JPS5839797B2 - 高炉出銑口閉塞材バインダ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高炉出銑口閉塞材の結合剤←バインダー）とし
てリグニンとフェノール樹脂の混合物を用いることを特
徴とするもので、その目的とするところは硬化時間が速
（、熱間強度大で耐蝕性に優れた高炉出銑口閉塞材のバ
インダーを安価に提供するものである。

一般に高炉出銑口閉塞材としては耐火粘土、シャモット
、コークス粉、その他の耐火材粉末などの所謂骨材な粘
結性を有するタールあるいはタールピッチのバインダー
で混練した不定形粘土状の耐火材が使用されている。

周知の通り高炉出銑口閉塞材は、一般に次のようにして
使用されている。

高炉の出銑口に上記不定形粘土状の閉塞材を出銑口閉塞
機（マッドガン）により圧入して閉塞する。

高炉底部に熔融銑鉄が溜ると出銑口を閉塞した閉塞材に
穿孔し熔融銑鉄を流出せしめるのであるが、流出時間と
ともに出銑孔が徐々に損傷されて大きくなり熔融銑鉄の
流出方向に乱れを生じ所謂出銑荒れが生じてくると、再
度不定形粘土状の閉塞材を圧入して出銑口を閉塞して出
銑を一時停止する。

一定時間後再び開孔して出銑し、この一連の操作を繰り
返すものである。

従来のタールを・ζインダーとする高炉出銑口閉塞材に
は、次のような欠点がある。

即ち短時間で出銑荒れを生じやすいし、また出銑口の閉
塞に際しては硬化時間が長く、タールを用いた閉塞材が
十分に硬化して強度が出るまでに１時間近くもマッドガ
ンで押圧することが必要である。

しかしそれにも拘らずしばしば出銑洩れを起すことがあ
る。

本発明者らは高炉出銑口閉塞材という極めて特異な性能
が要求される耐火材に関する多年の研究の結果、リグニ
ンにフェノール樹脂を添加混合し適当な溶媒に溶解した
混合液をバインダーとじて使用スるとき、上記タールを
バインダーとする閉塞材の難点がすべて解消することを
見出し、本発明を完成するに至った。

本発明で使用するリグニンは製紙工業の副産物として回
収される極めて安価な原料である。

リグニンはセルロース、ヘミセルロースとともに木材の
主要成分で１５〜３０％含有されており、自然界に豊富
に存在する。

その化学構造は樹種により異なるが、フェノール性水酸
基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、カルボニル
基などを有するフェニルプロパン骨格の繰り返しによる
高分子化合物である。

大きくは針葉樹リグニンと広葉樹リグニンに分けられる
が、本発明には（・ずれのリグニンも同様に使用できる
。

木材のパルプ化において副生するリグニンとしては亜硫
酸法パルプ廃液より回収されろリグニンスルホン酸塩（
ＳＰリグニン）あるいはクラフト法パルプ廃液より得ら
れるＫＰＩＪゲニン、またノーダ法パルプ廃液より回収
されるＡＰＩＪゲニン等があるが、本発明の実施にあた
ってはいずれのリグニンも使用することができる。

また本発明でもう一つの原料として用いられるフェノー
ル樹脂としては、広く一般に知られており工業的に容易
に入手し得るもので、レゾール型フェノール樹脂、ヘキ
サメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒドを含有す
るノボラック型フェノール樹脂な単味あるいは両者の適
当な割合の混合物として利用することができる。

高炉出銑口閉塞材としての機能を十分に果すためには、
使用するバインダーは単に骨材との混練時における粘結
性附与剤としての作用のみならず、出銑口での硬化性あ
るいは高温条件下でのカーボン残存率やカーボンボンド
の形成が熱間強度や耐蝕性に影響を及ぼす。

従ってリグニン、ノボラック型フェノール樹脂、レゾー
ル型フェノール樹脂の個々のパインタニとしての性能を
把握し、これらを混合使用することにより理想的な高炉
出銑口閉塞材バインダーが得られるところに本発明の特
徴がある。

即ちヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド
を含有するノボラック型フェノール樹脂又はレゾール型
フェノール樹脂は熱硬化性であり、リグニンとの混合割
合、両タイプの混合の仕方によりバインダーの粘性、硬
化時間、カーボン残存量などバインダーとしてのこれら
諸性能を考え合せ最適なバインダーを調整することがで
きる。

本発明の実施にあたって使用する溶媒としては、リグニ
ンとフェノール樹脂の両者を溶解するエタノール、イソ
プロピルアルコールなどの１価アルコール、エチレング
リコ−ルナトノ多価アルコール類あるいはジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホオキシドなどの溶剤が利用で
きる。

