JPS5850787Y2 - ポンプ循環型スラリ−貯槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は沈降性固形物を懸濁するスラリーを均質な状態
に保持するスラリー貯槽に関するものである。

従来、石炭、鉄鉱石、あるいは非鉄金属などを輸送する
場合には貨車、トラック、ベルトコンベヤなどの輸送手
段が用いられていた。

しかし積み込み、積み降しに多大な時間と人手を要する
ことと、前記の物がパイプライン輸送に適していること
などから、水に懸濁させてパイプ輸送する方法が多くな
っている。

そのため中間基地や、受入れ基地では大量のこれ等のス
ラリーを相当期間貯槽に貯える必要が生じ、これに使用
される貯槽は、 １０００〜５００００ を程度の大きさに及んでいる。

これ等の貯槽内におけるスラリーを均−組成に保つこと
は重要である。

例えば懸濁している固形物が沈降してスラリーを連続し
て抜き出せない場合には、プロセスへの原料連続供給が
中断され操業は出来なくなり、又連続供給は出来たとし
ても、スラリー中の固形物の濃度変化がはげしい場合に
は、これを受入れるプロセスの操業は非常に困難となる
。

しかし、このスラリー輸送においては、前記固形物を一
定の粒度として水により所定の固形物濃度として懸濁さ
せると、粒子は相互に干渉して懸濁固形物の沈降速度は
非常に遅くなる。

この際固形物の沈降を防止するため、界面活性剤を添加
することも有効であるが界面活性剤は高価なため、経済
的に不利となる。

これ等スラリー中の固形物の沈降速度は普通０．１〜１
．Ｑｍ／Ｈｒに調整されるので、境界面を生じる様な分
離、あるいは濃度差を生じさせないためにはスラリー中
の沈降する固形分に対し、固形分の沈降方向とは逆で、
かつその速度より大きい速度で、固形分を、スラリー上
部に移動させる必要がある。

すなわち、取扱うスラリー中の固形分の沈降速度が例え
ば１．０ｍ／時であれば、１．０ｍ／時以上の速度で、
スラリー下部の固形分をスラリー上部に移動させれば、
境界面、濃度差などを生ずることがない。

この速度を保持するため、貯槽の攪拌には貯槽側面にプ
ロペラ形攪拌機を設けたり、上部より攪拌機を入れてス
ラリーを攪拌移動させる等の方法もとられている。

しかし前者は槽が大きくなると槽中心部まで攪拌力が及
ばず、中心部底に固形物が堆積するなどの欠点があり、
特に重油などの高粘性液を使用した場合にはますますこ
の傾向は助長されるので、側面にプロペラ攪拌機を設け
る攪拌方法の適用には貯槽の大きさに限界がある。

又、後者の上部より攪拌機を入れる方法は、例えばター
ビン型攪拌機によって槽内の濃厚なスラリー全体を攪拌
するには１〜２ＫＷ／ｍ３の動力が必要となる。

本考案者は、一定の粒度と一定の固形物濃度を持ったス
ラリーは、スラリー全体をはげしく攪拌しなくても、ス
ラリー液をある速度範囲で下部より上部にゆるやかに移
動させることによって、スラリーを均等に保つことがで
きることを知見した。

この事実は、たとえ大型貯槽内においても、上記諸条件
のスラリーに著しい偏流がない限り得られるもので、あ
る種のスラリー（例えば粉末炭をオイルに懸濁したコー
ルオイルミックスチャのようなもので個形物の懸濁を安
定化するための界面活性剤を入れたもの等）では、強制
攪拌によるとかえってスラリーとしての安定性が阻害さ
れることがあり、この場合には、特に強制攪拌によるス
ラリーの沈降防止は好ましくないことを知見した。

本考案は、この知見にもとづいて完成されたもので、大
貯槽に起り易い偏流をなくシ、あるいは偏流が起ったと
しても、これにより貯槽底部に発生する堆積物をすばや
く外部に取り出し、これを再度貯槽屋根上部より貯槽内
のスラリー上面に均一に分散させることにより、スラリ
ーを均質に保持することを目的とし、直径２０〜６５ｍ
程度の大形貯槽に経済的に適用できるものである。

