JPS5842579Y2 - ２ サイクルエンジン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は２サイクルエンジンの排気行程において、新し
く吸入された混合気が排気ガスと共に排出される量、即
ち新規の吹きぬけ量を少なく押えるようにした２サイク
ルエンジンに関するものである。

一般に２サイクル機関の掃気につき必要なことは、短時
間にブローダウンにより排気を十分行なわせてシリンダ
内の圧力を掃気圧以下に下げ、なるべく早く給気して、
しかも新しい給気（混合ガス）の逃げる量を少なくして
排気ガスを完全に押出すことである。

この理想としては新気、すなわち新しく吸入された前記
混合ガスと排気ガスとはなるべく混入せずに、この混合
ガス吹込みによって排気ガスを押出すことが望ましい。

この掃気方法としては上記目的を達するために種々の構
造のものが考案されている。

すなわち、シリンダに弁を用いないポート掃気型、復動
型、または弁を用いた排気弁型などがある。

しかし、従来の２サイクル機関においては、その掃気装
置又は掃気をするための構造が複雑であったり、混合ガ
スの吹きぬけ量が非常に多かったりした。

この混合ガスの吹きめけ量が多いということは排気ガス
中に含まれる未燃焼成分ＣＨＣ）の量が非常に多いとい
うことで、燃料消費効率が悪いことを意味し、従来の２
サイクル機関においてはこれらの問題点があった。

本考案は前記問題点を解消するもので、新しく吸入され
た混合気がシリンダ内の燃焼室に給送される前に空気を
シリンダ内の燃焼室内に給送し、この給送された空気に
より燃焼室外へ排気ガスを排出してその後にシリンダ内
の燃焼室内へ混合気を給送し、もって混合気が排気ガス
と共に燃焼室外へ吹き抜ける量を少なく押えると共に、
噴出した空気により混合気が薄められて着火及び燃焼の
劣化を防止するようにしたことを特徴とするものである
。

以下、本考案の一実施例を図面により説明する。

第１図において、１はバランスウェイトであってクラッ
ク軸２に固定されており、該バランスウェイト１のクラ
ンク腕１ａにコネクティングロッド３を介してシリンダ
４内を摺動するピストン５が連結されている。

７はシリンダ４の燃焼室６内に向けて開口した排気孔で
あって、該排気孔７は、ピストン５が上死点より下死点
に至る過程において、掃気孔８よりも早く開く位置に設
けられており、また掃気孔８はクランク室９内と連通し
ている。

また、クランク室９には外部に向けて開口した透孔１０
が設けられており、該透孔１０と気化器１１とは混合気
案内管１２により接続されており、該混合気案内管１２
にはクランク室９のみへの混合気の流入を許容するり一
ド弁１３が設けられている。

１４は混合気案内管１２内のリード弁１３より上流側に
設けられた絞り弁である。

さらに、クランク室９とは別途に空気を導入する副クラ
ンク室１５を設け、該副クランク室１５に外部から空気
を給送する空気案内管１６を接続し、該空気案内管１６
内に副クランク室１５内へのみの空気の流入を許容する
り−ド弁１１を設ける。

１８は空気案内管１６内のり−ド弁１７より上流側に設
けられた絞り弁であり、該絞り弁１８は前記絞り弁１４
に連動している。

また副クランク室１５から燃焼室６内へ向けて開口する
副掃気孔１９を排気孔１より下方で掃気孔８より上方位
置に設ける。

また副クランク室１５からシリンダ４内へ向けて開口す
る副クランク室給入孔２０を副掃気孔１９より下方に設
けると共に該副クランク室船入孔２０よりさらに下方に
シリンダ４から副クランク室１５内へ向けて開口する副
クランク室排出孔２１を設ける。

そして副クランク室給入孔２０には副クランク室１５か
らシリンダ４側のみへ開く一方向弁２２を設け、副クラ
ンク室排出孔２１にはシリンダ４から副クランク室１５
側のみへ開く一方向弁２３を設ける。

次に、このような構成の２サイクルエンジンの作動を説
明する。

ピストン５が上死点から若干下降すると、燃焼室６内の
混合気に点火されて、燃焼室６内の混合気が爆発燃焼す
る。

これにより、燃焼室６内の内圧が上昇してピストン５が
下降させられる。

この際は、一方向弁２２には閉じる方向の圧力が作用し
ている。

このピストン５の下降に伴なって、最初に排気孔が燃焼
室６に開口する。

これにより、燃焼室６内の高圧の燃焼ガスが排気孔７か
ら高速で流出して、燃焼室６内の内圧が急速に減少する
。

さらにピストン５が下降すると、副掃気孔１９が燃軸室
６に開口する。

ここで、クランク室９内に吸入された混合気はピストン
５の下降によって圧縮されている。

しかも、この圧縮圧力により一方向弁２３が開いて、副
クランク室１５内の気体も圧縮されている。

したがって、副掃気孔１９が燃焼室６に開口すると、副
クランク室１５の上部に吸入された空気が燃焼室６内に
噴射されて、燃焼室６内に残留する燃焼ガスを排気孔７
内に掃気する。

