JPS6029200Y2 - 高周波誘導溶解保持炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は無鉄心高周波誘導溶解保持炉に関し、特に炉体
周囲部の磁気シールド装置の改良に関するものである。

従来、高周波誘導溶解保持炉は第１図および第２図に示
すように炉体１の湯口２側の上部を支持台３の立ち上り
部３ａに回動自在に取付けると共に、前記支持台３の側
部に設けた傾動シリンダー４を前記炉体１の略中央部に
回動自在に取付け、傾動シリンダー４のピストン５の伸
出により前記支持台３の立ち上り部３ａの回動支点を中
心として炉体１を傾動させて注湯する構造となっている
。

また炉体１の両側部（図では一方の側部のみ示している
）に設けられた支持台３，３には溶湯の飛散および濡洩
事故から傾動シリンダー４を保護するための補強を兼ね
な保護鉄板６が傾動シリンダー４と炉体１との間に夫々
設けられている。

この高周波誘導溶解保持炉における溶解の原理は炉体１
内に設けられた図示しないコイルに電源より電力を供給
して交番磁束を発生させ、この交番磁束を炉体１内に入
れた溶解材料に作用させて溶解材料にうず電流を誘起さ
せて、この溶解材料自身の抵抗によるジュール熱で加熱
するものである。

しかしながらこの交番磁束は溶解材料ばかりでなく、コ
イルの外部に洩れ、傾動シリンダー４や支持台３、保護
鉄板６などの炉体周囲部の構造物をも加熱することがあ
る。

従来は低電力型のため、炉体周辺部の加熱の問題は少な
かった。

しかし近年、高電力型に推移する傾向の中で、炉体１の
外部に洩れる磁束の量が増大し、炉体周囲部の加熱が大
きな問題となってきた。

特に連続注湯を行う操業の場合には、常時通電状態にあ
るため、注湯時に傾動シリンダー４が保護鉄板６を越え
て伸び直接に磁束を受けて加熱され、危険な状態となる
ことがあった。

このため、従来はこの炉体周囲部の加熱防止対策として
、コイルの周囲に鉄心を配置して洩れ磁束をシールドす
る構造、あるいはコイルから炉体周囲部までの距離を大
きくとった構造、または傾動シリンダー４や保護鉄板６
などの炉体周囲部を空冷または水冷して冷却する構造な
どが採られていた。

しかるにこれらの構造は材料費や重量、設置面積などが
増大する上、付属設備が必要となり、高価となる欠点が
あった。

本考案は、上記欠点を除去して、極めて簡単で且つ安価
な構造で傾動シリンダー等の炉体周囲部の加熱を防止す
ることができ、しかも従来の低電力型の炉体構造を大幅
に変えることなく高電力化を可能にした高周波誘導溶解
保持炉を提供することを目的とするものである。

以下、本考案の一実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

第３図および第４図は本考案の一実施例を示すもので、
第１図および第２図と同一部分は同一符号で示す。

支持台３の立ち上り部３ａの上部にロッドピン７を設け
、これに炉体１の湯口２側を回動自在に取付けである。

また前記支持台３の水平部に、傾動シリンダー４を回動
自在に立設すると共に、その上端部をピン８により炉体
１の略中央部に回動自在に取付けて傾動シリンダー４の
ピストン５の伸出により、ロッドピン７を回動支点とし
て炉体１を傾動するようになっている。

また傾動シリンダー４の外周には第５図に示すように磁
気シールド板９ａが巻付けられている。

炉体１の両側部に配置した支持台３には補強を兼ねる保
護鉄板６が傾動シリンダー４と炉体１との間に夫々設け
られ、更にこの保護鉄板６の炉体１側の表面には板状の
磁気シールド板９ｂが重ねて設けられている。

従って、磁気シールド板９ａ、９ｂは炉体１と、保護鉄
板６および傾動シリンダー４との間に介在した状態に設
けられた構造となっている。

なお前記磁気シールド板９ａ、９ｂは、例えばアルミニ
ウム、銅、ステンレスなど非磁性で且つ良導電体で形成
されている。

従って上記構造の高周波誘導溶解保持炉によれば、磁気
シールド板９ａが炉体１と傾動シリンダー４との間に介
在され、その上保護鉄板６の炉体１側の表面を磁気シー
ルド板９ｂで覆つや構造であるので、第８図に示すよう
に溶解加熱時に、コイルからの磁束は前記磁気シールド
板９ａ、９ｂを鎖交してうず電流を生じ、保護鉄板６や
傾動シリンダー４に磁束が洩れるのを防止することがで
きる。

この結果、傾動シリンダー４の異常加熱が防止され、安
全な操業を行うことができる。

また磁気シールド板９ａ、９ｂはこれ自体電気抵抗が少
ないので、この中を流れるうず電流による発熱・量も少
なく、磁気シールド板９ｂと密着して設けた保護鉄板６
の異常加熱を防止することができる。

また傾動シリンダー４の外周を磁気シールド板９ａで覆
っているので、第９図に示すように出湯時に、ピストン
５が伸びて、保護鉄板６を越えた状態となっても磁束の
洩れによる加熱を防止することができる。

第６図および第７図は本考案の他の実施例を示すもので
、第６図は傾動シリンダー４とやや離間して、炉体１と
の間に円弧状の磁気シールド板９ａを設けたもので、更
に第７図は半方形状の磁気シールド板９ａを設けて、傾
動シリンダー４の加熱を防止した構造のものである。

このようにすると磁気シールド板９ａｔ９ｂの材料が少
なくて済む。

以上説明した如く、本考案によれば、傾動シリンダーと
保護鉄板の炉体側に局部的に磁気シールド板を介在させ
た簡単で且つ安価な構造により溶解時や出湯時に傾動シ
リンダーと保護鉄板の加熱を防止することができ、しか
も従来の低電力型の炉体構造を大幅に変えることなく高
電力化を可能にした高周波誘導溶解保持炉を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高周波誘導溶解保持炉の側面図、第２図
は第１図のＸ矢視図、第３図は本考案の一実施例を示す
高周波誘導溶解保持炉の側面図、第４図は第３図のＹ矢
視図、第５図は第３図の傾動シリンダーの外周を磁気シ
ールド板で覆った状態を示す平面図、第６図および第７
図は本考案の他の実施例を示し、第６図は傾動シリンダ
ーと離間して円弧状の磁気シールド板を設けた状態を示
す平面図、第７図は半方形状の磁気シールド板を設けた
状態を示す平面図、第８図は溶解加熱時の磁気シールド
状態を示す説明図、第９図はピストンを伸出した出湯時
の磁気シールド状態を示す説明図である。 １・・・・・・炉体、３・・・・・・支持台、４・・・
・・・傾動シリンダー、６・・・・・・保護鉄板、７・
・・・・・ロッドピン、９ａ、９ｂ・・・・・・磁気シ
ールド板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉体を支持台の立ち上り部に回動自在に取付けると共に
   、前記支持台に取付けた傾動シリンダーにより炉体を傾
   動させ、且つ該傾動シリンダーと炉体との間に、溶湯の
   飛散を防止する保護鉄板を介在させ、これを支持台に固
   定した無鉄心高周波誘導溶解保持炉において、前記傾動
   シリンダーと保護鉄板に、夫々その炉体側を覆うように
   、非磁性で且つ良導電体からなる磁気シールド板を設け
   たことを特徴とする高周波誘導溶解保持炉。