JPS5856669B2 - 鋳物製品の成形方法および成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、固定金型と可動金型とをそなえ、これら両全
型によって形成される金型キャビティ中に射出スリーブ
内を摺動するプランジャーの押出力によって鋳込金属溶
湯を射出させて鋳物製品を成形する金型鋳造において、
射出工程の最終圧力すなわち押湯圧を金型キャビティ内
の鋳込金属溶湯に効果的に作用させることにより鋳造製
品の欠陥を除去する鋳物製品の成形方法およびその成形
装置に関するものである。

従来の金型鋳造の一例として、たとえば第１図に示す装
置をあげることができる。

すなわち、固定プラテン１に固定した固定金型２と可動
プラテン３に支持枠４を介して固定した可動金型５とを
そなえ、これら両金型２，５によって形成される鋳物製
品形状の金型キャビティ６中に、固定プラテン１″Ｊ？
よび固定金型２に連結した射出スリーブ７内を油圧シリ
ンダ８によって摺動するプランジャー９により、射出ス
リーブ７内に注入された鋳込金属溶湯１０を噴出孔１１
を経て圧入し、この金型キャビティ６内で凝固冷蔵させ
たのち可動プラテン３を後退させて型開きし、押出シリ
ンダ１２に連結した押出ピン１３により鋳物製品を取出
すものである。

このような金型鋳造では、金型キャビティ６内に鋳込金
属溶湯１０が充填されて未だ凝固しない間に、プランジ
ャーによる射出圧力な鋳込金属溶湯の全体に作用させて
金型キャビティ６の先端部から順次凝固していき、噴出
孔１１に最も近いところが最終的に凝固するという指向
性凝固を採用するのが原則である。

ところが、鋳物製品の形状が複雑であったシする場合、
たとえば鋳物製品の中間部分の肉厚が他の部分に比較し
て非常に薄いような形状の場合、あるいは長い湯道があ
るような場合などには、プランジャー９による加圧効果
が予期された程十分に作用せず、このために鋳物製品に
凝固収縮や空気の巻き込みなどによる鋳造欠陥を生じ、
品質的に問題となることが多い。

特に最近のように、鋳物製品に複雑な形状を要求された
り、凝固速度の速い溶融金属（たとえば鉄合金）を鋳造
する場合、上述した問題に対処することは重要なことで
ある。

これらの問題点を解消するために従来より試行されてき
た方法は、たとえば、金型鋳造装置に鋳込金属溶湯を加
圧する射出機構とは別個の加圧装置を取シ付け、型締合
接された金型キャビティ内に鋳込金属溶湯をプランジャ
ーの射出前進によう充填したのち、前記加圧装置に連結
されかつ金型キャビティの一部を形成する別個のピスト
ン前面を、この加圧装置によってさらに金型キャビティ
内に進行加圧させる方法、あるいは、既知の押出ピン（
第１図の符号１３）をもって直接に鋳込金属溶湯を加圧
する方法などがある。

これらの方法は前述した問題を解消するには有効である
といえるものの、所望の効果を発揮させるための加圧装
置を全く別系統に設置せねばならず、また、ことに問題
となるのは鋳造装置本体の射出機構とこれに別個に設け
た加圧装置とを極めて微妙に同期させることが必要であ
シ、このような方法を実際に採用する場合に困難を極め
ることは当業者が良く経験するところである。

本発明の目的は、鋳造欠陥を除去すべき金型キャビティ
内の鋳込金属溶湯を加圧するにあたり、従来の如く射出
機構とは全く別系統の加圧装置を設ける必要がなく、こ
の別系統の加圧装置の加圧時期と射出工程とを同期させ
る手段を全く必要とせず、いかなる複雑な形状の鋳物製
品であっても鋳造欠陥のない高品質なものとすることが
できる鋳物製品の成形方法およびその成形装置を提供す
ることにある。

本発明は、固定金型と可動金型とをそなえ、これら両金
型によって形成される金型キャビティ中に射出スリーブ
内を摺動するプランジャーの押出力によって鋳込金属溶
湯を射出させて鋳物製品を成形する金型鋳造において、
前記プシンジャーによる前記押出力を前記鋳込金属溶湯
とは別の圧力伝達手段によって鋳造欠陥を除去すべき金
型キャビティ内の鋳込金属溶湯に伝達してこの溶湯を加
圧することを特徴とする鋳物製品の成形方法およびこの
方法の発明の実施に直接使用する成形装置に係る。

