JPS594294Y2 - 高圧回転電機固定子巻線の絶縁性能監視装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、高圧回転電機固定子巻線の絶縁性能監視装
置に関する。

高圧回転電機の固定子巻線には、高電圧が運転中に常時
印加されるため、その絶縁物は経年変化により劣化し、
ボイドが発生すると、そこでコロナ放電が生じ、ついに
は絶縁物が破壊しコイル導体と接地電位の鉄心との間で
短絡という事故が生ずる。

従って、高圧回転電機においては、保守管理上さらには
事故防止上、固定子巻線の絶縁性能を常に把握すること
が必要であり、そのために従来は定期的に回転電機を止
めて絶縁試験を行なってきた。

しかし、これでは回転電機の運転効率が悪く、絶縁試験
に相当の時間を要していた。

この考案の目的は、回転電機の運転中に固定子巻線の絶
縁性能を簡単に常時測定監視し得ると共に構成が簡潔な
絶縁性能監視装置を提供することにある。

以下、第１図〜第８図により、この考案の一実施例を説
明する。

第１図に示したブロック図で、１０ａ 、１０ ｂ 、
ｌＱ ｃは、各相の検出器で、たとえば高圧回転電機Ａ
Ｇに線路側に配置され高電圧となる各相（Ｕ、Ｖ、Ｗ）
巻線１２ ａ 、１２ ｂ 、１２ Ｃの絶縁表面の低
抵抗層１４で固定子鉄心１６の巻線収容溝外端部に検出
器を取付けたり（第２図参照）、あるいは固定子鉄心１
６の巻線収容溝に検出コイルを挿入して（第３図参照）
各相巻線の絶縁物を通して部分的に発生したコロナ放電
を検出する。

なお、第２図、第３図で、低抵抗層１４は各相巻線を接
地電位の固定子鉄心１６に接触させて、これと同電位に
するためのものであり、１８は低抵抗層１４よりさらに
外方の巻線部分を被覆する高抵抗層で、低抵抗層１４と
協力して巻線１２ ａ 、１２ ｂ 、１２ Ｃと固定
子鉄心１６間の電位傾度を緩和するように作用する。

２０は巻線部え用のくさびである。

かくして各相の検出器１０ ａ 、１０ ｂ 、１０
Ｃの出力はリード線２２ ａ 、２２ ｂ 、２２ Ｃ
を介して各相ごとの高域フィルタ２４ ａ 、２４ ｂ
、２４ Ｃに導かれ、ここで商用周波数（５０Ｈｚ
、 ６０ Ｈｚ）が取除かれて部分放電信号のみがゲー
ト回路２６に人力される。

このゲート回路２６では、３相各相のゲート開閉をゲー
ト制御回路２８で制御して数１０ｍ秒〜数分おきに、Ｕ
相、■相、Ｗ相と順番に各相出力がでるようにする（第
４図参照）。

ゲート回路２６の各相出力はスライサ回路３０により所
定値以上の部分だけが取出される。

この場合、スライス・レベルＶｓを変えて種々の大きさ
の部分放電パルスを取出すことができる（第５図参照）
。

巻線の絶縁層内で部分放電が発生するのは巻線導体の対
地電圧が高くなった時であり、各相での部分放電の発生
位相は１２０°づつずれている。

そこで、例えばＵ相に着目すると、Ｕ相で部分放電が発
生している時に、■相、Ｗ相で部分放電が発生したとし
てもこれらの部分放電パルスＰｐの極性はＵ相とは逆で
あるので（第６図参照）、■相、Ｗ相で発生した部分放
電信号がＵ相に回りこんで゛もスライサ回路３０で゛は
無視され出力されない（第５図参照）。

スライサ回路３０からの各相出力は、ゲート開閉時間よ
り短かいある一定時間おきにリセットされる計数回路３
２に入力されて順番に各相の部分放電の発生数が計数さ
れ、個／秒または個／分などの単位に変換後、表示回路
３４に出力される。