さらに、ピストン５が下降すると、副クランク室１５の
下部に流入していた混合気が副掃気孔１９から燃焼室６
内に噴射され始まると共に、掃気孔８が燃焼室６に開口
してクランク室９内の混合気が燃焼室６内に噴射される
。

この状態は、ピストン５が下死点に致るまで継続する。

次に、ピストン５が下死点から上昇し始めると、燃焼室
６内に吸入された混合気が圧縮され始まる。

この際、燃焼室６内の排気孔７周辺に残留する混合気が
排気孔１から排出される。

そして、排気孔７がピストン５によって閉じられた後、
ピストン５がさらに上昇すると、燃焼室６内の混合気が
さらに圧縮されると共に、クランク室９内に負圧が生じ
て、リード弁１３が開き、クランク室９内に気化器１１
からの混合器が吸入される。

この時点では、副クランク室排出孔２１がシリンダ４内
に開口しているが、一方向弁２３にはこれが閉じる方向
にクランク室９内の負圧が作用しているので、副クラン
ク室１５には負圧が作用しない。

さらにピストン５が上昇して、ピストン５が上死点の近
傍に達すると、ピストン５のスカート部分が副クランク
室給入孔２０より上方に位置することになって、副クラ
ンク室給入孔２０がピストン５の下方でシリンダ４内に
開口する。

これによって、クランク室９内の負圧が一方向弁２２に
作用して一方向弁２２が開弁し、副クランク室１５上部
の混合気が副クランク室給入孔２０からクランク室９側
に吸入される。

これと同時に、リード弁１７が開弁して、副クランク室
１５の上部内に空気が吸入される。

この状態は、ピストン５が上死点に近づくまで継続する
。

ピストン５が上死点から下降し始めると一方向弁２２は
クランク室９側の圧力で閉じる。

このようなサイクルが繰返し行なわれる。

以上説明した実施例において、副クランク室１５内への
給入空気量は余り少ないと排気より混合気が吹き抜け、
余り多いと混合気が薄くなって、燃焼が悪くなるので、
適当な量を給入するように副クランク室給入孔２０の設
ける位置を設定するとヨイ。

なお、一方向弁２２はクランク室９よりの混合気の吹き
返しを防止するものである。

第２図はクランク軸２０回転角との関係で、２サイクル
エンジンの排気孔１、掃気孔８の開閉位置を示したもの
で、図中、Ａは副クランク室排出孔２１がピストンによ
って閉じられている範囲を示し、Ｂは掃気孔８が開いて
いる範囲を示し、Ｃは副掃気孔１９が開いている範囲を
示し、Ｄは排気孔７が開いている範囲を示し、Ｅはクラ
ンク室９へ混合気を吸入している範囲を示し、Ｆは一方
向弁２２が開く範囲を示し、Ｇは一方向弁２３が開いて
いる範囲を示す。

本考案は、以上説明したように、ピストンが上死点に近
づく付近でのみ副クランク室の上部に空気を吸入するよ
うにして、掃気のために副クランク室に吸入される空気
の量を必要最小限にできるようにすると共に、空気の層
の後に混合気を副掃気孔から燃焼室内に連続して噴出さ
せるように構成したので、掃気の際に混合気が燃焼室か
ら排気孔に吹き抜けるのを確実に防止して、未燃成分の
大気への排出を防止できる。

しかも、この構成により、燃焼室内に排気のための空気
を全く残留しないようにすることができるので、燃焼室
内に排気孔から噴出される混合気が希釈されることがな
く、しかも、燃焼室の全範囲にわたって均質な混合比の
混合気を形成することができる。

これにより、燃焼時の火炎伝搬を良好にして、未燃成分
が発生するのを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２図は開閉
タイミングを示す説明図である。 ４・・・シリンダ、５・・・ピストン、６・・・燃焼室
、９・・・クランク室、１５・・・副クランク室、１６
・・・空気案内管、２０・・・副クランク室給入孔、２
１・・・副クランク室排出孔、２２．２３・・・一方向
弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 混合気を導入するクランク室とは別途に、空気を導入す
   る空気案内管を接続した副クランク室を設け、該クラン
   ク室と副クランク室とをシリンダ下部に設けた副クラン
   ク室排出孔により連通させると共に、クランク室から混
   合気を掃気孔を介してシリンダの燃焼室に給送する前に
   、副クランク室に吸入した空気を副掃気孔からシリンダ
   の燃焼室に給送して、排気ガスを掃気するように掃気孔
   と副掃気孔を位置設定した２サイクルエンジンにおいて
   、前記副クランク室排出孔にクランク室側から副クラン
   ク室側にのみ開く一方向弁を設け、前記シリンダ内のピ
   ストンが上死点近傍に位置する部分で前記ピストンのス
   カート部によって開閉されて前記副クランク室とシリン
   ダとを連通ずる副クランク室給入孔を、その途中に副ク
   ランク室側からシリンダ側にのみ開く一方向弁を介装し
   て、シリンダに設け、該副クランク室給入孔と前記副ク
   ランク室排出孔とを、ピストンによってそれぞれ一定期
   間開閉制御され得る位置に設定してシリンダに開口した
   ことを特徴とする２サイクルエンジン。