次に本発明の実施例を図面に基いて詳細に説明する。

第２図は本発明の一実施例における成形装置の縦断面図
であって、この成形装置は固定プラテン１に固定した固
定金型２と可動プラテン３に支持枠４を介して固定した
可動金型５とをそなえ、これら両金型２，５によって鋳
物製品形状の金型キャビティ６ａ 、６ｂが形成される
。

そして、固定プラテン１および固定金型２に連結した射
出スリーブＴ内を油圧シリンダ８によって摺動するプラ
ンジャー９によジ、射出スリーブ７内に注入された鋳込
金属溶湯１０を噴出孔１１を経て圧入し、この金型キャ
ビティ６ａ、６ｂ内で凝固冷却させたのち可動プラテン
３を後退させて型開きし、鋳物製品を取り出すのである
。

ところが、図示例における鋳物製品はその中間部分の肉
厚が他の部分に比較して非常に小さい薄肉部分１５を有
するため、特に上部金型キャビティ６ａにおいてプラン
ジャー９による加圧効果が予期された程十分に作用せず
、このため、上部金型キャビテイ６ａ部分に凝固収縮や
空気の巻き込みなどによる鋳造欠陥を生ずるかそれがあ
る。

そこで本発明においては、前記プシンジャー９の前進方
向延長部に相当する可動金型５内に第１貫通孔１６ａを
設け、この第１貫通孔１６ａ内には第１摺動体１７ａを
挿入する。

この第１貫通孔１６ａは、通常射出スリーブ７が断面円
形であるから同様に断面円形のものとし、同様に挿入さ
れる第１摺動体１７ａも中実円柱体とするのが良い。

また、この第１貫通孔１６ａの直径は射出スリーブ７の
内径よりもやや大きくするのが好１しく、この第１貫通
孔１６ａとこれに挿入される第１摺動体１７ａとのはめ
あい公差は、射出スリーブ７とプランジャー９とのはめ
あい公差（通常、４／１ｏ。

〜２５／１ｏｏＷｌりと同じ程度に選ぶのがよい。

一方、鋳造される鋳物製品形状において最も欠陥を生じ
やすい部分すなわち射出による押湯圧力が有効に作用し
てほしい部分、たとえば薄肉部分１５を溶湯が通過した
あと侵入する上部金型キャビティ６ａの一部を形成する
可動金型５内に、前記鋳物製品の形状を損わない範囲の
第■貫通孔１６ｂを設け、この第１貫通孔１６ａ内には
第■摺動体１７ｂを挿入する。

この第■貫通孔１６ｂは通常は断面円形とし、この中に
挿入される第■摺動体ｉ７ｂも中実円柱体とするのがよ
く、この際のはめあい公差は前記と同様に選ぶ（通常、
４／１ｏ。

〜２５／１ｏｏｍｌのが好筐しい。

また、この実施例にかける成形装置は、この可動プラテ
ン３と可動金型５との間に、最終的に鋳物製品を金型よ
り分離する機能を有する押出シリンダ１８をそなえてい
る。

この押出シリンダ１８の先端には押出ロッド１９が連結
固定され、この押出ロッド１９に桿杆レバー２０が回動
軸２１により枢着されている。

との桿杆レバー２０の両端部はともに前記第■および第
■貫通孔１６ａ、１６ｂに向って折曲された形状をなし
、かつこれら各端部は各貫通孔１６ａ、１６ｂ内に挿入
した各摺動体１７ａ、１７ｂの外端側と接触している。

この接触部においては、各摺動体１７ａ、１７ｂの外端
側が桿杆レバー２０の各端部をそれぞれ包囲するような
形状となし、たとえば桿杆レバー２０の各端部を球状に
しかつ各摺動体１７ａ、１７ｂの各端部を凹球状にする
球面対隅とする。

さらに、桿杆レバー２０のプランジャー７の前進延長方
向端部と前記押出ロッド１９に取付けた固定板２２との
間には弾性体２３を配設する。

なお、第２図ではこの弾性体２３に負荷が加わっていな
い状態を示し、すなわち桿杆レバー２０が回動していな
い状態を示している。

この弾性体２３は、第５図に示すように、プランジャー
９の進行による射出工程中、溶湯が射出スリーブＴ内を
進行する間および溶湯を金型キャビティ６ａ、６ｂ内に
充填する１での間、低い射出圧力を保持する作用をなし
、最終押湯正方のみを高くできるようにする。

したがって、この弾性体２３の比例定数は使用する射出
圧力などによって決定され、鋳込金属溶湯が金型キャビ
ティ６ａ、６ｂ内に充満して押湯増圧工程に入る際にそ
の圧力により前記弾性体２３が圧縮されはじめるように
設定する。

