JPS5945517B2 - 硬質耐磨耗性装飾用外装部品及び製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は装飾用外装部品、特に耐食性の悪い基材からな
る外装部品の改良に係り、更に詳しくは外装部品をイオ
ンプレテイングによる表面処理と機械的研摩による表面
研摩を組み合せた表面処理法によつて耐食性が優れ硬質
耐摩耗でかつ有色の装飾用外装部品を無公害プロセスで
提供することを目的としている。

従来から時計、ライター、メガネ、万年筆などの商品は
装飾品的要素が強いため、該商品の外観によつて該商品
の価値観が左右されやすく、常に携帯して使用されるこ
とが多いため長期間の携帯使用に耐える品質を有する必
要があつた。

従つてこれ等商品の外装部品は外観的には光沢や色調が
優れている必要があり、又材質的には耐食性や耐摩耗性
が優れている必要があつた。従来この種の商品の外装部
品は耐食性は悪いが安価で機械加工０性の良い銅合金な
どの基材に光沢や耐食性の優れた湿式メッキになる表面
処理膜の厚膜を施した外装部品が大部分であつた力湿式
メッキになる表面処理法は公害性が強く、又処理膜の色
調や硬度に限度があるため無公害性で色調や硬度の優れ
た新しい表面処理法が望まれていた。近年イオンプレー
ティングによる表面処理法が無公害プロセスで有色の硬
質膜を与えるとして注目され、上記装飾用外装部品や耐
食・耐摩耗性部品や光学部品などに応用する試みがなさ
れている。

この新しい表面処理法はガス放電プラズマ中で物質を
蒸発させ電界を印加した基板上に密着性などの特性のす
ぐれた物質膜を形成する技術からなるイオンプレーティ
ング及び該イオンプレーティングを発展させた活性化雰
囲気であるガス放電プラズマ中で蒸発物質と導入ガスと
を反応させて電界を印加した基板上に硬度や色調の優れ
た反応物質膜を形成する技術からなる反応性イオンプレ
ーティングであり、イオンプレーティングは密着性や耐
食性の優わた金属膜や合金膜や非金属物質膜を形成する
方法として、更に反応性イオンプレーティングは硬度や
色調の優れた酸化物、窒化物、炭化物などからなる反応
物質膜を形成する方法として広く知られ上記装飾用外装
部品に応用した例も多く知られている。

しかし一般に反応性も含んだイオンプレーティングに
なる表面処理膜を施した装飾用外装部品は５ミクロン以
上の厚膜の場合光沢が悪いために装飾品的要素が失なわ
れ、又光沢を考慮した場合厚膜が困難なため耐食性が悪
いなどの欠点を有し広く実用化されるに至つていなかつ
ｚ本発明はイオンプレーテイングによつて耐食性や成膜
速度の優れた物質からなる表面処理膜を厚膜で耐食性の
悪い外装部品基材上に施し、しかるのち該表面処理膜を
羽布等の機械研摩によつて鏡面研摩したのち、該研摩層
上に反応性イオンプレーテイングになる有色で硬質耐摩
性の酸化物や窒化物からなる反応物質膜を施すことによ
つて上記欠点を解決し、光沢や色調が優わ更に耐食性や
耐摩耗性の優れた装飾用外装部品を無公害プロセスで提
供することを可能ならしめた。

以下、本発明を図面および実施例にもとづき説明する。

第１図を本発明を実施すべく外装部品の工程図であり、
第１図−ａは予め羽布等に研摩された耐食性の悪い外装
部品基材１の表面にイオンブレーテイングによつて耐食
性や成膜速度の優れた金属又は合金からなるイオンブレ
ーテイング膜２を１〜１００μ密着させ、その後第１図
ｂに示すようにイオンプレーテイング膜の表面粗地面３
を羽布等の研摩によつて鏡面光沢とし洗浄処理後第１図
Ｃｖｃ示すように反応性イオンプレーテイングにより硬
質かつ耐摩耗性であり有色な化合物膜４を０．１乃至５
ミクロン密着させることからなつている。

実施例 １ 表面を羽布により鏡面研摩された黄銅製の時計ケースを
基材としイオンプレーテイングによつて、約１０μのク
ロム膜を施し、その後、青棒を用いてキヤラコ布を使用
し該クロム膜の極く表面層を０．５〜２μを研摩し洗浄
後該研摩クロム膜上に反応性イオンプレーテイングによ
つて０．５μのチタンの窒化物膜を密着させたところ、
該表面の施された黄銅製の時計ケースは黄金色を有し鏡
面光沢からなる外観を有し、該時計ケースは２４時間の
アンモニア暴気及び４８ｈｒの人工汗浸漬になる耐食試
験に耐え、更に該時計ケースを約１ケ年間携帯使用した
ところ摩耗キズ等による外観光沢の劣化は認められなか
つた。

