JPS5912135Y2 - 下進グラビテイ溶接器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はガイドバーに添って重力で下降しながら自動
溶接を行ういわゆる下進グラビテイ溶接器に関する。

従来、主として造船に使用されるグラビテイ溶接器は、
通常円柱状のガイドバーに規制溝を設けて、この溝に物
が嵌って円周方向への旋回を規制された状態で昇降する
ものであるが、これでは被溶接線と溶接棒の先端とがよ
ほど上手に合っていないと溶接線が外れてうまく溶接で
きない。

従ってセットに際して注意深く正確に行わなければなら
ず、技術を要し、手数もががるものであった。

そこで最近、無指向型と称して、ガイドバーを中心に溶
接ホルダーが自由に旋回可能となるように、ガイドバー
に規制溝を設けないものが多く使用されるようになった
。

この無指向型を使用すれば、セットの芯出しが多少ずれ
ていても、溶接棒の先端が溶接線となるコーナーに添う
自由性があるので、溶接線がずれることがない。

また、セットのやり方によって溶接棒の長さに対する溶
接長（ビード長）の比を、通常１：０．８から１：１．
４位までの範囲で変化させることができるとか、ビード
の脚長を調節できる等の特徴を有するものである。

しかし、これは水平面や少し傾斜した程度の面を溶接す
る時のことであって、垂直面を上から下へ溶接する下進
グラビテイ溶接の場合は、溶接ホルダーや溶接棒の重量
の影響があって、無指向型では溶接がうまくできず、従
米の方式のものを使用していたが、前記したような無指
向型の特徴を発揮できずセットに非常に慎重さを要する
ものである。

これを解消して下進グラビテイ溶接に無指向型の利点を
採り入れるべくしたものであって、溶接ホルダーや溶接
棒の重量の影響を板バネ等の弾力片の弾圧力で打消して
軽減するようにしたものである。

以下図によって詳しく述べる。裏面に吸着マグネットを
有する基板１の上面に、円柱状のガイドバ−２とこのガ
イドバーと平行してガイドバーの上面と両側面を覆うカ
バーと一体に構或したレール３の一端を適当な角度を持
って取付け、このレール３の外側方で、ガイドバー２に
対して適切な角度をもって配置する溶接ホルダー４を、
ガイドバーに支承されるスライダー５に取付けて、この
スライダー５には、ガイドバ−２の上側の２箇所に接す
るコロ５ａと同じく下側の一箇所に接するコロ５ｂを装
着して、このコロ５ａ，５ｂがガイドバー２を抱いて、
スライダー５とこれに取付けられた溶接ホルダー４を一
体的にガイドバー２に添って昇降し、さらにガイドバー
２の周囲を若干回動可能とし、このスライダー５の溶接
ホルダー４に対向する側の外側面に板バネ等の弾力片６
を取付け、この弾力片６には先端に転勤自在に作動する
コロ７を備え、このコロ７がレール３の内側に弾力片６
によって押付けられ、スライダー５の昇降に追従して転
動し、弾力片６の弾力が溶接ホルダー４自身の重量等に
よって傾くのを防止または軽減するように作用せしめた
ものである。

図中８は溶接棒、９は溶接線ガイド、１０はキャブタイ
ヤコードを示す。

本案品の使用状態は第１図に示した通りで、溶接線ガイ
ド９を溶接線に合わせて、・基板１を縦壁に吸着させ、
溶接ホルダー４をガイドバー２の最上端付近まで持上げ
て溶接棒８の先端を溶接開始点に合わせてセットを完了
し、通電して溶接を開始する。

斯くして溶接棒が溶けるに従って溶接ホルダー４は重力
によりガイドバ−２に添って下降し、最下点に達する溶
接棒も消耗し、溶接ホルダー４は自動反転装置が働いて
、残った溶接棒８の先端が跳ね上ってアークを切断する
ようになっている。

この反転アーク切断装置は従来から行われている公知の
事柄であるので詳細な説明は省略する。

こうして一度セットすれば後は自動で溶接されるので、
１人の作業者が数台のグラビテイ溶接器を操作できるも
のである。

このようなグラビテイ溶接を行うに当って、第４図に示
すように、ガイドバー２の側方に溶接ホルダー４が位置
するので、溶接ホルダー４の自重は勿論のこと溶接棒８
、キャブタイヤコード１０等の重量が一方的に掛って、
溶接ホルダー８はガイドバー２を中心としてＰ矢の方向
へ傾く傾向となるので、殊に縦方向に溶接する場合、溶
接がながなかうまくできないものである。

かようなわけで、縦方向の溶接には無指向型のものが使
えないため、従来方式の指向型を使用して、溶接ホルダ
ーを規制したもので溶接せざるを得なかったが、これで
は前記した無指向型の特徴を生かすことができず、セッ
トに慎重性と時間を必要とした。

この点本案では重力アンバランスを弾力片６の弾圧力で
、溶接ホルダーの傾きを防止軽減することによって縦方
向のグラビテイ溶接に無指向型のものが使えるようにし
たものである。

本案溶接器は下進グラビテイ溶接器として開発したもの
であるが、下進溶接に限らず、水平あ．るいは傾斜溶接
にも当然使用できるし、溶接ホルダーの重量アンバラン
スを軽減してあることは、当然性能も良くなり使い易い
ものである。

以上の如く、従来不可能とされていた下進グラビテイ溶
接に無指向型の溶接器を使えるようにして、無指向型の
特徴を縦溶接にも生かすことができ、使い易く、性能の
優れた下進グラビテイ溶接器を得られるものである。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本案の一実施例を示すもので、第１図は使用
状態を示す斜視図、第２図はカバーを兼ねるレールを一
部切欠いて本案要部がよくわかるように示した平面図、
第３図は同じく側面図、第４図は第３図Ａ−Ｂ線におけ
る切断面図である。 １・・・・・・基板、２・・・・・・ガイドバー、３・
・・・・・レール、４・・・・・・溶接ホルダー ５・
・・・・・スライダー、５ａ，５ｂ・・・・・・コロ、
６・・・・・・弾力片、７・・・・・・コロ、８・・・
・・・溶接棒、９・・・・・・溶接線ガイド、１０・・
・・・・キャブタイヤコード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガイドバーに添って重力で下降しながら自動的に縦に溶
   接を行う下進グラビテイ溶接器において、円柱状のガイ
   ドバーと、ガイドバーに平行するレールの一端を、裏面
   に吸着マグネットを有する基板の上面に適切な角度をも
   って取付け、このレールの外側方で、ガイドバ一対して
   適切な角度をもって配置する溶接ホルダーを、ガイドバ
   ーに支承されるスライダーに取付け、溶接ホルダーとス
   ライダーを一体的にガイドバーに添って昇降させるとと
   もに、このスライダーの溶接ホルダーに対向する側面に
   板バネ等の弾力片を取付け、さらにこの弾力片の先端に
   転勤自在に作動するコロを備え、このコロがレールに弾
   力片によって押し付けられ、スライダーの昇降に追従し
   て転動するようにして、溶接ホルダーが自体の重量等に
   よって傾くのを、弾力片の弾力によって軽減するように
   したことを特徴とする下進グラビテイ溶接器。