JPS5942231B2 - 拡散火炎溶射法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、拡散火炎溶射法に関し、と（に拡散火炎溶
射により耐火物内張りに生じた損傷を補修する際、非溶
射領域の表面に及ぼす燃焼ガスの有害作用を有利に軽減
して効果的な補修を可能ならしめようとするものである
。

近年、耐火物内張りに生じた損傷の補修方法として拡散
火炎溶射法すなわち粉粒状の耐火物と炭素粉などの固体
燃料物との混合粉よりなる吹付は補修材の放出流動に対
し酸素ガスの如き支燃性ガスを噴射衝突させ、固体燃料
物の燃焼によって形成される高温の火炎により粉粒状耐
火物を溶融または半溶融状態として、耐火物内張りの損
傷部に吹付は被着させる補修方法が開発された。

この拡散火炎溶射法は、従来法に較べてち密で強固な補
修層が得られる利点があり、現在転炉やその他の精錬容
器の耐火物ライニングの損耗部の補修に利用され、また
加熱炉や均熱炉などの耐火物内張りの補修への適用も考
えられている。

ところで上記拡散火炎溶射法による損傷部の補修を行っ
た転炉につき、補修後の炉内耐火物ライニングの耐火特
性に関する調査の結果、補修の際、非溶射領域の表面に
異常な損耗が生じることが明らかになった。

このような火炎溶射補修時における非溶射領域での異常
な損耗が不利であるのはいうまでもない。

そこで発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意研究を重
ねた結果、火炎溶射補修時における非溶射領域での異常
損耗は燃焼ガス中に残存する余剰酸素に基因することを
突き止めた。

すなわち拡散火炎溶射法においては、一般に燃料の完全
燃焼を図るべ（、燃料の完全燃焼に必要な理論量よりも
幾分過剰に酸素が供給されるため、燃焼ガス中には一般
に燃焼に寄与しなかった余剰酸素が残存し、この余剰酸
素が高温の燃焼ガスに伴われて耐火物ライニングの非溶
射領域表面に接触すると該ライニングに損耗を生じるこ
とが究明された。

従って燃焼ガス中に余剰酸素が実質的に残存しないよう
な燃焼条件下に拡散火炎溶射を行うことにより、所期し
た目的が有利に達成されたのである。

すなわちこの発明は、粉粒状耐火物と固体燃料粉との混
合粉よりなる吹付は補修材の放出流動に対し支燃性ガス
の高速気流を噴射して形成される拡散燃焼火炎により該
粉粒状耐火物の溶融または半溶融下に火炎溶射して、損
傷を生じた耐火物内張りに補修を行うに際し、上記支燃
性ガスを、該支燃性ガス中の０２成分が上記固体燃料粉
の完全燃焼に必要な理論量には満たない範囲で噴出させ
ることを特徴とする拡散火炎溶射法である。

この発明に従い、燃焼ガス中に余剰酸素が実質的に零と
なるような条件の下に固体燃焼粉を燃焼させることによ
り、非溶射領域の表面での異常損耗の防止に関し望外の
成果が得られたのである。

以下この発明を由来するに至った実験結果につき具体的
に説明する。

固体燃料粉としてコークス粉（以下単にＣ粉という）を
使用し、０２／ｃモル比を種々に変化させて拡散火炎溶
射による耐火物ライニングの補修を行った場合に、燃焼
ガス中に含まれるＣＯおよび０２量について調べた結果
を第１図に、またそのときの非溶射領域における耐火物
ライニングの損耗量を第２図に示す。

第１図より明らかなように、理論的にはＣ粉が完全燃焼
する０２／ｃモル比が１の場合でも、実際には完全な燃
焼は達成できず未燃Ｃが残り、このため従来は前述の如
（０２がＣの完全燃焼に必要な理論量よりも過剰に供給
されるが、第２図に示したように０２／ｃモル比が１以
上になると非溶射領域における損耗量は急激に増大する
。

この点０２量がＣの完全燃焼に満たない０２／ｃ＜ｉの
範囲では非溶射領域における損耗量は極めて低い。

そこでこの発明ではＣに対する０２供給量をモル比で１
未満の範囲としたのである。

しかしながら未燃Ｃ量が多いことは不経済であり、また
この未燃Ｃを含む高温排ガスが大気と接触した場合には
未燃Ｃが燃焼して周囲が高温にさらされた危険でもある
ので０２／Ｃ比で、０．６以上より好ましくは０．８以
上とするのが実際的である。

以下この発明の実施例を従来例と比較して説明する。

容量７００ｔの転炉の耐火物ライニングに生じた損耗を
以下に述べる条件の下で拡散火炎溶射法により補修を施
し、そのときの非溶射領域における損耗量を調べた。

その結果を表１に示す。・粉粒状耐火物組成；天然マグ
ネシア（Ｍｇ０二９３％、ＳｉＯ２ニア％） ・粉粒状耐火物組成粉（純度８８％）−７０：３０（重
量％） ・吹付は補修材の吹込み速度：２００ｋｇ／′ＩＭｌ・
酸素供給量； ９５Ｎｍ／ｍＩ／１ ・キャリアガス供給量； ４０ ＯＮｍ／ ｈｒ・０２
／ｃモル比；０．９５ ・補修時間；６分 なお比較のため酸素供給量を変えて０２／ｃモル比を１
．０５とし、他は上掲と同じ条件で補修を行ったときの
、非溶射領域における損耗量についても調べ、表１に併
せ示した。

表１より明らかなようにこの発明法に従う実施例では従
来法に比べ、拡散火炎溶射補修時における非溶射領域表
面での損耗が大幅に低減される。

上述したような拡散火炎溶射による転炉の耐火物ライニ
ングの補修は、炉内から出鋼排滓直後で耐火物ライニン
グが充分に高温の状態で施される。

この点何かの都合で炉内の温度が低下し、補修に先立ち
炉内の予熱を必要とするときには、粉粒状耐火物の供給
を停止または極力低下させて拡散火炎による加熱を施す
ことがあるが、このときにも酸素量はこの発明に従う範
囲で供給することが炉内耐火物ライニングの損耗を防止
する上で有利である。

以上この発明を転炉の補修を行う場合につき主に説明し
たが、その他の精錬炉ならびに加熱炉や均熱炉の耐火物
内張りの補修の際にも同様に適用できるのはいうまでも
ない。

かくしてこの発明によれば、拡散火炎溶射による耐火物
内張りの補修の際、従来非溶射領域に生じていた表面の
異常損耗を大幅に軽減でき、効果的な補修が達成される
。

【図面の簡単な説明】

第１図は０２／Ｃモル比を種々に変化させて拡散火炎溶
射を行った場合の燃焼ガス中に含まれるＣＯと０２量と
を示したグラフ、第２図は０２／Ｃモル比と非溶射領域
の損耗量との関係を示したグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 粉粒状耐火物と固体燃料物との混合粉よりなる吹付
   は補修材の放出流動に対し支燃性ガスの高速気流を噴射
   して形成される拡散燃焼火炎により該粉粒状耐火物の溶
   融または半溶融下に火炎溶射して、損傷を生じた耐火物
   内張りに補修を行うに際し、上記支燃性ガスを、該支燃
   性ガス中の０２成分が上記固体燃料物の完全燃焼に必要
   な理論量には満たない範囲で噴出させることを特徴とす
   る拡散火炎溶射法。