JPS584164B2

JPS584164B2 - ピストン往復動型内燃機関

Info

Publication number: JPS584164B2
Application number: JP53009010A
Authority: JP
Inventors: 金子裕章; 山口氾; 長野俊博
Original assignee: Fuji Heavy Industries Ltd
Current assignee: Subaru Corp
Priority date: 1978-01-30
Filing date: 1978-01-30
Publication date: 1983-01-25
Also published as: JPS54102432A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、ガソリン機関やディーゼル機関のように、ピ
ストンの往復運動を回転運動にかえて動力を取り出すピ
ストン往復動型内燃機関の改良に関するものである。

上記のようなピストン往復動型内燃機関においては、通
常、ピストンとシリンダ壁の間に所定のピストン・クリ
アランスが設けられている。

特にアルミ合金製のピストンを使用したものでは、熱膨
張が大きいため、そのピストン・クリアランスを大きく
する必要があり、このため、この種の内燃機関では機関
の作動中において、上記ピストン間隙により、ピストン
が運動方向を換える時に、ピストンの傾きによってシリ
ンダ壁が叩かれて打側音（ピストン・スラツプ）を生じ
る。

本発明は、このようなピストン・スラツプによる騒音を
低減する目的でなされたもので、特に騒音を低減できる
と同時に、併せてピストン、シリンダの摩耗も少なくし
てその耐久性を向上でき、さらにピストンの冷却効果も
高めることができ得るように改良されたピストン往復動
型内燃機関を提供しようとするものである。

この目的のため本発明による内燃機関は、ピストンが往
復摺動するシリンダ壁内面の、ピストンリング摺動範囲
外の下死点位置におけるピストンスカート部周面と対向
する個所に、オイル注入口を開口させ、このオイル注入
口と機関の潤滑油貯溜部とを連通させる潤滑油供給油路
に、ピストンの下死点位置近傍で吐出作動する送油ポン
プを設けてなり、この送油ポンプは、クランクケース壁
部に穿孔形成したポンプ室を備え、このポンプ室にばね
付勢して往復摺動自在に嵌挿したプランジヤをカム軸に
設けたカムにより作動すべくこれに対向配置し、カム軸
の回転運動に同期して吐出作動させると共に、この送油
ポンプの吸入側はクランクケースに付設した吸入管を介
して機関の潤滑油貯溜部と連通し、送油ポンプの吐出側
はクランクケースに穿孔形成した油路を介して上記オイ
ル注入口と連通させる通路構成により上記潤滑油供給油
路を形成したことを特徴とする。

なお、関連する先行技術例としては、特開昭４８−６８
９３５号公報に記載のごとく、シリンダライナのピスト
ン摺動面に潤滑油を強制補給するものがあるが、これは
、シリンダライナの円周方向への潤滑油の拡散を期待し
てシリンダライナ内周面に環状の油潤溝を設けた構造の
ものであり、これに対し本発明は、ピストンクリアラン
ス内に油クッションを形成すべく、下死点位置のピスト
ンスカート部周面と対向する個所のシリンダ壁内面に、
オイル注入孔を開口させたことを特徴とする。

以下、図面を参照して本発明の実施例を具体的に説明す
る。

第１図および第２図は本発明をディーゼル機関に適用し
た実施例を示すもので、図中１はシリンダブロック、２
はシリンダヘッド、３はシリンダであって、このシリン
ダ３内にピストン４が摺動自在に嵌挿されている。

上記シリンダ３の上方部には、吸・排気弁５、燃料噴射
弁６を備えた燃焼室７が形成され、またピストン４には
、その頂部周面にガスリング８ａとオイルリング８ｂか
らなるピストンリング８が嵌着されていて、気密を保ち
つつシリンダ３内でピストン４が往復摺動運動を行うよ
うになっており、このピストン４の往復運動はコンロツ
ド９を介してクランク軸（図示省略）の回転運動に変換
されるもので、以上に述べる構成および機能は従来のも
のと同じである。

