JPS6024441Y2 - 手動噴霧装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は手動噴霧装置に関するものである。

手動噴霧装置は、家庭用品としてアイロンかけ用霧吹き
器、香水用スプレー等に広く使用されている。

これらの噴霧器の作動原理は根本的にはいづれもポンプ
の原理を利用したものであるが、従来の噴霧器ではポン
プの作動を開始するときに、ポンプ内のシリンダー内に
充分圧力が貯えられないままで最初の噴霧が起こるので
、よ程強い力で急激にピストンを押し下げなければ、最
初に噴霧される霧は大粒のものとなり滴下して床をぬら
す等の欠点があった。

この欠点の克服のために、ポンプシリンダーの出口側の
弁をスプリングの様な弾性体で閉塞して、シリンダーの
内圧が当該スプリングの弾力よりも大きくなった時に初
めて開くようにする方法が知られているが、この方法で
は、シリンダーの内圧が十分高くなり、噴霧が開始され
るまでに相当回数ピストンを往復させなくてはならない
。

さらに、これらの装置は構造が複雑となり、部品数が多
く製造上の困難があるなどの不十分な点が残っている。

ポンプシリンダーの出口側の弁をスプリングの様な弾性
体で閉塞するかわりに、ポンプシリンダー内に出口側の
弁として作動する摺動子管を挿入して、噴霧ヘッド押し
下げによってシリンダー内の圧力が高まった時に摺動子
管がさらに降下して出口側の弁が開放される方法も周知
である（特公昭５ｌ−１１８０４）。

この摺動子管を利用した装置として実開昭５１−１２０
１４が提案されているが、これらの装置は摺動子管の構
造が単純でなく、さらに、摺動子管作動時の吸排気の経
路が長く、複雑であり、従って部品数が多くなるため製
作上の困難が少なくない。

また実開昭５２−０６６２９吋にはポンプシリンダーの
出口側の弁として作動する摺動筒状弁（摺動子管）を使
用する手動噴射装置において、上述の不十分な点を克服
する噴霧開始までのピストン往復回数が少なく、安定し
た噴霧状態が得られ、また、作動弁を含めた弁体等要部
を全てシリンダー内に収納できる、構造の簡単化された
手動噴霧器が開示されている。

より具体的に云えばこの手動噴霧器は吸い上げパイプか
ら噴霧口へ至る通路の途中のハウジング内に、上方の大
径シリンダ一部と下方の小径シリンダーとを設は両シリ
ンダーにまたがった摺動筒状弁を納めた加圧室を設け、
噴霧ボタンの押し下げにより加圧室内容物を圧縮したと
きに、筒状弁がさらに押し下げられて筒状弁上部の止め
弁が解放される構造の手動式噴霧装置において、上方の
大径シリンダーの上部と下部にそれぞれ１個づつ側孔を
設け、シリンダー内の筒状弁に静止状態において大径シ
リンダーの該上部・下部の各側孔の間に配置されるパケ
ットと小径シリンダー内に達する該筒状弁の下端にパケ
ットを設け、さらに該筒状弁内部に下端から上方パケッ
トの上側まで延びた通路と該上方パケットのやや上側に
側孔を設けることにより、筒状弁作動中は大径シリンダ
ー上部の側孔から本噴霧装置外へ通じる吸気路が形成さ
れ、筒状弁が下端に達した時に筒状弁部内の通路、筒状
弁の側孔から大径シリンダー下部の側孔に通じる排気路
が形成されることを特徴としている。

