JPS6027683Y2 - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は重荷重用空気入りタイヤに関し、特に長距離に
わたる高速連続走行に供されるこの種のタイヤに多発す
るレールウェイ摩耗を有利に軽減しようとするものであ
る。

一般に金属コードをベルトの補強材として用いたラジア
ルタイヤは普通のバイアスタイヤなどと比べ強靭なベル
トがトレッドゴムとカーカスプライの間に配置されてい
るため、耐摩耗性、耐パンク性等の数々の利点を有する
反面、ベルトによる剛強な補強効果の故に乗心地に難が
あることから悪路での使用はともかくとして、特に良路
用として開発が進められ、高速道路網の発展完備などの
道路事情の著るしい改善に伴なって需要の伸びが近年著
るしい。

かような用途において、タイヤのトレッドはトラクショ
ンならびに制動性能その他一般耐摩耗、耐発熱性などを
考慮し、タイヤの周方向にのびるジグザグ模様のリブが
設けられ、このようなトレッドパターンは一般にリブタ
イプと呼ばれている。

かかるリブはタイヤの周方向に連続するのが普通であり
、ときにはタイヤの幅方向に沿う横溝によって離断され
周方向に不連続をなす場合もあるが、何れにしても高い
運行速度の下で長距離にわたる直線連続走行の際、独特
の異常摩耗（以下偏摩耗という）が発生する。

すなわち、第１図にホしたようにタイヤＴの周方向に沿
ってジグザグ状にのびるトレッド溝１に向けてタイヤＴ
の幅方向に張出す周方向リブ２の凸部３、特にその突端
３′にはじまり、該リブ２の稜線２′に沿ってタイヤの
周方向および幅方向に拡大する形で偏摩耗がタイヤの使
用初期から中期にかけて第１図に記号Ｒで示した領域に
局部発生し、それがタイヤ使用の中期以降になると第１
ａ図に示したようにタイヤ断面にあられれる段差δの下
で幅Ｗにわたって促進される。

この摩耗の領域Ｒはタイヤ使用の中期以降の走行キロ数
と共に漸増し、ついには凸部３とこれに連らなる凹部４
の背後を迂回して隣接する領域の相互間を順次結合して
タイヤＴの周上で周方向リブ２の稜線２′に沿って連続
するものとなり、さらに走行キロ数と共に段差δおよび
幅Ｗはますます拡大するよう成長する。

かような偏摩耗は一般にレールウェイ摩耗と呼ばれ、そ
れによるトレッド溝１の肩だれはタイヤＴの外観を見苦
しくするのみならず、トレッド溝１の縁の機能に依存し
たタイヤ性能、特にトラクション、制動性能に悪影響を
及ぼし、タイヤの寿命を大幅に低下する。

この種のレールウェイ摩耗の発生原因は一般に、周方向
リブ２の凸部３の突端３′附近に、タイヤの高速連続走
行中、横方向の応力集中をうけることにより発生するこ
とは一般に知られている。

このような観点から過去種々な対策が提案されている。

そのひとつとして、特公昭５０−２９２０１号公報ある
いは特公昭５１−２１２０３号公報に示されたように、
少なくともタイヤトレッド中央部の周方向溝で区画され
た周方向リブの側端部に周方向に間隔を置いて複数個の
薄い切込みを設けたものがある。

しかしながら、周方向リブに単に同一長さの切込みを設
けただけではリブの凹部付近における切込みの長さが必
要以上に長いため周方向リブ全体の剛性を下げ、かえっ
てタイヤの摩耗寿命を低減させる結果となるか、あるい
は又レールウェイ摩耗の発生核となるリブの凸部付近の
切込みの長さが不充分となるためレールウェイ摩耗の抑
制効果を十分に発揮し得ない。

この考案は上述した従来技術の欠点を除去し、薄に切込
みを用いて、レールウェイ摩耗を他の摩耗特性の低下を
伴わずに軽減するための、より効果的なトレッドパター
ンを提供することを目的とする。

さて、周方向リブ２の凸部３の剛性は凹部４より低いが
その剛性差をより大きくすることで、凸部３への横方向
の応力集中は緩和される。

考案者らはさらに種々観点から検討を加えた結果、以下
の構成により、周方向リブ２の凸部３の剛性を効果的に
低下し、しかも凹部４の剛性を必要以上に低下させるこ
となくして凸部３と凹部４との剛性差を大きくし、かつ
凸部３から凹部４に到る間で急激な剛性段差を生じるこ
となく連続的に剛性を増大させることができ、これによ
って前記欠点を除去することが可能であることを見出し
た。

すなわち本考案はタイヤの周方向に沿って稜線が実質上
ジグザグ状に踏面へ切込んだ少なくとも２本のトレッド
溝によって踏面をタイヤの幅方向に区分して複数の連続
又は不連続なジグザグ状の周方向リブを形威し、このリ
ブの側端部に前記トレッド溝に開口するタイヤの軸方向
に実質上平行な複数の薄い切込みを有する重荷重用空気
入りタイヤにおいて、前記薄い切込みの長さｌが、前記
リブの凸部から凹部に向かうに従い漸減することを特徴
とする重荷重用空気入りタイヤである。

