JPS593174Y2

JPS593174Y2 - 分配型燃料噴射ポンプの噴射時期調整装置

Info

Publication number: JPS593174Y2
Application number: JP6380178U
Authority: JP
Inventors: 佳男大谷
Original assignee: 株式会社ボッシュオートモーティブシステム
Priority date: 1978-05-15
Filing date: 1978-05-15
Publication date: 1984-01-28
Also published as: JPS54165620U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、内燃機関用の分配型燃料噴射ポンプにおける
噴射時期調整装置に関するものである。

ディーゼルエンジンなどの燃料噴射式内燃機関に搭載さ
れる分配型燃料噴射ポンプでは、機関の回転速度が上昇
するにともなって増大する圧油の押圧力とスプリングの
張圧力とをバランスさせる如くに摺動するタイマーピス
トンを設け、このピストンで噴射時期制御部材を駆動し
て機関の回転速度が上昇するにともなって燃料の噴射時
期を進めるようにしである。

然るに、この種の機関の始動性を高めるためには、始動
時に噴射時期を進めることが有効であるので、従来では
手動操作によってこれを行い、あるいは、ワックスペレ
ット式、機械式の始動時進角装置が種々提案されている
、ところが、手動式のものでは進角操作がめんどうであ
ると共に、始動後における解除操作を忘れることがあり
、また、ワックスペレット式のものでは応答性が悪く、
かつ、機械式のものでは気密部の加工精度が要求される
と同時に圧油による押圧力とスプリングの張圧力とのバ
ランス制御であるので始動時の進角が解除される機関回
転速度にバラツキを生じ、始動直後における機関の吹き
上り特性を良くすることができなかった。

本考案は、このような実情に鑑み、始動時はもとより、
機関が所定の運転条件を満足するまでは噴射時期を自動
的に進めることができるようにした分配型燃料噴射ポン
プの噴射時期調整装置を提供するものであり、始動直後
の吹き上り特性のよい調整装置を簡単かつ小型に構成で
きるようにしたことを特徴とする。

以下、図面に示す実施例に従って本考案を詳細に説明す
る。

第１図および第２図に示、す分配型燃料噴射ポンプにお
いて、燃料は機関駆動される送油ポンプ１で燃料タンク
２からポンプハウジング３内の吸込み空間４に圧送供給
され、圧力制御弁５により機関の回転速度に関連して従
来周知の如く前記空間４内の燃料油圧が制御される。

ポンプハウジング３の摺動孔６には、ポンプ兼分配用の
プランジャ７が装置され、プランジャ７の端部に固定し
たカムディスク８と駆動軸９とをドライビングデ゛イス
ク１０を介して回転方向にのみ連結している。

カムディスク８には機関の気筒数に対応する山部を有す
るカム面１１を形威し、固定的なローラホルダ１２に保
持されたローラ１３に上記カム面１１を図示しないプラ
ンジャスプリングで押し付けることにより、プランジャ
７を昇降させつつ回転させて燃料の吸入圧送と分配とを
行わせている。

プランジャ７が下降する吸入行程にある場合は、吸込空
間４の燃料が吸入孔１４からプランジャ７の頭部外周面
に設けた複数個の縦溝１５の一つを経てプランジャ室１
６に供給される。

プランジャ７が上昇する圧送行程に移行すると、プラン
ジャ７の回転にともなって吸入孔１４と縦溝１５とが切
り離され、プランジャ室１６の燃料は圧縮される。

このために、プランジャ室１６の燃料はプランジャ７内
の縦孔１７から分配縦溝１８を経て機関の気筒数に対応
して円周方向に等配形成されている吐出孔１９の一つに
流入し、逆止弁２０を介して図示しない噴射ノズルから
気筒内に噴射される。

前記プランジャ７の吸込み空間４に突出した部分には、
コントロールスリーブ２１を摺動自在に嵌挿してあり、
プランジャ７の縦孔１７に連なるカットオフポート２２
がコントロールスリーブ２１の上縁から外れて吸込み空
間４に開口すると、プランジャ室１６の燃料が縦孔１７
およびカットオフポート２２を介して吸込み空間４に流
出するので吐出（Ｌ１９側への送出は停止され、噴射路
りとなる。

