JPS5942505Y2 - クラツチデイスク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 クラッチのフェーシング材としてはオルガニック材とシ
ンタートメタル材又はセラメタリック材が広く採用され
ている。

前者は例えば石綿と真鍮その他の金属線の混合体をフェ
ノール樹脂でモールドしたもの、シンタートメタル材は
銅系焼結合金が代表的なものである。

セラメタリック材はこれに七う□ンク系統の無機質と合
成されたものであって、特に耐熱、耐摩耗性に優れた材
料である。

ところがシンタートメタル材又はセラメタリックフェー
シングは耐摩耗性にすぐれている反面耐シャダー性の面
で問題がある。

即ちクラッチを車両に採用した場合等にクラッチを緩や
かに接続する発進時にシャダーが発生しやすい。

一方、純銅及び焼結し、た純銅は耐シャダー性にはすぐ
れているが耐摩耗性に問題がある。

そこで純銅を焼結し短所を補うため両フェーシングを組
合せ、クラッチディスク外周のドリブンプレートに純銅
、焼結した純銅フェーシング（パッド）を鋳込んだオル
ガニックフェーシングを固着する対策が考えられる。

しかし純銅、焼結した純銅フェーシングとオルガニック
フェーシングを一体に成形するには大がかりな装置を要
し、コストアップが避けられない。

使用中における両フェーシングの熱膨張差により両フェ
ーシングの一体化した境界部分に亀裂や破損が発生しや
すく、鋳込まれたメタリックパッドが脱落する可能性が
ある。

本考案は特に純銅又は焼結した純銅が耐熱、耐摩耗性に
優れていることに着目し、あらかじめ別別に成形された
オルガニックフェーシングと純銅又は焼結した純銅をド
リブンプレート両面に、その表裏の概ね同一位置を占め
る如く互に独立に固着したことを特徴としており、図面
に関連して説明すると次の通りである（以下焼結した純
銅も純銅と称す）。

第１図中１はクラッチディスク、２はフライホイール、
３はプレッシャープレートである。

４はクラッチプレート、５は環状のドリブンプレート、
６は環状に配置された多数のリベット、７，８はそれぞ
れフライホイール２側とプレッシャープレー）３側のオ
ルガニックフェーシングで、純銅フェーシング９，１０
の嵌合する孔１１．１２を備え、複数個のリベット１３
によりドリブンプレート５に固着されている。

第１図の実施例においては孔１１，１２はドリブンプレ
ート５０表と裏（例えば左側と右側）の同一位置を占め
、同一形状（円形）を有する。

純銅フェーシング９は緩衝板１５を介して補強板１４に
接着されている。

純銅フェーシング１０も同様に緩衝板１５、補強板１６
を一体に有する。

１７はリベットで、両補強板１４，１６をドリブンプレ
ート５に締付げている。

１８ｔ１９はオルガニックフェーシングと純銅フェーシ
ングの間に形成される隙間である。

純銅フェーシング９，１００配列を第２図に示す。

第２図の例においてはオルガニックフエーシング７と純
銅フェーシング９は全フェーシング面積のそれぞれ約８
０％と約２０％を占めるように、純銅フェーシング９が
円周方向に見て千鳥配列されている。

２０はオルガニックフェーシングＴの表面に設けた溝、
２１はドリブンプレート５に設けた熱膨張吸収用のスリ
ットである。

第３図は別の実施例を示しており、ドリブンプレートの
表と裏に同一形状の純銅フェーシング９′が固着され、
しかも純銅フェーシングの固着場所はドリブンプレート
円周上の等間隔３箇所の位置である。

このようにすると純銅フェーシング９′部分における当
りが他の純銅フェーシング部分の当りと同じになり、ク
ラッチの接続が円滑になる。

面積割合はオルガニックフェーシング７ ’ｂ＊約８０
讐、純銅フェーシング９′が約３０％である。

以上説明したように本考案によると、ドリブンプレート
５０表と裏の同一位置を占めるように、ドリブンプレー
ト５上に純銅フェーシング９，１０を独立に（オルガニ
ックフェーシング７．８と完全に独立した形で）固着し
たので、純銅フェーシングとオルガニックフェーシング
の製造が容易になり、コストが大巾に低減する。

