JPS6028808B2 - 歯磨組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は虫歯予防性を付与する歯磨組成物に関する。

過去数年の間に虫歯予防性を付与するために歯磨組成物
に種々の種類のフッ化物化合物を配合する多くの提案が
行なわれている。

虫歯予防性は口腔中で食物に対する細菌の作用の結果い
まいま起る弱酸性媒体中に歯のエナメル質が溶解するの
をフッ化物化合物が低下させる作用によるものと思われ
ている。歯のエナメル質の溶解度を低下させる作用は歯
のエナメル質の主成分をなす無機物であるヒドロキシリ
ン灰石（ｈｙｄｒｏｘ匁ｐａｔｉｔｅ）と組成物に配合
したフッ化物との交互作用によってフルオロリン灰石を
生成するためとされている。これは溶解度を低下させる
作用がヒドロキシリン灰石中のフッ素化物含有量が増加
するのに従って大きくなるからである。しかしながら、
フツ化ナトリウムを使用するときの方がモノフルオロリ
ン酸ナトリウムを使用するときよりも多量のフッ素が歯
のヒドロキシリン灰石無機物に吸収されるけれども、同
程度のフッ素を配合したとき、モノフルオロリン酸ナト
リウムの方が歯のヱナメル質の溶解度の低下作用が大き
いので、フッ化物の吸収量だけが基準ではないことは明
らかである。フッ化ナトリウムは歯磨組成物に添加する
ことを提案された最初のフッ化物のひとつであるが、長
い間歯磨組成物によく使用されるカルシウム含有研磨剤
特に炭酸カルシウムがフッ化ナトリウムのようなイオン
性フッ化物と両立しないと長い間思われていたので、比
較的にほとんど使用されなかった。

このように、フッ化ナトリウムと炭酸カルシウムとは最
初に反応して不溶‘性で不活性なフッ化カルシウムを生
成すると疑いもなく信じられていたので、フッ化ナトリ
ウムの虫歯予防作用は炭酸カルシウムの存在によって抑
制されることがずっと以前に報告された。例えばこの報
告はワイ・エリクソン，ケミカルアプストラクツ１９６
２，５６，４８８２に記載されている。またこの理由で
歯磨組成物に虫歯予防剤としてフッ化ナトリウムを使用
することは近頃歓迎されず、その代りにモノフルオロリ
ン酸ナトリウムがいまいま使用されていた。意外にも本
発明において、炭酸カルシウムによるフッ化ナトリウム
の不活性化は絶対的に起るのではなく、フツ化ナトリウ
ムの限界濃度以内でのみ起ることがわかった。

また同様に意外にももし研磨剤として炭酸カルシウムを
含有する歯磨組成物はイオン性フッ化物とイオン性モノ
フルオロリン酸塩との混合物を含有するならば高い虫歯
予防作用を付与することがわかった。この高い予防作用
は、組成物中のフッ化物含有量の４０〜８０％、好まし
くは４０〜５５％がイオン性フッ化物として導入され、
また２０〜６０％、好ましくは４５〜６０％がイオン性
モノフルオロリン酸塩として導入されたとき顕著である
ことがわかった。本発明によれば、‘ａ｝炭酸カルシウ
ム研磨剤と、‘ｂ｝イオン性フッ化物と、‘ｃ｝イオン
性モノフルオロリン酸塩とよりなり、該成分‘ｂ’およ
び‘ｃ｝の重量が組成物の全フッ素含有量のそれぞれ４
０〜８の重量％および２０〜６の重量％を供給する量よ
りなる歯磨組成物が得られる。

イオン性フッ化物は水溶液中でフツ化物イオンを生成す
るものである。

好ましくはフツ化ナトリウム、フツ化カリウムまたはフ
ツ化リチウムのようなアルカリ金属フッ化物が使用され
、フツ化ナトリウムが特に好適である。他の好適なフッ
化物にはフッ化アンモニウム、フッ化第一スズおよびフ
ツ化亜鉛がある。同様にイオン性モノフルオロリン酸塩
は好ましくはアルカリ金属モノフルオロリン酸塩である
。

