JPS5946168B2 - 詰物用中綿 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は羽毛、木綿、羊毛および各種合成繊維ステーブ
ル綿（以下合繊ステーブルという）などの詰綿素材の有
する固有の詰綿性能、たとえば軽くて柔軟であり反発性
に富んだ風合、嵩高で繰返し圧縮抵抗性がよい、適度の
通気性を有しており保温性に富んでいるなどの性能を損
うことなく、これら詰綿素材の欠点と云われている綿抜
け、綿縮みもしくは綿切れ等を著しく減少せしめた詰綿
用中綿に関する。

従来、上記各種の詰綿素材を製品、たとえば布団の中綿
として使用すると側地表面に中綿の一部が露出する、す
なわち綿抜けが発生したり、綿切れ、綿縮みが生じ、布
団の外観、形態保持性あるいは保温性などを損ねること
が知られている。

したがって、たとえば羽毛のように、軽くて柔かく嵩高
、反抗性に富み、独特の風合を与える詰物素材において
は、綿抜は防止のために゛°ダウン・プルーフ” （Ｄ
ＯＷＮ ＰＲＯＯＦ）加工のような目づめ加工を施した
側地を用いる必要があり、羽毛の有する上記特徴が粗硬
で通気性の低い側地によって著′シ＜損われるのが普通
である。

また、布団などの中綿として大量に使用されているジグ
ザグ状および／またはスパイラル状の捲縮を有する合繊
ステーブルは嵩高性、圧縮回復性などを付与するため単
糸が太いものが使用されるので綿抜けが発生しやすく、
かつふとんとしての肌沿いも悪くなる。

さらにこのような合繊ステーブルは、規則的なケン縮が
付与されているのでケン縮の位相が一致してわたちぢみ
、わた切れが発生し、ふとんとしての品位を損ねること
が往々にしである。

特に繊度の増大に伴う合繊ステーブルの剛直化を改良し
た各種の潤滑剤、特にシリコーン系潤滑剤で処理したも
のは、綿抜けが発生し易くなることが知られている。

さらに、木綿や羊毛のような天［無繊維の場合は羽毛や
合繊ステーブルにくらべて綿抜けは少ないかも知れない
が、着用中に綿縮みや綿切れが生じ易く、わたホコリが
生じるという衛生上の問題がある。

本発明者らは、上記詰綿素材、特に羽毛、羊毛・ 合繊
ステーブルなどの有する詰綿としての優れた特徴を失わ
しめることなく、綿抜け、綿縮み、綿切れなどの欠点を
解消した詰綿用中綿について鋭意研究を進めて本発明を
見出したものである。

すなわち、本発明の目的とするところは、羽毛や木綿、
羊毛および合繊ステーブルのように繊維末端を有する詰
綿素材の組接け、綿縮み、綿切れ等のトラブルを解消し
、前記詰綿素材の有する優れた特性を保持した詰綿製品
を与える中綿を提供するにあり、他の目的は該詰綿製品
の側地として各種の布帛を選択使用可能な詰物用中綿を
提供するにある。

かかる本発明の目的は、前記特許請求の範囲の記載、特
に羽毛、木綿、羊毛及び合繊ステーブル等の詰綿素材を
内層とし、この内層をランダムな捲縮を有し、実質的に
開繊している連続フィラメント糸条からなるウェブを少
なくとも２０ ｇ ／ ｍ’の目付けに積層してなる綿
層で被覆した構造を有する中綿により達成することがで
きる。

本発明になる詰物用中綿は内、外の２つの層からなるが
、外層は連続フィラメント糸条からなる合成繊維ウェブ
（以下単にウェブという）の積層体であって、少なくと
も２０ ｇ ７’ｒｒｒ’の目付けを有しており、かつ
連続フィラメント糸条は実質的に開繊されており、かつ
該糸条を形成する単繊維がランダムな捲縮を有すること
が必要である。

すなわち、詰物用中綿に要求される性能はその用途目的
により当然相違するが、内層を構成する羽毛などの詰物
素材の組接けを防止するためには外層を構成する綿層の
目付けが一定値以上本発明においては少なくとも２０
ｇ ／ ｍ ｓ好ましくは５０ｇ／ｍ以上でなければな
らないことに加えて繊維の分布が均一で目付けむらが小
さく、内層の詰綿特性を損わないことが必要である。

