JPS5920985Y2 - 金型における芯体取付用ピン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、金属製又は硬質合成樹脂製芯体を有する合成
樹脂成形品を射出成形する金型の芯体取付用ピンに関す
るものである。

合成樹脂成形品にはその用途によって強度が充分でない
場合があり、本出願人は先に第１図に示す合成樹脂製フ
ィルター枠１のように、その強度をアップするため成形
品中に芯体２を有するものを提案した。

しかし従来このような芯体２を有する成形品を製造する
には、第２図のような構造の芯体取付用ピン３を金型に
設置し、溶融合成樹脂を射出する前に、このピン３先端
の把持溝４に芯体２をセットし、型締めして射出し冷却
していた。

そのため成形品には、第３図の矢印個所のようにピン３
が芯体４を把持していた部分には、合成樹脂がゆきわた
らず、その部分では芯体２が外部に露出している。

従来の芯体取付用ピンを使用した場合では、この露出部
分が大きく、これが成形品の美観を損ない、また芯体２
露出個所の銹の原因ともなっていた。

本考案者はこのような欠点を除去するため、鋭意検討の
結果、芯体取付用ピン３の形状を工夫し、芯体２との接
触面積を少なくすれば良いことを見出し本考案を完成し
た。

すなわち本考案の要旨は金属製芯体２を有する合成樹脂
成形品を射出成形する金型５において、金型５内に芯体
取付用ピン３を設置し、該ピン３先端部に芯体の横幅寸
法に近似する溝幅を有する芯体把持可能な芯体把持溝４
を設け、しかも該把持溝４の底を山形に形成することを
特徴とする金型５における芯体取付用ピン３にある。

以下に本考案を合成樹脂製フィルター枠１を成形する場
合を例にし説明する。

フィルター枠１には枠１中に金属製線状体からなる芯体
２が埋め込まれ、フィルター７は枠１と一体成形されて
いる。

このようなフィルター枠１を成形する際に、第４図のよ
うな本考案芯体取付用ピン３を使用すると良い。

本考案ではピン先端に設けられている芯体把持溝４の底
を山形８に形成している。

そのため芯体２とは山形８の頂で接触することになる。

また、芯体把持溝４の溝幅は芯体の横幅に近似する寸法
とされ、芯体を把持可能とされている。

従って、金型内に芯体２を取り付ける際の位置決めが極
めて容易で作業がし易い。

更に芯体２は芯体把持溝４内に把持され得るようになっ
ているので、溝底に接して所定位置に保持可能となり、
金型の可動盤側５ａに設けるべき押えピン等を省略でき
構造を簡略化できる。

尚、断面円形の線状体等を安定に保持し得ることは勿論
である。

このピン３を使用した成形方法を述べると次のようであ
る。

まず第５図のように可動盤側金型５ａと固定盤側金型５
ｂとを開き、可動盤側金型５ａに設置されている本考案
ピン（図示しない）に芯体２をセットし、キャビティ９
内に芯体２を浮かせて保持する。

次にフィルターとなる網７をセットし、可動盤側金型５
ａを固定盤側金型５ｂに接触させて両金型５ａ、５ｂを
締め、ノズル１０より溶融状態のポリ塩化ビニル、ポリ
エチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂を射出し冷却
する。

引き続いて、可動盤側金型５ａを引き離して両金型５
ａ、 ５ ｂを開くと、第６図のようなフィルター枠１
が製造できる。

このように芯体２は芯体把持溝４内に把持可能とされ、
芯体２が落下しないようになっているので、第５図に示
すように金型の固定側５ｂと可動側５ａとの合せ面が鉛
直方向となるように金型を配設することが可能である。

その結果、可動側５ａの金型を移動させて両金型間が開
いたとき製品を下方に落下させることができ、製品取り
出し等の作業の自動化を図るうえで有利である。

また、金型を左右対向位置に設けると両金型が左右に開
くので金型内の目視が容易となり、作業がやり易い。

第６図のフィルター枠１は、芯体２の露出部分が僅かで
美観上および銹対策上好ましいものとなる。

このフィルター枠１は水洗いするものだけに、特に銹の
防止は重要なことである。

以上のように本考案は芯体取付用ピン３の構造を若干変
更しただけで、芯体２の露出部分を少なくできるもので
あるから実用上その価値は極めて大きい。

また、製品の製造に当って、金型内に芯体を保持するこ
と及びその位置決めが容易である。

更に、芯体を芯体把持溝内に把持し得るので、金型の可
動側に設けるべき押えピン等を省略でき構造を簡略化で
きると共に、両金型の合せ面を鉛直方向となるように配
置でき、完成された製品を両金型の間から下方に落下さ
せ製品取り出し等の自動化を図ることが容易となる。

更にまた、上記のように配置された両金型の間から金型
内部を目視でき作業がし易いなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は合成樹脂製フィルター枠を示す一部破断斜視図
、第２図は従来の芯体取付用ピンを示す斜視図、第３図
は従来の合成樹脂製フィルター枠の芯体露出部分を示す
拡大斜視図、第４図は本考案芯体取付用ピンを示す斜視
図、第５図はフィルター枠の成形方法を示す工程図、第
６図は本考案を使用して成形した場合の合成樹脂製フィ
ルター枠の芯体露出部分を示す拡大斜視図である。 １・・・・・・合成樹脂製フィルター枠、２・・・・・
・金属製芯体、３・・・・・・芯体取付用ピン、４・・
・・・・把持溝、５・・・・・・金型、８・・・・・・
山形。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 芯体を有する合成樹脂成形品を射出成形する金型におい
   て、金型内に芯体取付用ピンを設置し、該ピン先端部に
   芯体の横幅寸法に近似する溝幅を有し芯体を把持可能と
   した芯体把持溝を設け、しかも該把持溝の底を山形に形
   成することを特徴とする金型における芯体取付用ピン。