JPS5853161Y2 - 加圧鋳造機の注湯装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は加圧鋳造機の注湯手段の改良に関するものであ
る。

更に詳細には、加圧鋳造機の円筒状スリーブの上端部に
設けられるホッパーのスリーブ内壁への開口部を側方に
偏する如く設け、溶湯のホッパーからスリーブ内への流
入を、溶湯がスリーブ内壁に沿って渦巻状に流れつつ円
滑に流入せしめ、溶湯注入時の乱流の防止、空気巻込の
防止を図り、良好な鋳造品を得る如くした加圧鋳造機の
注湯装置に関する。

上・下に分割する型間に造型溝を形成し、上下型間に垂
直に取り付けられた注湯スリーブ内に上から溶湯を注入
し、プランジャピストン、カウンタピストン間で溶湯を
加圧しつつ造型溝に充填する加圧鋳造機は知られている
。

かかる加圧鋳造機のスリーブへの溶湯の注入はスリーブ
上端部にこれと連結されたホッパーで行われている。

従来のスリーブへのホッパーからの溶湯の注入は次の如
き問題を有する。

即ち、第３図に示される如くで、スリーブ１の円周上の
中央部にホッパーの注湯用筒体３が接続され、筒体３の
開口部４とスリーブ１の内壁２の中央部とは対向してい
る。

かかる状態で傾斜した筒体３から溶湯をスリーブ１内に
注入した場合、溶湯は矢印イで示される如く対面するス
リーブ１の内壁２中央部２ａに、スリーブ１の断面を横
断する如く流れて衝突し、以後スリーブの内壁に沿って
溶湯は降下し、スリーブ１内に溶湯は貯溜される。

このように従来手段は、ホッパーから注入された溶湯が
スリーブ内壁２に略直角に衝突するため、これが衝突で
周囲に飛散し、スリーブ内の空気を巻き込み易く、溶湯
への気泡の混入により巣等の鋳造欠陥が発生し易い。

特にアルミニウム合金鋳物でも熱処理が要求されるよう
になった現状では空気の巻き込みによる鋳巣の発生は絶
対に避けなければならない。

又スリーブ内壁に溶湯が直接衝突するため凝固や酸化が
促進され易く、更に溶湯がスリーブ内壁に局部的に衝突
するため、長期の使用で局部的な損傷をひき起す虞れも
ある。

本考案者等は加圧鋳造機の溶湯スリーブへの溶湯の注入
、及びこれに起因する上記問題点に鑑み、これを有効に
解決すべく本考案をなしたものである。

本考案の目的とする処は、円筒状スリーブの上端部に設
けれる溶湯注入用ホッパーのスリーブ内壁への開口部を
側方へ偏する如く設け、溶湯のスリーブ内への流入をこ
れが内壁に沿って渦流状に行わせ、溶湯の流入を円滑に
行わせ、空気の巻き込みを防止し、良好な鋳造品を得る
ことができるとともに、以上を簡単な手段で図るように
した加圧鋳造機の注湯装置を提供する。

次に本考案の好適−実施例を添付図面に従って詳述する
。

第１図は加圧鋳造機の概略を示し、加圧鋳造機１は上型
２及び下型３からなり、型２，３の分割面には造型溝４
、湯道５等が設けられ、型２，３の側方寄り部分には湯
道５と開口６で連通ずる円筒状の溶湯スリーブ７が縦設
されている。

溶湯スリーブ７は型２，３に対応して分離する上部８及
び下部９よりなり、型合せ状態で各部分８，９は内心的
に結合される。

上部８は上型２上方へ延出され、上端に開口し、この上
に加圧用プランジャピストン１０が臨み、下部９内には
受圧用カウンタピストン１１が臨み、スリーブＴ内に注
入し、貯溜された溶湯を開口から該スリーブＴ内に嵌入
されたプランジャピストン１０で加圧し、開口６、湯道
５を経て造型溝４内に加圧充填する。

以上において、溶湯スリーブ７の上部８上端部の側方に
は溶湯注入用ホッパー１２が設けられ、ホッパー１２は
漏斗状をなし、下部に円筒状の案内部材１３が下方へ傾
斜して連続して設けられる。

一方、スリーブ上部８の上端部の横断面した側方に偏す
る位置には上記案内部材１３の先端部１３ａを取り付け
る孔１４を設け、該孔１４に先端部１３ａを嵌着し、か
くすることにより案内部材先端部１３ａはスリーブ上部
８内に開口する。

そしてこの先端部１３ａの開口部１３ｂの一方の壁１３
ｃの延長線が上部８の内壁８ａの円周上の一部の壁８ｂ
と合流する如くし、即ち、溶湯のスリーブ上部８への開
口Ａは、開口Ａの一方が壁面と合致する如く側方へ偏し
て設けられる。

以上において、ホッパー１２内に注入された溶湯は案内
部材１３の傾斜によって案内され４開口Ａを経てスリー
ブ上部８内に流入する。

このさい、案内部材１３は側方に偏して設けられており
、矢印口で示される溶湯は壁１３ｃの延長上にある内壁
８ｂに突き当り、これが彎曲しているため内壁８ａの弧
状彎曲面に案内されて矢印ハの如く流れる。

連続して流入する溶湯は上記によりスリーブの内壁８ａ
に沿って旋回しつつ降下し、これにより渦流状に流れて
下方へ降下し、貯溜される。

従って溶湯の注入、流下エネルギーは衝突によって急激
に減衰され、周囲に飛散することがなく、壁面に沿って
円滑に、乱流を生じることなく流れる。

これがためスリーブ内の空気の巻き込みは防止され、溶
湯への空気、気泡の混在は可及的に抑制、減少せしめら
れる。

又溶湯はスリーブ内への流入でそのエネルギーを方向性
をもたせる如く案内されるため、従来の如く局部的な溶
湯の衝突、これの反復によるスリーブの局部的な損傷の
発生を防止することができる。

以上で明らかな如く本考案によれば、溶湯のスリーブ内
への注入は、これが内壁の彎曲面に沿って、これに案内
されて渦流状に流れて降下し、円滑な溶湯の注入が図れ
、乱流の発生を防止し、空気の溶湯内への巻き込みを防
止する。

従って空気巻込による鋳巣の発生等を可及的に抑制、減
少し、鋳造欠陥のない品質良好な鋳造品を得ることがで
きる。

又溶湯はスリーブ内壁へ局部的に衝突することがなく、
これに起因したスリーブの局部的な損傷の発生を防止し
、これが寿命、耐久性を向上せしめ得るとともに、以上
を簡易な構造で、注入手段の変更を伴うことなく図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は加圧鋳
造機の概略を示す縦断面図、第２図は第１図２−２線の
拡大断面図、第３図は従来例を示す第２図と同様の図で
ある。 向図面中１は加圧鋳造機、２は上型、３は下型、Ｔはス
リーブ、１２はホッパー Ａは開口部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状スリーブ内に溶湯を注入し、上下型間に設けた造
   型部に溶湯を加圧充填する如くした加圧鋳造機において
   、上記スリーブ上端部近傍に設けられる溶湯注入用ホッ
   パーの上記スリーブ内への開口部を、開口部の一部がス
   リーブ内壁の一部と合流する如く側方に偏して設け、溶
   湯を渦巻状にスリーブ内壁に沿って注入する如く構成し
   たことを特徴とする加圧鋳造機の注湯装置。