なお、上記コントロールスリーブ２１は、図示しないガ
バナ機構に連係されたレバー２３で昇降制御され、カッ
トオフポート２２の開口時期、即ち、噴射路りを変えて
噴射量が増減制御される。

他方、前記ローラホルダ１２はプランジャ７と同心に回
転可能に設けられており、ポンプハウジング３に中間部
を枢着した揺動レバー２４の一端を前記ホルダ１２に、
他端をタイマーピストン２５に係合させている。

ピストン２５の一端には、機関の回転速度に比例した速
度で回転駆動されるベーンポンプ２６（実際にはこのベ
ーンポンプ２６は送油ポンプ１と同一部品で゛ある）の
出力圧口に通路２７を介して連通された圧油室２Ｂを形
成し、ピストン２５の他端には、該ピストン２５を圧油
室２８側に向って張圧付勢するスプリング２９が装置さ
れる。

したがって、機関の回転速度が上昇するにともなってベ
ーンポンプ２６から圧油室２８内に送給される圧油の圧
力が」二昇すると、タイマーピストン２５はスプリング
２９の張圧力に抗してハウジング３０内を摺動し、揺動
レバー２４を介してローラホルダ１２を駆動軸９の回転
方向と逆の方向に回転させる。

このために、ローラ１３とカムディスク８に形成したカ
ム面１１の山部との接触時期が早くなり、プランジャ７
の上昇開始時期（噴射時期）が進角する。

ここで、前記圧油室２Ｂを画成したタイマーピストン２
５の圧油作動端面にはハウジング３０に固定した平板型
ソレノイド３１の可動部材３２の先端を離間対向させる
と共に、前記スプリング２９の一端を係止するスプリン
グシート３３とハウジング３０の内端面との間に補助ス
プリング３４を張設し、この補助スプリング３４でスプ
リング２９およびタイマーピストン２５を圧油室側に張
圧付勢させて前記圧油作動端面を可動部材３２の先端に
圧接させている。

なお、補助スプリング３４の張圧力ｆをスプリング２９
の張圧力Ｆより充分に小さくすると共に、上記可動部材
３２に対する平板型ソレノイド３１の吸引力Ｅを補助ス
プリング３４の張圧力より大きくしている。

また、前記ソレノイド３１は、機関を始動すべくキース
イッチを運転位置に切り替えると、直ちに励磁されて可
動部材３２を吸着し、その先端を突出させて補助スプリ
ング３４の張圧力に抗してタイマーピストン２５を進角
方向に移動させ、機関の回転速度が所定値に達すれば消
磁されて可動部材３２を解放すべく制御され、かつ、前
記ポンプ２６から圧油室２８に至る通路２７には該通路
２７内の圧油の圧力を減少させるべく開閉制御される電
磁開閉弁３５を装着しである。

斯る構成において、機関の始動に際してキースイッチを
運転位置に切替えると、ソレノイド３１が励磁される。

このとき、タイマーピストン２５の圧油作動面積（受圧
面積）をａ、可動部材３２の先端面積をｂ、圧油室２８
内の圧力をＰとすると、機関の始動前あるいはクランキ
、フグ時の圧力Ｐが低い時、即ち、Ｐ／ｂ＜Ｅで
あればソレノイド３１の励磁にともなって可動部材３２
が吸引され、補助スプリング３４の張圧力ｆに抗してタ
イマーピストン２５が進角方向に摺動する。

なお、このピストン２５のストロークは、補助スプリン
グ３４の撓み量、即ち、ハウジング３０の内端面とスプ
リングシート３３の外端面とのギャップによって決定さ
れる。

機関の回転速度が上昇してベーンポンプ２６から通路２
７を通して圧油室２８に導入される圧油の圧力が上昇し
、Ｅ＞Ｆとなると、タイマーピストン２５はスプリング
２９の張圧力に抗してさらに進角方向に摺動し、第３図
に実線で示すような特性を得る。

したがって、始動時および低速回転時にはピストン２５
が所定量だけ進角方向に摺動し、噴射時期を進めるので
寒冷時においても所定の始動性が確保され、暖気運転中
の回転が安定する。

