JPS5824789Y2 - 高炉炉内試料採取装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は高炉炉内の試料採取装置として、試料採取効率
を向上させると共に必要構造の簡単化と全体のコンパク
ト化を可能とし、充分な冷却保護も行なえるように改善
したものに関する。

高炉の大型化、高圧化、更にはその高能率化に伴い、炉
内状況の正確な把握、そのための各種計測はきわめて重
要であり、このため操業中の高炉のシャフト部に各種の
試料採取用ゾンデを挿入し１、炉内の温度、圧力、ガス
成分、ガス流速の測定や炉内内容物の採取を行なうこと
は既知の技術であるが、従来各種高炉シャフトより下部
に挿入されている水平ゾンデは、炉内内容物の採取とい
う機能と、炉内温度分布、ガス成分分布の計測という機
能の、何れか一方のみを具備させたものが多い。

これは該ゾンデが略１０００℃近い高温域に打ち込まれ
るため、ゾンテ゛外表の冷却機能を具備した上に、前記
の内容物採取機構部や測温およびガス採取機構を１本の
ゾンテ゛内に組込む場合、自からその構造は複雑化し、
また所望する内容物採取量を確保するためには、そのゾ
ンデ外径は可成り大きくなり、これに伴うゾンデの打込
みおよび引抜き抵抗の増大、更には炉体内張耐火物にお
ける穴加工径の増大等、種々の好ましくない影響が生じ
るため、限られたゾンデ外径で何れの機能を優先するか
に依るためである。

今これら従来技術の数例を示すと、第１．２．３図の通
りで、第１，２図に示したものは何れも内容物採取専用
タイプのもので、第３図に示したものは内容物採取と温
度およびガス採取併用タイプのものであり、第１図にお
いてゾンデ゛６は、固定の外筒６ａと可回動な内筒６ｂ
とが同心状に内外嵌合され、両筒６ａ、６ｂの周側にサ
ンプル採取用切欠５ａ、５ｂが対応位置にそれぞれ欠設
され、内筒６ｂを回動させてその切欠５ｂを外筒６ａの
切欠５ａと一致させることにより、炉内内容物を内筒６
ｂ内に採取する型式であり、また第２図のものでは、ゾ
ンデ６の先端に仕切部６Ｃを介して採取空腔６ｄを画成
し、この基層側にサンプル採取用切欠６ａを設け、ゾン
デ゛６の中心に進退自在に内装したロッド６ｅの先端に
前記空腔６ｄ内において切欠６ａを閉塞する先端コーン
６ｆを設け、同コーン６ｆの前進によって切欠６ａを開
放して空腔６ｄ内に内容物を採取するのであり、６ｇは
ゾンデ６の冷却水路を示している。

また第３図に示した併用型のものでは、第１図型式を応
用して、外筒６ａ内筒６ｂ、サンプル採取切欠５ａ、５
ｂを用いることは同様であるが、内筒６ｂは回転軸６ｈ
により可回動に支持させ、外筒６ａの外周一部に冷却水
路６ｇを設けると共に、この水路を利用してガス採取口
６１をガス吸引管６にと共に配設し、更に温度測定用の
熱電対６１をガス採取口６１ガス吸引管６ｋを利用して
配設したものである。

これらのものは何れも回転する内筒あるいは進退する先
端コーンによって、その外筒側のサンプル採取切欠を開
閉するのであり、即ち採取希望地点までは切欠閉塞状態
で挿入し、希望地点において内筒あるいは先端コーンを
回動乃至前進させて採取切欠を開口して、炉内内容物を
流入させるに必要な時間保持した後、再びその採取切欠
を閉塞してゾンデ゛を炉外に引抜くのであるが、これら
従来型式のものには以下のような欠点がある。

即ちゾンデ外径に対する採取口径比が小さく、採取内容
物が採取切欠内に流入されるため、高温炉内で長時間ゾ
ンデを開口状態で保持する必要が生じ、ゾンデ゛の炉内
滞在時間が長くなり、採取所要時間保持後、採取切欠を
閉じる時に採取物が内外筒間に挾まれるため、採取物を
破壊して閉とするか、あるいは採取切欠の閉塞ができな
いままでゾンデ゛を抜き出すことにもなるし、炉外にお
いて採取切欠からの採取内容物の取出しが容易でない等
の欠点があり、更にその採取切欠開閉機構、特に回転型
式のものでは炉内におけるゾンデ゛の曲りを考えた場合
、その開閉動力はきわめて大となるし、大きな塊りで存
在する内容物の採取は難しく、採取切欠形式のためゾン
デの胴部を切り欠くことは、ゾンデ゛断面の強度低下を
生じるし、小径のゾンデは使用不可である等の問題点も
生じる。