また、ストッパー１９ａを押出ロッド１９に設け、桿杆
レバー２０が常時は弾性体２３によって押圧されていて
も摺動体１７ａをプランジャー９側へ移動させないよう
にしている。

以上の構成になる鋳物成形装置において、射出スリーブ
Ｔ内に注入された鋳込金属溶湯が第４図に示されるよう
に比較的低圧力でプランジャー９の射出進行によシ金型
キャビティ６ａ、６ｂ内に充満される間は、第１摺動体
１７ａは弾性体２３により支えられており、続く金属溶
湯の増圧工程に入って前記第１摺動体１７ａが可動プラ
テン３の方向に微動するのである。

そして、第■摺動体１７ａの移動に伴って桿杆レバー２
ｏは回動軸２１を中心にして回動し、この他端側か固定
プラテン１方向に移動して従って第■摺動体１７ｂが上
部金型キャビティ６ａ内に充満された金属溶湯を正追加
圧する。

これによって、プランジャー９の射出による押湯圧力を
、作用して慾しい前記第■摺動体１７ｂ付近の上部金型
キャビティ６ａ内の金属溶湯に有効に作用させることが
でき、しかも射出充填ののちすぐに時期よく同期されて
加圧することになるため、従来から問題となっていた薄
肉部分１５の存在による加圧不足の影響を排除して鋳造
欠陥のない高品質の鋳物製品を得ることができる。

その後、金型キャビティ６ａ、６ｂ内で凝固した鋳物製
品は、可動プラテン３の移動によって型開きした状態で
押出シリンダ１８の前進により容易に離型される。

従って、この実施例では鋳物製品を離型させるための押
出ピンを別個に設ける必要がない。

しかし、押出ロッド１９の先端に押出ピンを一体的に設
けてもよい。

また、桿杆レバー２０の他端２０ａには必要に応じ複数
個としてもよいことは当然である。

なお、第２図にしめず成形装置では、鋳造の終了後に適
宜なる方法をもって前記各摺動体１７ａ。

１７ｂを定位置にリセットするようにしているが、たと
えば第３図に示すように、桿杆レバー２０゜２７の端部
をキャップ２９で抜は止めしておけば鋳造の各回毎に自
動的に各摺動体１７ａ、１７ｂを弾性体２３の回復によ
りリセットすることができる。

このように各摺動体１７ａ、１７ｂをリセットするため
の桿杆レバー２０，２７と摺動体１７ａ、１７ｂとの連
結は、球面座ジヨイント方式、ユニバーサルジヨイント
方式、ヒンジョイント方式など適宜に採用することがで
きる。

表に示すＪＩＳＡＤＣ１２アルミニウム合金（実験溶湯
Ａ）を７００℃±１０℃に溶解維持し、第２図に示す成
形装置の金型キャビティ６ａ。

６ｂ内に射出充衛した。

なお、各摺動体１７ａ。１７ｂは中実円柱状であって各
金型２，５の材質と同様にＪＩＳＳＫＤ６１鋼により製
作している。

また、弾性体として皿はね機構を採用し、比較的低圧の
充填工程中の射出圧に耐え、増圧工程で効果を発するよ
うに設定されている。

次に、前記アルミニウム合金よシもさらに高融点金属で
ある鉄合金を用いて鋳造実験を行った。

従来の高融点金属の金型鋳造では、鋳込金属溶湯が金型
キャビティ内に流入充填された直後に、その中間経路に
ある薄肉部分で早期凝固を来たし、湯回ジ先端部位（上
部金型部位）には最終押湯圧力が行きわたらず、この湯
回り先端部位には鋳巣などの大きな内部欠陥が発生して
いた。

ことに高融点金属である鉄合金溶湯は、凝固冷却速度が
アルミニウム等の低融点金属に比べて大きく、したがっ
て前記した内部欠陥の状況も甚大となっていた。

そこで、第２図に示す如き本発明の一実施例の成形装置
を用い、前記表に示す成分の鉄合金溶湯（実験溶湯Ｂ）
を対象にして鋳造実験を行った。

この鋳造製品の形状は湯回ジ先端部位すなわち上部金型
キャビテイ６ａ部の肉厚が２５間、中間経路の薄肉部分
１５の肉厚が３ａｍ、噴出孔１１の直上の部位の肉厚が
１７．５ｍｍであり、金型にはタングステン基合金を使
用している。

