JPS60174853A - 自己潤滑性を有する耐摩耗性部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は優れた自己潤滑性および耐摩耗性を有する鉄系
焼結合金に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

従来、摺接部を有する機械部品を形成する合金材料とし
て、機械部品の摺接部の摩耗を抑制するために、焼入れ
、浸炭、窒化などの処理により合金表面を硬化して耐摩
耗性をもたせたものが用いられている。また、例えばロ
ータリコンプレッサのシリンダやロータには、ホウ素す
どの元素を加えて表面を硬化させたミーノ１ナイト鋳鉄
が用いられている。

しかし、摺接部を有する機械部品の摩耗を抑制するため
には、単に合金表面を硬化させるだけでは不充分で１合
金に優れた自己潤滑性を併せてもたせることにより、そ
の潤滑作用で充分に摩耗を抑制することができる。

このため、二硫化モリブデン、硫黄、鉛などの潤滑成分
を分散させた焼結合金が用いられている。しかしながら
、この焼結合金は、その焼結時に潤滑成分が焼結時に分
解、消失、あるいは脱落したりして、所期の性能を得る
ことが困錐である。しかも、この焼結合金付表面の硬化
という点でも不充分である。

従って、耐摩耗性に加えて優れた自己潤滑性を有する合
金材料の開発が要望されていた。

〔発明の目的〕

本発明は前記事情に基づいてなされたもので、優れた自
己潤滑性と耐摩耗性を有する焼結合金を提供するもので
ある。

〔発明の概要〕

本発明の焼結合金は、重量比でクロム３〜１０チ、黒鉛
１．０〜５チおよび残りが不可避不純物と鉄からなり、
実質的に焼戻しマルテンサイトからなる基地組織中に、
金属炭化物、金属酸化物および遊離黒鉛が分散してなる
ものである。

また、重量比でクロム３〜１０気黒鉛１〜５チおよびモ
リブデン０．３〜５％、バナジウム０．２〜１．５％、
タングステン０．３〜３チ、ニッケル０．５〜５チ、銅
０．５〜５％を単独または複合で含有し、残りが実質的
に鉄からなるものである。

本発明の焼結合金は、基地組織が、実質的に焼戻しマル
テンサイト（一部フエライト相当）からなる硬さと靭性
な合わせ備えたもので形成されている。この基地組織中
には硬さの高い金属炭化物が存在する。従って、本発明
の焼結合金は、表面が非常に硬く優れた耐摩耗性を有し
　−ている、また１本発明の焼結合金は、水蒸気処理に
より基地組織中の空孔の内部に生成された金属酸化物が
、前記空孔を封孔する。このため。

空孔に潤滑油を溜めることができ、保油性を高めること
ができる。なお、金属酸化物は耐凝着性も有する。さら
に、基地組織中に遊離黒鉛が分散して生成され、この遊
離黒鉛が固体潤滑剤として潤滑性を高めている。従って
、本発明の焼結合金は、金属酸化物による保油性と固体
潤滑剤の遊離黒鉛の両方によって自己潤滑性を高めてい
る。すなわち、本発明の焼結合金で構成した機械部品は
、潤滑油が供給されている時には潤滑油を保持ざ良好に
潤滑を行ない、潤滑油が切れた場合でも遊離黒鉛により
潤滑作用な維持することできる。このようにして本発明
の焼結合金は、耐摩耗性と自己潤滑性との級合せにより
、他の部品が摺接する摺接面における摩耗を充分抑制で
きる。なお、金属酸化物が空孔を封止することにより、
焼結合金に気密性を与えることができる。

本発明の焼結合金は、クロム、黒鉛、鉄を所定割合で構
成するものである。クロムは、焼結過程で黒鉛の一部と
結合して炭化物を分散生成し、他は基地に固溶して焼入
性を高め、焼結後の空冷で硬いマルテンサイトの生成を
可能にするとともに、水蒸気処理時におけるマルテンサ
イト基地の焼戻し軟化を連帯させる効果を有する。クロ
ムは３％以上で充分な効果を示し、この効果は％１０％
迄加工性を損ねることなく維持される。好ましくは３．
５〜８ｔｓである。

