JPS5844184B2 - 冷凍装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は温度式自動膨張弁の冷媒流量制御領域を拡大し
て冷凍負荷の低下が生じてもこれに対応した能力での安
定した冷凍運転を維持し、またホットガスデフロスト運
転時の液戻りを防止することが可能な冷凍装置に関する
。

圧縮機、凝縮器、蒸発器を備えた冷凍装置は冷媒流量を
制御するための装置として温度式自動膨張弁がひろく使
用されるが、この膨張弁は蒸発器出口の過熱度がセット
値に保持されるごとく、冷凍流量を制御するものであっ
て、過熱度を可変として冷凍能力を低減させ得る機能を
有するものではない。

従って冷凍負荷が減少した場合の冷凍能力低減をはかる
には、前記膨張弁とは別の後述する諸機構によって能力
の調節を従来は行っていた。

即ち、先ず一つは冷凍回路中にホットガスバイパス回路
を設けて、軽負荷時に高圧冷媒ガスの一部を凝縮器をバ
イパスして蒸発器側に流通させる手段であるが、これは
高圧々力が下り、かつ低圧圧力が上ることとなるので、
吸入ガス量（重量）が増えて圧縮機の仕事量が多くなる
結果、能力低下時に電力消費量が減らなくて、ランニン
グコストが高くつく欠点があった。

今一つは冷房機の場合にクーラのファン風量を低減する
手段であるが、これは吹出温度が下るために、コールド
ドラフトが発生して利用者に不快感を与える実用上の欠
陥は免れ得なかった。

さらにまた、他の手段として圧縮機の容量を制御するも
のがあるが、その代表的な形態としてはアンローダ機構
を圧縮機に付設するのが多く、多気筒構造となるので大
気とならざるを得なく、小形の冷凍装置に適用し難い問
題があった。

又、吐出管から蒸発器の入口に至ってホットガスバイパ
ス管を配設し、蒸発器に着霜が生じた際にホットガスに
よって除霜を行う如き冷凍装置は、圧縮機に多量の液が
戻る問題があった。

このように従来の諸種の制御手段は、夫々一長一短があ
り、解決すべき問題を依然として有している。

本発明はかΣる事実に対処して、極めて簡単な構造で形
成することが可能であり、しかも冷凍負荷が軽い場合或
いは冷凍能力を低減させたい場合に冷凍能力を低減させ
た状態で冷凍運転を安定的に自動コントロールし得て、
さちに従来の前記諸欠陥も悉く排除することができる新
規な冷凍装置を提供しようとするものであり、かよる本
発明の内容については、添付図面の実施例装置に係る下
記の説明によって明確にされる。

第１図は本発明装置の実施に係る冷房機の配管系統図で
あるが、図において１は圧縮機、２はファン３を有する
対空魚形凝縮器、４は温度式自動膨張弁（以下膨張弁と
略称する）、５は蒸発器であって、図示の如き公知の冷
房サイクルを形成している。

前記膨張弁４は過熱度制御用として、凝縮器２から蒸発
器５に至る液管に介設しているが、その弁作動機構とし
てのベローズ６に制御要素である感温筒１０内の冷媒圧
力を伝達するために弁箱内に圧力室９を形成し、この圧
力室９に蒸発器５出口から圧縮機１に至る低圧ガス管に
添設した前記感温筒１０を連絡することしより、蒸発器
５を出た低圧冷媒ガスの温度を検知した感温筒１０の作
用で膨張弁４に所定過熱度に応じた弁調節を行わせるよ
うになっている。

第１図中、７は膨張弁４の弁体であり、また、８は膨張
弁４の静止過熱度（弁７が閉状態から開き始める温度）
を決定するため前記圧力室９内圧力に抗する弾機力を与
えるバネである。