また、各摺動体１７ａ、１７ｂは中実円柱体をなし、金
型の材質と同様にタングステン基合金を使用した。

また、皿ばねで構成されている弾性体２３あるいは桿杆
レバー′２０などの押湯圧向上のための構成部品は、前
記したアルミニウム合金成形装置と同様なものを使用し
た。

そこで、この装置を用いて、金型鋳造したが、その結果
、鉄合金溶湯が金型キャビティ内に充満し、ひきつづく
プランジャー９の前進による増圧工程に伴なって第■摺
動体１７ｂは確実に移動し、上部金型キャビティ６ａ内
の湯回り先端部を強力に加圧した。

したがって得られた鉄合金鋳物は従来法に比べて極めて
内部欠陥の少ないもの、時には内部欠陥の全くないもの
を得ることができた。

上述した実施例では、弾性体２３に皿はね機構を採用し
たが、これらには射出条件によって、コイルはね、板は
ね等の一般的なばね構成体あるいはゴム体、金属体ある
いは流体等の弾性構成体を使用してもよい。

もらには、座屈円筒体等の弾塑性体を用いても効果を発
することができる。

また、本実施例では、面構動体１７ａ、１７ｂを圧力伝
達手段により連結して、プシンジャーの押出力を前記金
型キャビティ内の鋳込溶湯金属に付加するにあたり、前
記圧力伝達手段として、両端がそれぞれ摺動体１７ａ、
１７ｂに接触する桿杆レバー２０を使用した場合を示し
ているが、そのほか、カムを用いたものや流体的な連結
手段を用いたものなどによって圧力を伝達することもち
ろん可能である。

また、本実施例では回動軸２１を押出ロッド１９に取付
けたが、回動軸２１部と押出ロッド１９部とを別個に独
立して構成させても本質的に何ら変るものではなく、そ
の結果、上述したように面構動体１７ａ、１７ｂに従来
の型離し機構を同時にそなえてもよく、また、別個に押
出ピン機構を併設してもよい。

さらに、各戦動体１７ａ、１７ｂの材質については、使
用される熱的釦よび強度的などの環境に相応するように
適宜選定するのが良い。

以上詳述したところから明らかなように、本発明によれ
ば、鋳物製品の鋳造欠陥を除去すべき金型キャビティ内
の鋳込金属溶湯を加圧するにあたり、従来の如く射出機
構とは全く別系統の加圧装置を設ける必要がなく、した
がって加圧装置の加圧時期とプランジャーの射出工程と
を同期させるなどの特別な手段を全く必要とせず、いか
なる複雑形状の鋳物製品でも鋳造欠陥のない高品質なも
のを得ることができる。

また、本発明の改良した成形装置を得るに際しても従来
の金型鋳造装置にわずかの部材を組付けるだけでよく、
製造原価に影響するところが非常に小さい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の金型鋳造による成形装置の縦断面図、第
２図は本発明の実施例に鮫ける成形装置の縦断面図、第
３図は桿杆レバーと摺動体の接触部の一例説明図、第４
図はプランジャーの行程と射出圧力との関係□示す説明
図である。 ２・・・・・・固定金型、５・・・・・・可動金型、６
．６ａ。 ６ｂ・・・・・・金型キャビティ、７・・・・・・射出
スリーブ、９・・・・・・プランジャー １０・・・・
・・金属溶湯、１６ａ。 １６ｂ・・・・・・貫通孔、１７ａ、１７ｂ・・・・・
・摺動体、２０・・・・・・正力伝達可能手段（桿杆レ
バー）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定金型と可動金型とをそなえ、これら両金型によ
   って形成される金型キャビティ中に射出スリーブ内を摺
   動するプランジャーの押出力によって鋳込金属溶湯を射
   出させて鋳物製品を成形する金型鋳造法において、前記
   プランジャーによる前記排出力を前記鋳込金属溶湯とは
   別の圧力伝達手段によって鋳造欠陥を除去すべき金型キ
   ャビティ内の鋳込金属溶湯に伝達してこの溶湯を加圧す
   ることを特徴とする鋳物製品の成形方法。 ２ 固定金型と可動金型とをそなえ、これら両全型によ
   って形成される金型キャビティ中に射出スリーブ内を摺
   動するプランジャーの押出力によって鋳込金属湯を射出
   させて鋳物製品を成形する金型鋳造装置に釦いて、前記
   プランジャーの前進方向延長部に相当する可動金型内お
   よび鋳造欠陥を除去すべき金型キャビティの一部を形成
   する可動金型内に貫通孔を設け、これらの貫通孔内には
   それぞれ摺動体を挿入して、これらの摺動体を圧力伝達
   手段によ多連結して前記プランジャーの押出力を前記金
   型キャビティ内の鋳込金属溶湯に付加することを特徴と
   する鋳物製品の成形装置。