JPS5944273B2 - 容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、酒類、ジュース類等に適する簡易な容器に
関する。

従前、これら酒類、ジュース類の飲料容器は、壜あるい
は缶が多かつた。

然し近年資材の高値により、容器の価格が高くなり、そ
れだけ壜あるいは缶入り飲料がコスト高となつてくるし
、特に壜の場合は、回収作業の必要性から広域流通を行
い得ない欠点もあつた。これら飲料の容器として、安価
に提供し得て而も広域流通を可能とするものに、耐液加
工を施した紙製容器が考えられるが、従前公知の紙製容
器では、紙の貼合せ部分あるいは容器頂部に貼合せ部と
して残される段差部分から、内容液が外部に滲出し易く
、簡易な容器では多くの不良品を出し易い。

一方紙製容器として該容器主体内面にポリエチレンフィ
ルムを重合したものも知られているが、このポリエチレ
ンフィルムの場合、内容液を充填したまま長期間保存す
ると、ポリエチレン臭が内容液に浸み込み、内容液の香
及び味を変化してしまう大きな欠点があり、長期保存に
は到底使用し得ないものである。

更に現在では容器殺菌の為に過酸化水素を使用すること
ができない為、紫外線照射により容器を殺菌処理するこ
とが考えられるが、ポリエチレンに紫外線を照射すると
ポリエチレンは破壊されてしまう。その結果シール蓋を
密着し得なくなる大きな欠点があり、実用化ができない
。発明者は、上記欠点を有するポリエチレンに変えて使
用する合成樹脂としてポリエステルが有効であることを
発見した。

即ちポリエステルで形成した壜と、通常のガラス壜とを
用意し、これら夫夫の壜中にジン、ウオツカ、ウイスキ
ー、ワイン、焼酎及び日本酒を４０℃の温度で充填し、
これを１ケ月間保存した後ガラス壜中のものとポリエス
テル壜中のものとを比較した結果、両者に全く相違がな
かつたものであり、更にポリエステルに紫外線を照射し
ても何ら変化を生せず、シール性についても低下をみな
いことを発見した。発明者は上記の点に鑑み、比較的簡
単な構造で而も安価で広域流通可能であり、酒類であつ
てもその密封性を良好とし、長期保存を可能とした紙を
主体とした新規な容器を開発し、同時に提案している。

本発明は、上記新規に開発した容器の利点をそのまま具
備し、更に需要者にとつて扱い易くした新規な容器を提
供することを目的とするものである。

この為に本発明では、上部に外方への張り出し縁を有す
るコツプ形状からなる紙製容器主体と、同じくコツプ形
状からなり上部に外方への張り出し縁を有する肉薄のポ
リエステル製内壁構成部とからなり、この内壁構成部を
紙製容器主体内に重合し、この内壁構成部の上部張り出
し縁を紙製容器主体の上部張り出し縁の外面に折返し重
合させることにより該紙製容器主体と内壁構成部とを一
体化して容器本体を構成し、アルミニユウムフイルム、
紙等をシール蓋主体とし、このシール蓋主体の片面にポ
リエステルフイルムを重合し且つ上記容器主体の開口部
に嵌合する浅い窪み部を形成してシール蓋を構成し、こ
のシール蓋のポリエステルフイルム層と容器本体の上面
ポリエステル層とをヒートシールして密閉すすると共に
、上記シール蓋をシールした容器本体の上部に被せる被
せ蓋を熱可塑性合成樹脂材により構成し、この被せ蓋に
上記シール蓋の窪み部内に受容される同様の窪み部を形
成し、この窪み部の底板中心位置に該窪み部と逆向きの
窪み部を形成し、この逆向き窪み部中にカツタ一を納め
てあることを特徴とする容器を要旨とする。

以下図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する
。

図中１が公知のコツプ形状からなる紙製容器と同様の構
造の紙製容器主体で、同じく土部に外方へ張り出し内方
に折返し構成された張り出し縁２を有する。

３が同じく上部に外方へ張り出した張り出し縁４を有す
る肉薄の内壁構成部で、ポリエステルにより構成してあ
る。

この内壁構成部３はポリエステルフイルムを公知の絞り
加工方法によつて構成したもので、図示した実施例では
、張り出し縁４並びに内壁構成部３の上部の厚みを４０
０〜５００ミクロンとし、下部並びに底板５の厚みを１
００〜１５０ミクロンとしてある。第４図に示す通りこ
の内壁構成部３は紙製容器１とは別体に成形され、これ
を紙製容器主体１の内面に重合し、然る後この内壁構成
部３の張り出し縁４を、紙製容器主体１の上部張り出し
縁２の外面に沿つて折返し重合させ、第２図及び第３図
に示す通り紙製容器主体１と内壁構成部３とを一体化し
、容器本体Ａを構成してある。図中Ｂがシール蓋で、こ
れはアルミニユームフイルムあるいは紙等からなるシー
ル蓋主体６の片面にポリエステルフイルム層７を重合し
て構成してあり、第１図及び第２図に示す実施例では、
容器本体Ａの開口部８に嵌合するよう、断面が浅い凹状
に形成される窪み部９を有し、これにより内容液が充填
された後の容器内空間を少なくし、この容器内空間中の
空気の温度変化に基づく体積変化によつて、シール蓋が
変形することを極力防止するようにしたものであると共
に後述する被せ蓋を被せることを可能としたものである
。

