JPS58942B2 - 上注ぎ密閉型保温装置ならびにこれを用いる上注ぎ造塊方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鋼の造塊工程で上注ぎ造塊する際に、密閉型
保温装置を鋳型にセットし、鋳型を密閉することによっ
て注入後の溶鋼の保温と、鋳型内に不活性ガス（例えば
アルゴンガス）を噴射して溶鋼が大気と酸化することを
防止する、ことを目的とした、上注ぎ密閉型保温装置お
よびこれを用いた上注ぎ造塊方法に関するものである。

従来、鋼の造塊工程では、鋳型内で溶鋼が酸化すること
を防止するには注入管を設けた下注ぎ注入法のみに限ら
れていた、それは、上注ぎ注入法では、従来から鋳型内
に溶鋼を注入する作業と、鋳型内で溶鋼を大気から遮蔽
するガスシール作業とを同時に実施するには、いかに鋳
型内を密閉するかが大きな問題であり、種々試みたが満
足するものはなかった。

本発明は、この問題を解決するためになされたものであ
る。

その要旨は、上層を発熱膨張性保温材で、下層を通常の
非膨張性の保温材とからなる二層式保温ボード１によっ
て鋳型の上部を密閉させることにより大気の侵入を防止
し溶鋼を保温することを可能にしたのである。

その理由は、二層式保温ボード１を上記の如く二層構造
としたことにより、上層の発熱膨張性保温材が溶鋼の熱
によって膨張し完全に鋳型と密着すること、その結果、
鋳型内へ大気の侵入を防止すると同時に、下層の非膨張
性保温材とが相乗して溶鋼を効果的に保温することが可
能になったのである。

また、密閉された鋳型内へ不活性ガスを噴射することに
よって大気との置換を容易にしガスシールの効果をも著
しく向上した。

以下に、本発明に使用される上注ぎ密閉型保温装置の構
造と、これを用いて行なう上注ぎ造塊方法について説明
する。

まず、密閉型保温装置の構造と製造方法を図面に基づき
説明する。

１）下層部に下記（イ）の成分の非膨張性保温材を流し
込みその上層部へ下記（ロ）の成分の発熱膨張性保温材
を流し込んで同時に成形した二層式保温ボード１を使用
するか、又は、別々に成形した発熱性保温ボードと非膨
張性保温ボードとを接着剤で張り合せて成る二層式保温
ボード１を作る。

これに用いる保温材は市販品を使用した、その成分は特
に限定しないが次のものがよい。

（イ）非膨張性の保温材の成分 Ｍ−Ａｌ：２３〜２７％、Ａｌ２Ｏ３：２２〜４２％。

ＳｉＯ２：５〜１５％、ＣａＯ：５％５Ｍｇ０：１％。

ＦｅＯ：＋Ｆｅ２Ｏ２：１２％、ＮＯ２Ｏ＋に２Ｏ：３
％。

有機分：１３％ （ロ）発熱膨張性の保温材 上記「非膨張性保温材」の中に、固定炭素７２％、灰分
８％、揮発分２０％の成分からなる鱗片状黒鉛を約１％
含有させる。

２）二層式保温ボード１の中心に、注入孔２を設ける。

形状は長方形、正方形、又は円形があり特に限定しない
。

３）注入孔２の周りを金層板よりなる綴金３を取付は瓜
その綴金の形状は■形、■形、■形等がありその形状は
特に限定しない。

また綴金の取付は方法は、二層式保温ボードを同時に流
し込んで成形する際に綴金を保温ボードの型枠の中心部
に設置した上記（イ）（ロ）の成分を流し込んで一体成
形するか、又は、既に成形された二層式保温ボードの中
心部を適当な寸法、形状（長方形、正方形、円形など）
に打抜きして綴金をはめこむようにして取付ける。

