JPS5838651Y2 - 結晶振動子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は厚みすベリ振動を利用する小型化された結晶振
動子に関し、さらに具体的には、婦人用の電子腕時計の
如く小型で高い精度を要求される携帯用電子装置にも充
分に使用できる優れた振動特性をもたせて小型化を図っ
た厚みすべり振動を行なう結晶振動子に関するものであ
る。

厚みすべり振動を利用する結晶振動子（以下単に結晶振
動子という）、たとえばＡＴカット水晶振動は、現在、
円板形をしたものが広く用いられているが、婦人用電子
腕時計の如き小型の電子装置に用いるには、たとえば８
ＭＨｚの如く高い周波数にしなければならず、集積回路
（以下ＩＣという）および消費電力の面から実用化でき
ないものとされていた。

これに対して細長形状に加工して長平方向両端を支持し
たＡＴカット水晶振動子が提案されているが、長さ方向
の寸法がまだ大きすぎるため、たとえば婦人用電子腕時
計に使用するには不適であった。

これらの寸法上の制約に対して、第１図に示す如き、細
長形状に加工され、厚みがほぼ一様で、平面形状が短形
のＡＴカット水晶結晶体の長さ方向の一方の端部近傍に
励振用電極４，５を設け、長さ方向の他方の端部に支持
用電極８，９を設けるとともに支持柄１２．１３を取付
けたＡＴカット水晶振動子１が提案されている。

上記ＡＴカット水晶振動子１は、励振用電極４，５が設
けられている面２゜３に設けられた引出電極６，７と上
記支持用電極８゜９ならびに支持柄１２．１３を介して
、上記励振用電極４，５間に外部から所定の電圧が印加
されると、厚みすべり振動を行なう。

上記ＡＴカット水晶振動子１は、スプリアス振動（以下
スプリアスともいう）が生じ易く、本考案で後述の如く
、支持穴１０゜１１を設けて支持による振動特性の悪化
を防止しようとしても、スプリアス等によって周波数温
度特性が悪くなり易い上に、スプリアスによる振動特性
のバラツキが大きく、製造コストが高く、量産に不向き
であり、特性面から上記電子腕時計の如く小型であると
ともに高い精度を要求される携帯用電子装置に使用不適
当であった。

本考案は、上記従来の欠点を一掃し、スプリアス振動が
励振され難く、従って、周波数温度特性が良好で、振動
のＱ値（品質指数とも共振尖鋭度ともいう）が高いなど
振動特性が良好で、量産時の特性のバラツキの小さい、
小型の、婦人用電子腕時計にも充分に使用できる厚みす
べり振動を行なう結晶振動子を、量産向きに、安価に提
供せんとするものである。

以下、図示の実施例を参照しながら、その詳細を説明す
る。

第２図は、本考案の一実施例を示す斜視図で、符号１５
は、結晶振動子としてのＡＴカット水晶振動子で、細長
形状に形成され、励振用電極１９．２０が長さ方向の一
方の端部２５の方向に片寄せて設けられており、長さ方
向の他方の端部には支持穴２３゜２４に導電性の支持柄
２６ 、２７が装着されている。

励振用電極１９が設けられている面１６と励振用電極２
０が設けられている面１７は平行で、引出電極２１が設
けられている面１８と、引出面電極２２が設けられてい
る面２０の間隔は、支持柄２６．２７が装着されている
端部方向が狭く、上記面６の方向が広くなっている。

いわゆるプラノベベル形状に形成されている。

上記支持柄２６．２７および支持柄２６．２７に電気的
に接続されている引出電極２１．２２を介して、励振用
電極１９．２０間に所定の電圧を印加すると、結晶振動
子としてのＡＴカット水晶振動子１５は、所定の周波数
で厚みすべり振動を行なう。

この場合、上記厚さ方向と一方の端部２５の長さ方向に
沿った断面が図示の如く円弧状に形成しているため、端
部２５近傍の励振強度が大であるにもかかわらず、屈曲
振動の如き厚みすべり振動に対してのスプリアス振動の
励振が低減され、図示の如く励振用電極１９．２０を長
さ方向の一方の端部２５の方向へ大中執に片寄せるとと
もに、Ａ丁カット水晶振動子１５の寸法を著しく小さく
しても、スプリアスを少なりシ、スプリアスによる厚み
すべり振動への悪影響を除去することができ、Ａ丁カッ
ト水晶振動子に独特の周波数温度特性を実現することが
できるとともに、上記端部２５の効果によって、厚みす
べり振動のＱ値を大幅に増大することができる等、著し
く小型化され、しかも優れた振動特性を有するＡＴカッ
ト水晶振動子を実現することができる。

