JPS598526B2 - 化粧単板の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は化粧単板の製造方法に関するものである。

従来、天然木化粧単板のもつ春材部と秋材部とによる縞
模様を集成化粧単板に再現するのに、原木をスライスし
て得た木質素材単板を脱色した後、この素材単板の一部
を春材色に染色して春材色染色単板を得る一方、残る素
材単板を秋材色に染色して秋材色染色単板を得、前記春
材色染色単板と秋材色染色単板とを組み合せて積層し、
圧締・接着して集成フリツテを得、この集成フリツテを
その積層面と交差する適当な方向よりスライスして集成
化粧単板としていた。

しかしながら、このような方法によるときは、前記春材
色染色単板の切断面および秋材色染色単板の切断面で表
現される春材部および秋材部の色調が単調になって、天
然木にみもれる木目模様の微妙な色相を忠実に再現する
ことができなかった。

したがって、この発明の目的は、天然木化粧単板の材面
の木質感を容易かつ忠実に再現することのできる化粧単
板の製造方法を提供することである。

この発明の概要を第１図に基づき以下に説明する。

すなわち、この化粧単板の製造方法は、第１図に示すよ
うに着色紙部１と染色木質部２を交互に配列して木目模
様を再現した集成化粧単板の製造方法であり、原木をス
ライスして得た木質素材単板を脱色したあと、これを春
材色に均一染色して春材色染色単板とし、この春材色染
色単板の片面または両面を天然木の秋材色染料で捺染し
、秋材色に均一染色したレジンペーパと前記捺染処理を
施した春材色染色単板とを接着剤を介して交互に積層し
圧締・接着して集成フリツテを得、これをスライスして
集成化粧単板とするものである。

このように構成したため、最終的に得られる集成化粧単
板の材面に再現される木目模様において秋材色に染色さ
れたレジンペーパからなる秋材層と春材色染色単板から
なる春材層との境界において、春材色染色単板に怖じた
捺染処理により春材層から秋材層への色変化のなだらか
なぼかし部３が表現され、また捺染染料の春材色染色単
板内層への滲透度合の変化により春材部に幅変化が与え
られ、天然木に極めて近似した色相の木目模様を再現す
ることができる。

とくに天然木の木目模様では、春材層から次の秋材層へ
かげての色相の変化がなだらかな一方、秋材層から次の
春材層へかけては秋材層と春材層との境界が明確である
という特性を示すため、このような木目模様の特性を忠
実に再現するには、前記春材色染色単板の内層に向けて
色変化のなだらかな秋材部のぼかし部を付与するさい、
そのぼかし部の濃度変化は春材色染色単板の片面側が濃
く他面側に向けてしだいに淡くなるというように一方向
にのみ濃度勾配をつける必要があるが、この製造方法の
場合、春材色染色単板の表面に秋材色の染料を捺染処理
することにより前記秋材色のぼかし部を付与するもので
あるため、前記のような一方向のみに濃度勾配を付する
場合、片面のみの捺染処理によって容易に果たすことが
でき，両面の２方向から染色濃度勾配が付与されてしま
う浸漬染色処理の場合のように、片面側の染色濃度勾配
をあとで脱染して除去するなどの面倒な工程を必要とせ
ず、その処理が簡単である。

さらに、秋材層を染色均一性のよいレジンペーパで表現
したため、いろむらなと自然感に欠ける外観を呈するこ
となく、天然木の木質感を忠実に再現することができる
。

また、木質素材単板層の間に紙の層を介在させるように
したため、得られる化粧単板の耐クラツク性が向上し、
子吸収のよい強靭な化粧単板とすることができる。

前記製造方法の捺染処理については、デンプンセルロー
スおよびその誘導体、水、液体染料を混合して得た捺染
剤４を用い、第２図に示すようにロールコータ５により
塗布した後、乾燥させる。

このような捺染処理を椎すことにより、つぎのような効
果が得られる。

■ 前記捺染剤中のデンプン、セルロースおよびその誘
導体の木材との親和性の良さのために接着不良が起こら
ない。

■ 染料が捺染剤中で均一に混合されないため、コール
コータで塗布した場合、第３図に示すように塗布むらが
生じ、フリツチ化して得たスライス単板に現われる年輪
模様を第４図に示すようにぼかして表現することができ
る。