この膨張弁４は弁の開度自動作動が次のように三つの力
の平衡により行われる。

弁を開閉するために作用する力は感温筒１０内の圧力に
相当した力、ｐｂ即ちベローズ６によって仕切られた圧
力室９内でベローズ６の上面に作用し弁７を開く方向に
働らく力と、蒸発圧力に相当した力ｐＬ即ちベローズ６
の下面に作用して弁７を閉じる方向に働く力と、バネ８
の力Ｆ、即ちベローズ６の下方にステムを通じて荷重を
伝え、弁７を閉じる方向に働く力とであって、これ等３
つの力は釣合の状態にある。

即ちｐｂ−ｐｌ＝Ｆなる関係を保持するように弁開度が
調節される。

ここで従来の膨張弁は、ばねの力Ｆを例えば過熱度５℃
で弁開度を安定するように調節していた。

しかして上記膨張弁４において、本発明はバネ８０力Ｆ
を通常の場合よりも若干強く調整し、設定過熱度を高く
し、そしてバネ力Ｆと釣合わせるために、感温筒１０内
の圧力に相当した前記力ｐｂもガス管１２内の冷媒のみ
によって加熱された場合に生ずる圧力より高く設定させ
ている。

この力ｐｂを高く設定させる手段として、前記感温筒１
０に当該冷凍系の高圧配管１１を熱交換的に添設させて
おり、高圧配管１１内を流れる高圧冷媒により感温筒１
０を加熱して内部圧力を高めるようにしている。

しかして冷凍装置が標準冷凍負荷で運転している場合に
前記バネ力と感温筒１０内圧力とが均衡して、蒸発器５
出口の冷媒過熱度が所定値例えば５℃に一定保持される
如くするものであって、これは標準冷凍負荷で運転する
際の高圧冷媒流量から定められる感温筒１０内圧力を基
準にして膨張弁４のバネ力を適当値に設定することが可
能である。

なお、高圧配管１１は圧縮機１吐出口から膨張弁４人口
に至る間の高圧冷媒配管の任意の管部を利用し得るが、
第１図々示例は加熱効率の高い高温吐出ガスが流通する
吐出配管の一部を刃口熱体として利用している。

叙上の構成になる冷凍装置の運転態様を次に説明する。

今、冷房運転が行われているとして、外気が３２℃で吐
出ガス温度が７０℃となる場合を標準運転とする。

外気温度が高くなったり、異常事態により高圧が上昇し
た場合には吐出ガス温度も高くなって感温筒１０に対す
る加熱量も増大する。

このことによって感温筒１０は温度が上昇して内圧が高
くなり、膨張弁４は開き方向になる。

従って冷媒循環量が増し、圧縮機１には湿りに近い状態
の冷媒が返るので、圧縮機１のモータのコイルは冷却さ
れて過熱が防止される。

一方、外気温度が低下して冷房負荷が小さくなった場合
には吐出ガス温度が下って、感温筒１０内圧力が低下し
、膨張弁４は絞る方向になる。

従って負荷に見合った冷房能力の調節が自動的になされ
る。

次に起動時は吐出ガス温度が低いので、膨張弁４は閉じ
勝手となっており、仕事量が減って起動電流の抑制に効
果があるし、液戻りが全くなく、さらに起動立上り時に
膨張弁４へのガス流入が少なくなるので冷媒通過音が殆
んどなくなる。

さらに、プルダウンも早くなる。

第２図は本発明装置の他側に係る装置回路図であって、
ショーケース用冷凍機などの低温用冷凍機の場合には蒸
発器５に霜付きが屡々発生することから、普通は電磁弁
１５を備えたホットガスバイパス回路１４を冷凍回路中
に設けたものが多い。

か〜る装置においては、圧縮機１から、前記ホットガス
バイパス回路１４が分岐接続された分岐部１６に至るま
での吐出配管１１を感温筒１０に添設することによって
第１図々示装置の場合と同等の機能を発揮する上に、次
に述べる如き特長を有する。