また、上記実施励において、面１８と面２０の形状がプ
ラノベベル形状になっているため、エネルギー閉じこめ
効果が大きく、Ａ丁カット水晶振動子の小型化に有利で
あるとともに、支持穴２３゜２４を有する効果として、
支持柄の小型化を図ることができるとともに、支持によ
る振動特性の悪化を防ぐことができる。

第３図は、本考案の他の実施例を示す平面図で、第２図
の実施例と異なるところは、結晶振動子としてのＡＴカ
ット水晶振動子２８の長さ方向の一方の端部３１の形状
を、平面図において円弧状となるように形成したことで
ある。

符号２９は第２図の符号１６に対応する面で、励振電極
３２を長さ方向の一方の端部３１方向に片寄せて形成し
ており、符号３０はプラノベベル加工された面で、符号
３３は引出電極、符号３４．３５は金属製の支持柄であ
る。

支持柄と引出電極を介して励振電極３２とそれに対向す
る励振電極（図示せず）間に所定の電圧を印加すると、
ＡＴカット水晶振動子２８は所定の厚みすべり振動を行
なうが、上記長さ方向の一方の端部３１の平面形状が円
弧状になっている効果によって、ＡＴカット水晶振動子
２８の幅方向に関するスプノアス振動の励振効率が大幅
に低減され、もって、スプリアス振動の著しく少ない、
Ｑ値が高く周波数温度特性が優れた小型の結晶振動子を
実現することができる。

以上の如く、結晶振動子の長さ方向の端部の断面形状を
円弧状もしくは円弧に近い曲線状もしくは急峻なテーパ
状に形成したことにより、上記断面形状が円弧状あるい
は曲線状あるいはテーパ状に形成された端面の方向に片
寄せて励振電極を配すことによって厚みすべり振動を行
なう結晶振動子の小型化を図った場合に、従来生じたス
プリアスの増大と、Ｑ値の低下、周波数温度特性の悪化
を効果的に防止することができ、振動特性が良好でバラ
ツキの少ない結晶振動子を実現することができ、量産時
における歩留が良く、製造コストが安価な、小型の結晶
振動子を実現することができる。

以上、実施例を参照しながら本考案の詳細を説明してき
たが、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、
たとえば、結晶振動子としてリチウムタンタレート（Ｌ
ｉＴａＯ３）を用いたり、結晶振動子の幅方向の側面の
形状をベベル形状に形成したり、長さ方向の一方の端面
形状を第２図と第３図の組合せ形状にするなど、種々の
変更、改良を妨げるものではない。

叙上の如く、本考案に従えば、従来に比してスプノアス
振動を大幅に低減した、周波数温度特性が良好で、Ｑ値
の高い、振動特性の良好な小型の結晶振動子を量産向き
に、安価に実現することができ、本考案に従う結晶振動
子の使用によって、婦人用電子腕時計等小型携帯用電子
装置の高精度化、低価格化、小型化を一層進めることが
できるとともに、機能の増加を実現することができる等
、実用上の効果多大なものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来提案されているＡＴカット水晶振動子の
斜視図、第２図は本考案の一実施励を示す斜視図、第３
図は、本考案の他の実施例を示す平面図である。 １５．２８・・・・・・結晶振動子としてのＡＴカッＩ
・水晶振動子、１９，２０．３２・・・・・・励振用電
極、２１，２２．３３・・・・・・引出電極、２３．２
４・・・・・・支持穴、２５．３１・・・・・・断面形
状が円弧状に形成された長さ方向の一方の端部、２６．
２７ 。 ３４．３５・・・・・・支持柄。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）厚みすべり振動を利用する細長形状に形成された
   結晶振動子において、長さ方向の一方の端部が少なくと
   も１つの断面形状が円弧状、または円弧状に近い曲線状
   、またはＶ字状に形成されており、上記一方の端部の方
   向に片寄せて励振用電極を配し、長さ方向の他方の端部
   と前記励振用電極を配した部分との間の少なくとも一平
   面側がベベル形状に形成され、前記長さ方向の他方の端
   部に支持柄を取付けたことを特徴とする結晶振動子。
2. （２）支持柄は、結晶振動子長さ方向の他方の端部にあ
   けた支持穴に支持されている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載による結晶振動子。