本発明においてはこの外層を形成する連続フィラメント
糸条は実質的に、すなわち単繊維状まで十分に開繊され
ており、かつ開繊された単繊維は規則的な捲縮、たとえ
ば機械捲縮ではなく、捲縮の形態、大きさ、数、などの
異なるランダムな捲縮を有しているから、このような糸
条から形成されるウェブはその目付けにむらがなく、規
則的捲縮の場合のように捲縮の位相が一致することが少
なく、単繊維相互の絡合点が多く、強固になり、外層を
構成する綿層は綿縮みや綿切れの発生が著しく小さいの
である。

このような点から該連続フィラメント糸条を構成する単
繊維の繊度は０．１〜２．０デニールｄ１好ましくは０
．１〜１．８ｄ、さらに好ましくは０．３〜１．５ｄの
範囲内にするのがよい。

すなわち、単繊維繊度が低くなるにつれて、同一目付け
で単位体積当りの繊維本数は大きくなるから、得られる
綿層内部の空間は小さくなり、より低い目付けで内層を
構成する詰物素材の組接は防止の効果を得ることができ
るのである。

また、目付けを小さくすることにより、内層の詰綿素材
が有する性能を外層により消失せしめることがなく、外
層を構成する綿層の綿縮み、綿切れの発生が少なく、か
つ外層と内層とが一体化しやすいので、内層が綿縮み綿
切れをおこす危険性が減少するのである。

しかしながら、本発明の中綿を構成する外層はランダム
な捲縮を有し、開繊が著しいためにウェブを積層した場
合特に単繊維繊度が低くなるほど一体化し易いばかりで
なく、内層とも容易に一体化し、中綿製造上取扱い難い
ので、該連続フィラメント糸条からなる綿層はバインダ
ーで主としてその絡合点を結合するのがよく、好ましく
は綿層の表層部分を選択的にバインダーで結合するのが
よい。

このようなバインダーの付与によって外層を構成する綿
層内部の単繊維相互の移動が抑制されるので内層部から
の組接けはもちろん外層、特に単繊維繊度が低くなると
発生し易くなる外層からの組接は防止に極めて有効であ
る。

一方、本発明の詰物用中綿を構成する内層には羽毛、木
綿、羊毛及び合成繊維ステーブル綿など各種の詰物用素
材が用いられるが、軽くて、反抗性、保温性に富み、ド
レープ性にすぐれた詰物製品を与えるが組接けが著しい
羽毛および羽毛ライク合繊ステーブルとして知られてい
るシリコーンなどの潤滑剤で表面処理を施した、繊度が
３〜２０ｄ１繊維長が３８〜７８ｍｒｒｔの中空繊維、
複合繊維またはレギュラータイプの各種合繊ステーブル
、特にポリエステル系繊維ステーブルが好ましい。

しかしながら、他の合繊ステーブル、たとえば、ポリア
ミド系繊維、ポリプロピレン系繊維、アクリル乃至モダ
クリル系繊維から得られるステープ及びこれらの繊維も
しくはポリエステル系繊維、羊毛、レーヨン、木綿の少
なくとも２種の混合綿を内層に用いても何ら差支えない
。

また、本発明の詰物用中綿を構成する内外層の比率とし
ては内層を形成する詰物素材の種類、形態および詰物製
品の用途、要求特性などによって相違するが、単に組接
は防止の目的だけであれば外層比率をできるだけ小さく
するのがよく、たとえば８〜１０％にするのが好ましい
。

しかしながら、本発明の外層を構成する前記ランダム捲
縮を有し、実質的に開繊された連続フィラメント糸条は
後述するように繊度、ランダム捲縮度および捲縮数もし
くはウェブの積層数などを変更することにより、柔軟で
ドレープのある中綿にすることができるから、外層比率
を大きくして、柔軟性、ドレープ性の改良された中綿に
することが可能である。

次に本発明になる詰物用中綿の製造法について説明する
。

第１図、第２図は、本発明の詰物用中綿を構成する外層
の綿層を製造する方法の１例を示す側面図および平面図
であり、フィラメントを流体と共に噴出させ衝突板に衝
突させたあと、ランダムケン縮を有し、かつ折れ曲がっ
たループを形成したフィラメントからなるウェブをつく
る方法を示している。