このような点を解決するために最も簡単な手段はゾンテ
゛径の増大であるが、しかしゾンデ゛の打込み引抜き力
の増大許容値が、前述したように反力支持側の強度制限
、炉体側ゾンデ挿入口開口径の制限、炉体櫓上での装置
サイズの制限等、各種の制限事項に拘束されて実行困難
である。

本考案はこれらの問題点を解決するためになされたもの
であって、ゾンテ゛本体のための冷却機能を具備すると
共に、ゾンテ゛外径に対する採取口径比を大きくして採
取効率を向上させるようにしたものであり、その特徴と
する処は、走行自在に設けられた台車に、その内部を冷
却水通路として一体に組立てられたケーシング内筒およ
び外筒から戒るとともにケーシング外筒周面が全く密閉
された二重ケーシングを装架し、該二重ケーシングの先
端に軸方向開口を試料入口としかつ少なくともケーシン
グ内筒と同径の試料採取空間を適長に亙り形成し、該試
料採取空間内にはその一部が同空間と密嵌されかつ空間
内外に亙って進退自在とされる空間開閉用円錐頭金具を
摺動自在に嵌挿し、該円錐頭金具に一端を駆動源に連結
して戒る駆動ロッドを接続するとともに、前記ケーシン
グの冷却水通路に冷却水の給排水管を接続した点にある
。

以下図示の実施例に基いて本考案を詳述すると、第５図
に示したものは本考案装置実施例の全体外形図であり、
第６図に示したものはその要部縦断面図であり、第７．
８．９図は各要部構造を示しているが、第５，６図にお
いて、１１はゾンデ打込み引抜き用の台車であって車輪
１２を具備することにより走行自在に設けられ、この台
車１１に本考案のゾンデ主体となる二重ケーシング１３
の基部１４が支軸１５および支持部１６等によって支持
される。

前記二重ケーシング１３は第６図示のようにケーシング
内筒１３ａとケーシング外筒１３ｂとがら威り、ケーシ
ング内筒１３ 炉内には円錐頭金具１７が内筒１３ａの
内面に密嵌されるガイド１８と共に摺動自在に内挿され
、この円錐頭金具１７の後端には内筒１３ａ内に進退自
在に遊挿される駆動ロッド１９の先端が連結ピン２０を
介して連結され、同ロッド１９の後端には前記二重ケー
シング１３の基部１４内に取付壁２１を介して装設した
駆動シリンダ２２のロッド２３が連結されることにより
、同シノンダ２２の作動により駆動ロッド１９を介して
円錐頭金具１７は第６図示のように実線位置から鎖線で
示した１７ａ位置までケーシング内筒の先端部内で進退
自在とされて、ケーシング内筒１３ａの試料採取口とな
る先端開口２４を開閉可能とし、実線位置に後退した時
、同開口２４をへてケーシング内筒１３ａ内に炉内内容
物（試料）が充填採取されるようになる。

ケーシング内筒１３ａとケーシング外筒１３ｂとの間は
、両筒１３ ａ 、１３ ｂの先端の閉塞部２５を介し
て冷却水路２６とすると共に、この両筒１３ ａ 、１
３ ｂの基部１４に続く後端は水密な仕切部材２７を介
して、前記冷却水路２６と連通ずる冷却水還流室２８と
、冷却水の給水分配室２９とに固設され、前記還流室２
８には排水管３０が連結されると共に分配室２９には給
水管３１が連結され、更に分配室２９からは前記冷却水
路２６内に複数本の給水パイプ３２が等分配状に平行に
派出され、パイプ３２の先端は水路２６に開口されるこ
とにより、給水管３１よりの冷却水は分配室２９より各
給水パイプ３２をへて冷却水路２６の先端側に給水され
、これより水路２６内を戻って還流室２８をへて排水管
３０より排出されるもので、第７，８図は各要部断面を
示しており、第６図中３３はパツキン、３４はパツキン
押えで、駆動ロッド１９と内筒１３ａ間の空間を満すガ
スのシールとロッド１９のガイドを兼ねている。

駆動ロッド１９と内筒１３ａ間の空間を満すガスは、例
えばＮ２ガス、ゾンデ゛の基部１４の給水分配室２９の
外側ケーシング２９ ａのフランジ取付部１４ａ内に設
けられた採取物冷却用ガス供給口２９ Ｃより供給され
、先端コーンに設けた１〜複数個のガス流路１７ａより
採取内容物側へと噴出させ採取試料の冷却と不活性化（
酸化防止）とを行うようになっている。

前記第６図に示した実施例は、炉内内容物の試料採取専
用型のものを示したが、このさい第９図に例示するよう
にその二重ケーシング１３におけるケーシング内筒１３
ａケーシング外筒１３ｂ間の冷却水路２６の空間を利
用し、試料採取と同時に、炉内ガスの採取機能と測温機
能を併設することも容易である。

