JPS6018602Y2 - 分配型燃料噴射ポンプ用タイマ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は分配型燃料噴射ポンプのタイマの構造に関する
ものである。

分配型燃料噴射ポンプの噴射タイミングを調節するため
に用いられている従来のタイマは、例えば特開昭５４−
１６３２２４号公報に第２図及び本願の第１図に示すよ
うに、ポンプ１のケーシング２に形成されたピストン室
内にタイマピストン３が収納されて成り、このタイマピ
ストン３は、その左側面に形成されたくぼみ４とピスト
ン室の左側壁５との間に介装された弾発ばね６により、
右手方向に向けてバイアスされている。

そして、タイマピストン３の右側方に形成されている高
圧室７には、タイマピストン３内に形成されたオリフィ
ス８を介してポンプ内の加圧燃料が作動流体として供給
されており、ばね６が収納されている低圧室９と該高圧
室７とを連通ずる連通路１０の途中には電磁弁１１が設
けられている。

この電磁弁１１は、図示しない制御回路により開閉制御
され、これにより、高圧室７内の加圧燃料を燃料供給ポ
ンプ（図示せず）の低圧側に連通している低圧室９に逃
がす量が制御され、高圧室７の圧力が調節される。

従って、タイマピストン３は、ばね６のばね力と高圧室
７内の圧力とが平衡して位置に位置決めされ、タイマピ
ストン３にロッド１２を介して連結されているローラホ
ルダ１３の回動位置を調節し、これにより噴射タイミン
グを調節するようになっている。

ところで、この従来のタイマにおいては、燃料中に混入
しているゴミが電磁弁１１の付近の通路中又はその他の
狭隘な箇所に詰まり、上述のタイミング調節動作に支障
を生じさせることがないように、電磁弁１１の弁体１４
の回りにゴミフィルタ１５が設けられている。

しかし、このゴミフィルタ１５は面積が小さいため、目
づまりを起し易く、従って、電磁弁１５を開閉作動せし
めても、ゴミフィルタ１５の目づまりのために高圧室７
内の圧力を所定値に設定することができない場合が生じ
るという問題点を有している。

この結果、特に、オーブンループの制御方式を採用する
場合にあっては、制御された位置を検出しないので、極
めて不都合な結果となる。

本考案の目的は、従って、上述のフィルタの目づまりに
よる不具合いを解消することができる、分配型燃料噴射
ポンプ用の改良されたタイマ装置を提供することにある
。

以下、図示の実施例により本考案を詳細に説明する。

第２図には、本考案による改良されたタイマの一実施例
が示されている。

このタイマ２０は、燃料噴射ポンプのローラホルダ２１
の回転位置を調節腰これにより燃料噴射タイミングを所
望の値に制御するための装置であり、ロッド２２を介し
てローラホルダ２１に連結されるタイマピストン２３を
備えている。

タイマピストン２３は、噴射ポンプのカム室の壁体２４
とブロック２５とにより形成されるピストン室２６内に
その軸線方向に移動可能に収納されており、一端がロー
ラホルダ２１に固着されているロッド２２の他端は、壁
体２４に形成された孔２７を介してピストン室２６内に
突出しており、タイマピストン２３と関節継手接続され
ている。

これにより、後で詳しく述べるようにしてタイマピスト
ン２３がその軸線方向に移動すると、ロッド２２がドラ
イブシャフト２８を中心にタイマピストン２３の移動量
に応じて回動し、ローラホルダ２１を回動せしめ、噴射
タイミングの調節を行なうことができる。

タイマピストン２３の左側に形成され、通路２９により
燃料加圧ポンプ（図示せず）の低圧側に連通されている
低圧室３０内には、弾発ばね３１が設けられており、こ
のばね３１によりタイマピストン２３は右手方向にばね
付勢されている。

一方、タイマピストン２３の右側に形成される高圧室３
２は、タイマピストン２３内に形成されたオリフィス３
３により、ローラホルダ２１が収納されているカム室に
連通されており、前述の燃料加圧ポンプによってカム室
内に供給される加圧燃料が該オリフィス３３を介して高
圧室３２に作動流体として供給される。