そして、機関の回転速度が所定値を超えると、平板型ソ
レノイド３１が消磁される。

この状態では、機関の回転速度と圧油の圧力とは第４図
に実線で示すような特性を示すのであるが、この圧力は
ばね定数（張圧力）の大きなスプリング２９に対応させ
るべく設定しであるので、機関の回転速度が極めて低速
度にならない限りＰ／ａ＜ｆとならず、第３図に破線で
示したようなタイマー特性を得ることができない。

したがって、スプリング２９が略々自由長まで伸長して
設定荷重がゼロとなる圧力Ｐ以下の回転速度に達した時
点で電磁開閉弁３５を開作動させて圧油室２Ｂに導入さ
れる圧力Ｐを第４図に破線で示すように補助スプリング
３４とバランスする程度にまで降下させれば、第３図に
破線で示すように平板型ソレノイド３１が消磁された状
態では従来のスピードタイマーと同様の進角特性を得ら
れるのである。

なお、上記電磁開閉弁３５は、従来のロードタイマー用
の開閉弁を併用できることは詳述するまでもない。

ちなみに、平板型ソレノイド３１の消磁時期を制御する
にに、第５図に示すような制御回路を使用できる。

第５図に示されたブロックダイアダラムにおいて、従来
公知の電磁式センサ等で代表される回転速度センサＡは
機関の回転速度に比例したサイン波を発生し、この発生
電圧を飽和増幅回路Ｂに印加して矩形波に変換するこの
矩形波は微分回路Ｃに導かれて単安定マルチ回路りを駆
動する微分信号に変換される。

単安定マルチ回路りでは、上記微分信号にもとづいて機
関の回転速度に同期したパルス幅の一定な矩形波を発生
し、これを積分回路Ｅに導いて第６図に示すように機関
の回転速度に比例した直流電圧ＥＶを得る。

比較回路Ｆには上記直流電圧ＥＶと基準電圧発生回路Ｈ
から出力された基準電圧ＳＶとが入力され、両型圧の比
較が行われる。

また、比較回路Ｆの出力は、ＳＶ＞ＥＶの時に高レベル
、ＳＶ＜ＥＶの時に低レベルとなるように構成され、か
つ、ヒステリシスを大きくすることによって、一旦ＳＶ
＜ＥＶの状態になると、ＥＶがほとんどゼロ（機関回転
速度がほとんどゼロ、即ち、機関停止）の状態になるま
では高レベルに転換しないようになっている。

そして、比較回路Ｆから出力された電圧ＦＶが電力増幅
回路Ｇで増幅され、平板型ソレノイド３１に印加される
。

従って、始動後においてソレノイド３１が一旦消磁され
ると、機関が停止するまでは再び励磁されることがなく
、噴射時期を回転速度に応じた適正状態に制御し続ける
のである。

なお、上記の説明から判るように、基準電圧Ｓｖを調整
すれば、ソレノイド３１が消磁するタイミング（機関回
転速度）を調整できるのであり、また、機関の回転速度
に代わる運転条件、例えば機関冷却水温度に基づいてソ
レノイド３１が消磁するタイミングを制御する場合は、
冷却水の温度に応じた電圧を出力する素子、例えばサー
ミスタ等の出力電圧と基準電圧とを比較して同様にソレ
ノイド３１を制御すれば、機関の冷却水温度が所定値に
達した時点（暖機終了時点など）でソレノイド３１を消
磁させて始動時の進角を解除させ得ることはもちろんで
ある。

以上の実施例では、スプリング２９とハウジング３０と
の間に補助スプリング３４を張設し、このスプリング３
４でタイマーピストン２５の圧油作動端面と可動部材３
２の先端面とを圧接保持させ、可動部材３２の突出（吸
引）にともなってタイマーピストン２５を補助スプリン
グ３４の張圧力に抗して進角方向に移動させるようにし
たものであるが、第８図に示す実施例のように、可動部
材３２を突出付勢させるように可動部材３２とハウジン
グ３０との間に補助スプリング３４を張設し、補助スプ
リング３４の張圧力と平板型ソレノイド３１の吸着力と
でスプリング２９の張圧力に抗して、即ち、スプリング
２９と補助スプリング３４どの張圧力の差に抗してタイ
マーピストン２５を始動時に進角方向に移園動させるよ
うにしてもよい。

