JPS5830687Y2 - 熱転写機の転写フイルム供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、熱転写機に装備される転写フィルム供給装
置の改良に係り、転写フィルムの未使用部分における長
手方向のシワの発生を確実に防止しようとするものであ
る。

ところで、立体物品の外周面を被転写面として、これへ
の連続的な転写を施そうとする場合に使用される熱転写
機は、その物品を適当な治具で保持して回転させ乍ら、
適当な熱源で加熱される転写ローラを、該物品の上記被
転写面へ押し付けて共回りさせ、それら両者間に長尺の
転写フィルムを挟み込んで、これを上記物品の回転によ
り、該物品の周速度、即ち転写速度と等しい速さで通過
させるよう構成されている。

然るにこのような熱転写機では、転写フィルムに附与さ
れている張力などが原因して、該フィルムに長手方向の
シワを生ぜしめ易く、特に未使用部分へ生じたシワが転
写の際に転写ローラで加熱用圧されて、転写不良を来た
し易い。

そこで、この点を改善するため、例えば転写ローラのフ
ィルム繰出し側に近接してエキスパンダーローラを配置
し、転写フィルムの少なくとも未使用部分を転写直前に
巾出しして、該部分のシワを除去せしめることが、従来
から試みられている。

然し乍ら、この場合に使用される上記のエキスパンダー
ローラでは、左半分と右半分とで螺旋方向が逆となるよ
うな螺旋条を外周面に形成せしめたものであると、彎曲
した軸心上で彎曲した形態のまま回転させ得るようにし
たものであるとを問わず、転写フィルムの一方向への移
動時にのみ巾出し可能であり、反対方向への移動時には
逆に該フィルムを巾寄せして、長尺方向のシワを積極的
に生じさせる不都合がみられる。

従って、１回の転写完了ごとに転写フィルムの余分に引
き出された未使用部分を繰出し側へ巻き戻すよう構成さ
れた熱転写機に於ては、上記したエキスパンダーローラ
の使用が不適当であり、強いて使用するときは、巻戻し
時の未使用部分に長手方向のシワを生じさせ、然もいっ
たん生じたシワは次の繰出し時に巾出しされても完全に
は消去されない、という不都合を伴なう。

本考案は、熱転写機における転写フィルム供給装置につ
いての上記したような問題点に対処して、転写フィルム
の未使用部分における長手方向のシワの発生を、繰出し
時はもとより巻戻し時にも確実に防止せしめるため、転
写フィルムが繰出し方向及び巻戻し方向のいずれへ移動
する場合にも該フィルムの巾出しを可能とするような巾
出し機構を採用し、且つ巻戻し時の巾出しが不要である
場合には、そのフィルムに該機構の巾出し作用が及ばな
くなるようにしたものである。

以下これを図面に示す実施例について詳述する。

まず第１図に於て、１は外周面を被転写面とする立体物
品であって、その被転写面を回転周面とする如く適当な
回転治具２により保持され、矢印方向へ回転させられる
ものとする。

３はシリコンゴム等の耐熱性弾性体からなる転写ローラ
であって、適当な熱源４で加熱される状態のもとに、支
持機構５の先端で回転自在なるよう支持され、適当な駆
動源６にて、上記立体物品１の外周面に対し進退させら
れるようになっている。

従ってこの転写ローラ３は、転写時には立体物品１の外
周面へ押し当てられ、該物品の前記した回転によって共
回りさせられるものとする。

７は長尺の転写フィルムであって、繰出し軸８上へ巻き
溜められており、使用に際しては、ローラ９，１０，１
１から立体物品１と転写ローラ３の間を通り抜けて、ロ
ーラ１２，１３，１４から巻取り軸１５へ巻き取られる
ものとする。

然して上記の繰出し軸８は、転写時には、転写フィルム
１の未使用部分に適度の張力を附与すべく、該軸上から
繰り出される転写フィルム７に弱いバックテンションを
与え、転写完了時には、転写フィルム７の余分に繰り出
された未使用部分を巻き戻すべく、積極的に回転させら
れるものとし、また巻取り軸１５は、転写時には、転写
フィルム７の使用済み部分を巻き取るべく、積極的に回
転させられ、転写完了時には、上記の巻戻しを許容すべ
く、逆転可能な状態におかれるものとする。

