JPH04165052A

JPH04165052A - 焼結耐摩耗部材

Info

Publication number: JPH04165052A
Application number: JP29116290A
Authority: JP
Inventors: Shuji Matsumoto; 修二松本; Kunpei Kobayashi; 薫平小林; Tsutomu Morioka; 勉森岡
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1990-10-29
Filing date: 1990-10-29
Publication date: 1992-06-10

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】［発明の目的］（産業上の利用分野）本発明は、圧縮機のベーン用部材等に適した焼結耐摩耗
部材に関する。

（従来の技術）液体や気体の圧縮機、例えばロータリーコンプレッサや
ベーンポンプ等に用いられているベーンは、従来、ＪＩ
Ｓ　ＳＫ材、Ａｌ５Ｉ　６１５０のバネ用材、ＪＩＳ　
ＳＫＨ材のような高速度工具鋼等によって形成されたも
のが一般的であった。しかし、近年、圧縮機への圧縮比
の増大や高速回転化の要求が強まっており、圧縮機の長
寿命化を達成する上でベーンの耐摩耗性をさらに向上さ
せることが強く望まれている。

一方、最近の空調機器は運転開始直後に急速に冷房や暖
房ができる仕様のものが増加しており、運転開始直後か
ら実運転か可能な程度の圧縮比を実現するために、圧縮
機には運転当初から高速運転が要求されている。このた
め、圧縮機のベーンは通常運転時の耐摩耗性とともに、
ケーシングやロータ等との初期摺動特性を向上させるこ
とが必要になってきている。つまり、単に耐摩耗性だけ
を向上させたベーンでは、運転初期にロータ等と焼付け
を起こしてしまうためである。

このように、最近のベーン等に使用される耐摩耗部材に
は、耐摩耗性に富みなから摺動特性にも優れるという、
通常相反する特性を満たすことが要求されている。

そこで、基地自体の硬度を高めるとともに、摺動特性を
向上させたベーンとして、Ｃｓ　Ｓ１％　Ｃｒ、Ｗ”２
Ｍｏ　ｓ　Ｖ　ｓ　ＣＯ５ＭｎおよびＳを含み残部がＦ
ｅの組成を有する焼結合金からなり、基地中に分散して
存在するＭ６Ｃ型およびＭＣ型の炭化物によって耐摩耗
性を向上させ、かつ焼結体内に存在する空孔や基地中に
分散して存在させた硫化物系介在物、特にＭｎＳによっ
て潤滑性を高めたベーンが提案されている（特開昭６１
−２４３１５５号公報参照）。

（発明が解決しようとする課題）上述したベーンは、従来の高速度工具鋼等で形成したも
のに比べて、耐摩耗性以外に摺動特性にも優れるもので
ある。しかし、耐摩耗性向上のために分散析出させた肛
型結晶構造を有する金属炭化物は、非常に硬く耐摩耗性
の向上には効果を発揮する半面、この硬さがケーシング
やロータ等に対する切削力を著しく高め、焼付き等の原
因になるという問題があった。

また、摺動特性向上物質として基地中に硫化物系介在物
（ＭｎＳ）を存在させるために、以下に示すような問題
があった。すなわち、基地中に存在させるＭｎＳ等の硫
化物は、溶湯中にＭｎおよびＳを添加して所定の組成の
予備合金粉末を作製し、この予備合金粉末を用いて焼結
体を作製し、その後の焼入れ、焼戻し等の熱処理によっ
てＭｎＳを析出させることによって得ている。しかし、
予備合金粉末中に添加された財は、その量が多くなると
焼結性を低下させ、焼結体の強度を低下させる要因とな
っている。また、ＳはＭｎＳとして析出させるものであ
るが、Ｓが残存すると焼結合金の脆化要因となり、強度
の低下を招いてしまう。

このように上述したベーンは、耐摩耗性を向上させるこ
とによって、切削力が強まりすぎて焼付き等が発生しや
すく、また摺動特性を向上させるために添加したＭｎお
よびＳによって、焼結体自体の強度の低下を招く恐れが
あった。そこで、さらに耐摩耗性および摺動特性の双方
を他の特性を低下させることなく向上させた、ベーン材
等として用いられる耐摩耗部材の出現が強く望まれてい
る。

