JPS5837829B2 - 通気撹拌装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は気液接触装置に係り、特に発酵槽として使用す
るに好適な、通気攪拌装置に係る。

気液接触装置としての通気攪拌装置は、従来から良く使
用されているが混合時間が比較的長く、この改善策とし
てドラフトチューブなどの槽内液体の強制循環促進物が
設置されている。

第１図は通気攪拌装置の概念図である。

液体ａが入った槽ｂ１内の下方に気体Ｃを吹き込むため
の気体分散装置ｄと、気体再分散用多孔板ｅとが設置さ
れている。

気体分散装置ｄを出た気体Ｃは液体ａと接触しながら、
多孔板ｅを通って上方へと流れ、液表面ｆから放出され
気体排気管ｇから気体Ｃ′として系外へ排出される。

この場合、槽ｂ１内の液体ａの上下方向の混合は余り期
待できない。

この混合状態を改良したものが第２図に示すドラフトチ
ューブ付き通気攪拌装置である。

第２図において、ドラフトチューブｈ内に吹き込まれた
気体Ｃは多孔板ｅを通過して、ドラフトチューブ内部ｈ
１ の液体ａと混合しながら上昇し、液体ａと分かれ、
槽上部の気体排気管ｇより糸外へ出る。

気体Ｃに引きずられ上昇した液体ａは、ドラフトチュー
ブｈの上部よりオーバーフローしてドラフトチューブ外
部ｈ２を下降し、再び下端よりドラフトチューブ内部ｈ
１に吸込まれる。

これを基本構造とする通気攪拌装置は種々開発され発酵
槽に利用されている。

第３図はドラフトチューブ型の基本形を示したもので、
気体分散装置ｄより送入された気体Ｃがドラフトチュー
ブ内部ｈ１の液体ａを上方へ引きずり第３図内の矢印に
示す流動が起るとされているが、ドラフトチューブ内部
ｈ１の気体Ｃの空塔速度との関係で必ずしも理想的な矢
印の流動は起こらない。

空塔速度が小さいとドラフトチューブ内部ｈ１で対流が
生じるだけでドラフトチューフ外部ｈ２の流動が乏しい
。

逆に空塔速度が大きいと、ドラフトチューブ内部ｈ１の
上方への流れは気体Ｃが卓越し液体ａの流れが乏しくな
り、この場合もドラフトチューブ外部ｈ２の液の流れは
極めて少ないという状況となる。

一方、適正な空塔速度をとれば、非常に良好な攪拌効果
を生む。

しかし、気体の液体への溶解が十分であってなおかつ良
好な攪拌が行なわれる装置である観点から見れば第１図
に示す槽ｂ１では気体Ｃの液体ａへの溶解は非常にすぐ
れているが、第３図に示す槽ｂ３では劣る。

また、第２図に示す槽ｂ２の場合は第１図に示す槽ｂ１
よりも気体Ｃの溶解が、第３図に示す槽ｂ２よりも（適
正な空塔速度の場合に限定）攪拌効果が、それぞれ多少
劣るものの綜合的水準は高い。

上記のように、従来の装置では、それぞれ長短があって
気体の液体への溶解が十分であってなおかつ良好な攪拌
が行なわれる装置がなかった。

ここで、攪拌効果を自然循環と強制循環とに区分して考
えると、第１図に示す槽ｂ１は自然循環によるもの、第
２図および第３図に示す槽ｂ２，ｂ３は強制循環による
ものであるが第１図に示す槽ｂ１は自然循環そのものも
非常に劣っている。

そこで本発明者らは強制循環をそのまま維持し、自然循
環を強力に進め、自然循環と強制循環を併用することに
よって、従来の各単独の循環形式を上まわるものを成し
とげようと試みた。