金属板の材質は亜鉛鉄板でもよい。

特に限定しない。

４）注入孔２に針金４を取り付ける。

針金の材質は特に限定しないが軟鋼線材を第３図の如く
保温ボードに埋込むか、第４図の如くコ形綴金にに針金
を溶接する。

尚■形綴金の場合は針金を特に必要としない。

５）注入孔２に取り付けた針金４の上に置く蓋５を膨張
性の保温材か又は上記二層式保温材で作る。

６）二層式保温ボード１の端部にパイプ挿入孔６を設け
る。

以上の如く二層式保温ボード１が構成されている。

次に、該二層式保温ボード１を鋳型内にセットするため
に、耐火性物質からなる枠７を作り、該枠７の上部に二
層式保温ボード１が嵌合するよう段差８を設ける。

枠７に用いる耐火性物質は市販品を使用した。

その成分は特に限定しないが次のものがよい。

５ｉＯ２７７〜７７％、Ａ１２Ｏ３２〜５％。

Ｆｅ２Ｏ３＜１％、ＣａＯ４〜７％、ＭｇＯ＜２％。

Ｉｇ−Ｌｏｓｅ１０〜１４％、熱伝導率０．１０〜０．
１４Ｋｃａｌ／ｍ、ｈｒ、℃ 以上の如く上注ぎ密閉型保温装置は二層式保温ボード１
と枠７とから構成されている。

次に、本密閉型保温装置を用いた造塊方法について説明
する。

まず、二層式保温ボード１と枠７から成る上注ぎ密閉型
保温装置を鋳型の注入停止位置にセットした後、パイプ
挿入孔６より不活性ガス（例えばアルゴンガス）を鋳型
内に噴射して鋳型内の空気を置換した後、■形状の引っ
掛は棒で蓋５の端を引っ掛けて蓋を外すか、又は、蓋５
の上面に吊り手（図示せず）を埋込んで引っ掛は棒等で
蓋を取り外し溶鋼を注入する。

二層式保温ボード１は溶鋼の熱によって膨張し鋳型と密
着し大気の侵入を防止する、溶鋼が二層式保温ボード１
の下面に接した時点で注入を停止し、再び蓋５を注入孔
２に載置して不活性ガスの噴射を止める。

その後は二層式保温ボード１と蓋とによって大気の侵入
を防止しながら溶鋼を保温する。

以上のように、密閉型保温装置を用いて上注ぎ造塊を行
なうことにより、溶鋼の注入作業と、溶鋼を大気から遮
蔽するガスシール作業とを同時に実施することを可能に
した。

また、注入後も二層式保温ボード１が溶鋼の保温に効果
的に発揮するのである。

従って、従来は粉状又は粒状のパウダを溶鋼上に積層し
保温していたが、その必要がなくなり、作業効率がアッ
プし作業環境の改善をも図れた。

また鋳型内を完全に密閉できるようになった為、ガスシ
ール原著しく向上し良質な鋼を製造することが出来た。

当初、この保温材を使用した場合に注入初期の溶鋼の広
がりで注入孔２が溶損させ、これが溶塊の中にはいって
介在物となり、品質に悪影響を及ぼすことが懸念された
が、注入孔の周りに金属板からなる綴金３を取り付ける
ことにより溶損されることがなくなった。

このように、本発明に係る上注ぎ密閉型保温装置を使用
することによって容易に溶鋼の保温や、ガスシールを可
能にし、品質や造塊歩留の向上および作業改善等に極め
て著しい効果を上げている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の上注ぎ密閉型保温装置の二層式保温ボ
ード１の斜視図。 第２図は本発明の鋳型にセットする状態を示す上注ぎ密
閉型保温装置の断面である。 第３図、第４図は二層式保温ボード１のＡ−Ａ′断面図
である。 １は二層式保温ボード、２は注入孔、３は綴金、４は針
金、５は蓋、６はパイプ挿入孔、７は枠、８は二層式保
温ボードと嵌合する段差部、９は鋳型、１０は定盤。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上層部を発熱膨張性の保温材で下層部を非膨張性の
   保温材からなる二層式保温ボードの端部にパイプ挿入孔
   ６と中心部に金属板製の綴金３を取付けた注入孔２とを
   設けた二層式保温ボード１と、該注入孔２を塞ぐために
   保温材で形成した蓋５と、該二層式保温ボード１を鋳型
   の注入停止位置にセットするために耐火物質からなる枠
   ７とから構成された上注ぎ密閉保温装置。 ２ 注入孔２に針金４を取付けてなる特許請求の範囲第
   １項に記載の上注ぎ密閉型保温装置。 ３ 枠７の上部に二層式保温ボード１が嵌合するだめの
   段差８を設けた特許請求の範囲第１項に記載の上注ぎ密
   閉型保温装置。 ４ 上注ぎ造塊方法において、二層式保温ボード１と枠
   ７とから成る上注ぎ密閉型保温装置を鋳型の注入停止位
   置にセットし鋳型を密閉にし、不活性ガスを鋳型内に噴
   射しながら二層式保温ボード１の注入孔２から溶鋼を注
   入し、注入後注入孔に蓋５を載置し、大気の侵入を防止
   しながら保温することを特徴とする上注ぎ造塊方法。 ５ 不活性ガスで鋳型内の空気を置換した後、注入を行
   なう特許請求の範囲第４項に記載の上注ぎ造塊方法。