さらにリグニンとフェノール樹脂のどちらか一方を溶解
する溶媒を用いることができる。

この場合には溶解しない成分を粉末にして分散させるこ
とによっても本発明の目的を達し得る。

溶媒の選択は温度変化によるバインダーの粘性、骨材と
の混練時の作業性、閉塞材の安定性などの諸条件を満足
させる溶媒を選択すべきである。

本発明によるリグニンとノボラック型あるいはレゾール
型フェノール樹脂をエチレンクリコールに溶解したバイ
ンダーによる高炉出銑口閉塞材は、タールをバインダー
とする閉塞材よりもはるかに硬化時間が短縮されるし、
熱間強度、耐蝕性においても優れたものである。

リグニンとフェノール樹脂との硬化機構につ見゛ては未
だ明らかにされていないが、熱間強度に関係すると考え
られる。

カーボン残存率は、リグニンとフェノール樹脂との混合
比が３，７から７：３の範囲でフェノール樹脂単独のそ
れよりも多くなるのでこの範囲で使用することが好まし
Ｌ・。

近年、高枦の大型化がなされ、それに伴なう操業の合理
化などの面からも早強性閉塞材の開発が強く要望されて
いた。

またタールを大量に取扱うことは労働安全衛生上からも
好まし℃・ことではな見・し、一方パルプ廃液の有効利
用は公害規制、資源活用の見地からも望まれることであ
り、本発明は産業上、誠に有用なものであると云える。

次に実施例を示し本発明を具体的に説明する。

実施例 １ ノボラック型フェノール樹脂３０部とＳＰリグニン３０
部をエチレングリコール４０部に加熱溶解しバインダー
とする。

このバインダーの粘度は３０℃で６００００ ｃｐｓで
あった。

シャモット３０部、耐火粘土１５部、コークス粉３０部
に上記バインダー２３部、ヘキサメチレンテトラミン２
部を加えて混練し、高炉出銑口閉塞材とした。

このものの熱間曲げ強度を、上記バインダーのかわりに
従来のタールを用いて混練したものの強度と比較し第１
表に示した。

また早強性は６００℃に保った電気炉で夫々５分、１０
分、１５分間焼成し、６００℃での熱間曲げ強度で比較
した。

その結果は第２表に示す通りである。

実施例 ２ レゾール型フェノール樹脂の５０％エチレングリコール
溶液６０部、ＫＰＩＪグニ７３０部、エチレングリコー
ル１０部よりなるバインダー２５部を用いて、実施例１
の耐火物骨材を混練し、高炉出銑口閉塞材を得た。

このものの熱間曲げ強度、早強性は夫々第１表、第２表
に示した通りである。

このものをマッドガンで出銑口に圧入すると５分後には
硬化し、溶銑の流出もなく作業時間が短縮できた。

なお、開孔後の出銑状態も良好で出銑量も多かった。

実施例 ３ 詩ｋｓ
Ｐ！Ｊゲニンの６０％水溶液５０部に粉末ノボラック型
フェノール樹脂３０部を混合分散させる。

この分散液は２週間放置後も分離沈降することなく安定
であり、粘度は３０ °Ｃで３００００ ｃｐｓであっ
た。

このバインダー２５部を用いて実施例１と同様の骨材配
合で混練し、熱間曲げ強度、早強性を調べた。

結果は、夫々第１表、第２表に示す通りである。

実施例 ４ ノボラック型とレゾール型の組成比が８：２のフェノー
ル樹脂２５部、ＳＰリグニン２５部、エチレングリコー
ル５０部よりなるバインダー２３部を用いて、実施例１
の耐火物骨材を混練し高炉出銑口閉塞材をえた。

このものの熱間曲げ強度、早強性は夫々第１表、第２表
に示した通りである。

このバインダーの粘度は３０℃で３０００ ｃｐｓであ
った。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リグニンと熱硬化性フェノール樹脂（以下フェノー
   ル樹脂という）を溶解した溶液あるいは分散させた分散
   液からなることを特徴とする高炉出銑口閉塞材バインダ
   ー。 ２ フェノール樹脂がヘキサメチレンテトラミン、パラ
   ホルムアルデヒドを含有するノボラック型フェノール樹
   脂である特許請求の範囲第１項記載の高炉出銑口閉塞材
   バインダー。 ３ フェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂であ
   る特許請求の範囲第１項記載の高炉出銑口閉塞材／ζイ
   ンダー。 ４ フェノール樹脂が、ノボラック型及びレゾール型フ
   ェノール樹脂の混合である特許請求の範囲第１項記載の
   高炉出銑口閉塞材のバインダー。