モノフルオロリン酸ナトリウム、ＮａＨＰ０３Ｆは特に
好適であるが、それに相当するカリウム塩および／また
はリチウム塩も使用できる。本明細書に述べている「モ
ノフルオロリン酸塩」という用語は化学式Ｎａ４Ｐ３０
９Ｆ、Ｋ４Ｐ３０９Ｆ、Ｍａ３ＫＰ３０９Ｆ、（Ｎ凡）
３ＭａＰ３０ずおよびＬｉ４Ｐ３０９Ｆを有する化合物
のようなモノフルオロポリリン酸塩をまた包含する。
′使用されるフッ化物とモノフルオ
ロリン酸塩との合計量はある程度まで歯磨組成物の種類
によっても変化するが、非毒性でありしかも有効量でな
ければならない。

代表的にいってフッ化物およびモノフルオロリン酸塩は
歯磨組成物の重量を基準として、フッ素０．０２５〜０
．２重量％になるような量で組成物中に存在している。
好ましいフッ化物の合計量は組成物の重量基準で０．０
５〜０．１２％である。また好ましくはフツ化物及びフ
ルオロリン酸塩は全フッ素含有量のそれぞれ４０〜５５
％および４５〜６０％を供給する。本発明の歯磨組成物
は研磨剤の形の炭酸カルシウムより成る歯磨研磨剤より
成る。

このような炭酸カルシウムはあられ石および方解石とし
て知られている地質学的な形のどちらかまたはこれらの
混合物とすることができる。好ましい形は合成的に沈殿
させた炭酸カルシウム、特に浄水場で硬水に石灰乳を加
えて沈殿させた炭酸カルシウムである。他の形の炭酸カ
ルシウムには粉末にした石灰石、粉砕した大理石または
採掘した粉末製品がある。好ましくは炭酸カルシウムの
重量中間直径が４０ミクロン以下とすべきである。他の
歯の研磨剤も炭酸カルシウムに混合して入れることがで
きる。

たとえば水に不溶性のメタリン酸ナトリウムまたはメタ
リン酸力ＩＪウム、水和または無水のリン酸ニカルシウ
ム、ピロリン酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウムまたは
これらの混合物を使用することができる。

特に有用な研磨剤は種々の形のシリカ、特に米国特許第
３５３８２３０号明細書に規定されているシリカ乾豚体
である。この乾脇体の平均粒径は５０ミクロンまでとす
ることができる。研磨剤または研磨剤混合物は合計量と
して本発明の組成物の重量を基準として１０〜９虫重量
％の量で使用される。好ましくは組成物は歯磨ペースト
の形のときは研磨剤を２０〜７５％を、粉末状のときは
７０〜９９％を含有する。場合によっては本発明の組成
物は透明なゲルに包みこんだ不透明のコア状の歯磨組成
物または透明なゲルの上にのせたストリップ状の歯磨組
成物として、特に研磨剤として炭酸かレシウムを含有す
る不透明コアまたはストリップ状の歯磨組成物として処
方することもできる。ゲルは１種類以上のフッ素含有成
分を含有することができ、このような場合には組成物は
前述の成分比を決定するのに全体として考えられる。本
発明の歯磨組成物は通常表面活性剤、ゲル剤その他の補
助剤たとえば風味料および着色剤を含有することができ
る。