そしてこのシール蓋Ｂのポリエステルフイルム層７の厚
みは２５〜３０ミクロンとすることが望ましい。更に図
中Ｃが被せ蓋で、熱可塑性合成樹脂により構成され、公
知の被せ蓋同様周壁１０と頂板１１を有する。そしてこ
の被せ蓋Ｃには、上記シール蓋Ｂの窪み部９内に受容さ
れる該窪み部９と同様の窪み部１２を形成してあり、こ
の窪み部１２の底板１３の中心位置に該窪み部１２と逆
向きの窪み部１４を形成してある。そしてこの逆向き窪
み部１４中にカツタ一１５を納めてある。この窪み部１
４中に納めたカツタ一１５を保持する為に該窪み部１４
の周縁位置に複数の止め突起１６を有する。この他図中
１７，１７・・・は被せ蓋Ｃの周壁に形成した止め突起
で、シール蓋Ｂを施した容器に被せ蓋Ｃを被せた状態で
、シール蓋Ｂの周縁あるいは容器本体Ａの張り出し縁に
係合し、通常状態においてはみだりに被せ蓋が離脱しな
いようにしてある。餉５図及び第６図には被せ蓋Ｃの他
の実施例が示してあり、第１図及び第３図に示した被せ
蓋Ｃと同一の符号を以つて示した部分は同一の構成から
なつており、略同様の形状を呈するが、第５図及び第６
図に示す実施例では、逆向き窪み部１１を被せ蓋Ｃの中
心を中心とした円形状に形成してある点が、第１図及び
第３図に示した実施例の長方形状に形成した窪み部１４
と相違する。

従つてこの逆向き窪み部１４内に納めるカツタ一１５′
の形状も全体として略円板状を基礎として形成され円板
状をなす基板の一部を凹状に切欠して切欠部１８を形成
し、その切欠縁部に刃部１９を形成してある。図示した
実施例では両切欠縁部に刃部１９を形成してあるが、片
側のみに刃部１９を形成してもよい。そしてこの逆向き
窪み部１４′を被せ蓋Ｃの中心位置に円形状に形成すれ
ば、この逆向き窪み部１１にカツタ一１５を機械的に自
動装填する際、この逆向き窪み部１４／の位置合せをす
る必要なく、被せ蓋の向きを特定しなくともカツタ一１
５の装填を容易に行い得ることができる。このような構
成からなる本発明容器では、容器本体Ａ中に酒類、ジユ
ーズ等の内容液を充填した後、シール蓋Ｂをそのポリエ
ステルフイルム層７を下面として被せ、ヒートシールす
るが、このヒートシールの際、シール部即ち容器本体Ａ
の上面ポリエステル層とこれに対面するシール蓋Ｂのポ
リエステルフイルム層とを充分加熱、加圧するとこれら
ポリエステル層が融着し密封される。斯くしてシール蓋
Ｂを容器本体Ａにシールした後、カツタ一１５，１５／
を逆向き窪み部１４，１４′中に予め装填してある被せ
蓋Ｃを嵌装して製品化される。そして需要者が容器中の
内容液を飲用する際には、先ず被せ蓋Ｃを容器から開放
し、然る後その逆向き窪み部１４，１４′中からカツタ
一１５，１５′を取外し、この力 タ一１５，１５／を
使用してシール蓋Ｂの窪み部９の縁に沿つて切れ目を入
れ、この窪み部全域を切り取ることにより容易に容器を
開放することができる。叙上の如く本発明では、上部に
外方への張り出し縁を有するコツプ形状からなる紙製容
器主体と同じくコツプ形状からなり上部に外方への張り
出し縁を有する肉薄のポリエステル製内壁構成部とから
なり、この内壁構成部を紙製容器主体内に重゛合し、こ
の内壁構成部の上部張り出し縁を紙製容器主体の上部張
り出し縁の外面に折り返し重合させて紙製容器主体と内
壁構成部とを一体化してあるから、一体成形された内壁
構成部により外側紙製容器主体の紙の貼合せ部から内容
液が浸み出ることを完全に防止し得ると共に、容器本体
の上部張り出し縁も内壁構成部の上部張り出し縁により
構成されるから、紙製容器の上部貼合せ部にみられる段
差部分がなく、従つてシール蓋をヒートシールした場合
にも密封性をきわめて高く保ち得る大きな利点を有する
。