一方、前記した各ローラ９〜１４のなかで、転写ローラ
３の前後に配置されたローラ１１，１２は、転写フィル
ム７を非転写時には立体物品１及び転写ローラ３の双方
から離反させ、転写時には立体物品１の外周面へ添わせ
るようにするため、流体圧シリンダユニット等の駆動源
１６．１７を有し、ローラ１１は転写期間中、ローラ１
２は転写開始時のみ、図中の鎖線で示す位置まで夫々前
進させられるようになっている。

このように構成された熱転写機に於て、本考案は次の如
〈実施される。

即ち転写ローラ３の直前には、前記したローラ１１を主
要部とする巾出し機構が用意され、且つこの機構は、転
写フィルム７が繰出し方向及び巻戻し方向のいずれへ移
動する場合にも、該フィルムの巾出しを可能とするよう
に構成されている。

従って図例のローラ１１には、彎曲した軸心上で彎曲し
た形態のまま回転し得るような種類のエキスパンダーロ
ーラが採用され、且つ該ローラは、第２図に示す如く、
転写フィルム７の繰出し時と巻戻し時とでは異なる方向
へ彎曲可能とされる。

即ちこのローラ１１は、可撓性あるローラ本体１１ａと
、該本体の両端を回転自在に支持する軸受１１ｂ、１１
ｂと、これらの軸受けを首振り自在に支持する個々のブ
ラケツＮ １ｃ、１１ｃとからなり、且つそれらの各ブ
ラケット１１ｃには、上記ローラ本体１１ａを転写フィ
ルム繰出し時の巾出し方向及び同巻戻し時の巾出し方向
へ選択的に彎曲させるべく上記各軸受１１ｂの首振り角
度を切り換える手段として、一対の流体圧シリンダユニ
ツ） １１ ｄ ｔ １１ ｅが備えられるが、これら
の両ユニツｔ１１ｄ、１１．ｅは１個で兼用し得るよう
にしておいても良い。

なお、上記ローラ１１の直前へ配置されたローラ１０は
、巾出し解除用ローラであって、前記駆動源１６により
ローラ１１と共に進退させられるが、図例では更に専用
の流体圧シリンダユニット等からなる駆動源１８を備え
、転写フィルム７の巻戻し時における巾出しが不要であ
る場合には、単独で鎖線図示位置まで前進させられて、
該フィルムをローラ１１から離すようになっている。

上記した構成に於て、いま第１図に示す如く、繰出し軸
８から引き出された転写フィルム７が、ローラ９，１０
，１１を経て、立体物品１と転写ローラ３の間を通り抜
け、更にローラ１２，１３゜１４を経て巻取り軸１５へ
巻き付けられているものとする。

そこで、まずエキスパンダーローラ１１を、第２図に示
す如く、転写フィルム７が繰り出されていく実線矢印方
向へ実線で示す形態に彎曲させておく。

次いで上記ローラ１１と、これの次に位置するローラ１
２とを、夫々の駆動源１６．１７で、第１図の鎖線で示
す位置まで前進させて、両ローラ間の転写フィルム７を
立体物品１の外周面へ添わせる。

然る後に転写ローラ３を、駆動源６で、同図の鎖線で示
す位置まで前進させ、転写フィルム７を介し立体物品１
の外周面へ押し当ててから、ローラ１２を元の位置へ後
退させる。

この状態で立体物品１を矢印方向へ回転させると、転写
ローラ３も共回りするので、両者間へ挟まれた状態にあ
る転写フィルム７は、繰出し軸８から加えられるバック
テンションによって適度の張力を保ち乍ら、該軸から引
き出され、立体物品１の周速度に等しい速さで移動して
転写に供される。

然してこのときのエキスパンダーローラ１１は、第２図
に示すような形態をとっているので、同図の実線矢印方
向へ移動する転写フィルム７に対しては、これを巾出し
するように作用し、該フィルムの未使用部分に長手方向
のシワを生せしめることなく、例え既に生じていても、
これを除去しつつ、該フィルムを転写部位へ供給するこ
とになる。