表面活性剤は通常水溶性の非石鹸または合成有機洗剤で
ある。

好適な表面活性剤には高級脂肪酸モノグリセリドモノス
ルホン酸塩、たとえば水素添加したャシ油脂肋酸モ／グ
リセリドモノスルホン酸ナトリウム、高級アルキルスル
ホ酢酸塩、たとえばラウリルスルホ酢酸ナトリウム、高
級アルキル硫酸塩、たとえばラウリル硫酸ナトリウムお
よびアルキルアリールスルホン酸塩、たとえばドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトＩＪウムの水溶性塩がある。ま
たアシル基に１２〜１６炭素原子を有し、アミノ酸部分
が２〜６炭素原子の低級飽和脂肪族モノァミノカルボン
酸から誘導された低級脂肪族アミノカルボン酸の高級飽
和脂肪族アシルアミド、たとえばグリシン、サルコシン
、アラニン、３ーァミノプロパン酸およびバリンの脂肪
酸アミド、特にＮ−うウロイルサルコシン、Ｎ−ミリス
トイルサルコシンおよびＮーパルミトイルサルコシンも
使用することができる。従来から使用されている非イオ
ン性表面活性剤も希望があれば加えることができる。表
面活性剤は一般に組成物の重量基準で０．０５〜１０％
、好ましくは０．５〜５％の量で存在する。

歯磨粉および練歯磨は通常の如く製造され、従って各成
分は乾燥状態またはスラリーまたは溶液として混合する
ことができる。一般にクリーム状またはペースト状の歯
磨組成物中の液体は主として水、グリセリン、ソルビト
ール、プロピレングリコールまたはこれらの適当な混合
物よりなる。

通常水とグリセリンとの混合物、好ましくは水とグリセ
リンとソルビトールとの混合物を使用すると有利である
。液体の全含有量は製剤の重量基準で一般に２０〜７５
％である。また練歯磨に天然または合成のガムまたはガ
ム状物、たとえばカラゲニン、トラガカントゴム、ナト
リウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドンまたはデンプンのようなゲル化剤を使用することが
好ましい。好ましいゲル化剤はカラゲニンおよびナトリ
ウムカルボキシメチルセルロースである。一般にガム含
有率は１０％までで、好ましくは製剤の重量基準で０．
５〜５％である。練歯磨または歯磨粉の水性スラリーの
ｐＨは実質的に中性で約６〜８である。希望によっては
クエン酸のような酸またはアルカリ性物質を少量加える
ことができる。たとえば溶性サッカリン、オランダハッ
カ油、シラタマノキ油、ハッカ油のような風味剤、クロ
ムホルム、二酸化チタンのような着色剤または白味つけ
剤、安息香酸ナトリウムのような防腐剤、乳化剤、クエ
ン酸のような酸性化剤、シリコン樹脂、アルコール、メ
ントール、ナトリウム鋼クロロフィリンのような葉緑素
化合物およびクロロヘキシジンのような殺菌剤のような
物質を組成物に加えることができる。

本発明の組成物はまた別の組成物の形にすることができ
る。

たとえば必須成分であるフッ素化合物および炭酸カルシ
ウムを懸濁型のウガィ剤の中、またはたとえばチュウィ
ングガム、錠剤、パスチーュ（ｐａｓｔｉｌｌｅｓ）お
よび菱形錠のように使用者がかむ組成物に加えることが
できる。これらの組成物は適当な風味料および甘味料と
ともに通常使用されている基礎剤を含有し、既知の方法
で処方することができる。本発明の組成物は次の実施例
によって例示される。

実施例中各成分の量は重量部で示される。本発明の組成
物が有効であることはヒドロキシリン灰石の溶解度に関
して行なった次の実験によつて例示される。ヒドロキシ
リン灰石は歯のエナメル質の鉱物学的組成に相当し、口
腔中で腐敗しつつある食物から作られる酸のような希酸
の作用によって溶解するので、適切なモデルである。ヒ
ドロキシリン灰石に結合をよくするために１０％のポリ
エチレンを加え、５０００ｋ９の圧力で９碗＠、間圧縮
して円板を形成し、次に１００ｑｏに加熱することによ
ってヒドロキシリン灰石の円板を作った。円板をそれぞ
れ被験歯磨組成物１部を水３部に加えたスラリーと１分
間処理した。歯磨剤組成物は調製後２週間貯蔵したもの
を使用し、その一般的な組成は実施例３に記載したもの
に等しいがモノフルオロリン酸ナトリウムに対するフッ
化ナトリウムの比率を歯磨組成物中のフッ素の全濃度を
１００瓜血（すなわち組成物全体の０．１重量％）の一
定値に保ちながら変化させた。処理されたヒドロキシリ
ン灰石の円板をｐＨ４．６５の酢酸緩衝液中に回転プロ
ペラの下に置き３でＣで１時間保った。