ここで、符号３４で示されるのは、高圧室３２を形成す
るための蓋であり、壁体２４及びブロック２５にねじ止
め等適宜の手段により液密に固着されている。

ブロック２５には、通路３５．３６が形成されており、
これらの各一端は、高圧室３２及び低圧室３０に夫々開
口し、各他端は電磁弁３７を介して連通されるようにな
っている。

電磁弁３７は図示しない制御回路により開閉制御され、
電磁弁３７が開かれると、高圧室３２内の高圧燃料が通
路３５．３６を介して低圧室３０に逃げ、通路２９を介
して燃料加圧ポンプの低圧側に戻されるので、高圧室３
２内の圧力は低下し、一方、電磁弁３７が閉じられると
、高圧室３２内の圧力はカム室内の圧力を同一の圧力に
まで高まる。

従って、電磁弁３７の開閉状態を制御することにより高
圧室３２内の圧力を所望の圧力に設定することができる
。

タイマピストン２３はばね３１によす右手方向に付勢さ
れると同時に、高圧室３２内の圧力により左手方向に押
圧されており、ばね３１のばね力と上述の如くして調圧
された高圧室３２内の圧力とが平衡する位置にタイマピ
ストン２３は位置決めされる。

即ち、電磁弁３７の開閉操作により設定された高圧室３
２内の圧力に従って噴射タイミングが設定される。

タイマ２０に供給される燃料中のゴミが電磁弁３７の近
傍の油通路内又はその他の狭隘な通路中に詰まり、噴射
タイミングの調節動作に支障を与えることがないように
、高圧室３２内には、ゴミフィルタ３８が設けられてい
る。

ゴミフィルタ３８は、タイマピストン２３の右側端部に
形成されたへこみ３９内に収納され、へこみ３９の周壁
３９ａにゴミフィルタ３８の周縁がすき間なく密着する
ように取付けられている。

この結果、オリフィス３３を介して高圧室３２内に流入
する燃料は、該ゴミフィルタ３８によりろ過され、しか
る後、通路３５．３６を介して低圧室３０に送られるこ
とになる。

従って、燃料中に含まれるゴミは、へこみ３９とフィル
タ３８により仕切られて成る集塵室４０内に溜められ、
通路３５に入ることはない。

尚、符号４１で示されるのは、ゴミフィルタ３８でろ過
されたゴミを溜めておく、ゴミ溜り部である。

ゴミフィルタ３８のタイマピストン２３への装着構造は
、例えば、第３図に示すように、周壁３９ａにゴミフィ
ルタ３８の周縁に相応した環状溝４２を設け、適宜のシ
ール部材４３を介してコミフィルタ３８を該環状溝４１
内に嵌め込むようにすることができる。

このような構成によると、第１図に示した従来の構造に
比べ、ゴミフィルタ３８の面積を広くすることが可能で
あるから、ろ過能力が向上腰ゴミフィルタ３８の目づ゛
まりが起きに＜＜、また、タイマ２０の作動中は、タイ
マピストン２３は常時微動しているので、ゴミフィルタ
３８によりろ過されて付着したゴミのほとんどが下方に
落下してしまうという、自己浄化機能を備えている。

更に、タイマピストン２３の一部をくり抜いてゴミフィ
ルタを装着するので、タイマピストン２３の設計変更だ
けで済み、従って、従来のタイマにも極めて簡単に本考
案を適用することができる利点を有している。

更に、ゴミフィルタ３８は、Ｍ３４を外すことにより容
易に取出すことができるので、フィルタの清掃が容易に
行なえるという利点も有している。

尚、上記では、タイマピストン２３の一部をくり抜いて
形成されたへこみ内にオリフィス３３の端部が開口する
ように構成したが、オリ・、フイス３３の高圧室開口端
部を太径にし、この大径部にゴミフィルタを装着するよ
うにしてもよい。

