または堀さく機を穴より抜きつ
つ充填し、充填後直ちに摩擦杭を打設して固化せしめる
ことを特徴とする摩擦杭の打設工法である。

本発明においてボルトランド系セメントとしては普通ボ
ルトランドセメント、早強ボルトランドセメントおよび
超早強ボルトランドセメントなどが使用され、その使用
範囲は充填剤１Ｏ０重量部中１５〜７５重量部の範囲で
ある。

またセメント膨脹材としてはＣａｏを主成分とした石灰
系膨脹材カルシウムサルフオアルミネートを主成分とし
た膨張材などが使用され、充填剤１０の重量部中、５〜
２０重量部の範囲で効果が顕著であり、添加量が５重量
部以下では膨脹材の機能としての膨脹力が発現せず、ま
た２０重量部を越えると膨脹量が大き過ぎ、充填材硬化
体の組織が自己崩壊して強度が低下するため充填材とし
ての機能を失う。また地盤の比較的安定している所では
少量、より地盤の改質を要する所では多量に配合するこ
とが望ましい。本発明においては二水石こうを添加する
ことが最適であって、半水石こうは水和が早く、短時間
に硬化するため作業性が著しく低下し、充填材としての
機能を有しないばかりでなく、セメント膨脹材の膨脹機
能と半水石こうの硬化時間とがマッチせず、膨脹材の性
能を十分発揮することができない。二水石こうの添加範
囲は充填剤１０の重量部中２０〜７の重量部であって、
２の重量部以下ではその性能は二水石こうを添加しない
場合と大差なく、また７の重量部を越えると充填材単位
当りのセメント量は減少するため強度発現が極端に低下
する。二水石こうの粉末度はプレーン値で１５００の／
タ以上が好ましく、８０００の／タ以上になると充填材
として最適な作業性を特ためるために添加する水量が増
加し、充填材硬化体の強度が極度に低下すると共に膨脹
材の膨脹力が有効に作用しなくなる。通常はブレーン値
で２０００〜４０００地／タ程度のものを使用する。本
発明においては充填材の性能を向上させるために上記充
填材にさらにグラウト材、一般に用いられている作業性
向上材およびブリージング防止剤としてメチルセルロー
ズ、ヒドロキシェチルセルローズ、リグニンスルホン酸
塩：８−ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物など
の１種または２種以上を上記充填材に対し０．１〜３％
使用することもできる。

本発明によれば許容支持力の大なる摩擦杭を打設するこ
とができる。

以下の実施例に使用した地盤は細砂シルト層が深度８の
付近まであり、Ｎ値４〜５の地盤であり、またこの実施
例に使用された材料の化学成分は次の如くである。

ｉ ボルトランド系セメント 普通ボルトランドセメン
トｉｉ セメント膨脹材 石灰系膨脹材 （小野田セメント■製、商品名、４・野
田ェクスパン）カルシウムサルフオァルミネート系膨張
剤（電気化学工業■製、商品 名、電化ＣＳＡ） 範 二水石こう 排煙脱硫二水石こう 実施例 １ へりカルオーガー型削孔機で直径４５０柳の穴を掘り、
この穴に、普通ボルトランドセメント６の重量部、石灰
系膨脹材１の重量部および二水石こう３０重量部の混合
物に水６の重量部を加えて濠練りして造ったペースト０
．３４でを注入し、直ちに直径３５０肋、長さ５．４肌
のコンクリ−ト製丸杭を投入打設した。

打設後１４日目に杭の戦荷試験を行なったところ許容支
持力は２０トンであった。なお比較のために普通ボルト
ランドセメント９０重量部と石灰系膨脹材１の重量部の
混合物に水６５重量部を加えて混練りして造ったペース
トを上記と同じ条件で堀つた穴の中に上記と同量注入し
、上記と同じ杭を直ちに投入打設した。