同一の歯磨組成物であるがフッ素を含有しないもので処
理した円板に対する溶解度低下率をそれぞれの場合につ
いて測定した。溶解度低下は対照円板と被験歯磨組成物
で処理した円板とを酢酸緩衝液で処理し、次いでそれぞ
れの緩衝液中のカルシウム及びリン酸塩濃度を分析する
ことにより測定した。溶解度低下率は彼験歯磨組成物で
処理した円板から出るカルシウム及びリン酸塩の濃度と
対照円板から出るこれらの濃度との濃度差の対照円板か
ら出る濃度に対する百分率で示めされる。これらの結果
を第１表に示す。第 １ 表これらの結果は、フッ素の
総合有量の４０〜８０％がアルカリ金属フッ化物によっ
て供給されるとき、ヒドロキシリン灰石の溶解度低下作
用はフッ素全体をアルカリ金属フッ化物から、あるいは
アルカリ金属モノフルオロリン酸塩から供給する場合よ
りも増大することを示している。

この低下作用はフッ素の総含有量の５０〜７０％がアル
カリ金属フツ化物によって供給されるとき最良となる。
炭酸カルシウムとイオン性フツ化物との初期反応によっ
て起る虫歯予防作用がモノフルオロリン酸ナトリウムに
少量のフッ化ナトリウムを加えることによって解消でき
ることを明らかにするために次の実験を行った。この実
験は組成物中のフッ化物とモノフルオロリン酸塩との含
有比を変化させること以外は実施例３の組成物と同じ組
成物を用いて前述の方法によって行なった。第ロ表にお
いて組成物１部を水３部に分散させて２分間後のスラリ
ーを使用した結果（Ｂ欄）を対応するフッ化物とモノフ
ルオロリン酸塩との水溶液から得られた結果（Ａ欄）と
比較した。第０表中のＮａＦ及びＮａＨＰ０４Ｆの濃度
はこれらを組成物に最初に添加した時の量を示す。第
０ 表前述の結果は、練歯磨中の全フッ素含有量を５．
１×１ぴＭすなわち１００■肌こ保ち、フツ化ナトリウ
ムとモノフルオロリン酸ナトリウム混合物中のフッ化ナ
トリウムの比率を増加することによってフッ化物と炭酸
カルシウムとの初期反応を解消できることを示している
。

このことはＡ欄およびＢ欄に示すように活性の収欲によ
り示され、それは混合物中のフッ化物の比率が増加する
のに従って、スラリ−の中にのみ存在する炭酸カルシウ
ムによるフッ化物の不活性化が低下することによって示
される。本発明の実施態様は次の如くに要約される。

‘１） 成分｛ｂーおよび‘ｃ的ミ組成物中のフッ素の
全含有量のそれぞれ４０〜５５％および４５〜６０％を
供給する特許請求の範囲の組成物。【２’ フッ素の全
含有量が組成物の０．０２５〜０．２重量％である特許
請求の範囲または前記（１｝記載の組成物。

｛３’ フッ素の全含有量が組成物の０．０５〜０．１
２重量％である前記■記載の組成物。

‘４１ それぞれ透明なゲルで包むかあるいは透明なゲ
ル上にのせた炭酸カルシウムを含有する不透明なコアま
たはストリップを有するコア状またはストリップ状歯磨
剤の形にした特許請求の範囲または前記各項のどれかに
記載の組成物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ （ａ）炭酸カルシウム研磨剤と、（ｂ）イオン性フ
   ツ化物と、（ｃ）イオン性モノフルオロリン酸塩とより
   なり、該成分（ｂ）および（ｃ）の重量が組成物の全フ
   ツ素含有量のそれぞれ４０〜８０重量％および２０〜６
   ０重量％となる量で加えることによりなる歯磨組成物。