また上記の如く転写に供された転写フィルム７の使用済
み部分は、転写時点から少し遅れて立体物品１の外周面
より引き離され、最終的には巻取り軸１５へ巻き取られ
ていく。

このようにして立体物品１への転写を完了したとき、転
写ローラ３及びエキスパンダーローラ１１は、夫々元の
位置へ後退させられ、これに少し遅れて、転写フィルム
７の使用済み部分の巻取りも完了する。

然してこのように１回の転写を完了したとき、転写フィ
ルム７は、未使用部分が余分に引き出された状態にある
ので、その余分に引き出された未使用部分につき、直ち
に繰出し軸８へ巻き戻される。

然し乍ら、このときのエキスパンダーローラ１１が第２
図に実線で示す如く彎曲させられたままであると、同図
中の破線矢印方向へ巻き戻される転写フィルム７は、該
ローラで巾寄せされて、長手方向のシワが積極的に生ぜ
しめられる。

そこで、上記の巻戻しに際しては、まずエキスパンダー
ローラ１１の彎曲方向を逆にし、第２図の破線矢印で示
す巻戻し方向へ、破線で示す形態に彎曲させておく。

すると巻き戻される転写フィルム７は、このローラ１１
で巾出しされて、長手方向のシワを生じることがなく、
例え既に生じていても、これが該ローラで除去されるこ
とになる。

なお、巻戻しの際の巾出しが不要である場合には、エキ
スパンダーローラ１１に近接する巾出し解除用ローラ１
０を、駆動源１８で、上記ローラ１１よりも前方へ前進
させて、転写フィルム７がそのローラ１１へ接触しない
ようにする。

このようにすると、エキスパンダーローラ１１の彎曲方
向を替えなくても、転写フィルム７は、巾寄せされるこ
となしに巻き戻される。

またエキスパンダーローラ１１が、第３図に示すような
彎曲度を自由に変え得る種類のものであるときは、これ
の彎曲度を零、即ち真直な形態をとらせることによって
も、同様の巻戻しが可能となる。

以上の如く、本考案は１回の転写完了ごとに転写フィル
ムの余分に引き出された未使用部分を繰出し側へ巻き戻
すよう構成された熱転写機に於て、転写ローラのフィル
ム繰出し側に、転写フィルムが繰出し方向及び巻戻し方
向のいずれへ移動する場合にも該フィルムの巾出しを可
能とするような巾出し機構を隣接させ、且つ巻戻し時の
巾出しを随時解除し得るような手段を併設したものであ
るから、このような本考案によれば、転写フィルムの未
使用部分における長手方向のシワの発生を、転写の際に
おける繰出し時はもとより、転写完了後の巻戻し時に於
ても、確実に防止し得て、常に良好な転写を可能ならし
め、然も巻戻し時の巾出しは必要時のみにとどめ得る等
の効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部欠截側面図、第２図
は第１図のエキスパンダーローラ部分のみを示す正面図
、第３図は上記実施例に使用されるエキスパンダーロー
ラの具体例を示した一部欠截拡大正面図である。 ３・・・・・・転写ローラ、７・・・・・・転写フィル
ム、８・・・・・・繰出し軸、１０・・・・・・巾出し
解除用ローラ、１１・・・・・・エキスパンダーローラ
、１５・・・・・・巻取り軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １回の転写完了ごとに転写フィルムの余分に引き出され
   た未使用部分を繰出し側へ巻き戻すよう構成された熱転
   写機に於て、転写ローラのフィルム繰出し側に隣接して
   設けられた上記転写フィルムの巾出し機構が、任意の方
   向へ彎曲可能な可撓性あるローラ本体及び該本体の両端
   を回転自在に支持した首振り自在な軸受からなるエキス
   パンダーローラと、このローラを転写フィルム繰出し時
   の巾出し方向及び同巻戻し時の巾出し方向へ選択的に彎
   曲させるべく上記軸受の首振り角度を切り換える手段と
   からなり、且つ巻戻し時の転写フィルムを上記エキスパ
   ンダーローラから離すための巾出し解除用ローラが、こ
   れを随時進退させる手段と共に、上記の巾出し機構へ附
   加されていることを特徴とする熱転写機の転写フィルム
   供給装置。