JPS5933087B2 - 釣竿等の管状体の製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は釣竿、ゴルフクラブ用シャフト等のテーパー状
管状体の製造法に関するものである。

従来、釣竿、ゴルフクラブ用シャフト等のテーパー状管
状体は、テーノゞ一付芯金にパラフィンその他の離型剤
を塗布してから樹脂含浸繊維補強シート（プリプレグシ
ートと云う）を捲着し、更にその外周面にセロファンテ
ープ等の熱収縮性テープをスパイラル状に捲着して緊縛
した後、加熱炉を吊下しながら移動させて硬化処理を行
い、次いで芯金を引抜く離型工程、捲着テープの剥離工
程を行つて管状体を製造している。しかしながらこの製
造法によるときは硬化処理により、穂先用などの細い芯
金の場合にはその先端部が捲着素材と共にスパイラル状
に捻れたり、またそれ以外の比較的太い芯金の場合でも
先端部が弓状に湾曲することが屡々起り、この現象によ
り硬化処理後芯金を引抜くことが不可能になつたり、仮
令引抜き可能であつても製品が曲つて不良品となる欠陥
があり、特にこの傾向は繊維補強シートに最近実用化さ
れている炭素繊維を使用した場合一層顕著である。

この原因はまだ明確に解明されていないが、芯金に捲着
したプリプレグシートとその外周面にスパイラル状に捲
着緊縛した熱収縮性テープの緊縛力、捲着方向への引張
力などが複合的に作用し合い、何層にも捲着されたプリ
プレグシートの内層と外層、軸方向の部分などの繊維間
に不均一な力力功口わつた状態で硬化が進み、含浸樹脂
と繊維補強シートの繊維間における収縮力のバランスが
崩れ、これがそのまま硬化することによつて捲着素材及
び芯金を曲げるものと考えられる。

本発明者はこれらの欠陥を改善すべく、種々実験研究し
た結果、硬化作用進行時の含浸樹脂の流動段階で、芯金
に対して内層の繊維が自由に移動できるような余地を大
きくすることによつて繊維間に生ずる不均衡な力を解消
し硬化時に捲着素材全体が均衡した状態を保持するよう
にして捲着素材並に芯金の曲がりを防止することに成功
した。

しかし、このようにして硬化処理における捲着素材及び
芯金の曲がりを防止することに成功した反面、今度は捲
着素材が硬化処理中において吊下Ｊ 移送中の芯金から
抜け落ちたり、芯金に対してズレたりする所謂炉落ち現
象が一層烈しくなる新たな欠陥が生じることが判明した
。本発明者はこれらの相反する性状について種々研究し
た結果本発明を完成したもので、大径端部・ の一部を
残して摩擦係数の小さい耐熱性樹脂を被着したテーパー
付芯金に離型剤を塗布した後樹脂含浸繊維補強シートを
その一側部が耐熱性樹脂を被着しない部分にかかるよう
に捲着し、以下従法に従い順次熱収縮性テープによる捲
着緊縛処理、硬化処理、脱型処理を行うことを要旨とす
るものである。

即ち耐熱性樹脂をテーパー付芯金に被着するに当り全面
に被着することなく、その大径部の一部を残して被着す
ることと、樹脂含浸繊維補強シートをその一側部が前記
耐熱性樹脂の無被着部分にかかるように捲着することに
よつて硬化処理中の捲着素材及び芯金の曲がりと炉落ち
現象とを同時に防止するようにしたものである。

本発明の詳細を説明すると、大径端部１を残してその他
の全周面に四弗化エチレン、六弗化エチレン等の弗素樹
脂、シリコン樹脂などの摩擦係数の小さい耐熱性樹脂２
を被着した鋼鉄製のテーパー付芯金３にパラフイン、パ
ラフインろう、モンタンろうなどの離型剤を塗布してか
ら樹脂含浸繊維補強シート４をその一側部分４′が耐熱
性樹脂無被着部分の大径端部１にかかるように一層乃至
数層捲着する。

次いで以下は常法に従いその外周面に公知のようにセロ
フアンテープ、ポリエステルテープ、弗素樹脂テープ等
の熱収縮性テープ５をスパイラル状に捲着して緊縛した
後、これを熱又は紫外線による硬化処理炉中を吊下移動
して硬化処理し、更に芯金を引抜く離型処理、捲着テー
プを剥離処理を施して管状体を製造するものである。

しかして前記樹脂含浸繊維補強シート４は従来から使用
されているガラス繊維、炭素繊維等の織布又は引揃繊維
よりなる繊維補強シートを使用し、通常の熱による硬化
処理の場合にはこれに不飽和ポリエステル樹脂その他の
熱硬化性樹脂を主成分とする従来公知のプリプレグワニ
スを含浸せしめて形成する。

なお繊維補強シートにガラス繊維を使用すると共に特に
硬化処理を熱と紫外線の併用で行う場合には更に光増感
剤を併用するものであり、そのプリプレグワニスの組成
の一例を示すと、不飽和ポリエステル樹脂、ベンゾイン
エチルエーテル（光増感剤）、ジジアリルフタレートモ
ノマー（架橋剤）、ｔ−ブチルパーベンゾ１−ト（触媒
）、ナフテン酸コバルト（熱硬化促進剤）をアセトン、
メチルエチルケトン、醋酸エチル等の低沸点溶剤とトル
エン、メチルイソブチルケトン等の中沸点溶剤で稀釈し
たものが好適である。

またテーパー付芯金３の耐熱性樹脂被着部分の大径端部
分は周面を梨地のような微細な粗面６に形成して耐熱性
樹脂２の被着を強固ならしめ離型時の剥離を防止して芯
金３の反覆使用にも充分に耐えるように形成されており
、更に芯金３の大径端部には吊下並に離型のための環状
溝７が形成されている。

このように本発明方法によるときは摩擦係数の小さい耐
熱性樹脂を芯金に被着して捲着素材の芯金に接する繊維
が芯金に対して移動できるようにして硬化処理中に捲着
素材繊維間に不均衡な力が発生して樹脂が硬化すること
を防止して捲着素材及び芯金の曲がりの発生を確実に阻
止すると共に曲がりの生じない大径端部においては捲着
素材を耐熱性樹脂の被着してない芯金に直接捲着して両
者の摩擦力と耐熱性樹脂被膜との段差とが相俟つて捲着
素材の芯金に対する抜け落ちやズリ落ちを確実に防止し
て品質の良い釣竿、ゴルフクラブ用シヤフト等のテーパ
ー付管状体を効率良く製造できる特徴を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明における硬化処理中の縦断断面図、第２
図は同縦断側面図である。 １・・・・・・大径端部、２・・・・・・耐熱性樹脂、
３・・・・・・芯金、４・・・・・・樹脂含浸繊維補強
シート、５・・・・・・熱収縮性テープ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 大径端部の一部を残して摩擦係数の小さい耐熱性樹
   脂を被着したテーパー付芯金に離型剤を塗布した後樹脂
   含浸繊維補強シートをその一側部が耐熱性樹脂を被着し
   ない部分にかかるように捲着し、以下常法に従い順次熱
   収縮性テープによる捲着緊縛処理、硬化処理、脱型処理
   を行う釣竿等の管状体の製造法。 ２ 耐熱性樹脂として弗素樹脂を被着する特許請求の範
   囲第１項記載の釣竿等の管状体の製造法。