■ 単板への捺染剤のしみ込み方が不均一となり年輪模
様のぼかし表現が可能である。

なお、前記方法により得られる、レジンペーパからなる
着色紙部１と春材色染色単板の染色木質部２との交互配
列による木目模様を有する集成化粧単板は、さらにその
表面をサンドブラストで表面研削処理することにより、
第５図に示すように春材色染色単板で構成される比較的
軟質の木質部２が研削されて凹部をなすとともにレジン
ペーパからなる硬質の着色紙部１が残り凸部をなし、全
体的に化粧単板の材面に木目模様に沿った凹凸模様が形
成され、天然木のもつ木質感をより忠実に再現すること
ができる。

以上のように、この発明の化粧単板の製造方法は、木質
素行単板を春材色に均一染色して春材色染色単板を得る
春材色染色工程と、前記春材色染色単板の表面を秋材色
捺染剤で捺染処理する秋材色捺染工程と、前記捺染処理
を施した春材色染色単板と秋材色着色紙とを接着剤を介
して交互に積層し圧締・接着して集成フリツテを得る集
成フリツテ形成工程と、前記集成フリツテをその積層面
と交差する方向よりスライスするスライス工程とを含む
ものであるため、再現される木目模様の春材層と秋材層
との境界部において、春材色染色単板の表面に癩した捺
染処理により春材層から秋材層へかけて色変化のなだら
かなぼかし部が表現されるとともに、春材色染色単板内
層への捺染染料の滲透度合のばらつきにより春材層に幅
変化が付与され、天然木の木質感を忠実に再現すること
ができその染色処理も極めて容易に行うことができ、さ
らに得られる化粧単板は、木質素材単板層と紙層とが交
互する構造となるため、耐クラツク性が向上し子吸収の
よい強靭な化粧単板とすることができ、また、木質素材
単板を春材色に均一染色して春材色染色単板を得る春材
色染色工程と、前肥春材色染色単板の表面を秋材色捺染
剤で捺染処理する秋材色捺染工程と、前記捺染処理を施
した春材色染色単板と秋材色レジンペーパとを接着剤を
介して交互に積層し圧締・接着して集成フリツテを得る
集成フリツテ形成工程と、前記集成フリツテをその積層
面と交差する方向よりスライスして複合単板を得るスラ
イス工程と、前記複合単板の表面を表面研削処理して複
合単板中の木質部を研削して凹部となし前記レジンペー
パからなる着色部が残って凸部となり材面に木目模様に
沿った凹凸模様を形成する表面研削工程とを含むもので
あるため、木質の春材層と硬質なレジンペーパの秋材層
の硬度差により材面に木目模様に沿った凹凸が表現され
、天然木の木質感を一層忠実に再現することができるな
どの効果な有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の製造方法により得られる化粧単板の
一例を示す部分斜視図、第２図はこの発明の化粧単板の
製造方法における捺染処理の具体例を示す説明図、第３
図はその捺染処理方法により得られる単板を示す平面図
、第４図はその捺染処理を経て得られる化粧単板の部分
平面図、第５図はこの発明の製造方法により得られる化
粧単板表面に加える研削処理方法の説明図である。 １・・・着色紙部、２・・・染色木質部、３・・・ぼか
し部、４・・・捺染剤、５・・・ロールコータ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 木質素材単板を春材色に均一染色して春材色染色単
   板を得る春材色染色工程と、前記春材色染色単板の表面
   を秋材色捺染剤で捺染処理する秋材色捺染工程と、前記
   捺染処理＆／ｔｉした春材色染色単板と秋材色着色紙と
   を接着剤を介して交互に積層し圧締・接着して集成フリ
   ツテを得る集成フリツテ形成工程と、前記集成フリツテ
   をその積層面と交差する方向よりスライスするスライス
   工程とを含む化粧単板の製造方法。 ，２ 前記秋材色捺染剤は木材との親和性の良い物
   質を混合した染色溶液である特許請求の範囲第１項記載
   の化粧単板の製造方法。 ３ 前記秋材色着色紙はレジンペーパである特許請求の
   範囲第１項記載の化粧単板の製造方法。 ４ 木質素材単板を春材色に均一染色して春材色染色単
   板を得る春材色染色工程と、前記春材色染色単板の表面
   を秋材色捺染材で捺染処理する秋材色捺染工程と、前記
   捺染処理を症した春材色染色単板と秋材色レジンペーパ
   とを接着剤を介して交互に積層し圧締・接着して集成フ
   リツテを得る集成フリツテ形成工程と、前記集成フリツ
   テをその積層面と交差する方向よりスライスして複合単
   板を得るスライス工程と、前記複合単板の表面を表面研
   削処理して複合単板中の木質部を研削して凹部となし前
   記レジンペーパからなる着色部が残って凸部となり材面
   に木目模様に沿った凹凸模様を形成する表面研削工程と
   を含む化粧単板の製造方法。