第１図はフィラメント３を細長いパイプ１から圧空とと
もに噴出させ、噴出するフィラメントの進行方向に対し
て斜めに設置した衝突板２に衝突させてフィラメントを
開繊し、ランダム捲縮を有しかつ折れ曲がったループ状
のフィラメントに変化させる方法を例示している。

圧空とともに噴出するフィラメントが衝突板に衝突する
ときのフィラメント温度、衝突板と水平面とのなす角度
αとを調整することによって衝突後のフィラメントに付
与する捲縮形態をかえることができる。

さらに第１図に示されているように、衝突板の前に設け
られた圧空噴射ノズル４から圧空を、衝突面に沿って進
むフィラメントに向けて噴射することによってフィラメ
ントの開繊をさらに十分なものとすることができる。

第１図に例示したような手段をとることによって衝突板
に衝突後のフィラメントは、進行方向にほぼ直角に自動
振動を起こしながら折れ曲がったループ状で落下する。

第２図は、第１図で例示した方法でつくった、折れ曲が
ったループをなすフィラメントをウェブとして捕集する
方法を例示したものである。

すなわち、第２図に示したように、衝突板２を円筒１を
回転軸として往復運動させ、衝突板の下方に設けられた
、一定の速度で動くベルト６上にフィラメントを落下、
堆積させる（第２図にはパイプ１から噴出し衝突板上を
進行するフィラメントは省略しである。

このときバインダ噴霧装置５と圧空噴射ノズル４とを衝
突板の運動と同期させて動かす。

第２図において、細長いパイプ１と衝突板２、圧空噴射
ノズル４、バインダ噴霧ノズル５の位置関係を実線、破
線、一点鎖線で示した。

かかる方法で、ウェブ内でのフィラメントの交叉点の一
部をバインダで固定することができ、さらにウェブの厚
さ方向に対して、実質的に直角な面にフィラメントが配
列して積層しかつそれぞれの面では該フィラメントがラ
ンダム配列あるいはお互に斜交するように配列したウェ
ブをつくることができる。

またかかるウェブの表面にさらにバインダを噴霧しても
差支えない。

また熱処理してランダム捲縮を固定してもよい。

このようにしてつくったウェブを本発明の詰物用中綿の
外層にそのまま用いてもよいし、敷積層して用いてもよ
い。

かかる、綿層を外層とし、羽毛繊維末端を有する合成繊
維、木綿および羊毛の少なくとも１種からなる綿層を内
層とすることによって本発明の詰物用中綿をつくること
ができる。

この場合、外層となる綿層を少なくとも２枚積層し、そ
の綿層の上に内層となる綿層を重ねあわせたあと、端部
を縫合して表裏反転して本発明の詰物用中綿をつくるこ
ともできる。

バインダの噴霧量は１〜２０重量％、好ましくはウェブ
の柔軟性を維持するために１〜１０重量％が好ましい。

またバインダは、ポリビニールアルコール（ＰＶＡ）、
ウレタン、デンプン、ＮＢＲラテックスなどが挙げられ
るが、皮膜を形成しゃすいＰＶＡが好ましい。

またバインダ内に潤滑剤を混合して噴霧してもよい。

外層を構成する綿層の目付は２０ ｇ ／ ｍ”以上好
ましくは５０ ｇ ／ｒｒ１以上であり、２０ｇ／７７
＋２以下になると外層の破断や、内層を構成する繊維の
末端が外層を貫通するので好ましくない。

特に羽毛として「フェザ−」を内層の綿に用いる場合は
、わた抜けは２ｏｇ／＝目付の外層で被覆して改善され
るが、さらに十分なものとするには外層の目付を５０
ｇ ／ｌｒｉ’以上にすることが好ましい。

かくして得られる本発明の詰物用中綿は以下に例示する
ようなすぐれた効果を有する。

（１）羽毛や合成繊維ステーブル、特に潤滑剤処理など
を施した羽毛ライクステーブルを中綿として用いた場合
の大きな欠点、特に綿抜けを大幅に改善することができ
、側地としてダウン、プルーフ加工のような目づめ加工
を施したものを使用する必要がなく、羽毛などの優れた
中わた特性を実質的に製品に反映させることができる。