この装置は摺動するパケットが３個あるために、作動ス
テムを押圧するのに可なり力がかかり、使用が軽快でな
い点があった。

本考案は、それらの点を改良した新たな構造を有する手
動噴霧装置を提供するものである。

本考案によれば、吸い上げパイプから噴霧口に至る通路
の途中のハウジング内に、上方の大径シリンダ一部と下
方の小径シリンダ一部とを設は両シリンダーにまたがっ
た摺動筒状弁を納めた加圧室を設け、噴霧ボタンの押し
下げにより加圧室内容物を圧縮したときに、筒状弁がさ
らに押し下げられて筒状弁上部の止め弁が解放される構
造の手動式噴霧装置において：筒状弁がその下端が下向
きのパケットとなってハウジングの小径シリンダ一部と
密接摺動する小径部と、上方の上向きの大径円筒杯状部
であってその中央部Ｉと後記作動ステムの貫通孔を塞ぐ
止め弁を有するものからなり、噴霧ボタンに接続する作
動ステムの下端がピストンとなって前記の筒状弁の大径
円筒杯状部の内面に受は入れられて密接摺動し、また該
筒状弁は小径部に側孔を有し、その側孔を塞ぐように環
状弾性体が嵌合されており、またハウジングは大径シリ
ンダ一部と小径シリンダ一部の間にテーパ一部を有し、
小径シリンダ一部は、筒状弁が最上位置にある場合でも
その下端パケットより高い位置に側孔を有し、ハウジン
グの大径シリンダ一部と前記の大径円筒杯状部との間に
はクリアランスがあり、また作動ステムとハウジングの
上端とは筒状弁が最高位置にある時に気密に接触するよ
うになっており、筒状弁が最下位に押し下げられた時に
前記環状断性体が撓んでシリンダー内から容器内への通
路を生ずるように構成されていることを特徴とする装置
で提供される。

次に図面を参照してその好適実施態様について本考案を
説明する。

第１図は本考案の装置好適実施態様の静止状態の断面図
である。

装置全体を容器に固定するキャップをかねた弁ボデイ−
１；該弁ボデイーによってガスケット８を介して容器（
図示されず）に固定される、上方が大径シリンダー２ｇ
となり２ｅは固定のためのフランジ）下方が小径シリン
ダー２ｈとなり、小径シリンダ一部の上側に側孔２ａを
有するハウジング２；上部パケット体４と下部パケット
体５よりなる摺動筒状弁４＋５であって、上部パケット
体の小径部４ａに側孔４ｄを有し、上方が上向きの大径
円筒杯状部４ｂであってその中央部に後記作動ステムの
貫通孔を塞ぐ止め弁４ｃを通路４ａを有するもの；噴霧
ボタン１０に接続する作動ステム３であってその下端が
ピストン３ａとなって前記筒状弁の大径円筒杯状部４ｂ
の内面に受は入れられて密接摺動するもの；前記筒状弁
の側孔４ｄを塞ぐように嵌合された環状弾性体１３；ハ
ウジングの小径シリンダ一部２ｈに収納されて筒状弁を
押し上げるスプリング６；小径シリンダ一部２ｈに底部
に配置されたボール弁７；弁ボデイ−１の上端部と作動
ステムを気密に密着させるためのＯ−リング１２からな
っている。

弁ボデイ−１の作動ステム３や大径円筒杯状部４ｂを容
れる部分はハウジング２の大径シリンダ一部２ｇの１部
を構成するように形成されているが、この部分はハウジ
ング自体として構成されてもよく、また必ずしもこれと
同径である必要はなく、また大径シリンダ一部２ｇと同
様に筒状弁の大径円筒杯状部４ｂとの間にはクリアラン
スを有する。

弁ボデイ−１の上端は反転部１ａとなって、作動ステム
３の基部に設けられた円周溝３ｄと対応し、そこにＯ−
リング１２を保持して、作動ステムが最上位にある時は
このＯ−リングによって密閉が遠戚される。

（これによって静止時には転倒しても内容液がこぼれな
い。

）しかし作動ステム３と弁ボディーの反転部１ａの間に
はクリアランスがある。

摺動筒状弁４＋５は製造や組立ての便利さからは部分４
と５より構成することが有利であるが、一体に形成して
もよい。

弁ボディーの形状も図示のものに限られるわけではない
。

ボディーの上部と作動ステム３を密着させる手段をＯ−
リング１２に限らない。

作動ステムには既知の噴霧ボタンが結合され、例えばい
わゆるメカニカルブレイクアップ噴口が取りつけられる
が、これらは当業界に周知であるから詳細には述べない
。

第２図は作動ステム３（噴霧ボタン１０と一体）を、従
って摺動筒状弁４＋５をも押し下げた状態を示す。

この状態では、筒状弁の大径円筒杯状部４ｂはハウジン
グの大径シリンダ一部２ｇの下端まで押し下げられて、
環状弾性体１３はノ＼ウジングのテーパ一部２ｂによっ
て撓められて筒状弁の側孔４ｄを開き、ハウジングの側
孔２ａを介して、ハウジングシリンダーから容器内への
通路が開かれる。

