JPS6025002Y2 - バランサを備えたエンジン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はバランサを備えたエンジンにおいて、遠心重
錘式のガバナを構成するウェイトホルダを利用して、こ
れにバランサを形成する事により、エンジンの小形化、
低廉化と構造の簡素化を実現できるようにするものであ
る。

通常がバナ及びバランサはそれぞれ別の回転軸に取付け
られており、バランサギヤの回転数がクランクギヤの２
倍となるように歯数が設定されている。

ところが、これでは軸への取付装置をそれぞれ必要とす
るうえ、各々に動作空間を確保する必要があるため、そ
の構造が複雑となるうえエンジンが大形化してしまうと
いう問題がある。

さらに、従来のガバナ装置は一般にエンジンの出力軸で
あるクランク軸端に固着したクランクギヤに対して噛合
しているカムギヤに取り付けられていた。

ところが、ガバナ装置をカムギヤに関連させて取り付け
た場合には、カムギヤの回転速度がクランクギヤとの歯
数比の関係から比較的低速であるため、ガバナ装置の性
能が充分でなく、特に低速時における速度のばらつきが
大きいという難点を一部していた。

本出願人は上記の欠点を解消するために、バランサのウ
ェイト部の側面に揺動型のフライウェイトを枢着し、こ
れによりガバナのウェイトホルダを省略できるようにし
たもの（実公昭４７−１１２６）を先に提案している。

この考案は上記のものに改良を加え、バランサ及びガバ
ナの占有空間を更に小さくできるようにするものであっ
て、そのためにガバナ装置のウェイトホルダにバランサ
を、フライウェイトの変位領域と干渉しない個所に、フ
ライウェイトの動作空間とバランサの回転空間とが少な
くとも一部でラップする状態に配置したことを特徴とす
る。

以下この考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図はエンジンのガバナ装置の周辺構造を示す要部断
面図、第２図は第１図■−■線矢視図である。

図において、エンジンの固定壁１には平軸受２を介して
クランク軸（回転軸）３が支持されている。

そしてこのクランク軸３の軸端に、クランクギヤ４と遠
心重錘式のガバナ装置Ｇとをそれぞれ装着している。

ガバナ装置Ｇは、クランク軸３の中心に形成した穴５に
進退慴動自在に挿嵌されるスライダ６と、このスライダ
６を進出操作する一対のフライウェイト７と、このフラ
イウェイト７をピン８を介して揺動自在に支持するウェ
イトホルダ９などで構成されている。

第２図及び第３図に示すように、フライウェイト７はス
ライダ６を挾んで対向状に配設されており、これらと直
交する状態で、ウェイトホルダ９をクランク軸３に固定
するボルト１０が設けられている。

このボルト１０はクランクギヤ４の抜止めも兼ねる。

ウェイトホルダ９の側半部には、バランサＢが一体に形
成されている。

このバランサＢは、ウェイトホルダ９の板面に連続して
形成される半月形のウェイト部１１Ａと、このウェイト
部１１Ａから膨出して形成したＣ字形の別ウェイト部１
１Ｂとで構成されている。

第３図に示すように後者のウェイト部１１Ｂは、その回
転空間がフライウェイト７の揺動軌跡（移動軌跡）Ｐが
形成する回転空間（動作空間）とラップする状態に設け
られている。

尚、ガバナ装置Ｇの調速動作は、ガバナレバー１２を介
して図外の燃料噴射ポンプに伝えられる。

図中符号１３はクランクギヤ４で駆動されるタイミング
ギヤである。

以上の構成によれば、フライウェイト７の揺動軌跡Ｐが
形成する回転面内のプツトスペースを利用してバランサ
Ｂを形成する事ができるので、その分だけガバナ装置Ｇ
及びバランサＢをコンパクトにまとめ、その占有空間を
小さくする事ができる。

第４図はフライウェイト７が３個ある場合の変形実施例
を示し、これはフライウェイト７を支持するピン８の支
持ボスを、ウェイト部１１Ｂに兼ねさせるようにしたも
のである。