本発明は、このような課題に対処するためになされたも
ので、例えば圧縮機のベーン等として実用上充分な耐摩
耗性を付与するとともに、摺動特性を高め、相手材に対
する攻撃性を弱めて焼付き等の発生を防止した焼結耐摩
耗部材を提供することを目的としている。

［発明の構成コ（課題を解決するための手段）すなわち本発明の焼結耐摩耗部材は、重量比でＣ０１７
％〜２．０％、Ｓｉ　０．１％〜１．５％、Ｃｒ　２．
５％〜７．０％、Ｗ　１．０％以下、Ｍｏ　５．０Ｘ　
〜２０．０％　、Ｖ　１．０％以下、Ｃｏ　１．０％以
下、Ｍｎ　０．５％未満、ｓ　ｏ、ｏａ％以下を含有し
、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる組成を有し
、かつ金属組織が焼戻マルテンサイト組織を有すると共
に、その内部に金属炭化物が分散析出している焼結体で
あって、前記金属炭化物中の肛型結晶構造で示される炭
化物が、面積比で全炭化物量の１０％以下であることを
特徴とじており、これによって耐摩耗性と摺動特性の双
方を満足させたものである。

本発明の焼結耐摩耗部材となる焼結体は、焼戻マルテン
サイト組織を有し、この基地中には金属炭化物がほぼ均
一に分散して析出しているものである。この金属炭化物
は、肛型結晶構造を示すものとＭ２　Ｃ型結晶構造を示
すものとを主とするが、本発明は肛型結晶構造を示す金
属炭化物を面積比で全炭化物量の１０％以下としたこと
を特徴としている。ＭＣ型結晶構造を示す金属炭化物は
、非常に硬く耐摩耗性の向上には効果を発揮するが、切
削力が大きいために相手材に対する攻撃性を強めてしま
う。そこで、本発明ではＭＣ型の金属炭化物を形成する
νおよびＶを必要最小量とし、主としてＭ２　Ｃ型の金
属炭化物を形成するＭｏによって耐摩耗性を付与したも
のである。

これら金属炭化物は、任意の断面内において面積比で測
定され、ＭＣ型の金属炭化物はこのうちの１０％以下の
範囲である。金属炭化物の量が２％を超えると摺動特性
に悪影響を及ぼす。そして、これらの内のＭＣ型の金属
炭化物が１０％を超えると著しく切削力が高まり、摺動
特性が低下して、例えば圧縮機用ベーン等として使用す
る際に、焼付き等の発生原因となる。

また、上記焼結体の基地硬さは、使用用途に応じて適宜
設定されるものであるが、例えばベーンとして使用する
場合、Ｈｖ８００〜１０００の範囲に設定することが好
ましい。硬さの設定は、金属組織および金属炭化物の種
類およびその析出量、さらには後述する焼戻しの程度に
よってほぼ決定され、金属組織としては残留オーステナ
イト量が５％以下の焼戻マルテンサイト組織が好ましい
。

このような焼結体は、以下のような方法により製造され
る。

まず、上記組成を満足する合金粉末あるいは混合粉末に
潤滑剤等を加え、これをプレス成形等の公知の成形手段
によって所要の形状に成形する。

次いで、この成形体を組成に応じた条件で、例えば１１
５０℃〜１２２０℃の温度で、３０分〜１８０分程度の
条件で焼結させ、この焼結後に１１００℃〜１２１Ｏ℃
程度の温度から急冷して焼入れを施し、次いで例えば５
５０℃〜６５０℃程度の温度で３０分〜２４０分程度の
条件で焼戻し処理を施すことにより、残留オーステナイ
ト量を減少させて金属組織を制御すると共に、基地中に
固溶している炭化物を微細に析出させ、基地の硬さを向
上させ目的の焼結体を得る。

上記焼結体母体の成分を上記組成比に限定したのは、以
下の理白による。

ＣはＣｒｓν、ＭＯ％　Ｖ等と結合して炭化物を形成し
て硬さを付与するとともに、一部基地中に固溶して焼戻
し硬化能を与えるものであり、Ｃが０，７重量％未満で
あると充分な硬さが得られず、２，０重量％を超えると
切削力か高くなりすぎ、摺動特性の低下に繋がる。