本発明においては、上記ピストン４が往復摺動するシリ
ンダ３の内面に、オイル注入口１０が開口される。

このオイル注入口１０は、ピストン４の摺動方向に関し
、ピストンリング８の摺動範囲外の下死点位置における
ピストンスカート部４ａの周面と対向する個所に開口さ
れ、注入口１０から噴出するオイルが、ガスリング８ａ
あるいはオイルリング８ｂで燃焼室７の側にかき込まれ
ないような位置に設けられる。

そして上記オイル注入口１０は、シリンダブロック１と
クランクケース１１との接合面に設けられた環状の油溝
１２に連通され、さらに油溝１２は点線で示す油路１３
を介してオイルポンプ１５の油吐出側に連通されている
。

このオイルポンプ１５は、クランクケース１１の上部に
形成されたポンプ室１６内をその軸心方向に摺動自在に
嵌挿されたプランジャ１７と、このプランジャ１７を一
方向に付勢すべく上記ポンプ室１６内に収容されたコイ
ルバネ１８等よりなり、このコイルバネ１８に付勢され
てポンプ室１６外に突出したプランジャ１７の端面はク
ランク軸（図示省略）と連動するカム軸１９に設けられ
たポンプ駆動力ム２０に押接している。

そしてまた、このオイルポンプ１５の吸入側、吐出側に
はスプリング２１の背圧を受けた逆止弁２２（吸入側は
図示省略）がそれぞれ設けられ、上記吸入側は、吸入管
２３、オイルストレーナ２４を介してクランクケース１
１の底部に設けられたオイル貯溜部２５に連通されてい
る。

なお上記オイル注入口１０は、図示の実施例では円周上
に２個設けられているが、これは１個あるいは複数個設
けてもよい。

このように構成されていると、エンジンの作動時に、ク
ランク軸（図示省略）に連動するカム軸１９の回転に伴
うポンプ駆動用カム２０の回転に従い、プランジャ１７
は上記カム２０の凸部２０ａとコイルバネ１８の作用で
ポンプ室１６内を往復運動し、オイルポンプ１５が吐出
作動して、潤滑油が油路１３、油溝′１２を介してオイ
ル注入口１０からシリンダ３内に注入される。

この潤滑油は、下死点位置におけるピストン４のスカー
ト部４ａとシリンダ３の内壁面との間の間隙（ピストン
・クリアランス）に注入され、この注入される潤滑油に
より上記ピストン・クリアランス内に比較的厚層の油膜
が形成されるので、この油膜の介在により、ピストン４
はその運動方向をかえる時の傾きが規制される。

そのため、ピストン４がシリンダ３の内壁を叩く打側音
が減じ、ピストン・スラツプによる騒音が低減される。

この場合、オイル注入口１０は、前記したようにピスト
ン４の摺動方向に関し、ピストンリング８の摺動範囲外
の下死点位置におけるピストンスカート部４ａと対向す
る個所に設けられているので、注入口１０から注入され
る潤滑油が、燃焼室７の側に直接進入したり、また、ガ
スリング８ａあるいはオイルリング８ｂでかき込まれる
ような危惧はない。

また、好ましくは、前記ポンプ駆動用カム２０の回転を
クランク角と同期させて上記オイル注入口１０から注入
される潤滑油が、ピストン４が下死点側に位置する時に
タイミング注油されるように構成した方がよく、このよ
うにすればオイル圧の低下が避けられる。

なお、シリンダ３がライナ形の場合は、第３図に示すよ
うに、オイル注入口１０をシリンダライナ１４に開口し
、ライナ１４とシリンダブロック１の嵌合面に環状の油
溝１２を形成して、この油溝１２を潤滑油供給源へ連通
させるようにすればよい。