第５図及び第６図は、上記のバランサＢの適用例を示す
。

第５図は、単気筒エンジンにおいて一次慣性力を消去す
る場合を示し、クランク軸３のカウンタウェイト３ａと
同位相位置にバランサＢを設けるとともに、クランク軸
３の他端に固定したフライホイル１４の、上記カウンタ
ウェイト３ａとは１８０度だけ位相がズした位置の肉壁
に凹部１５を形成し、カウンタウェイト３ａとバランサ
Ｂとフライホイル１４との三者で、ピストン６やコンロ
ッド１７等の慣性力を相殺するようにしたものである。

尚、バランサＢとフライホイル１４の釣合い力は、シリ
ンダ中心に対して等価に設定される。

これではバランサＢとフライホイル１４が負担した釣合
力の分だけ、カウンタウェイト３ａの外形を小さくでき
るので、クランクケースを小形に、又はその壁の肉壁を
薄くして、ケース重量を低減することができる。

第６図は、２気筒エンジンにおいて２次偶力による起振
力を消去する場合を示す。

尚、第５図で説明した部材と均等の部材には同一符号を
付した。

上記以外に、例えばＮ次慣性力による起振力を消去する
場合は、バランサＢをクランク軸３に対してＮ倍に増速
された回転軸に装着するが、この増速された回転軸にガ
バナ装置Ｇを付設した場合には、フライウェイトに作用
する遠心力が著しく増加するので、ガバナ性能が著しく
向上するとともに、フライウェイトの質量が小さい場合
でも安定した出力制御が行なえ、ガバナ装置Ｇを小形化
することができる。

又、この考案の装置は必ずしもフライウェイト７が揺動
式であるものに限らず、例えば傾斜溝とこれに沿って移
動する鋼球とでガバナ力を発生する遠心ボール式のガバ
ナ装置にも適用され、要はガバナ装置が遠心重錘式のも
のでありさえすれば良い。

以上述べたように、本考案ではウェイトホルダにバラン
サを付設するとともに、このバランサをフライウェイト
の変位領域と干渉しない個所で、フライウェイトの動作
空間とバランサの回転空間とが少なくとも一部でラップ
する状態に配置したので、ガバナ装置及びバランサ装置
をコンパクトにまとめて構成することができ、これによ
り同装置の占有空間を小さいものにしてエンジンの小型
化、低廉化及び構造の簡素化を実現することができる。

さらに、ウェイトホルダに２個のフライウェイトを対面
状に配設し、両フライウェイトの一側方にバランサを形
成した場合には、ウェイト重心点及びその遠心方向にウ
ェイトの肉が付いていることから、ウェイトの遠心力が
バランサ力として有効に作用し、バランサを小形に形成
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示し、第１図はエンジンのガ
バナ装置の周辺構造を示す要部断面図、第２図は第１図
■−■線矢視図、第３図は第２図■−■線断面図、第４
図は別の実施例を示す第２図相当の正面図、第５図及び
第６図はそれぞれこの考案のバランサ装置の具体的な適
用例を示す説明図である。 ３・・・・・・回転軸（クランク軸）、Ｇ・・・・・・
ガバナ、Ｂ・・・・・・バランサ、７・・・・・・フラ
イウェイト、９・・・・・・ウェイトホルダ、１１Ａ、
１１Ｂ・・・・・・ウェイト部、Ｐ・・・・・・７の移
動軌跡。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ エンジンの回転軸３に遠心錘式のガバナ装置Ｇのウ
   ェイトホルダ９を固定し、ウェイトホルダ９にフライウ
   ェイト７とバランサＢとを付設し、フライウェイト７の
   変位領域が回転軸３の回りに回転して形成されるフライ
   ウェイト回転空間とバランサＢの回転空間とが少なくと
   も一部でラップする状態となるように、バランサＢをガ
   バナ装置Ｇの乙ライウェイト変位領域と干渉しない箇所
   に配置したことを特徴とするバランサを備えたエンジン ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のバランサを
   備えたエンジンにおいて、ウェイトホルダ９に揺動自在
   に枢支させた２個のフライウェイト７を対面状に配設し
   、両フライウェイト７の一側方にバランサＢを形成した
   もの ３ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のバランサを
   備えたエンジンにおいて、バランサＢをウェイトホルダ
   ９と一体に形成したもの