JPS5839223B2 - 焼結摺動部材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は粉末冶金法による高温で耐摩摺動特性に優れた
摺動部材に関する。

近年、工業の著しい発展と共に、宇宙機器、原子力産業
を中心に効率の向上と高速化から潤滑要素は高温化の傾
向に有り、軸受なと高温摺動性に優れた材料の要求が高
まっている。

現在、これらの材料として一般に使われているのは高速
度鋼の如き、工具鋼、高融点金属、超合金、サーメット
、セラミック、及び黒鉛などである。

工具鋼、高融点金属、超合金、サーメットらは耐熱性、
耐摩性に優れているが、加工性が悪く材料的にも高級で
ある為、価格的にも高い。

又セラミックは価格的に比較的安価であるものの、衝撃
強度が小さいという欠点が有り、黒鉛の場合も強度的な
問題と５００℃以上の酸化性雰囲気中では耐摩性の低下
という問題を有している。

本発明は、これらの点に鑑み、耐熱性、耐酸化性、強度
特性に優れ、しかも価格的には比較的安価な高温摺動部
材を提供せんとするものである。

かかる材料は、以下に述べる様な方法で製造される。

以下％は重量％を示す。鉄粉にＣｒあるいはＦｅ−Ｃｒ
粉を、Ｃｒ％で５〜３０％、カーボニルニッケル粉末６
〜２５％、Ｃａ Ｆ ２又はＢａＦ２のフッ化化合物粉
末３〜２０％、更に必要に応じてＭｏあるいはＦｅ−Ｍ
ｏ粉末をＭｏ％で０．２〜１０％、ＣｏあるいはＣｏ化
合物粉末をＣｏ％で３〜１０％、更に炭化物形成等によ
り材質の強化をはかり度い場合には炭素粉ｏ、ｉ〜２．
０％を添加し、小量の成形用型潤滑剤と共に混合、プレ
ス成形した後、１２５０℃以下の還元性の雰囲気中で３
０分〜１時間焼結する。

得られる焼結体は、残留空孔内にＣａ Ｆ ２又はＢａ
Ｆ２を含有する主としてオーステナイト組織の焼結材で
ある。

構成成分中、Ｃｒは鉄中に固溶し、マトリックスの耐熱
性、耐酸化性の改善に役立つが、Ｃと共存した場合には
Ｍｏと共に一部は炭化物となって析出し、耐摩性向上に
役立つ。

５％以下ではこれらの効果が充分でなく、又３０％を超
えても材質が脆化し、加工性も低下するので、好ましい
範囲を５〜３０％とした。

Ｎｉは水系に於てマトリックスをオーステナイト化する
のに必要な構成元素で、耐熱性、耐酸化性の改善に寄与
する。

６％以下の添加ではこれらの効果は不充分であり、又２
５％以上になってもコストの割に改善効果が小さいので
６〜２５％か適切な範囲である。

Ｍｏの添加はＦ ｅ −Ｃｒ −Ｎ ｉ系合金に於てマ
トリックスの耐熱性、耐酸化性の改善、硬質化合物粉末
の形で添加すれば耐摩性の改善に著しく有効であるが、
０．２％以下の添加量では、その効果が顕著でなく、又
逆に１０％を超えても材質の劣化や加工性の低下を招く
ので、好ましい添加範囲を０．２〜１０％に限定した。

ＣｏはＮｉと同様マトリックスのオーステナイト化を促
進し、耐熱性の改善に寄与すると共にＭ。

−Ｃｏの化合物の形で添加されれば耐摩性改善の効果も
発揮する。

３％以下の添加量ではこれらの効果は顕著でなく、又１
０％以上となっても余り効果は変わらないので好ましい
添加範囲を３〜１０％とした。

Ｃは水系に添加された場合、マトリックスに固溶するか
、炭化物の形で存在し、耐熱性、耐摩性の改善に役立つ
。

０１１％以下ではこれらの効果が余り無く、逆に２％以
上となるとネットワーク状の炭化物が形成され易くなり
、耐酸化性の低下と脆化が著しくなるので０．１〜２％
を好ましい添加範囲とする。

Ｃａ Ｆ ２ないしＢａＦ２は本案に於て潤滑剤の役割
を果し、高温雰囲気中での金属凝着を阻止する働きをす
る。

ＣａＦ２及びＢａＦ２の分解温度はそれぞれ１３７３’
Ｃ，１２８０℃と比較的高く、１２５０℃以下の温度で
あれば焼結時、分解して消失することはない。

潤滑特性は常温から高温まで安定しており、本発明材に
於ても広い温度域で優れた耐摩性を発揮する。

ＣａＦ、又はＢ ａ Ｆ ２の添加量が３％以下では耐
焼き付き性の改善効果は充分でなく、３％以上入ると強
度低下が大きくなるので好ましい範囲を３〜２０％とし
た。

以上述べて来た様に、本発明材の特徴は耐熱性、耐酸化
性に優れたオーステナイト系ステンレス組成のマトリッ
クス中に潤滑要素としてのＣａ Ｆ２又はＢａＦ２が分
散存在し、このＣａＦ２．ＢａＦ２の存在により高温摺
動下での凝着が防止されるものである。