本実施例では耐食性が優れ比較的成膜速度の大きいクロ
ムを下地膜として厚膜で施し、該クロムの厚膜を耐食性
の悪い黄銅基材の耐食保護膜としている。

しかし上記クロムの厚膜は成膜速度の大きい条件下で形
成され、厚膜となつているため該クロム厚膜の表面は基
材の研摩面より大幅に面粗れが進行し光沢が悪く装飾用
外装部品として適用できず、七こで該クロムの厚膜の表
面を青棒を利用しキヤラコ羽布によつて鏡面光沢化する
ことによつて装飾用外装部品として適用が可能となる。
その後鏡面光沢研摩のなされた上記クロムの厚膜上に黄
色のチタンの窒化物膜を密着させることによつて、窒化
チタンの有する硬質、耐食、有色性の特性を該クロムの
厚膜に附与でき、前記要望に沿つた装飾用外装部品が可
能となる。実施例 ２ 洋日からなり＋２０００のアルミナの円盤研摩により超
光沢面を有する時計ケース用ベゼルを基材とし、イオン
プレーテイングによつて約５μのチタンの膜を施し、し
かるのちΦ２５００のアルミナの円盤研摩によつて該チ
タ巧莫表層を超研摩し、洗浄後該研摩チタン膜上に反応
性イオンプレーテイングによつてアルミニウムーニツケ
ル合金になる約１ミクロンの酸化物膜を密着させたとこ
ろ、該表面処理膜を施した時計ベゼルは薄い青色で半透
明の色調を有し、及び超光沢性の外観を有し、該時計ベ
ゼルは２４時間のアンモニア暴気及び４８時間の人工汗
浸漬による耐食試験に耐え、該時計ベゼルを時計外装に
組み込んで約１ケ年間携帯使用したところ該時計ベゼル
は摩耗キズ等によつて光沢が損れることがなかつム本実
施例は下地層としてチタン膜を研摩法として円盤研摩に
よる超研摩、硬質膜として青色のアルミニウムーニツケ
ル合金の酸化物を使用している。

一般に下地金属膜としては耐食性及び成膜速度の優れた
アルミニクム、クロム、ニツケル、コバルト、スズ、チ
タンカドミクムからなる金属又は該金属を１種以上含ん
だ合金及び化合物が適用でき膜厚も比較的耐食性の良い
基材を使用した場合、基材ｚ酎食性及び量産性を考慮す
ると１乃至１００ミクロン程度までが適当である。下地
膜の研摩方法としては羽布研摩、円盤研摩、ベルト研摩
など単に光沢研摩に限らず装飾用外装部品に適したペー
バ一研摩、スモーキ一仕上げ、ピーズ加工等を使用して
も良い。仕上げ膜としては実施例の有色な窒化チタンや
酸化アルミ以外に一般的な反応性イオンプレーテイング
になる硬質で耐食性の優れた化合物膜を適用でき、特に
チタン、ジルコニウム、パナジウムなどの窒化物、アル
ミニウム、ケイ素、クロム、チタン、スズ、インジウム
などの酸化物、その他炭化物、硅化物、ホウ化物などの
モース硬度４以上を与える硬質、耐食性膜が摩粍キズや
耐摩耗性を考慮した場合本発明に適して｝り膜厚は密着
性やクラツクを考慮して０．１乃至５ミクゴンが適して
いる。実施例では下地膜の研摩を行つていたが、仕上げ
膜の研摩を行うこともできる。

実施例では耐食性の悪い銅合金を基材として使用してい
たが、ステンレス鋼など耐食性の良い基材に本発明を適
用してもその機能を充分満足するものである。

実施例では時計用外装部品基材に応用していたが、本発
明は時計外装同様な特性の要求される一般的装飾用外装
部品や更に他の分野の耐食・耐摩耗性部品など広く応用
できる。

実施例では下地膜は単一膜からなつていたが、本発明は
下地膜を複数化したり仕上げ膜を複数化したりして適用
することもできる。

本発明はイオンブレーテイング技術と研摩技術とを組み
合せることによつて光沢や色調などの外観品質が優八耐
食性や耐摩耗性の優れた装飾用外装部品を無公害プロセ
スで提供することが可能とし、社会的効果も含めてその
効果は当該本発明の応用分野の広さからもその効果甚大
なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，ｂ，ｃは本発明による製造工程の例を示し、
外装部品表面の各工程の経過を示す断面図である。 １・・・外装部品基材、２・・・イオンプレーテイング
膜、３・・・粗地面、４・・・反応性イオンプレーテイ
ング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 部品基材上にイオンプレーティングにより少なくと
   も１種の下地層と仕上げ層からなる多層の膜を形成し、
   前記下地層が研摩されていることを特徴とする硬質耐摩
   耗性装飾用外装部品。 ２ 下地層の膜厚が１乃至１００ミクロンであることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の硬質耐摩耗性装
   飾用外装部品。 ３ 仕上げ層の膜厚が１乃至５ミクロンであることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の硬質耐摩耗性装飾
   用外装部品。 ４ 部品基材上に少なくとも１種のイオンプレーティン
   グ膜を下地層として施し、該下地層を研摩した後前記下
   地層上に反応性イオンプレーティングにより硬質耐食性
   の化合物膜を仕上げ層として施したことを特徴とする硬
   質耐摩耗性装飾用外装部品の製造方法。