第４図には、第２図に示したタイマの実施例の変形例が
示されている。

この変形例においては、フィルタ３８は、環状リング５
０に第３図に示したのと同様の構成で取付けられており
、この環状リング５０が高圧室３２の周壁に適宜の手段
で嵌め合されることにより、高圧室３２内に装着されて
いる。

そして、高圧室３２と電磁弁３７とを連通させる通路５
１の高圧室側の開口は、フィルタ３８と蓋３４との間に
設けられており、燃料中に含まれるゴミは、フィルタ３
８により取除かれ、ろ過された燃料が通路５１に流入す
ることになる。

この場合においてもフィルタ３８の面積を大きくするこ
とができるので、フィルタの目づ゛まりが起きにくい上
にフィルタの清掃が簡単となり、コミの影響を受けずに
長時間に亘って所期のタイマ動作を正確に実行すること
ができる。

本考案によれば、上述の如く、フィルタを高圧室内に設
けるようにしたので、燃料中に含まれるゴミをろ過する
ためのフィルタの面積を充分に広くとることができる上
にフィルタの取外しが従来に比べて容易であり、清掃を
簡単に行なうことができる。

従って、従来問題とされてきたフィルタの目づまりによ
る高圧室内の圧力調節動作不良を有効に防止することが
でき、所定の性能を長期間に亘って維持することが可能
となり、オーブンループによる制御系によっても高精度
にて噴射タイミングの制御を安定に行なえる。

この結果、制御系に高価な閉ループ方式のものを使用す
る必要がなくなり、安価で高検なタイマ装置を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のタイマの構成を示す断面図、第２図は本
考案によるタイマの一実施例を示す断面図、第３図は第
２図に示した装置のフィルタの取付部を詳細に示す要部
拡大詳細断面図、第４図は第２図に示した実施例の変形
例を示す要部拡大断面図である。 ２０・・・・・・タイマ、２１・・・・・・ローラホル
ダ、２３・・・・・・タイマピストン、２５・・・・・
・ブロック、２６・・・・・ゼストン室、３０・・・・
・・低圧室、３１・・・・・・弾発ばね、３２・・・・
・・高圧室、３３・・・・・・オリフィス、３５．３６
・・・・・・通路、３７・・・・・・電磁弁、３８・・
・・・・フィルタ、３９・・・・・・へこみ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 分配型燃料噴射ポンプの噴射タイミング調節部材に
   連結されたタイマピストンと、該タイマピストンの一端
   側に形成された低圧室と、該タイマピストンの他端側に
   形成された高圧室と、該高圧室内に該タイマピストンの
   他端面に作用する加圧作用流体を供給する第１通路と、
   前記低圧室内に設けられ前記タイマピストンを高圧室側
   に向けたばね付勢するばね手段と、前記高圧室と前記低
   圧室とを連通ずる第２通路と、前記高圧室内の作動流体
   の圧力を調節するため該第２通路中に設けられた弁手段
   とを備え、該弁手段を開閉制御することにより噴射タイ
   ミングの調節を行なうようにした分配型燃料噴射ポンプ
   用タイマにおいて、前記第１及び第２通路の前記高圧室
   側の開口端の間にゴミ除去用のフィルタが設けられてい
   ることを特徴とする分配型燃料噴射ポンプ用タイマ。 ２ 前記第１通路が、前記高圧室と前記燃料噴射ポンプ
   のカム室内とを連通ずるように前記タイマピストン内に
   形成されたオリフィスであることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の分配型燃料噴射ポンプ用タ
   イマ。 ３ 前記タイマピストンの他端面にくぼみが形成され、
   前記オリフィスの高圧室側開口は該くぼみ内の壁面に形
   成されると共に、前記フィルタが該くぼみ内に装着され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第２項
   記載の分配型燃料噴射ポンプ用タイマ。 ４ 前記オリフィスの高圧室側開口端が大径に形成され
   ており、前記フィルタが該大径部に装着されていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第２項記載の分配
   型燃料噴射ポンプ用タイマ。