そして打談後１４日目１こ杭の載荷試験を行なったとこ
ろ許容支持力は１１トンであった。上記許容支持力は次
の方法で測定した。

すなわち土質工学会制定の「杭の鉛直敦荷試験基準」の
緩遠多サイクル方式に準じ、オイルジャッキを用いた反
力方式により降伏荷重、極限荷重を測定し、杭の許容支
持力を算出した。尚この算出に当っては、許容沈下量の
制限がなければ、通常降伏荷重の１／２、極限荷重の１
′３の二つの数値のうち最小値が採用される。実施例
２ へりカルオーガー型削孔機を用い、直径４５０帆の穴を
掘り、この穴の中に、普通ボルトランドセメント４箱重
量部、石灰系膨脹材７重量部および二水石こう５の重量
部の混合物に水５５重量部を加えて鷹練りして造ったペ
ースト０．５３従を注入し、直ちに一辺４００側、杭長
５．４ｍの三角杭を投入打設した。

打設後１４日割こ杭の戦荷試験を、実施例１と同様な方
法で行なったところ、許容支持力は１５トンであった。
尚上記石灰系セメント膨脹材の代りにカルシウムサルフ
オアルミネート系膨脹材を石灰系膨脹材と同一量混合し
、上記と同一条件で三角杭を打談し、その許容支持力を
求めたところ１３トンであった。

実施例 ３ へりカルオーガー型削孔機を用いて直径４５０肋の穴を
掘り、この穴の中に普通ボルトランドセメント２の重量
部、石灰系膨脹材１の重量部および二水石こう７の重量
部の混合物に水５丸重量部を加えて混線りして造ったペ
ースト０．３従を注入し、直ちに一辺３５０肋、鍔の一
辺４０仇吻の三角鍔杭（杭長５．４肌）を投入打設した
。

打設後１４日目に杭の敦荷試験を、実施例１と同様な方
法で行なったところ、許容支持力は１２トンであった。
尚比較例として普通ボルトランドセメント１５重量部、
石灰系膨脹材５重量部および二水石こう８０重量部の混
合物に水５５重量部を加え縁練りしてペーストを造り、
このペーストを上記方法で掘った穴に０．３で注入し、
直ちに上記と同じ寸法の杭を投入打設し、上記と同じ方
法で許容支持力を測定したところ７トンであった。

また普通ボルトランドセメント８５重量部、石灰系膨脹
材１の重量部および二水石こう５重量部の混合物に水６
の重量部を加え混線りしてペーストを造り、このペース
トを上記方法で掘った穴に０．３の注入し、直ちに上記
と同じ寸法の杭を投入打設し、上記と同じ方法で許容支
持力を測定したところ９トンであった。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コンクリート摩擦抗の径に対応する穴を土壌に掘さ
   くし、この穴内に摩擦杭を打設するに当り、ポルトラン
   ド系セメント１５〜７５重量部、セメント膨脹材５〜２
   ０重量部および二水石こう２０〜７０重量部の範囲内で
   合計量が１００重量部になるように混合し、水と混練り
   して造つたペーストを該穴内に充填するか、または掘さ
   く機を穴より抜きつつ充填し、充填後直ちに摩擦杭を打
   設して固化せしめることを特徴とする摩擦杭の支持力を
   増強する方法。 ２ ポルトランド系セメントとして普通ポルトランドセ
   メント、早強ポルトランドセメントまたは超早強ポルト
   ランドセメントを使用する特許請求の範囲第１項記載の
   摩擦杭の支持力を増強する方法。 ３ セメント膨脹材として石灰系膨脹材またはカルシウ
   ムサルフオアルミネート系膨脹材を使用する特許請求の
   範囲第１項記載の摩擦杭の支持力を増強する方法。 ４ 二水石こうとして粉末度１５００ｃｍ＾２／ｇ以上
   、好ましくは２０００〜４０００ｃｍ＾２／ｇ程度のも
   のを使用する特許請求の範囲第１項記載の摩擦杭の支持
   力を増強する方法。