JPS58844Y2 - ヨウユウキンゾクシリヨウサイシユヨウキ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は溶銑、溶鋼等の溶融金属試料採取容器に関する
ものである。

溶融金属試料採取容器には、■採取試料に成分変動を与
えない。

■試料の鋳離れがよい。■破損等のおそれがなく取扱が
簡単容易。

■低コストである。

等が要請されるが、従来一般に使用される試料採取容器
の材質は鉄または鉄合金或いは耐火物（セラミック、ガ
ラスを含む）質であって、鉄または鉄台金製のものは取
扱いが簡単である反面、高温溶鋼の場合溶損して採取試
料に成分変動を生じかつ溶着による試料取出し困難にな
るなどの問題点があり、また耐火物を使用した場合前者
の如き容器の溶損や採取試料の成分変動はないが、取扱
い上破損を招きやすく、コスト高にもなるという不都合
がある。

本考案は上記した従来容器の問題点に対処し前記したこ
の種容器に要請される緒特性を満足した試料採取容器の
開発を目的とするもので、鉄および鉄合金の堅牢性、ま
た耐火物の耐溶損性および採取試料の成分変動が生じ難
い特性に着目し、鉄および鉄合金を基体とする試料採取
容器の表面にＮｉ、Ｔｉ、Ｃｒ、ＡＩの一種もしくは一
種以上の混合物による拡散滲透処理を施して滲透合金層
を形成し、該滲透合金層の表面にさらに酸化処理を施し
て酸化物層を形成してなる試料採取容器を要旨とするも
のである。

添付する図面を参照して、まず転炉の炉内溶鋼試料採取
の場合について詳細に説明する。

転炉精錬の自動化に伴ない転炉固溶鋼試料採取装置とし
て、サブランスおよび炉前からの自動試料採取装置が用
いられている。

この採取装置の大要は第１図に示す一部を破断した正面
図のように昇降装置（図示せず）により矢印の如く昇降
する水冷ホルダー１に接続するホルダー２の先端に、第
２図イの拡大断面図に示す如く、−側の上方側面に溶鋼
流入口４と、該溶鋼流入口の下方で容器内を上下に１分
し中央に溶鋼流入孔を有する隔板６と、底部に後述する
ＣＤカートリッジ７とを設けた試料採取容器３を固着し
、該容器３およびホルダー２の外面を紙管等の保護管５
，５′を被嵌した構造になり、この採取装置を転炉炉内
に昇降させて溶鋼試料の採取を行なうのであるが、通常
この試料採取と同時にＣＤカートリッジ７により試料凝
固温度をとり出しＣ値の判定が行なわれる。

このＣ値判定の場合溶鋼が容器３内に流入したとき溶鋼
が或温度以上でなければ正常な凝固温度を示さない。

従って試料採取容器３の条件として、高温でも容器の溶
損によって試料内の成分変動がなく、低温溶鋼でも容器
内への流入時に凝固しない程度の低熱容量でなければな
らない。

かかる条件から鉄および鉄合金製容器は、高温溶鋼では
溶損があり、低温溶鋼では温度維持のため容器の肉厚を
減少する必要がある。

しかし転炉操業上試料採取時期によって溶鋼に高温、低
温時があってそれぞれの溶鋼温度に適応した容器を使分
けることは困難で゛あり一方耐火物製では取扱い上問題
がありコスト高となる。

そこで本考案は試料採取容器３を第２図口○印部分の模
式図に示すように鉄または鉄台金製の基体Ａの表面組織
にＳｉ、Ｔｉ、Ｃｒ、ＡＩの一種もしくは一種以上の混
合物を、例えば電気メッキ、電気陰性度利用、あるいは
プラズマ溶射、蒸着等の方法により拡散滲透処理を施し
て滲透合金層Ｂを形成し、さらに酸性雰囲気（空気、酸
素）下で加熱（温度は金属と雰囲気で選択）してその表
面に酸化物処理による酸化物層Ｃを形成したので、従来
容器に比し容器の肉厚を大巾に薄くすることができ、溶
鋼流入時の溶鋼温度は維持され、しかも滲透合金層、酸
化物層により高温溶鋼時の溶損もなく的確な試料採取が
可能になる。

本案容器により採取した試料の各成分の分析値およびそ
の分析位置を、従来容器によるものと比較して第３図に
示す。

第３図より明らかなように従来容器イで採取した試料で
は分析位置■〜■によって各成分とも変動が著しいが本
案採取容器口の場合各成分とも■〜■の分析位置によっ
ての成分変動は殆んど見られず、本案容器が従来容器よ
りも遥かに優れたものであることが理解される。

次に取鍋および鋳型内の溶鋼試料採取容器について述べ
る。

従来より製鋼作業に用いる溶鋼試料の採取にはポンプ法
があり現在も手動および自動試料採取装置が利用され、
その型式の大略は第４図イの縦断正面図に示すように上
方に溶鋼流入［」４′を有する鉄または鉄合金製容器３
′の一側面に保持具８を固着して一体にし外面に耐火物
９を塗り付けて溶鋼による溶損または凝固付着を防止し
、内面には特別の処理をしていない。

このように形成し７た試料採取装置は多数回使用するも
のであるが、耐火物９は一回毎に剥離し、使用の都度耐
火物の塗り付け、乾燥などの作業を必要とし、さらに上
部の溶鋼流入口部が溶損して採取試料に若干の成分変動
が生じる。

そこで第４図口に示す縦断面図の○印部分模式図の如く
、鉄または鉄合金Ａを基体とする試料採取容器３′およ
び保持具８下部の表面層に前記した金属による拡散滲透
処理を施して滲透合金層Ｂを形成し、さらにその表面に
酸化処理を施して酸化物層Ｃを形成させた本案容器を用
いれば、容器の最外表面が酸化物のセラミック状になっ
ているため溶鋼中に浸漬しても表面および流入口４′部
は耐溶損性に優れ、溶鋼の濁流れおよび凝固鋼の鋳離れ
が良好となり、採取試料の成分変動もなくなる。

以上に詳述したように本考案は溶融金属試料の採取容器
の鉄または鉄合金の基体表面にＳｉ 、Ｔｉ 。

Ｃｒ 、ＡＩの一種もしくは一種以上の混合物による拡
散滲透処理を施し、さらにその表面に酸化処理を施した
ものであるから、溶融金属試料採取容器に要請される諸
要件を満足せしめるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は転炉に用いられている溶融金属試料採取装置を
一部破断して示す正面図、第２図は第１図の装置に用い
る試料採取容器の縦断正面図でイは従来容器、口は本案
容器および○印部分の模式図、第３図は採取試料の成分
分析値およびその分析位置を示しイは従来容器中よ本業
容器によるものである。 第４図は製鋼作業時の取鍋、鋳型内の溶鋼サンプル採取
容器の縦断面図でイは従来容器、田よ本案容器および○
印部分の模式図である。 図中 １：水冷ホルダー、２：ホルダー、３．３’：試
料採取容器、４．４’：容鋼流入口、５．５’ ：保護
管、６：隔板、７：ＣＤカートリッジ、８：支持具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄または鉄合金を基体とする溶融金属試料採取容器の表
   面にＳｉ、Ｔｉ、Ｃｒ、ＡＩの一種もしくは一種以上の
   混合物による拡散滲透処理を施して滲透合金層を形成し
   、該滲透合金層の表面にさらに酸化処理を施して酸化物
   層を形成してなる溶融金属試料採取容器。