この表示回路３４もゲート制御回路２８により制御され
て各相ごとに部分放電パルス数が表示されると共に、そ
の出力が順番に共通の計録計３６の各相入力端子へ送ら
れる。

この場合、表示回路３４の各相出力にそれぞれ異なった
バイアス電圧Ｂｕ、Ｂｖ、Ｂｗを加えることにより単一
ペン・レコーダで各相の部分放電発生数を記録すること
ができる（第７図参照）。

Ｕ相からＶ相へ切換えるところでは、一次的に零出力に
したり（第８図ａ）、適当なチェック信号、例えば各相
間で落ちこみの深さが異なるチェック信号Ｐｕｖ 、
Ｐ ｖｗ 、 Ｐ ｗｕを表示する（第８図ｂ）のよう
にして１台の記録計３６で３相分の表示および識別が可
能となる。

前述のように、高電圧回転電機の巻線絶縁物では、劣化
するに従かい有害な部分放電が発生する。

この部分放電の発生数は短時間で急変することはなく徐
々に変化するので、数分間おきの測定であっても長期間
続けることにより実質的には３相について部分放電を監
視することになり、必ずしも連続監視の必要はない。

このことは、第８図ａ、ｌ）の場合の各相間の切換え部
分において発生する部分放電パルスがあったとしても同
様である。

以上から明らかなようにこの考案によれば、高圧回転電
機の運転中にも簡単に監視測定ができ、従って運転効率
が増大すると共に多大の時間を費して絶縁試験をする必
要はない。

また、検出器を除き各相の測定系は共通の一系統ですむ
ので装置は簡潔な構成となり設備費が安価となる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は回転電機に
接続した、この考案の装置のブロック線図、第２図、第
３図は検出器の取付説明図、第４図はゲート出力の説明
図、第５図はスライサ回路入出力説明図、第６図は部分
放電パルスの位相説明図、第７図は各相部分放電パルス
の表示説明図、第８図は３相分部分放電パルス識別表示
説明図であるＡＧ・・・・・・高圧回転電機、１０ ａ
、１０ ｂ 、１０ Ｃ・・・・・・検出器、１２
ａ 、１２ ｂ 、１２ Ｃ・・・・・・各相巻線、１
４・・・・・・低抵抗層、１６・・・・・・固定子鉄心
、１８・・・・・・高抵抗層、２０・・・・・・くさび
、２２ ａ 、２２ ｂ 、２２ Ｃ・・−・−リード
線、２４ ａ 、２４ｂ、２４Ｃ・・・・・・高域フィ
ルタ、２６・・・・・・ゲート回路、２８・・・・・・
ゲート制御回路、３０・・・・・・スライサ回路、３２
・・・・・・計数回路、３４・・・・・・表示回路、３
６・・・・・・記録計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定子巻線１２ ａ 、１２ ｂ 、１２ Ｃごとに設
   けた検出器１０ ａ 、１０ ｂ 、１０ Ｃと、これ
   ら検出器１０ ａ 、１０ｂ、ＩＯＣの出力から各相毎
   に部分放電パルスのみを抽出する高域フィルタ２４ａ、
   ２４ｂ、２４ｃと、これら高域フィルタ２４ ａ、２４
   ｂ、２４ Ｃの出力を各相に同期したタイミングで順
   次通過させるゲート回路２６と、このゲート回路２６に
   同期をとるための制御信号を供給するゲート制御回路２
   ８と、前記ゲート回路２６の出力信号から所定値以上の
   パルスを抽出するスライサ回路３０と、このスライサ回
   路３０の出力信号を計数する計数回路３２と、前記ゲー
   ト制御回路２８によって制御され、前記計数回路３２で
   計数されたパルス数を各相毎に単位時間当りで繰返し表
   示する表示回路３４とを有することを特徴とする高圧回
   転電機固定子巻線の絶縁性能監視装置。