黒鉛は、焼結過程で一部がクロムと結合して炭化物を分
散生成し、他の部分は基地に固溶して焼結時の冷却過程
でマルテンサイトを生成する。更に黒鉛の一部は、基地
中に遊離黒鉛として分散して生成することにより固体潤
滑剤として作用する。黒鉛は１チ以上で上記の効果をも
たらし、この効果は５チ迄脆化をもたらすことなく維持
できる。好ましくは１．５〜４チである。

なお、黒鉛の粉末粒度は−３２５メツシユ程度の細粒の
ものと遊離黒鉛のための一１００メツシュ程度のものを
適宜配合する。

なお、遊離黒鉛は５〜４０容ｆｉ％の範囲で存在するこ
とが潤滑性を向−ヒさせるために好ましい。

本発明の焼結合金に、モリブデン、バナジウム、タング
ステン、ニッケル、銅を単独または複合で添加するとさ
らに好ましい。

モリブデンは、一部が炭化物中に入るとともに、他の部
分が基地に固溶して焼入れ性を高め、且つマルテンサイ
トの生成に寄与するとともに、マルテンサイトの焼戻し
軟化を遅滞させる。モリブデンは０．３４未満であると
効果が得られず、５チを越えてもそれに見合った利点が
得られない。

バナジウムは、モリブデンと同様の効果な有し、クロム
、モリブデンと相俟って耐摩耗性の向上に寄与する。バ
ナジウムは０．２−未満では効果がなく、１．５チを越
木−ると焼入性を損なう。

タングステンは、一部が炭化物を生成するとともにマル
テンサイトの焼戻し軟化を遅滞させる効果を有している
。タングステンは０．３未満では効果がなく、３％’Ｙ
越えると靭性を損ねる。

銅は基地の強さを高め、ニッケルは基地の強さとともに
靭性を高める効果を有するが、いずれも０．５４未満で
は効果がなく、５チを越えると銅の場合合金の寸法精度
を低下させ、ニッケルの場合硬さが低下する。

本発明の焼結合金を製造する場合には、クロム粉末、黒
鉛粉末を、また必要に応じて他の金属粉末を添加して混
合してなる原料粉末を加圧して成形体を成形し、この成
形体を焼結して冷却する。次いで得られた焼結体を水蒸
気処理する。

本発明の焼結合金は、クロム、モリブデン、タングステ
ン、バナジウムと黒鉛の一部により、焼結時に、耐摩耗
性の高い硬い炭化物を生成析出するとともに、基地中に
固溶したクロム、モリブデン、バナジウムにより通常の
冷却速度すなわち空冷速度でも基地が十分にマルテンサ
イトとなる。また、焼結時に粉末粒度の大なる黒鉛が基
地中に分散して遊離黒鉛を生成析出する。

なお、遊離黒鉛を生ずるために、焼結温度を余り高くし
ないことが肝要である。従って、焼結体はマルテンサイ
ト基地と、この基地中に分散する金属炭化物および遊離
黒鉛で構成される。

次いで、焼結体を水蒸気処理すると、焼結体の空孔部分
に新たに金属酸化物が生成されて、基地中に分散する。

なお、水蒸気処理時に、焼結体の基地に固溶したクロム
、モリブデン、バナジウム、タングステンにより基地の
焼戻しによる軟化が遅滞され、基地の強靭な特性を維持
できる。

本発明の焼結合金は、耐摩耗性および潤滑性を要求され
る機械部品、すなわち摺接面を有する機械部品に適用す
る。例えば、第１図で示すように冷蔵庫などに用いられ
るロータリコングレツサの構成部品に適用する。図中１
はシリンダ、２はロータ、３はベーンである。シリン１
１の内周面およびベーン３が挿通する孔１ａと、ロータ
２の外周面と、ベーン３の側面が摺接面となり、夫々耐
摩耗性と潤滑性が要求される。