以下この考案を図面を参照して詳細に説明する。

第１図は本考案の一実施例を示すもので、１は屋根を有
する円筒形、平底のスラリー貯槽である。

スラリー貯槽１の底板１ａの中心部には中空円柱状の塔
（以下塔と記す）１ ｂが垂直に密着、固定して設けら
れている。

この塔１ｂの上部はスラリー貯槽（以下貯槽と記す）１
の屋根１Ｃを貫通している。

塔１ｂの上端開口部は、おおい１ｄによって覆はれてお
り、このおおい１ｄは止め金具１ｅによって屋根１Ｃに
固定されている。

塔１ｂの上部外周には駆動装置２の駆動力によって駆動
されるレーキ腕２ｂが連結部材２ａを介して取り付けら
れている。

このレーキ腕２ｂの下部には底板１ａ上に沈降した濃厚
スラリー又は固形物を貯槽１の底板１ａの外縁方向に掻
き出すレーキ２Ｃが取り付けられている。

さらに貯槽１の側板１ｆの貯槽１の外側には、スラリー
循環系３の駆動源となる複数のポンプ３ａが設けられて
いる。

またポンプ３ａには、貯槽１の底板１ａの外縁方向に掻
き出された沈降性スラリーを屋根１Ｃの上に設けられた
パイプカバー３Ｃの内部および塔１ｂの内部を通過して
、塔１ｂの外周開口部３ｅより塔の外周面に供給する配
管３ｂが取り付けられている。

このパイプカバー３Ｃの内部には、沈降性スラリーを貯
槽１のスラリー面上に誘導するための誘導パイプ３ｄが
垂直に設けられている。

ポンプ３ａによって送られたスラリーは塔１ｂの外周、
および誘導パイプ３ｄの外周を伝わって液面に導かれる
。

なお、誘導パイプ３ｄは、貯槽１内に偏流が起きないよ
うに、側板１ｆなどに取付けられた支持体１ｇによって
下部が振れないように支持され、適当数配置されている
。

第２図は塔１ｂの上部に設けられた駆動装置２の縦断面
図で２ｄは塔１ｂの周上に設けられた取り付は金具であ
る。

取付は金具２ｄには、駆動装置２のケーシング本体２ｅ
が固定されており、その上にカバー２ｆが取り付けられ
、このカバー２ｆの上にはピニオンギヤ２ｇを有する減
速機付電動機２ｈが設けられ、ベアリング２１によって
支持された軸固定用部材２ｊの内周に設けられたインタ
ーナルギヤ２にと咬合している。

そして、軸固定用部材２ｊの外周と、タンク屋根１Ｃと
の間には密封部材２１が設けられ、貯槽内部と外気を遮
断している。

またケーシング２ｅと軸固定用部材２１との間にはシー
ル材２ｍが設けられ、貯槽を密封している。

そして、軸固定用部材２ｊの下部には、連結部材２ａが
取り付けられている。

次にこの様に構成されたこの考案に係るスラリー貯槽の
作用を説明する。

この塔１ｂの上部周囲には、駆動装置２が設けられてお
り、減速機付電動機２ｈによって駆動されるピニオンギ
ヤ２ｇによって、塔１ｂ上部外周に取り付は金具２ｄ、
ケーシング本体２ｅ、ベアリング２１を介して設置され
た軸固定用部材２ｊを回転させる。

この軸固定用部材２ｊは連結部材２ａを介してレーキ腕
２ｂを駆動して、貯槽１の底板１ａの上面に沈降する濃
厚スラリーや固形物を底板１ａの外縁方向に掻き出す。

この様にレーキ腕２ｂおよびこれを駆動する駆動装置２
はすべて塔１ｂによって支持されているため、貯槽屋根
１Ｃには何等重量がかからないので、経済的な設計が可
能となる。

さらに塔１ｂ、駆動装置２を設けたことにより生ずる間
隙には密封部材２１、シール材２ｍが設けらｔしている
ため、貯槽は完全に密封されている。

貯槽１の底板１ａの外縁方向に掻き出された濃厚スラリ
ーあるいは濃度の余り変化していないスラリーは循環系
３により貯槽上部に送られて、塔１ｂ外面および適当数
の誘導パイプ３ｄを伝わって貯槽１内のスラリーの上面
に落下する。

この際前述した如く、スラリーの速度を沈降速度以上の
早さく例えば沈降速度が１．０ｍ／時の時には、１．０
ｍ／時以上の早さ）とすれば、スラリーの均質は保持さ
れるので、この条件を満足する様なポンプの容量、台数
を使用する必要がある。