本発明は、水槽内に垂設されかつ最上端および最下端が
上記水槽上蓋および下蓋と適宜な間隔を有して配設され
た隔壁と、同隔壁内部または外部に開孔と下部のみまた
は上下部に突出する中空管とを有する仕切板を適宜の間
隔を有し多段に配設すると共に、上記仕切板の少《とも
最下段の仕切板の下方に気体分散手段を配設してなるこ
とを特徴とし、その目的としては、気体の液体への溶解
が十分であってなおかつ良好な攪拌が行なわれる通気攪
拌装置を提供するものである。

つまり本発明は通気攪拌装置において、攪拌領域と下降
流領域を隔壁にて区画し、該攪拌領域に設けた仕切板に
開孔と下部または上下部に突出した中空管をそれぞれ多
数配設することにより中空管の上端部と下端部の圧力差
により開孔を流路とする自然循環作用を生せしめさらに
気体分散手段からの気体に引きずられた液の上昇流と下
降流領域による強制循環作用とを攪拌領域において相乗
的に作用させて、夫々の単独で行なう攪拌効果を上まわ
るものを提供しようとすることにある。

以下、本発明の好ましい実施例を第４図、第４ａ図、第
４ｂ図、第４ｃ図、第５図、第５ａ図、第５ｂ図および
第５ｃ図に図示する実施例に基づいて説明する。

上記の図示する実施例の通気攪拌装置は、水槽１内に垂
設されかつ最上端および最下端が上記水槽上蓋１ａおよ
び下蓋１ｂと適主な間隔を有して配設された気泡上昇用
隔壁５ａ ，５ｂと同隔壁の内部または外部に開孔３ａ
と下部のみ突出または上下部に突出する中空管３ ｂ
，３ ｃとを有する仕切板３が配設され、さらに上記隔
壁５ ａ ，５ ｂの最下端内部に配設された気体分散
手段２と、から構成されている。

さらに本実施例を詳述すれば、２ａは中間的な位置から
気体を送入する場合の気体分散装置３ｂは多孔板３を貫
通し、仕切板３よりも下部のみにとりつげられた中空管
、３ｃは仕切板３を貫通し、仕切板３の上部から下部ま
でがつながった状態の中空管。

４は排気管、７は隔壁が必要に応じ適宜分割されている
状態の時の隔壁５ａと隔壁５ｂとの間の空間を示してい
る。

勿論中間部７が存在しない状態即ち隔壁が上下に連続し
ていてもよい。

なお１３および１４は原料液の給排口を示す。

Ａは自然循環による液の上下流動と強制循環による、気
体上昇に伴なって、気体に引きずられた液の上昇流との
２者の併用による攪拌領域を示しており、Ｂは攪拌領域
Ａの強制循環で上昇した液に見あった水量の下降流の生
じる領域すなわち下降流領域で、勿論この下降流領域Ｂ
は強制循環領域である。

なお、第４図に示す実施例と、第５図に示す実施例とは
、攪拌領域Ａと下降流領域Ｂとの配置を変えたものであ
って、第４図に示す実施例は、攪拌領域Ａの内測又は攪
拌領域Ａに囲まれる状態で下降流領域Ｂがあること。

一方、第５図に示す実施例は下降流領域Ｂの内測又は下
降流領域Ｂに囲まれる状態で攪拌領域Ａがある。

また、水槽１の断面形状は角又は丸その他であり、その
断面形状を第４ａ図、第４ｂ図、第４ｃ図、第５ａ図、
第５ｂ図および第５ｃ図で示している。

この第４ａ，４ｂ，４ｃ，５ａ，５ｂ，５ｃ図では、仕
切板３のある攪拌領域Ａと、仕切板などのようなものが
なにもない下降流領域Ｂの配置の実施例について示して
いる。

仕切板３の中の小円群は開孔３ａと下部突出中出中空管
３ｂのみ、開孔３ａと上下部突出中空管３ｃのみまたは
開孔３ａと下部突出中空管３ｂと上下部突出中空管３ｃ
との組合せたものであって、大きさも必ずしも均一を必
要とはしない。