（２） 多様な中綿素材を任意に組合せて使用するこ
とが可能となり、各種製品の要求特性、性能あるいは消
費者の好みに応じた製品を提供することができる。

（３）細デニールの連続フィラメント糸条を用いて中綿
の外層を形成すると内層の嵩高性、保温性、圧縮回復性
、その他の特性を十分に保持して、ドレープ性など外層
の性能を与えることができる。

（３） 中綿を包む側地の選択に当って少なくとも綿
抜けについて考慮する必要性が著しく減少するから側地
による中綿特性が害われることか少なくなり、しかも綿
抜けによる製品の外観が損われることが少なく耐久性が
向上する。

以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する０ 実施例 １ ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸し、口金から吐
出されるポリマ流を内径３ｉｍψのパイプ１に導入し圧
空とともに噴出させ、第１図、第２図に例示した方法で
、単糸繊維０．８ｄ、捲縮度の平均値４．２％のフィラ
メントからなる目付３０ｇ／ｍ２のウェブをつくった。

バインダとしてＰＶＡを用い、ウェブに対する付着量が
５重量％になるようにした。

繊度６ｄ、繊維長５１ｍｍのポリエチレンテレフタレー
トからなるステーブルからなり、繊維表面をシリコーン
加工したわたを内層とし、上記のフィラメントからなる
ウェブでもって内層となるわたを被覆し目付６７０ｇ７
’ｎ？のふとんわたをつくった。

かかるふとんわたをふとんに成型して着用したが、内層
のわたからのわた抜けは発生せず、かつ内層のふとんわ
たの弾力性、かさ高性は保持されていた。

なお、外層を構成するウェブ゛の目付を１０ ｇ ／
ｍ２にしたところ、ウェブの目付ムラが大きく、わた抜
は現象が部分的にみられた。

実施例 ２ 実施例１と同様に第１図、第２図に示した方法で０．４
ｄのポリエチレンテレフタレートのフィラメントからな
るウェブを作成した。

フィラメントの捲縮度は平均値で３．８％で、ウェブ目
付は２５ｇ／ｍ’であった。

ウェブ作製時に付着量が６重量％になるようにＰＶＡを
噴霧し、さらにウェブ表面に４重量％のＰＶＡを噴霧し
た。

かかるウェブを２枚積層して端部を縫合し、表裏反転を
したあと「ダウン」を該ウェブの間につめてふとんわた
をつくった。

「ダウン」が外層表面へ突出る現象はみられなかった。

「フェザ−」を用いたところ端部が突出る現象がみられ
たので外層を構成するウェブ目付を５０ｇ／ｍとしたと
ころ、上記の現象は大幅に改善された。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明の外層を構成するフィラメント
からなるウェブの製造方法を例示したものであり、第１
図は側面図、第２図は真上からみた平面図を示している
。 第２図においてパイプ１の真上からみたとき、衝突板、
圧空噴射ノズル、バインダ噴霧ノズルがパイプ１に対し
て常に同じ位置関係を保ちながらパイプ１を回転軸とし
て回転往復運動することを実線、破線、１点鎖線で示し
た。 なおパイプ１から噴出するフィラメントは図示していな
い。 矢印→はウェブの進行方向を示す。 １・・・・・・パイプ、２・・・・・・衝突板、計・・
・・・噴出フィラメント、４・・・・・・圧空噴射ノズ
ル、５・・・・・・バインダ噴霧ノズル、６・・・・・
・ベルト、７・・・・・・外層と構成するウェブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ランダムな捲縮を有し、かつ単繊維繊度が０、１．
   ２．０である、実質的に開繊している連続フィラメント
   糸条からなる合成繊維ウェブを少なくとも２０ ｇ／
   ｔｒｉ：の目付けに積層してなる綿層を外層とし、羽毛
   、繊維末端を有する合成繊維、木綿および羊毛の少なく
   とも１種からなる綿層を内層とする中綿であって、内層
   が外層で被覆されてなる詰物用中綿。 ２、特許請求の範囲第１項において繊維末端を有する合
   成繊維が繊度３〜２０ｄの範囲内の合成繊維ステーブル
   ファイバーである詰物用中綿。 ３ 特許請求の範囲第１項において連続フィラメント糸
   条の合成繊維ウェブからなる綿層がバインダーで部分的
   に結合されてなる詰物用中綿。