このことは、シリンダー内にあった空気を容器内に排出
して速やかに噴霧されるべき液体をシリンダー内に導き
入れることを意味する。

ボタン１０に加えられた押圧力が解除されると筒状弁４
＋５を作動ステム３は直ちに上昇に開示する。

すると環状弾性体１３は復元し、筒状弁の側孔４ｄは閉
じるが、ステムと弁ボディーの間と、大径円筒杯状部４
ｂと弁ボディーおよびハウジング大径シリンダ一部との
間とのクリアランスによって補償空気侵入の通路が開か
れる。

第３図は筒状弁の大径円筒杯状部４ｂの内面を上からみ
た平面図であるが、第１，２図に立面の断面図で示され
る流路４ｅと止め弁４ｃの構造をよりよく理解させよう
。

ステムが何回か上下されると、ハウジングのシリンダー
内にあった空気は排出され、代りに噴霧されるべき液体
が入って来る。

液体はシリンダーから筒状弁の流路４ｅを通って大径円
筒杯状部４ｂと作動ステム３の間の空間に入り来る。

こうなると水圧器の原理が働いて摺動筒状弁４＋５は作
動ステム３に対して相対的に下降し、かくて止め弁４ｃ
は開かれて液体の噴霧が起るのである。

（水圧器の原理は理論的には気体に対しても働くが、確
実でない。

この原理は特公昭５１−１１８０４に詳細に説明されて
いる。

）本考案の上に説明した以外の部分、例えば弁ボディー
の容器への取りつけ、吸い上げパイプ等は既知事項に属
するから詳細には述べない。

また本考案の装置は既知の技術と材料によって当業者が
容易に製造できるからこれらの点について詳細に述べる
必要もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置に好適実施態様の静止状態の断面
図である。 第２図は第１図に示す装置の作動状態を示す断面図であ
る。 第３図は第１，２図に示す装置に使用される摺動筒状弁
の一部を示す平面図である。 これらの図において、４＋５：摺動筒状弁、２：ハウジ
ング、２ｇ：大径シリンダ一部、２ｈ：小径シリンダ一
部、３：作動ステム、１３：環状弾性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸い上げパイプから噴霧口に至る通路の途中のハウジン
   グ内に、上方の大径シリンダ一部と下方の小径シリンダ
   一部とを設は両シリンダーにまたがった摺動筒状弁を納
   めた加圧室を設け、噴霧ボタンの押し下げにより加圧室
   内容物を圧縮したときに、筒状弁がさらに押し下げられ
   て筒状弁上部の止め弁が解放される構造の手動噴霧装置
   において二筒状弁がその下端が下向きのパケットとなっ
   てハウジングの小径シリンダ一部と密接摺動する小径部
   と、上方の上向きの大径円筒杯状部であってその中央部
   に後記作動ステムの貫通孔を塞ぐ止め弁を有するものか
   らなり、噴霧ボタンに接続する作動ステムの下端がピス
   トンとなって前記の筒状弁の大径円筒杯状部の内面に受
   は入れられて密接摺動し、また該筒状弁は小径部に側孔
   を有し、その側孔を塞ぐように環状弾性体が嵌合されて
   おり、またハウジングは大径シリンダ一部と小径シリン
   ダ一部の間にテーパ一部を有し、小径シリンダ一部は、
   筒状弁が最上位置にある場合でもその下端パケットより
   高い位置に側孔を有し、ノ＼ウジングの大径シリンダ一
   部と前記の大径円筒杯状部との間にはクリアランスがあ
   り、また作動ステムとハウジングの上端とは筒状弁が最
   高位置にある時に気密に接触するようになっており、筒
   状弁が最下位に押し下げられた時に前記環状断性体が撓
   んでシリンダー内から容器内への通路を生ずるように樹
   皮されていることを特徴とする装置。