即ち第９図において、ケーシング内筒１３ａの先端開口
２４に近い前端に水路２６内に装設したガス採取管３５
の先端を内向き開口３６に開口させ、また同採取管３５
内には熱電対等の測温体３７を挿入し、測温体３７の先
端を開口３６に位置させることにより試料採取と同時に
炉内ガスの採取と測温とが可能である。

また前記第６図に示したものはランスの最先端まで冷却
可能としたものであるが第１０図に示すものは試料採取
口径をさらに大きく取り、先端コーンガイド１８並びに
先端コーン１７の往復動部の水冷を行なわない方式とし
ランスの試料採取先端部を取替可能にしたものである。

第１０図に示す方法はランス１３を構成するランス外筒
１３ｂと内筒１３ ａの先端部に設けた閉塞部材２５
ａの外周部に採取部専用ランス筒１３ Ｃをネジ接手等
の手段で締結しである。

先端コーン１７および先端コーンガイド１８は採取部専
用ランス筒１３ Ｃ内のみを前述第６図説明と同様の手
段で往復動し、かつ試料充填採取する構造となっている
。

前述第６図の方法と異なる特徴点は以下の通りである。

（１）試料採取口径も損耗しゃすいランス最先端を冷却
されたランス本体側と着脱可能なため必要部のみ耐熱、
耐摩耗材等高価な材料を選択使用出来る。

（２）試料採取口径／ランス外径比を最大にとれる。

（３）採取試料の炉外に於ける取出し方法は、前述第６
図での述べた先端コーン１７による押し方式以外に、採
取先端ランス１３Ｃを採取試料充満のままランス本体側
から取外すことが出来るため、取外したランス１３Ｃを
適当な既知手段で分割する事によって採取時の試料の分
布状況の観察が容易に行える。

また第１０図に於ける採取試料側への冷却ならびにパー
ジ用Ｎ２ガスの送気はランス本体側閉塞体２５ ａ内に
設けたガス流路２５ ｂを経て、ランス内筒１３ａと先
端駆動ロッド１９間の空隙部より行なうようになってい
る。

また第４図に例示したものは、従来技術におけるゾンデ
゛の炉内打込み、引抜きのための駆動装置例を示したも
ので、本考案においても前記二重ケーシング１３の炉内
打込み、引抜きについては１例として第４図例のような
駆動手段を用いる。

即ち第４図において、１は耐火物による炉本体、１ａは
鉄皮部、２はゾンテ゛ガイド用パイプ、３は遮断弁、４
はシール装置であり、ゾンデ゛６は駆動用台車７に支持
され、台車７は操業テ゛ツキ上に設けられたフレーム８
上に走行自在に装架され、この台車７に駆動用ワイヤロ
ープ３８の両端が連結され、同ロープ３８はモータ１０
により駆動されるドラム３９に巻装されると共にシーブ
９群に張架されることにより、ワイヤロープ３８の移動
を介して台車７を走行させ、ゾンデ６を連続的に打込み
、引抜きを行なうのである。

勿論本考案における二重ケーシング１３（ゾンデ゛）の
打込み引抜きは他の機構を用いることもできる。

本考案による炉内試料採取は以下のようにして行なわれ
る。

即ち二重ケーシング１３の炉内打込みに当っては、先ず
駆動シリンダ２２を作動して、そのロッド２３の前進を
介し駆動ロッド１９を押出限度まで前進させ、円錐頭金
具１７が１７３の位置にまで突出すると共にそのガイド
１８によりケーシング内筒１３ａの先端開口２４を閉鎖
した後、第４図に例示したような駆動手段により、台車
１１の走行を介し、二重ケーシング１３を炉内の打込み
所定位置より、試料採取口となる先端開口２４の開閉ス
トローク分だけ手前の位置まで打込み、この位置で駆動
シリンダ２２の作動により、駆動ロッド１９を後退させ
て円錐頭金具１７をケーシング内筒１３ａ内に後退させ
て、先端開口２４の開放と共にこれに続いて試料採取用
空隙を作るのである。

次いで二重ケーシング１３を所定位置まで更に打込むこ
とによって、先端開口２４をへてこれに続くケーシング
内筒１３ ａの空隙内に炉内内容物の一部が試料として
充填されることになる。

かくして試料採取が終ればケーシング１３を台車１１の
後退と共に炉内より引抜き、一定温度以下にその採取試
料の温度が下降した後、再び駆動シリンダ２２により円
錐頭金具１７を押出して１７ ａ位置とすることにより
、空隙内に充填された試料は外部に取り出されることに
なる。

このさい円錐頭金具１７の開閉（前後）移動速度と、二
重ケーシング１３の打込み進行速度とを同期させれば、
ケーシング１３の打込み進行過程で試料採取が容易に可
能である。