純銅フェーシングとオルガニックフェーシングが互に独
立にドリブンプレート５に固着されるため、両フェーシ
ングの境界部分には隙間１８．１９ができ、熱膨張差に
より上記境界部分で両フェーシングが干渉する恐れはな
く、フェージングの耐久性が向上する。

フェーシングをオニガニツクフェーシングと純銅フェー
ジングで形成したので、従来の一般のメタリックフェー
シングの欠点であるシャダー性をオニガニツクフェーシ
ングカ補い、オルガニックフェーシングの欠点である耐
熱耐摩耗性を純銅フェーシングが補い、クラッチディス
クの耐シャダー性、耐摩耗性が大巾に向上する。

純銅約２０％。オルガニック約８０％の面積割合とした
場合のテストによると、シャダー及びフェーシング摩耗
はほとんどなくなり、非常に良い結果が得られている。

本件考案者は純銅又は焼結純銅をブレーキライニングに
採用した時、耐熱、耐摩耗性に優れ、ブレーキ性能が格
段に向上することを公式テストにより確認しており、本
考案は上記テスト結果をクラッチに適用したものである
。

通常フライホイールはプレッシャープレートニ化べて質
量が大きく、且つ全体の表面積が大きいので、同一の摩
擦仕事量に対し摩擦面の温度上昇はフライホイール面の
方がプレッシャープレート面より低くなる。

一方摩擦材料（純銅と、オルガニック共）は温度が上昇
すると摩耗量が加速度的に増加する傾向があるため、フ
ェーシングとして同一の材料をフライホイール側及びプ
レッシャープレート側に設けた場合（プレッシャープレ
ート側の方が通常温度が高いので）プレッシャープレー
ト側フェーシングの方がフライホイール側フェーシング
より早く摩耗することになる。

そこで両面における摩耗量をバランスさせるため、純銅
フェーシングを９″（第４図）の如く小型化し、純銅フ
ェーシングの面積が縮少した分だけオルガニックフェー
シング７の面積を拡大することにより、フライホイール
側とプレッシャープレート側のフェーシングの摩耗を揃
えることができる。

フェーシングの表面にリベットの頭が出てくる摩耗限度
までが寿命であるので、結局フェーシング材料の有効利
用が図られることになる。

一方、シャダーの原因となるトルク変動はエンジンのク
ランク軸に固定されたフライホイールに直接的に表われ
るのに対し、プレッシャープレートにはある程度緩衝さ
れて表われる。

従って第４図の如くフライホイール側のオルガニックフ
ェーシングの面積比を大きくすると、フライホイール側
フェーシングの耐シャダー性の成分比が大きくなり、ジ
ャーダー低減に有効である。

フェーシング９”、１０の面積割合は機種、用途等を考
慮の上、フライホイール側とプレッシャープレート側フ
ェーシングの寿命が揃うように、実験的に定められるが
、概ね１：２程度に選ぶと有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したクラッチディスクの縦断面部
分図、第２図は第１図の■−■矢視部分図、第３図は別
の実施例を示すための第２図に対応した図面、第４図は
更に別の実施例を示すための第１図に対応した図面であ
る。 １・・・・・・クラッチディスク、５・・・・・・ドリ
ブンプレー）、７．８・・・・・・オルガニックフェー
シング、９゜１０・・・・・・純銅又は焼結した純銅フ
ェーシング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラッチディスクのクラッチプレート外周に取り吋げた
   ドリブンプレート両面に、その表裏の概ね同一位置を占
   める如く、あらかじめ別々に成形されたオルガニック材
   のフェーシングと、純銅又はＭ純銅のフェーシングを、
   互に独立に固着したことを特徴とするクラッチディスク
   。