以下実施例にて詳細に述べることにする。実施例 一３２５メツシュのクロウム又はフェロクロウム粉末、
カーボニルニッケル粉末、モリブデンあるいはフェロモ
リブデン粉末、コバルト又はＣ。

−Ｍｏ合金粉末、グラファイト粉末及びＣａＦ２あるい
はＢａＦ２粉末を一１００メツシュの鉄粉に下記組成割
合（数字は重量％を示す）になる様に配合し、混合後、
８５％の密度に底形１２３０°Ｃで１時間焼結（雰囲気
は水素）を行ない得られた焼結材に対し高温での摩耗試
験を実施した。

ＣＡ）Ｆｅ−８Ｃｒ−１ＯＮｉ−１０ｃａＦ２（Ｂ）
Ｆｅ−２０Ｃｒ−１ＯＮｉ−５ＣａＦ２（Ｃ）Ｆｅ−
２０Ｃｒ−１ＯＮｉ−１５ＣａＦ２（Ｄ）Ｆｅ−２０Ｃ
ｒ−１ＯＮｉ−ＩＭｏ−１０ＣａＦＦｅ−２０Ｃｒ−１
ＯＮｉ−５ＣａＦ２（Ｃ）Ｆｅ−２０Ｃｒ−１ＯＮｉ−
１５ＣａＦ２（Ｄ）Ｆｅ−２０Ｃｒ−１ＯＮｉ−Ｉ■
Ｆｅ−２０Ｃｒ−８Ｎｉ−３Ｍｏ−１０Ｃｏ−１０Ｃａ
Ｆ２（Ｈ） Ｆ ｅ−２０Ｃｒ−１ＯＮｉ−３Ｍｏ−
０，５Ｃ−１０ＣａＦ２（Ｉ）Ｆｅ−２０Ｃｒ−１ＯＮ
ｉ−３Ｍｏ−６Ｃｏ−１，ＯＣ−１０ＣａＦ２ （Ｊ）Ｆｅ−２０Ｃｒ−１ＯＮｉ−３Ｍｏ−６Ｃｏ−１
，０Ｃ−１０ＢａＦ２ （１）焼結後、硬さと密度 硬さくＨＲＢ） Ａ ５０〜５５ Ｂ ３２〜３６ Ｃ５０〜５８ Ｄ ４８〜５４ Ｅ ５５〜６０ Ｆ ５４〜５８ ０ ５０〜５６ Ｈ６４〜７０ Ｉ ６８〜７８ Ｊ ６５〜７５ （２）高温摩耗試験 テスト条件 ■）温度５００℃（気中） ２）接触圧力 １ｋｇ／ＣＩ？Ｌ ３）摩擦速度 １．５ｍ７’５ｅｃ ４）摩擦距離 ３００ｍ ５）相手材 ５ＵＨ３（硬さＨＲＣ３５）比較材として
Ｆｅ１２、リン青銅、焼結合金Ｆｅ−０，３Ｐ−５Ｍｏ
−ＩＣ−３Ｐｂを選び同時に試験を行なった。

密度 ｇ／− ６，３０ ６，３５ ６，１５ ６，２５ ６，３０ ６，３５ ６，３７ ６，２５ ６，３０ ６，３０ テストサンプル 平均摩耗幅 比 較 リン青銅 ３．２間 材 焼結合金 ３．５ 以上の結果より判る様に、自己潤滑成分としてフッ化カ
ルシウムないしはフッ化バリウムを含有するオーステナ
イト組織の焼結材料は、耐摩性の優れている材料として
知られている鋳鉄やリン青銅あるいは鉛成分を含有する
焼結合金を上回る高温、酸化雰囲気中での耐摩性、耐焼
き付き性を示した。

これは本発明材が耐熱性と耐酸化性に富むマトリックス
と、常温から高温までの幅広い温度域で潤滑性を発揮す
るフッ化化合物から構成されていることによるものと思
われる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 重量％でＣｒ５〜３０％、Ｎｉ６〜２５％、ＣａＦ
   ２又はＢａＦ２３〜２０％、残り鉄の組成より成る焼結
   摺動部材。 ２ 重量％でＣｒ５〜３０％、Ｎｉ６〜２５％、Ｍｏ０
   ．２〜ＩＯ％、ＣａＦ２又はＢａＦ２３〜２０％、残り
   鉄の組成より成る焼結摺動部材。 ３ 重量％でＣｒ５〜３０％、Ｎｉ６〜２５％、ＭＯｏ
   、２〜１０％、ｃｏ３〜１０％、Ｃａ Ｆ ２又はＢａ
   Ｆ２３〜２０％、残り鉄の組成より成る焼結摺動部材。 ４ 重量％でＣｒ５〜３０％、Ｎｉ６〜２５％、ＭＯｏ
   、２〜１０％、ｃｏ３〜１０％、Ｃ０，１〜２．０％、
   ＣａＦ２又はＢａＦ２３〜２０％、残り鉄の組成より成
   る焼結摺動部材。