また第９図に示した実施例のように二重ケーシング１３
のケーシング内外筒１３ ａ 、１３ ｂ間の冷却水路
２６を利用して、ケーシング内筒１３ ａに内向き開口
３６によって開口連通したガス採取管３５と測温体３７
によれば、前記試料採取と同時に炉内ガス成分の採取、
炉内温度の測温も行なえることになる。

本考案によれば、ゾンデ主体をなす二重ケーシング１３
において、そのケーシング内筒１３ａの先端開口２４を
試料、内容物の採取口としたことにより、従来のゾンテ
゛周側に採取切欠を設けるものに比し、採取内容物の充
満度が高く、採取物量／採取口容積、即ち採取効率をき
わめて向上させることが可能である。

また内容物採取部の口径／ゾンデ（ケーシング内筒）口
径の比も大きいので、ゾンテ゛径、実質的にはケーシン
グ内筒１３ａの径が小さくても充分な採取量が得られる
ので、二重ケーシング１３も従来よりもその採取効率に
比べてより小型化でき、従ってケーシング１３の打込み
引抜き設備の小型化、必要動力の小容量化が得られ、装
置設備全体をコンパクト化できる。

また内容物採取口径を大きくできるため、大塊の内容物
でもその採取が容易であり、このことは同時に採取物冷
却後のゾンデ外への取出しをも容易とするし、このさい
内容物の採取量は、ケーシング内筒１３ａの先端開口２
４の口径のみに左右されることなく、この間口２４を開
閉する円錐頭金具１７のストロークの調整によって、容
易に選択できる利点もあり、また二重ケーシング１３と
したことにより、そのケーシング内筒１３ ａとケーシ
ング外筒１３ｂ間における環筒状空間の全てを冷却水路
２６として利用でき、閉塞部２５を先端に設けることに
より、ケーシング全長に亙りその最先端まで充分かつ強
力に均一な冷却保護が得られるのであり、冷却水分配室
２９より派出した給水パイプ３２を水路２６内に平行に
派出させることにより、冷却水の循環給水及び排水もき
わめて円滑である。

しかも本考案によれば密封されたケーシング内外筒１３
ａ 、１３ ｂによる二重ケーシング１３であるため
、従来の周側に採取切欠を設けるものに比し、強度上き
わめて有利であり、かつ前記冷却構造もこれにより従来
よりも容易化されるのであり、炉内内容物の荷下がり等
に対してもケーシング１３は変形のおそれも少いのであ
り、耐用性も向上されると共に、この冷却水路２６を利
用しガス採取部材や測温部材の配設も容易化され、しか
もこれら部材を第９図のように円錐頭金具１７の可動範
囲内に設けることにより、ゾンデ打込み過程における測
温口やガス採取口である開口３６を炉内内容物充満等か
らも保護できるのであり、高炉炉内試料を採取する装置
として優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１．２．３図は従来の試料採取用ゾンデ各側の説明図
、第４図は従来のゾンテ゛打込み引抜き機構１例の説明
図、第５図は本考案装置実施例の全体外形図、第６図は
同二重ケーシングの実施例断面図、第７，８図は第６図
Ａ−Ａ、Ｂ−Ｂ線各断面図、第９図は本考案の変形実施
例要部の側断面図、第１０図は二重構造ケーシングの第
２実施例の先端部断面図である。 １３・・・・・・二重ケーシング、１３ａ・・・・・・
ケーシング内筒、１３ｂ・・・・・・ケーシング外筒、
１１・・・・・・台車、１７・・・・・・円錐頭金具、
１９・・・・・・駆動ロッド、２２・・・・・・駆動シ
リンダ、２４・・・・・・先端開口、２６・・・・・・
冷却水路、２９・・・・・・冷却水分配室、３２・・・
・・・給水パイプ、３５・・・・・・ガス採取管、３６
・・・・・・内向き開口、３７・・・・・・測温体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行自在に設けられた台車に、その内部を冷却水通路と
   して一体に組立てられたケーシング内筒および外筒とか
   ら戊るとともにケーシング外筒周面が全く密閉された二
   重ケーシングを装架し、該二重ケーシングの先端に軸方
   向開口を試料人口としかつ少なくともケーシング内筒と
   同径の試料採取空間を適長に亙り形成し、該試料採取空
   間内にはその一部が同空間と密嵌されかつ空間内外に亙
   って進退自在とされる空間開閉用円錐頭金具を摺動自在
   に嵌挿し、該円錐頭金具は一端を駆動源に連結して戊る
   駆動ロッドを接続するとともに、前記ケーシングの冷却
   水通路に冷却水の給排水管を接続したことを特徴とする
   高炉炉内試料採取装置。