Ｃｒは焼入れ効果を大にするとともに、焼戻し時の硬化
能を高めるものであり、Ｃ「が２，５重量％未満ではこ
の効果か充分に得られず、７．０重量％を超えると逆に
オーステナイト組織の安定化を招く。

ＷおよびＶは、共にＭＣ型の炭化物を形成するものであ
り、本発明では摺動特性を高めるために、それぞれ１重
量％以下とする。

ＭＯは、Ｗおよび■の配合量を押えたことによる硬さの
低下を補い、Ｍ２Ｃ型の炭化物を形成して耐摩耗性を向
上させるものであり、Ｍｏが５．０重量％未満では充分
な硬さが得られず、２０．０重量％を超えると脆化要因
となる。

Ｃｏは焼戻し硬化能を高め、摺動特性を低下させる恐れ
があるため、１重量％以下とする。

なお、Ｍｎは脱酸剤として必要な程度に配合されるもの
であり、またＳは多量に含むと焼結体の脆化が著しくな
るため、０．０３重量％以下とする。

本発明の焼結耐摩耗部材は、上記した炭化物の種類の限
定により、耐摩耗性と摺動特性の双方を向上させること
が可能であるが、上記焼結体を連通孔を多量に含む本孔
が形成された多孔質な焼結体とし、上記空孔の周囲に硫
化物および金属酸化物等からなる介在物を形成すること
によって、さらに摺動特性を高めることができる。

焼結体中に形成される上記空孔は、摺動特性を向上させ
る硫化物や金属酸化物等の介在物の形成位置を提供する
ものである。さらにこの空孔は、その９０％以上が連通
孔であることが好ましく、連通孔の存在率が少ないと内
部まで均一に硫化物等を形成することが困難となる。

このような空孔が存在する焼結体は、上述した焼結体の
製造過程において、成形体作製時のプレス圧や焼結条件
、さらには焼入れ条件等を適宜選択することによって、
空孔量およびその内での連通孔の比率を制御することに
よって得られる。

上記焼結体中に形成する介在物のうち、硫化物は浸硫処
理によって形成され、焼結体の芯部までほぼ均一に形成
する。この硫化物の存在量は、焼結体母体中の空孔量お
よび浸硫処理の条件によって決定されるものであり、お
およそ焼結体母体に対してＳの元素換算量で０．０３重
量％以下となるように、それらの条件を設定することが
好ましい。

上記浸硫処理は、上記空孔を有する焼結体を硫黄の溶融
液や硫化炭素の溶融液等に浸漬し、これらをその内部ま
で浸透させた後、２００℃〜５００℃程度の温度で５〜
６０分程度加熱操作を施すことにより行われる。そして
、この加熱操作によって、空孔周囲の焼結体母体の基地
と、浸透させた硫黄とが反応して硫化物が生成される。

この浸硫処理によって形成される硫化物は、主に硫化鉄
からなるものであり、一部硫化マンガン等を含む。

また上記金属酸化物は、浸硫処理が内部まで均一に行え
るよう空孔量を多めに設定しているため、浸硫処理後に
残存する空孔をおおよそ閉塞させるためのものであり、
封口処理によって形成されるものである。この封口処理
は、例えば５５０℃〜６５０℃程度に加熱された１〜３
気圧程度の加熱水蒸気中で、３０〜２４０分程度処理す
ることにより行われる。この封口処理によって、焼結体
母体の空孔はおおよそ閉塞されるが、数％程度残存して
いても本発明の効果に影響を及ぼすものではない。

またさらに、本発明の焼結耐摩耗部材においては、上記
浸硫処理と併用して窒化処理を行うことにより、例えば
他部材との摺接等によって局部的に温度上昇を招いた際
の金属組織の安定化が図れる。

二の窒化処理は、窒素ガスやアンモニアガス等の窒素を
含む非酸化性雰囲気中において、５００℃〜６５０℃程
度の温度で１０〜１１１１０分程度処理することにより
行われる。この窒化処理によって、空孔周囲の焼結体母
体の基地中に、金属窒化物や金属中に窒素が固溶したも
のが生成され、上記金属組織の安定化に寄与するととも
に、表面硬化層としても作用する。

