JPS5836859Y2 - 水力機械におけるガイドベ−ン装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は水車又はポンプ水車等の水力機械のガイドベー
ン装置に係り、特に、開閉動作中の弱点ピン破断に対す
る安全緩衝機能を具備するガイドベーン装置に関する。

一般に、水車又はポンプ水車においては、系統から要求
された出力又は揚水量に応じて、水量を調節するガイド
ベーンが設けられていることは周知のとかりである。

このガイドベーンは通常、サーボモータによって開閉駆
動されるが、閉動作時などにおいて、ガイドベーンの間
に異物などを咬込んだ場合、過大な負荷により破壊する
釦それがある。

そこで、ガイドリングに連結されたリンクの一端をアー
ムレバーの先端に連結し、このアームレバーの基部をガ
イドベーンアームのボス部若しくはガイドベーンスピン
ドルに遊嵌させると共に、両者アームレバーとガイドベ
ーンアームとを弱点ピンによって結合し、過大負荷発生
時には弱点ピンが破断するようになっている。

このように弱点ピンを設けたことにより、一応安全性は
確保されることにはなるが、弱点ピンが破断すると、ガ
イドリングからの制御力から解放され、そのガイドベー
ンはガイドベーンスピンドルを中心に自由回転できる状
態になってし１う。

このため、ガイドベーンに作用する水圧力の如何によっ
ては、フリーの状態となったガイドベーンが強力な水力
モーメントを瞬時に受けて迷回動し、ランナベーンや、
隣在のガイドベーンに衝突し破壊が起って水車の停車が
不能となったり、異常振動が発生するなど不測の事故と
なる。

このような事態となることを防止するため、従来、弱点
部が破壊されたとき、これを感知する折損警報装置を設
けて水車の停止をはかるか、フリーとなったガイドベー
ンの動作範囲を制限するストッパ装置を設けて他の部材
と干渉しないようにするか、スプリングやダッシュポッ
トを用いて、フリー状態のガイドベーンの受ける水圧力
を減少して他部材への衝突力を緩和したりするなどのい
ずれかの手段が採られていた。

しかし、警報装置が不動作であったり、ストッパ装置自
体が破壊されてし１つたりすれば、安全装置としての機
能を失うことになるし、スプリングやダッシュポットを
設けるには調整が難しく信頼性のある措置とならなかっ
たりする難点があるばかりか、かなり高価につく機構を
付加することによる不経済も看過できないものがあった
。

本考案は上記のような事情に鑑み、構造は簡単であるが
信頼性に富む安全機構をもった水力機械に釦けるガイド
ベーン装置を提供しようとするもので、過負荷発生時に
破断する弱点ピンのほかに摩擦トルク伝達機構をアーム
レバーと、ガイドベーンアームボス部若しくはガイドベ
ーンスピンドルとの間に介在させて釦き、弱点ピンと摩
擦トルク伝達機構とによって緩衝を分徊するようにした
点に特徴を有する。

以下、図面を参照しつつ本考案の実施例を説明する。

第１図には本考案の第１実施例が平面図で、父、第２図
には縦断面図で示されている。

図中符号１で示されるガイドリングにはリンクピン２を
介してリンク３が取付けられ、このリンク３はピン４を
介してアームレバー５の先端部に連結されている。

アームレバー５ば、その基部がガイドベーンアーム６の
ボス部６ａに摩擦トルク伝達機構７を介して連結されて
いる。

この摩擦トルク伝達機構７としては内輪７ａと外輪７ｂ
と、ダブルコーン形の調節部材ＩＣとからなるシュパン
リング（商品名）が好適である。

さらに、ガイドベーンアーム６とアームレバー５とは、
それぞれ弱点ピン８によって連結されている。

なおガイドベーンアーム６は基部がガイドベーンスピン
ドル９に、アーム押え板１０で押えられるキー１１によ
り一体回動できるよう支持されている。

ガイドベーンスピンドル９はガイドベーンブツシュ１２
を介して上カバー１３に支持され、ガイドベーンアーム
６はスラスト軸受１４が上カバー１３にボルト１５で取
付けられていることにより抜は止めされている。

又、前記アーム押え板１０は調整ボルト１６と調整ナツ
ト１７により押えられている。

本考案は前記のように構成されるので、過大負荷が発生
すると弱点ピン８が破壊して負荷を吸収するが、摩擦ト
ルク伝達機構７を介してアームレバー５に接しているガ
イドベーンアーム６はトルク伝達機構７によって完全フ
リー回転を阻止される。

いは、仮りに弱点ピン８によって７０％伝達トルクを受
持ち、３０％をトルク伝達機構７で受持つように設計し
てあれば、弱点ピン８の破壊にも拘らず、３０φの伝達
トルクを分担し、急激な迷回動を生じることがない。

第３図に示される第２実施例はアームレバー５をガイド
ベーンスピンドル９に直接嵌合はせ摩擦トルク伝達機構
７をガイドベーンスピンドル９とアームレバー５の基部
との間に設けた点においてのみ第１実施例と異るが他は
同様であり、作用効果も同様である。

なお第３図中第１実施例における部材と同じ部材には同
一の符号を付し、第１実施例の説明を援用する。

以上述べたように本考案によれば、ガイドベーンアーム
のボス部またはガイドベーンスピンドルとアームレバー
との間の嵌着部に摩擦トルク伝達機構を組み込み、この
摩擦トルク伝達機構を内輪と外輪とこれらの間に配置さ
れ、内輪と外輪の径を微調整できるダブルコーン形の調
節部材とによって構成したから、所定の大きさの摩擦力
を当初から設定でき摩擦トルクの管理がきちんと行なえ
、弱点ピン破断の瞬間から摩擦力によるガイドベーン揺
動の抑制力が働き、弱点ピン破断時のガイドベーンの揺
動を破断時より確実に緩衝して水力機械を安全に運転で
きるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す平面図、第２図は縦
断面図、第３図は第２実施例の縦断面図である。 １・・・ガイドリング、２・・・リンクビン、３・・・
リンク、４・・・ピン、５・・・アームレバー、６・・
・ガイドベーンアーム、６ａ・・・ボス部、７・・・摩
擦トルク伝達機構、８・・・弱点ピン、９・・・ガイド
ベーンスピンドル、１０・・・アーム押え板、１１・・
・キー １２・・・ガイドベーンブツシュ、１３・・・
上カバー、１４・・・スラスト軸受、１５・・・ボルト
、１６・・・調整ボルト、１７・・・調整ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガイドベーンスピンドルにキー止めされたガイドベーン
   アームと：このガイドベーンアームまたはガイドベーン
   スピンドルに一端を嵌着され、他端をガイドリングによ
   って操作されるアームレバーと、上記ガイドベーンアー
   ムとアームレバーとを一体的に結合する弱点ピンと；上
   記アームレバーとガイドベーンアームのボス部との間ま
   たはアームレバーとガイドベーンスピンドルとの間の嵌
   着部に組込１れた摩擦トルク伝達機構とを有してなり、
   上記摩擦トルク伝達機構は内輪と外輪と、これらの間に
   配置され内輪と外輪の径を微調節できるダブルコーン形
   の調節部材とから構成されていることを特徴とする、水
   力機械におけるガイドベーン装置。