このように本発明によれば、潤滑油供給源からの潤滑油
の一部を、ピストンとシリンダ壁の間に注油して、ピス
トン・クリアランス中に潤滑油が確実に注油されるよう
にしたので、この潤滑油の注油により、ピストンが運動
方向をかえる時の傾きが規制され、ピストン・スラツプ
による騒音を低減することができる。

また、潤滑油が多量にピストンとシリンダ壁の間に注油
されることで、ピストンおよびシリンダの摩耗が少なく
なり、その耐久性を向上することができると同時に、注
油される潤滑油によりピストンの冷却性が良くなるから
、ピストン冷却効果を高めることができる等の効巣が併
せ得られる。

そして特に、送油ポンプは、クランクケース自体に穿孔
形成する構成とし、そのプランジャをカム軸に設けたカ
ムによって駆動するようにしたので、別個の単体部品と
ての送油ポンプが不要となるばかりか、部品点数が減少
して構造が極めて簡単となる。

また上記送油ポンプを介する潤滑油供給油路が、クラン
クケースに付設した吸入管とクランクケースに穿孔形成
した油路とで形成されるので、配管の引廻しが少なく、
上記送油ポンプがクランクケースの壁部にポンプ室を穿
孔形成する構造と相俟って、全体としてコンパクトな装
置構成とすることができる。

さらに、送油ポンプの吐出作動がカム軸の回転運動に同
期して得られることから、ピストンの下死点位置近傍に
おいてオイル注入口から潤滑油を間欠的に注油するタイ
ミング注油が可能となり、ピストンの下死点位置におけ
るピストンスラツプの防止を、的確で無駄のない潤滑油
の注油により行うことができる。

しかも、上記オイル注入口は潤滑油を送油する潤滑油供
給油路が、専用の送油ポンプを有し、かつ他の潤滑系統
とは別個独立の通路構成のものであるため、オイル注入
口から強制注油する潤滑油量の不足を来たすことがなく
、従ってピストンスカート部とシリンダ壁内面との間に
充分な量の潤滑油を注入して厚層の油膜を形成し、その
クッション作用でピストンスラツプを有効に防止するこ
とができる等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による内燃機関の要部の縦断
面図、第２図は第１図の■一■線に沿う断面図、第３図
は他の実施例の要部縦断面図である。１・・・シリンダブロック、２・・・シリンダヘッド、
３・・・シリンダ、４・・・ピストン、４ａ・・・ピス
トンスカート部、５・・・吸・排気弁、６・・・燃料噴
射ノズル、７・・・燃焼室、８・・・ピストンリング、
８ａ・・・ガスリング、８ｂ・・・オイルリング、９・
・・コンロツド、１０・・・オイル注入口、１１・・
・クランクケース、１２・・・油溝、１３・・・油路、
１４・・・シリンダライナ。

Claims

【特許請求の範囲】

１シリンダ内に嵌挿したピストンの往復運動を回転運
動に変換させる型式の内燃機関において、ピストンが往
復摺動するシリンダ壁内面のピストンリング摺動範囲外
の下死点位置におけるピストンスカート部外周面と対向
する個所にオイル注入口を開口させ、このオイル注入口
と機関の潤滑油貯溜部とを連通させる潤滑油供給油路に
、ピストンの下死点位置近傍で吐出作動する送油ポンプ
を設けてなり、この送油ポンプは、クランクケース壁部
に穿孔形成したポンプ室を備え、このポンプ室にばね付
勢して往復摺動自在に嵌挿したプランジャをカム軸に設
けたカムにより作動すべくこれに対向配置し、カム軸の
回転運動に同期して吐出作動させると共に、この送油ポ
ンプの吸入側はクランクケースに付設した吸入管を介し
て機関の潤滑油貯溜部と連通し、送油ポンプの吐出側は
クランクケースに穿孔形成した油路を介して上記オイル
注入口と連通させる通路構成により上記潤滑油供給油路
を形成したことを特徴とするピストン往復動型内燃機関
。