即ち、蒸発器５の霜付き等によって液もどりが生じ易い
状態になり、また、何等かの原因で液もどりが起ると、
急激に吐出温度が低下する。

その結果、感温筒１０に対する加熱量が減少するので膨
張弁４は絞る方向に作動し、液戻りを防ぐことが可能で
ある。

さらにデフロスト運転時に吐出管１１の温度が下るので
膨張弁４は略々全閉に近い状態となり、従って冷媒の流
通が断たれ、系内の余剰冷媒が凝縮器３に貯まるため、
液もどりが生ぜずより安全な除霜運転が可能となる。

本発明は以上述べたことから明らかな如く、蒸発器５出
口の冷媒塩度を感知する感温筒１０を制御要素とした温
度式自動膨張弁４の静止過熱度を高く設定する一方、前
記感温筒１０に対して当該冷凍系の高圧配管１１を熱交
換的に添設して、該高圧配管１１内の高圧冷媒により前
記感温筒１０を力ロ熱した際に、標準冷凍負荷に対し適
正な冷媒過熱度を維持した冷凍運転が行われる如くした
から、軽負荷時に蒸発器出口冷媒の過熱度のセット値を
高くさせることができて、このセット値を基準に本来持
っているガス式膨張弁の過熱度を一定にする冷媒流量コ
ントロールが自動的に行われるので冷凍能力低減時やホ
ットガスデフロスト運転時に、圧縮機への液戻りを確実
に防止するし、圧縮機の仕事量低下による電力消費の軽
減が行われてランニングコストの節減がはかれる。

さらに、冷凍能力低減時に蒸発器中の過熱酸部分が増大
してクーラ能力が減少するため蒸発器用ファンの風量を
不変としても吹出温度が低下することはなく、コールド
ドラフトを感じさせない運転を持続することができる。

また、感温筒１０に高圧配管１１を添設するだけの簡易
な手段で冷凍機の能力制御を行えるので装置コストは至
って低床におさまるし、運転制御も非常に簡単であり、
しかもアンロード制御方式が採用できない小容量形冷凍
機に容易に適用し得る利点を有する。

さらに前記感温筒１０を前記高圧配管のうち圧縮機１と
凝縮器２とを連絡する吐出配管に添接すれば、液戻りを
さらに確実に防止できる。

また、前記感温筒１０をホットガスバイパス回路１４の
分岐部と圧縮機１とを連絡する吐出配管に添接すれば、
デフロスト時の液戻りを防止できる。

以上の如く本発明は種々のすぐれた効果を奏し装置コス
トの低減による経済的利点と相俟って実用価値に富むと
ころ頗る犬なる冷媒制御装置である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は夫々本発明の実施例に係る冷房機
の配管系統図である。 ２・・・・・・凝縮器、４・・・・・・温度式自動膨張
弁、５・・・・・・蒸発器、１０・・・・・・感温筒、
１１・・・・・・高圧配管、１４・・・・・・ホットガ
スバイパス回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 蒸発器５出口の冷媒温度を感知する感温筒１０を制
   御要素とした温度式自動膨張弁４の静止過熱度を高く設
   定する一方、前記感温筒１０に対して当該冷凍系の高圧
   配管１１を熱交換的に添設して、該高圧配管１１内の高
   圧冷媒により前記感温筒１０を加熱することにより、標
   準冷凍負荷に対し適正な冷媒過熱度を維持した冷凍運転
   が行われる如（したことを特徴とする冷凍装置。 ２ 前記高圧配管１１が、圧縮機１と凝縮器２とを連絡
   する吐出配管である特許請求の範囲第１項記載の冷凍装
   置。 ３ 前記高圧配管１１が、凝縮器２及び温度式自動膨張
   弁４をバイパスし、蒸発器５人口側に接続されるホット
   ガスバイパス回路１４の高圧配管１１における分岐部と
   圧縮機１とを連絡する吐出配管である特許請求の範囲第
   １項記載の冷凍装置。