なお、シリンダー１とべ一７３、シリンダー１とロータ
２の各摺接面間には潤滑油が供給されるが不充分となり
やすい。このため、シリンダ１、ロータ２およびベーン
３を本発明の焼結合金で形成すると効果的である。

なお、シリンダ１、ロータ２およびベーン３は気密性を
要求されるが１本発明の焼結合金は金属酸化物が空孔を
封じて気密性を有しているので問題がない。

〔発明の実施例〕

本発明の実施例について説明する。

重量比で粒度−３２５メツシユの黒鉛粉末０．５〜３チ
及び、粒度−１００メツシユの黒鉛粉末０．８〜２％、
粒度−１００メツシユのステンレス鋼４１０（ト）粉末
５〜５０チ、残り粒度−１００メツシユの低合金鋼粉末
（Ｆ　ｅ−Ｎ　ｉ　−Ｃｕ−Ｍｏ　）にステアリン酸亜
鉛約１チを添加し、Ｖミキサにて１０〜４０分混合して
混合粉末を得た。なお、ステンレス鋼４１０（ｕ粉末は
、クロム１１．０〜１３．５チ、Ｍ　ｎ　１　％以下、
Ｓｉ１％以下その信実質的に鉄で構成される。次いで、
この混合粉末を釣れた成形体を露点−２０℃以下の高純
度水素雰囲気中、焼結温度１０５０〜１１５０℃、１５
〜４５分で焼結した。その後に得られた焼結体に、過飽
和水蒸気中にて蒸気圧約２に９／ｃＩＩ、温度約６００
℃、時間３時間の条件で水蒸気処理を施した。そして、
この焼結体に対して次のような耐摩耗試験を行なった。

回転するリング片（ＳＣＭ−ｓ１浸炭焼人材）を焼結体
と組合せ。

２５ゆの荷重をかけてすべり速度３　ｍ　／　ｍｉ　ｎ
で２時間の試験を行なった（潤滑条件：試験前に油を薄
く塗布し、その後は油を供給しない境界潤滑条件）、比
較材として５ＵＪ−２鋼（試料Ａ　）　、　Ｆｅ−１，
７Ｎｉ−１，５Ｃｕ−０，５Ｍｏ−１，２Ｃで水蒸気処
理を施こした焼結体（試料Ｂ）及び金属酸化物及び金属
炭化を含む焼戻しマルテンサイトでなるＦｅ−Ｃｒ−Ｃ
焼結体（試料Ｃ）を用いて同じ試験を行なった。その結
果、摩耗量は。

試料Ｂを基準にすると本発明のものは約半分の摩耗量で
あった。

なお、試料Ａは試料Ｂより摩耗量はやや大であり、試料
Ｃはやや少であった。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、耐摩耗性と自己潤
滑性に優れ、摩耗が大変小さな鉄系の焼結合金を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の焼結合金の用途例の一例であるロータリ
コングレツサを示す断面図である。 １・・・シリンダ、２・・・ロータリ、！”・ベーン。 出願人代理人　弁理士　鈴江　武　彦

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）重量比でクロム３〜ｉｏｎ、黒鉛１〜５チおよび
   不可避不純物と鉄からなり、実質的に焼戻しマルテンサ
   イトからなる基地組織中に。 金属炭化物、金属酸化物および遊離黒鉛が分散してなる
   ことを特徴とする焼結合金。
2. （２）重量比でクロム３〜１０チ、黒鉛１〜５チおよび
   モリブデン０．３〜５％、ノ々ナジウム０．２〜１．５
   １ｓ％タングステン０．３〜３チ、ニッケル０．５〜５
   俤、銅０．５〜５チを単独または複合で含有し、残りが
   不可避不純物と鉄からなり、実質的に焼戻しマルテンサ
   イトからなる基地組織中に、金属炭化物、金属酸化物お
   よび遊離黒鉛が分散してなることを特徴とする焼結合金
   。