（作　用）本発明の焼結耐摩耗部材においては、切削力の高いＭＣ
型結晶構造の炭化物を形成する警やＶの配合量を必要最
小限とし、これらに代えてＭＺＣ型結晶構造の炭化物を
形成するＭＯと金属組織とによって硬さを付与している
。ＭＯによる炭化物でも、基地中に微細に分散させるこ
とによって、実用上充分な耐摩耗性が得られ、さらに切
削力は低く押えることができるため、相手材に対する攻
撃性が弱まり摺動特性を向上させることが可能となる。

また本発明においては、摺動特性をさらに高めるために
、予め大部分が連通孔の空孔を焼結体中に設けておき、
この空孔を利用して浸硫処理を施し、空孔の周囲に硫化
物や金属酸化物等の介在物を形成している。このように
、硫化物を焼結体作製後に付与しているため、焼結体の
基地自体は他に硬さや強度の低下要因となるものを含ん
でおらず、よって焼結合金としての本来の硬さおよび強
度を得ることができ、充分に耐摩耗性に富んだものとな
る。

さらに、浸硫処理と併用して窒化処理を行うことにより
、局所的な発熱による金属組織の変態を防止することが
可能となる。これによって、より安定性が高まる。

（実施例）次に、本発明の実施例について説明する。

実施例まず、Ｃ１，２％、Ｓｔ　１．０％、Ｃｒ　５．０％、
ＭＯ１５％、Ｖ　１．０％、Ｃｏ　１．０％、　Ｍｎ　
０．５％未満、　Ｓ　０．０３％以下を含有し、残部が
Ｆｅの艙底を満足する合金粉末に対して潤滑剤を１重量
％添加して充分に混合した後、ブレス圧６　ｔ　ｏ　ｎ
　／　ｃｉの条件で成形体を作製した。

次に、この成形体中の潤滑剤成分を除去した後、減圧下
にて１１５０℃〜１２２０℃の加熱条件で焼結させ、こ
の焼結後に常温の油中に投入して急冷し、焼入れ処理を
施して概形２８ｍｍＸ　２３ＩｍＸ　３ｍｍのベーン形
状の焼結体を得た。

この後、この焼結体に対して６００℃の加熱水蒸気中で
１８０分、２気圧の条件でそれぞれ封口処理および焼戻
処理を施した。

このようにして得た焼結合金を母体とする焼結耐摩耗部
材の金属組織は、残留オーステナイト量が５％以下の焼
戻マルテンサイトであった。

この焼結耐摩耗性部材は、摺動特性および耐摩耗性共に
優れ、ロータリーコンプレッサー用ベーン等に好適であ
った。

［発明の効果］以上説明したよう（と、本発明の焼結耐摩耗部材は、焼
結体の基地中に析出させ、硬さを向上させる金属炭化物
の種類を限定しているため、耐摩耗性と摺動特性の双方
を満足するものである。また、浸硫処理によって、焼結
体自体の本来の特性、例えば焼結密度や強度を損うこと
なく、さらに摺動特性の向上が図られている。したがっ
て、各種圧縮機用ベーンのように、耐摩耗性と摺動特性
という相反する特性を要求されるものの素材に好適した
ものを提供できるとともに、通常の摺動部材としても耐
久性に富んだものを提供することが可能となる。

出願人　　　　　　株式会社　東芝代理人　弁理士　　須　山　佐　−

Claims

【特許請求の範囲】

　重量比でＣ０．７％〜２．０％、Ｓｉ０．１〜１．５
％、Ｃｒ２．５％〜７．０％、Ｗ１．０％以下、Ｍｏ５
．０％〜２０．０％、Ｖ１．０％以下、Ｃｏ１．０％以
下、Ｍｎ０．５％未満、Ｓ０．０３％以下を含有し、残
部がＦｅおよび不可避的不純物からなる組成を有し、か
つ金属組織が焼戻マルテンサイト組織を有すると共に、
その内部に金属炭化物が分散析出している焼結体であっ
て、前記金属炭化物中のＭＣ型結晶構造で示される炭化
物が、面積比で全炭化物量の１０％以下であることを特
徴とする焼結耐摩耗部材。