但し、開孔３ａ、下部突出中空管３ｂおよび上下部突出
中空管３ｃは仕切板３中に存在する限りは複数個、望ま
しくは多数個で構成されている。

なお、気体分散装置２は必ず攪拌領域Ａの内部にあり、
下降流領域Ｂには気泡の混在のないよう装置化すること
が大切である。

次に本発明の効果を示すための実施例による通気攪拌実
験例をあげる。

実験例 第６図は本実験例に適用した実験装置の概略を示す。

水槽１の槽径は１５０ｍｍの円筒とし、開孔３ａ、下部
突出中空管３ｂおよび上下部突出中空管３ｃを配設した
仕切板３を５００ｍｍピッチとした。

気体分散装置２かもの気体分散は下降流領域Ｂに気泡の
混在のないよう攪拌領域Ａの直下部のみに、均一分散す
るよう設置し、気体として空気を用いた。

混合時間の測定は、水槽１の上部に投入管９を設け、容
器８よりトレーサーとして食塩（ＮａＣ１）溶液を投入
し、同時に２ケ所の採水管１ ２ ， １ ２’から微
量の液を採取し、電気伝導度計を用いてＮａＣｌ濃度を
計測し、ＮａＣ１濃度が定常になる時間を計測、これを
混合時間とした。

なお、空気量をプロワー１１より送入する時流量計１０
で計測し、水槽１に対する空搭速度を変更し、混合時間
を測定した。

第６図に示す実験装置は開孔３ａ、下部突出中空管３ｂ
、上下部突出中空管３ｃおよび仕切板３の配置の一例に
ついて示したもので、実験条件の詳細は、第７図中にま
とめて図示した。

実験結果を第８図に示す。

実験結果より、第１図に示す装置では、１７０秒、第２
図に示す装置では、７０〜７５秒であったが、本発明を
適用した場合は略５０秒であり、第１図の装置を適用し
た場合に対しては大幅に、第２図の装置を適用した場合
に対しても約４割混合時間を短縮することが出来、本発
明の有意さを明確に立証することができた。

これは、前述した通り、隔壁内部における液の「自然循
環」と、攪拌領域Ａから下降流領域Ｂへ至る全体的な液
の流れ即ち攪拌領域Ａでは相対的な上昇流、下降流領域
Ｂでは下向流たる「強制循環」の相乗作用を発揮するこ
とにより、極めて効果的な混合をなしえたものである。

そして、本発明は通気攪拌装置、気液接触装置、発酵槽
、とくにガスを基質とする発酵槽、微生物を用いる廃液
処理装置に適用出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来の通気攪拌装置の横断面図、第
４図は本発明の一実施例の横断面図、第４ａ図、第４ｂ
図および第４ｃ図は第４図の実施例に用いられる仕切板
の平面図、第５図は本発明の他の実施例の横断面図、第
５ａ図、第５ｂ図および第５ｃ図は第５図の実施例に用
いられる仕切板の平面図、第６図は本発明に係る一実験
装置の説明図、第７図は本発明に係る実験装置の数列の
説明図、第８図は本発明に係る実験装置による空搭時間
と混合時間との関係を示す線図である。 １・・・・・・水槽、１ａ・・・・・・上蓋、１ｂ・・
・・・・下蓋、２，２ａ・・・・・・気体分散装置、３
・・・・・・仕切板、３ａ・・・・・・開孔、３ｂ・・
・・・・下部突出中空管、３ｃ・・・・・・上下部突出
中空管、４・・・・・・排気管、５ａ・・・・・・上部
隔壁、５ｂ・・・・・・下部隔壁、６・・・・・・液面
、７・・・・・・中間部、Ａ・・・・・・攪拌領域、Ｂ
・・・・・・下降流領域。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水槽内に垂設されかつ最上端および最下端が上記水
   槽上蓋および下蓋と適宜な間隔を有して配設された隔壁
   と、同隔壁内部または外部に開孔と下部のみまたは上下
   部に突出する中空管とを有する仕切板を適宜の間隔を有
   し多段に配設すると共に上記仕切板の少なくとも最下段
   の仕切板の下方に気体分散手段を配設してなることを特
   徴とする通気攪拌装置。