又容器本体の張り出し縁上面はポリエステル層により構
成されているから、その上面に、凹条を形成したり、ヒ
ートシールの際エンボス加工をすることも容易であり、
シール強度をより一層高めることも可能である効果を有
する。更に紙製容器主体の上部張り出し縁の外面に内壁
構成部の上部張り出し縁を折り返し重合させたから、容
器本体の上部張り出し縁の幅員を広げることができ、そ
れだけシール蓋とのシール面積を大きくすることができ
、剥離の危険性をなくし得た利点も有する。加えて内壁
構成部をポリエステルにより成型してあるから、ポリ臭
が内容液に浸みる惧なく、更には紫外線照射による殺菌
を行い得るから、上記密封の良好性とも相俟つて、内容
液の長期保存を可能にし得た大きな効果を有し、酒類の
容器としても充分使用し得るものである。更には容器本
体を紙製容器主体とポリエステル製内壁構成部とにより
構成してあるから、容器本体の強度も高めることができ
、紙のみの容器であるとシール蓋の開放時に容器を掴む
力によつて容器を変形させ、ややもすると内容液をこぼ
してしまう惧が多分にあるが、本発明容器では斯かる惧
のない使い易い容器となし得た利点を有する。又壜と相
違し回収の必要がない為広域流通にも適するし、更には
紙が主体であるから焼却が容易であり、廃棄公害も防止
し得る等、多大の利点を有するものである。更に本発明
ではシール蓋を含む容器としての上記多くの利点に加え
て、上記シール蓋の窪み部内に受容される同様の窪み部
を有し、この窪み部の底板中心位置に該窪み部と逆向き
の窪み部を形成し、この逆向き窪み部中にカツタ一を納
めて構成した被せ蓋を設けて、この被せ蓋を容器上部に
被せるものであるから、飲用に際しては該被せ蓋に装填
したカツタ一を使用して容器の開放を簡易且つ迅速に行
うことができる実用上の利点を有すると共に被せ蓋が外
からの衝撃による容器の変形を防止することも可能で而
も容器を衛生的に保ち得る等の種々の効果も有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明容器の実施例を示すもので、第１図は容器
本体、シール蓋及び被せ蓋を分離して示す斜面図、第２
図はシール蓋をシールし被せ蓋を施した状態を示す断面
図で一部を省略してあり、第３図は被せ蓋の裏面図であ
り、第４図は容器本体を構成する紙製容器主体と内壁構
成部との一体化直前の状態を示す断面図であり、第５図
は被せ蓋の好ましい他の実施例を示す斜面図であり、第
６図は第５図の実施例の裏面図であり、第７図は第５図
示の被せ蓋に装填するのに好ましいカツタ一の実施例を
示す斜面図である。 Ａ・・・・・・容器本体、Ｂ・・・・・・シール蓋、Ｃ
・・・・・・被せ蓋、１・・・・・・紙製容器主体、２
・・・・・・張り出し縁、３・・・・・・内壁構成部、
４・・・・・・張り出し縁、６・・・・・・シール蓋主
体、７・・・・・・ポリエステルフイルム層、９・・・
・・・窪み部、１２・・・・・・窪み部、１３・・・・
・・底板、１４・・・・・・逆向き窪み部、１５・・・
・・・カツタ一。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上部に外方への張り出し縁を有するコップ形状から
   なる紙製容器主体と、同じくコップ形状からなり上部に
   外方への張り出し縁を有する肉薄のポリエステル製内壁
   構成部とからなり、この内壁構成部を紙製容器主体内に
   重合し、この内壁構成部の上部張り出し縁を紙製容器主
   体の上部張り出し縁の外面に折返し重合させることによ
   り該紙製容器主体と内壁構成部とを一体化して容器本体
   を構成し、アルミニュウムフィルム、紙等をシール蓋主
   体とし、このシール蓋主体の片面にポリエステルフィル
   ムを重合し且つ上記容器主体の開口部に嵌合する浅い窪
   み部を形成してシール蓋を構成し、このシール蓋のポリ
   エステルフィルム層と容器本体の上面ポリエステル層と
   をヒートシールして密閉すると共に、上記シール蓋をシ
   ールした容器本体の上部に被せる被せ蓋を熱可塑性合成
   樹脂材により構成し、この被せ蓋に上記シール蓋の窪み
   部内に受容される同様の窪み部を形成し、この窪み部の
   底板中心位置に該窪み部と逆向きの窪み部を形成し、こ
   の逆向き窪み部中にカッターを納めてあること特徴とす
   る容器。