なお、ここに薄い切込みとはタイヤの負荷転勤時に実質
上互いに接触する程度の幅の切込みを指すものとする。

以下本考案をその一実施例につき図面を用いて説明する
。

第２図は本考案の一実施例のタイヤのトレッドパターン
を示した展開図である。

このタイヤはタイヤサイズ１０．００Ｒ２０，１４ＰＲ
のトラック・バス用タイヤであり、カーカスは金属コー
ドより成るラジアルプライの一層から威り、ブレーカ−
はタイヤの周方向に対し１５〜２０°で互いに交差する
金属コードのゴム引きプライの４層より成る一般的な内
部構造を有している。

タイヤＴの踏面には周方向リブ２の端部に薄い切込み５
を周上に等間隔に配置し、この切込み５はリブ２の凸部
３から凹部４へ向かって長さｌが漸減している。

この長さｅの漸減により、リブ２の凹部４の剛性を必要
以上に低下させることなく凸部３の剛性を十分に低下し
、しかも凸部３から凹部４へ至る間で剛性の極端な不連
続を生じることがなく、摩耗寿命自体の低下等信の摩耗
特性の低下を伴うことなく、必要十分なレールウェイ摩
耗の低減が有利に実現できる。

この切込み５の長さｌはリブ２の凸部３で最大の長さｌ
′となるが、レールウェイ摩耗の低減をより効果的に実
現するために、この最大長さｌ′は周方向溝１の振り幅
りの３０〜８０％内で配置し、また切込み５の凸部３−
凹部４間における周方向間隔ｐ′はトレッド溝１のジグ
ザグピッチＰの７．５〜２５％であることが好ましい。

さて、この考案の効果を示す実車テスト結果を従来タイ
ヤとの比較で以下に示す。

テストに用いた本考案のタイヤは、タイヤサイズ１０．
０ＯＲ２０、カーカスベルト等の内部構造はごく一般的
なラジアルタイヤと同等であるが、トレッドパターンは
第２図に示したリブパターンであり、本考案に従い、厚
さ０．５ｗｆｔの薄い切込み５をリブ２の凸部３から凹
部４へ向かって長さが漸減するように入れである。

この間における切込み５の最大長さｐ′、周方向間隔Ｐ
′はそれぞれトレッド溝１の振り幅りの５０％、ジグザ
グピッチＰの１０％である。

但し、凹部４の隅角には切り込みは設けられていない。

比較タイヤは複数個の薄い切込みの長さがトレッド溝の
振り幅の５０％ですべて同一であり、この切込みを上記
本考案の赤込みと同一ピッチで周上に一様に分布したほ
かは、上記本考案のタイヤと全く同じ構造である。

テスト条件は、タイヤ内圧７−２５ｋｐ／ｃｆＬｔ １
００％規格荷重、速度６０Ｊｉ／ ｈであり、この条件
のもとで５万跪連続走行後発生したレールウェイ摩耗の
幅Ｗと段差δ（第１ａ図参照）をまず測定し、その後さ
らに走行を続は摩耗寿命を測定した。

テスト結果は以下の表の通りである。

なお数値は比較タイヤを１００として指数表示で示した
。

この結果かられかる様にこの考案のタイヤハ従来タイヤ
に比較してレールウェイ摩耗の発生をさらに低減しかつ
摩耗寿命の向上をはかることができる。

以上述べた様にこの考案はレールウェイ摩耗の防止に関
し、従来の対策品の欠点を改良し、同等以上の性能を得
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のタイヤの摩耗状態を示すトレッドパター
ンの展開図、第１ａ図は第１図Ｉ−Ｉ線に沿うリブの断
面図、第２図は本考案の一実施例のタイヤのトレッドパ
ターンを示した展開図である。 １・・・・・・トレッド溝、２・・・・・・周方向リブ
、３・・・・・・リブの凸部、３′・・・・・・リブの
凸部の突端、４・・・・・・リブの凹部、５・・・・・
・薄い切込み、Ｔ・曲・タイヤ、Ｒ・・・・・・偏摩耗
、Ｗ・・・・・・偏摩耗の幅、δ・・・・・・偏摩耗の
段差、ｌ・・・・・・薄い切込みの長さ、ｐ′・・・・
・・薄い切込みの最大長さ、ｐ′・・・・・・薄い切込
みの周方向間隔、Ｌ・・・・・・トレッド溝の振り幅、
Ｐ・・曲トレッド溝のピッチ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ タイヤの周方向に沿って稜線が実質上ジグザグ状に
   踏面へ切込んだ少なくとも２本のトレンチ溝によって踏
   面をタイヤの幅方向に区分して複数の連続又は不連続な
   ジグザグ状の周方向リブを形成腰このリブの側端部に前
   記トレッド溝に開口するタイヤの軸方向に実質上平行な
   複数の薄い切込みを有する重荷重用空気入りタイヤにお
   いて、前記薄い切込みの長さｌが、前記リブの凸部から
   凸部に向かうに従い漸減することを特徴とする重荷重用
   空気入りタイヤ。 ２ 前記切込みの最大長さｌ′が前記トレッド溝の振り
   幅りの３０〜８０％である実用新案登録請求の範囲１記
   載のタイヤ。 ３ 前記切込みの凸部−凹部間における周方向間隔ｐ′
   が前記トレッド溝のジグザグノツチＰの７．５〜２５％
   である実用新案登録請求の股間１又は２記載のタイヤ。