JPS602523Y2 - 密閉式温水ボイラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、缶体上部に設置された燃焼装置および密閉
膨張タンクを備えた密閉式温水ボイラの改良に関するも
のである。

通常、この種の温水ボイラでは、ドラフトによる燃焼熱
の自然放散の抑制などから燃焼装置が缶体上部に設置さ
れ、また、外部への水の蒸発防止、あるいは水への空気
の溶込みによる缶体の腐食防止などから密閉式膨張タン
クが用いられ、つぎのように構成されている。

すなわち、第１図および第２図において、１は燃焼熱と
水を熱交換させる缶体、２は缶体１の上部付近に設けら
れ、水収容部１ａに連通する温水注口、３は温水注口２
に連通接続された循環ポンプ、４は缶体１の最上部に設
けられた空気抜管、５は空気抜管４に連通接続された空
気抜き用バルブ、６は缶体１の下部に連通接続され、ダ
イヤフラム６ａによって区画された気体層を有する密閉
膨張タンク、７は缶体１の下部に設けられた給水口、８
は給水ロアに連通接続された給水バルブ、９は缶体１の
下部付近に設けられた温水戻り口、１０は缶体１の上部
に下方を向いて取付けられた燃焼装置、１１は放熱器、
１２は温水循環路である。

なお、１３は燃焼装置１０に連なる燃焼室で、燃焼熱に
よって水を加熱する熱交換面１３ａを有する。

１４は水と熱交換後の燃焼ガスを外部へ放出する燃焼ガ
ス出口である。

次に動作を説明する。

まず、試運転時に給水バルブ８を開き、同郡より水道水
を注入し缶体１及び、放熱器１１、温水循環路に水を充
満させる。

このとき、循環ポンプ３を運転するとともに空気抜き用
バルブ５を開き、システム中の空気を抜く。

注水後は、給水バルブ８を閉じ、燃焼装置１０を運転し
、水温を上昇させて水中に溶は込んでいる溶存空気を分
離させ乍ら、空気抜き用バルブ５より外部へ除々に排出
させる。

終了後、空気抜き用バルブ５を閉じ、水圧を所定値まで
上昇させたのち給水バルブ８を閉じて、給水を完了させ
る。

以後、通常の運転を行なうわけであるが、試運転時に行
なった溶存空気の分離及び空気抜きは完全に行なうのは
困難であるため、燃焼装置１０の運転によって残された
溶存空気が、通常の運転中に更に分離すると共に水蒸気
等の発生、あるいは、温水循環路１２の接続部等からの
長時間に亘るスローリークにより水量が減少し、水圧の
低下をもたらして逆に負圧等になった場合に空気を外部
より吸入する等により、これらの空気層が缶体１の上部
に形成される。

従って、第１図に示すように温水注口２が缶体１上部に
設けられている場合は、循環ポンプ３に空気が吸込まれ
ることにより緩房効果が減少するので、それを検出する
ことができるが、その時点では既に熱交換面１３ａの一
部が燃焼ガスにさらされた状態にあるので、直接、空気
層を加熱することになり、沸騰音や缶体１の熱歪みによ
る異常音の発生、あるいは腐食要因ともなり、缶体１自
身の寿命を縮める原因となる。

また、第２図に示すように温水注口２が空気抜管４に接
続されている場合には、空気溜部がないため短期間で空
気抜きを行なう必要があり、メインテナンスが非常に面
倒なものである。

この考案は、上記欠点を除去すべくなされたもので、以
下、この考案の一実施例について説明する。

すなわち、第３図に示すように缶体１上部の一部を燃焼
装置１０の設置面１０ａよりも上方へ膨出して形成され
た所定の容積を有する空気溜部１５が設けられ、この空
気溜部１５の最上部には空気抜管４を介して空気抜き用
バルブ５が設けられている。

また、燃焼装置１０の設置面ｌｅａとほぼ同等高さ位置
に水収容部１ａに連通ずる温水。

注口２が設けられている。

なお、その他の構成については第１図および第２図に示
したものと同様であるのでその説明は省略する。

このような構成においては、まず、試運転時・に、第１
図および第２図のものと同様に水収容部１ａおよび空気
溜部１５内の空気を空気抜き用バルブ５を通して外部へ
追出しながら水収容部１ａおよび空気溜部１５内に水を
充満しておき、その後、燃焼装置１０の運転により水か
ら分離された溶存空気槽は空気溜部１５内に形成される
ことになるが、温水注口２は燃焼装置１０の設置面１０
ａとほぼ同等高さ位置にあるため空気溜部１５を最大限
の容積にとることができ、長期間にわたって温水のみを
放熱器１１へ供給し、緩房を行なう。

また、長期間の運転、あるいは空気の迫出し不充分など
によって万一、空気が温水注口２の付近まで溜まると緩
房効果の減少によりそれを検出できるので、空気抜き作
業が行ない得、燃焼装置１０によって直接空気層を加熱
することも阻止できる。

なお、循環ポンプ３に空気が吸込まれたことを検出する
ために放熱器１１の吹出空気温度などを検出する検出器
を設け、この検出器が緩房立上り時に温水温度が所定温
度に上昇するまでの所定時間だけタイマなどによって不
作動となるように構威し、検出器が作動したとき、すな
わち、緩房効果の減少時はこの検出器からの信号によっ
て燃焼装置１０を停止あるいは警報を発するようにして
もよい。

また検出器として水位スイッチを用い、温水の水位を検
出するようにしても同様である。

以上のようにこの考案では、燃焼装置の設置面よりも上
方に空気溜部を形成すると共に温水取出口を燃焼装置の
設置面とほぼ同等高さ位置に設けたことにより水の加熱
時に水分から分離された溶存空気が温水取出口よりも上
方位置で空気溜部に収容されることになり、温水取出口
から空気溜部の空気が温水に混って取出されることがな
い、また、万一、空気溜部に空気量が多くなり空気が温
水に混って取出される状態になっても燃焼室の熱交換面
周囲には温水が存在するので、熱交換面を通して空気層
を加熱するようなことがなく、熱交換面が歪むこともな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来のものの説明図、第３図はこの
考案の一実施例を示す説明図である。 図中、１は缶体、２は温水注口、４は空気抜管、５は空
気抜き用バルブ、６は密閉膨張タンク、１０は燃焼装置
、１５は空気溜部である。 なお、図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に水を収容する缶体、この缶体の上面に設置され、
   燃焼熱を発生させる燃焼装置、この燃焼装置に連なると
   共に上記缶体内に収納され、上記水と燃焼熱との熱交換
   面を有する燃焼室、上記燃焼装置による上記水の加熱時
   に、上記缶体内の圧力上昇を吸収する密閉膨張タンク、
   上記水の加熱時、水から分離された溶存空気を収容する
   空気溜部、この空気溜部に設けられ、上記燃焼装置の運
   転の先立ち、上記缶体および空気溜部へ上記水を充満さ
   せるための空気抜き装置、ならびに上記缶体内の温水を
   取出す温水取出口を備え、上記、空気溜部を上記燃焼装
   置の設置面より上方へ上記缶体を膨出させることにより
   形成すると共に上記温水取出口を上記燃焼装置の設置面
   とほぼ同等高さ位置に設けたことを特徴とする密閉式温
   水ボイラ・