JPS589187Y2 - 高温炉における炉体開口部の保護装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は各種炉の炉体開口部を金枠の使用によって保護
するための装置に関するものであり、殊にアルミニウム
溶解炉、鍛造炉等の高温炉における炉体開口部に適用し
て著効を有する保護装置に係るものである。

従来、前記種類の高温炉においては、第１図及び第２図
に示すように、炉体１の開口部２は耐火物３から構成さ
れ、その突出部外周には被覆板４を介して金枠５が被着
してあり、昇降自在な扉６にて開閉するようになってお
り、この場合、当該開口部は他の炉構成部分と比較して
開閉頻度が高く且つ昇温乃至降温が繰返し行なわれるた
めに熱による膨張乃至収縮によって耐火物３に目地切れ
、層切れが生じて該耐火物が剥離したり、脱落したり、
張出したりして炉体開口部２が破損する欠点があり、一
方、炉体１内へ装入する材料或いは装入機が開口部２と
の接触による機械的な衝撃によって耐火物３が剥離した
り、脱落したりして前記開口部が破損するという欠点も
あり、更には開口部２の破損に伴ない轡６との密着度が
悪くなって炉体１のみならず前記扉の寿命も縮まると共
に前記炉体と扉の隙間から進入する冷たい空気によって
炉体内部が冷却されるために熱エネルギの損失及び隙間
から漏洩した燃焼ガスによる工場内汚染を招来し、従っ
て、炉操業に携わる人々の作業環境を著しく損ない且つ
衛生上でも幾多の問題を残している。

そこで、前述したような欠点を少しでも取除くために、
第３図に示すように、炉体開口部２の突出部外周に略々
Ｚ字状断面を有する金枠７をそのフランジ部分８が前記
開口部の外方周縁９を完全に被覆するようにして被着せ
しめることによって保護したものが提案されたが、これ
とても必らずしも万全を期することは不可能で熱による
金属の酸化消耗が激しく且つ熱膨張による歪み乃至変形
の発生によって欠点を補なうものにはなり得ながった。

その後、第４図に示すように、炉体開口部２に水冷式の
金枠１０を取付けることによって前記欠点は殆んど解決
されるに至ったが、近年、新たに冷却水の使用量の増加
、これに伴なう冷却水の熱吸収による熱損失等が問題と
なってきており、また作業の容易性、操炉作業の機械化
等が優先されることから炉体開口部も大口径（四角形）
が要求されているが、該開口部の大きさに比例して炉全
体の設備費も高価となるために耐用命数の延長が期待さ
れる反面、前記開口部が大きくなれば受熱面は拡大され
且つ冷却水の熱吸収による熱損失も増大されて熱エネル
ギの損失も大きくなる等の欠点がある。

これに対して、本考案は前記諸装置を除去し且つ水冷ジ
ャケット乃至金枠の耐用命数を延長して高温炉における
炉体開口部に半永久的に適用して著効を有する保護装置
を提供しようとするものであって、その要旨とするとこ
ろは、炉体開口部の外方周囲に設置されるべき水冷ジャ
ケット乃至金枠の対向内周面に複数個の防護材乃至緩衝
材を相連続して取付けた点に存するものであり、かくし
て、本考案によれば、水冷ジャケット乃至金枠の対向内
周面に防護材乃至緩衝材を直接的にまたは断熱材を介し
て取付けたために炉内に接する面を高温酸化腐蝕及び機
械的衝撃等による破損から完全に保護することができる
と共に前記接触面からの放熱を極めて減少させて省エネ
ルギに貢献し得る利点を有するものである。

次に、第５図乃至第７図に示されている実施例により第
１図乃至第４図と同一部分には同一符号を付して本考案
を更に詳細に説明する。

先ず、第５図及び第６図において、開口部２の周辺位置
により若干引込んだ場所に被覆板４を介して炉体１に取
付けである水冷ジャケット乃至金枠１１は適宜−殻構造
用圧延鋼材から製作され、その上部には排水導管１２が
、下部には給水導管１３がそれぞれ同一線上となるよう
に設けてあって、冷却水は給水導管１３から導入され、
２方向に別れて前記水冷ジャケット内を通り、炉体１ま
たは開口部２を冷却した後、排水導管１２から外部へ排
出される。

水冷ジャケット乃至金枠１１の対向内周面には複数個の
防護材乃至緩衝材１４が相連続してボルト１５にて開口
部２と面一となるように取付けてあって、この場合、前
記防護材乃至緩衝材の裏面（水冷ジャケット乃至金枠１
１と接する面）には機械的な衝撃または熱伝導等を緩衝
または遮断するための凹窩１６が設けてあり、これによ
って開口部２の破損するのを防護しており、また前記防
護材乃至緩衝材は通常消耗品として使用されるものであ
るから、その材質は炉の操業方法、スケジュール等を考
慮に入れて鼠鋳鉄品、炭素鋼鋳鍛鋼品、耐熱鋼鋳鋼品等
から自由に選択される。

更に、省エネルギ対策を推進するためには、第７図に示
すように水冷ジャケット乃至金枠１１と保護材乃至緩衝
材１４との間に断熱材１７を挿入すれば効果的に行なう
ことができる。

以上述べたところより本考案によれば、消耗品とし使用
され且つ交換取付が可能な保護材乃至緩衝材は水冷ジャ
ケット乃至金枠の対向内周面に直接的または断熱材を介
して取付けであるために炉内と接する面は機械的乃至熱
的な外力から完全に保護され、従って炉の耐用命数を延
長することができ、省エネルギ対策を推進させ得ると共
に炉の稼動効率を向上させて能率的、経済的であるとい
う利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来型式の炉体開口部保護装置を具備した高温
炉の破断正面図、第２図、第３図及び第４図はそれぞれ
異なる前記保護装置の炉体開口部における縦断側面図、
第５図は本考案に係る炉体開口部保護装置を具備した高
温炉の破断正面図、第６図及び第７図はそれぞれ異なる
前記保護装置の炉体開口部における縦断側面図を示すも
のである。 なお、図示された主要部と符号との対応関係は下記の通
りである。 １・・・・・・炉体、２・・・・・・開口部、３・・・
・・・耐火物、１１・・・・・・水冷ジャケット乃至金
枠、１４・・・・・・防護材乃至緩衝材、１６・・・・
・・凹窩、１７・・・・・・断熱材。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）炉体開口部の外方周囲に設置されるべき水冷ジャ
   ケット乃至金枠の対向内周面に複数個の防護材乃至緩衝
   材を相連続して取付けたことを特徴とする高温炉におけ
   る炉体開口部の保護装置。
2. （２）実用新案登録請求の範囲（１）記載の装置におい
   て、防護材乃至緩衝材の裏面に機械的また熱的外力を緩
   衝乃至遮断するための凹窩が設けである炉体開口部の保
   護装置。
3. （３）実用新案登録請求の範囲（１）または（２）記載
   の装置において、複数個の防護材乃至緩衝材が断熱材を
   介して水冷ジャケット乃至金枠に取付けである炉体開口
   部の保護装置。