なお、この場合においては、張圧力の大きなスプリング
２９が張圧力の小さな補助スプリング３４と対向して張
設されているので、前記のような電磁開閉弁３５を設け
ることなく平板型ソレノイド３１の消磁にともなってタ
イマーピストン２５を従来公知のスピードタイマと同様
に、第３図に破線で示すように制御できるので、構成が
より単純化される。

以上説明したように、本考案装置によれば、機関始動時
の噴射時期を自動的に進角させることができ、以て機関
の始動を容易化すると共に、暖機運転中の回転を安定化
できる。

また、本考案装置によれば、補助スプリングの張圧力ま
たはスプリングと補助スプリングとの張圧力の差に抗し
てタイマーピストンを進角移動させるソレノイドを設け
ればよいので、ソレノイドを小型化することができ、か
つ、応・容性を高くできると共に精密加工部がなく製作
が容易である。

さらに、本考案装置によれば、機関が所定の運転状態に
達するまでは噴射時期を確実に進角保持させることがで
きるため、始動直後の吹き上り特性をよくすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の一実施例を示す要部の縦断面図、
第２図は第１図のＩＩ−ＩＩ矢視断面図、第３図はタイ
マー特性図、第４図は圧力特性図、第５図は制御装置の
ブロックダイアダラム、第６図は第５図における比較回
路の入力電圧特性図、第７図は同上出力電圧特性図、第
８図は本考案装置の他の実施例を示す要部の横断面図で
ある。３・・・ポンプハウジング、４・・・吸込み空間、７・
・・プランジャ、８・・・カムテ゛イスク、９・・・駆
動軸、１１・・・カム面、１２・・・ローラホルダ、１
３・・・ローラ、２４・・・揺動レバー、２５・・・タ
イマーピストン、２６・・・ベーンポンプ、２７・・・
通路、２８・・・圧油室、２９・・・スプリング、３１
・・・ソレノイド、３２・・・可動部材、３４・・・捕
販スプリング、３５・・・開閉弁。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

（１）機関の回転速度が上昇するにともなって増大する
圧油の押圧力とスプリングの張圧力とをバランスさせる
如くに摺動するタイマーピストンにより噴射時期制御部
材を駆動して燃料の噴射時期を制御するようにした分配
型燃料噴射ポンプにおいて、前記タイマーピストンの圧
油作動端面に先端部を離間対向させた可動部材を機関の
始動時に突出付勢させてタイマーピストンを進角方向に
摺動させるソレノイドを設けると共に、前記ピストンの
圧油作動端面と可動部材の先端とを前記スプリングの張
圧力より弱い補助スプリングで圧接させたことを特徴と
する分配型燃料噴射ポンプの噴射時期調整装置。
（２）補助スプリングはスプリングの一端を浮上させる
如くに組み込まれ、ソレノイドの励磁にともなって可動
部材が補助スプリングの張圧力に抗してタイマーピスト
ンを進角方向に摺動させるべく構成したことを特徴とす
る実用新案登録請求の範囲第（１）項に記載の分配型燃
料噴射ポンプの噴射時期調整装置。
（３）補助スプリングは可動部材を突出付勢させる如く
に組み込まれ、ソレノイドの励磁にともなって可動部材
がスプリングと補助スプリングとの張圧力の差に抗して
タイマーピストンを進角方向に摺動させるべく構成した
ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第（１）項に
記載の分配型燃料噴射ポンプの噴射時期調整装置。
（４）ソレノイドは、始動後に機関回転速度が所定値に
達した時点で消磁されるべく制御されることを特徴とす
る実用新案登録請求の範囲第（１）項〜第（３）項のう
ちいずれか一つのに記載の分配型燃料噴射ポンプの噴射
時期調整装置。
（５）ソレノイドは始動後に機関の冷却水温度が所定値
以上に達した時点で消磁されるべく制御されることを特
徴とする実用新案登録請求の範囲第（１）項〜第（３）
項のうちいずれか一つに記載の分配型燃料噴射ポンプの
噴射時期調整装置。