またポンプの位置は、吸引口が貯槽１の底板１ａの外縁
に近接していれば（例えば底板１ｂの外周近く、または
側板１ｆの下方）どこに設置してもよい。

ポンプ３ａによって送られる濃厚スラリーは、屋根１Ｃ
に設けられたパイプカバー３Ｃに導入され、誘導パイプ
３ｄにそって貯槽１のスラリー液面に落される。

この際循環スラリーの一部は塔１ｂの内部を通りその上
部外周開口部３ｅに開口する配管３ｂによって塔１ｂの
外周に注がれる。

このように塔１ｂの外周面は循環スラリーを貯槽１内の
スラリー面に落す誘導面となっており、誘導パイプ３ｄ
の位置、数は貯槽の大きさ、高さ、平均液面の位置によ
り、貯槽１内に偏流が起らないように適宜選択されるが
、本考案は外周掻出し型なので貯槽中心方向に密なパイ
プの配列が好ましい。

この誘導パイプおよび塔の外周面によりスラリーは液面
に静かに達して分散するが、誘導パイプを設置しない場
合には屋根より直接液面にスラリーが落下するので貯槽
板に振動を与え、音響を発し、繰返し応力が発生し、騒
音防止上も好ましくない。

この様に落下したスラリーは貯槽全体の攪拌がないので
ほぼ垂直に落下し底部ぎ経てポンプ吸引部に達するが、
底部附近にはスラリーが滞留しやすいので、それをレー
キにより底板外縁方向に移動させてポンプへの供給スラ
リー濃度が一定となるようにする。

これを貯槽内のスラリー液面に循環して貯槽内スラリー
の均質を保持するものである。

以上述べた如く、本考案は中心基とこれに取りつけられ
た駆動装置と、駆動装置により駆動されるレーキと、循
環系に誘導パイプが設けられたスラリー貯槽であるので
、騒音のない大型貯槽を製作することが出来、特に動力
費が貯蔵物１トンに対し０．０１〜０．０２ＫＷと他の
スラリー貯槽に対しはるかに少なく、ポンプの保守が容
易である等多くの長所を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すスラリー貯槽の断面図
、第２図は駆動装置の説明図である。 １・・・・・・スラリー貯槽（貯槽）、１ａ・・・・・
・底板、１ｂ・・・・・・柱状中空の塔（塔）、１Ｃ・
・・・・・屋根、１ｄ・・・・・・おおい、１ｅ・・・
・・・止め金具、１ｆ・・・・・・側板、１ｇ・・・・
・・支持体、２・・・・・・駆動装置、２ａ・・・・・
・連結部材、２ｂ・・・・・・レーキ腕、２Ｃ・・・・
・・レーキ、２ｄ・・・・・・取付は金具、２ｅ・・・
・・・ケーシング本体、２ｆ・・・・・・カバー、２ｇ
・・・・・・ピニオンギヤ、２ｈ・・・・・・減速機付
電動機、２１・・・・・・ベアリング、２ｊ・・・・・
・軸固定用部材、２ｋ・・・・・・インターナルギヤ、
２１・・・・・・密封部材、２ｍ・・・・・・シール材
、３・・・・・・スラリー循環系、３ａ・・・・・・ポ
ンプ、３ｂ・・・・・・配管、３Ｃ・・・・・・パイプ
カバー、３ｄ・・・・・・誘導パイプ、３ｅ・・・・・
・配管の塔外周間口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 屋根を有する円筒形、平底のスラリー貯槽において、下
   端がスラリー貯槽底板中心部に固定され、上端が前記屋
   根を貫通する中空柱状の塔と、この塔の上部外周に設け
   られた駆動装置によって駆動されるレーキ腕と、このレ
   ーキ腕の下部にとりつけられ、上記スラリー貯槽底板上
   の沈降性固形物を、スラリー貯槽底板外縁方向に掻き出
   すレーキと、このスラリー貯槽底板外縁方向に掻き出さ
   れた沈降性固形物のスラリーを、前記塔の外周および、
   前記屋根に取付けられたパイプカバーを介して、垂直下
   方に延在する複数の誘導パイプの外周に供給する複数の
   循環ポンプとを有することを特徴としたポンプ循環型ス
   ラリー貯槽。